事業仕分け後半 その1
事業仕分け後半は、防衛省案件が目白押しでした。
一応整理してみます。
全17事業と報じられていましたが、細部で複数項目に分けているようで、大項目としては残り10項目です。
24日・自衛隊の広報・募集事業
・国際平和協力センター
26日・自衛官の実員増要求
・防衛施設の用地借料の水準
・自衛官の若年齢化による人件費の
効率化(中長期の取組み)、
退職予定自衛官就職援護業務費補助金
・備品、被服、銃器類・弾薬のコスト
・装備品の調達(22年度新規後年度負担)、
装備品の選定段階でのコスト抑制(中長期の取組み)
・基地周辺対策①(住宅防音)
・基地周辺対策②(特定防衛施設周辺整備調整交付金、
民生安定助成(一般助成))
・駐留軍等労働者の給与水準
全部一気に書くと長くなりますので、何回かに分けて記事にします。
まず、最初は「自衛隊の広報・募集事業」から。
行政刷新会議の資料
これは、一つにまとめられていますが、広報事業と募集事業の2事業に分かれます。
広報事業は、航空自衛隊浜松広報館(エアーパーク)などの大規模広報施設による広報の他、公式HPの開設や映画などへの協力など様々な広報活動を含め、一つの事業として取り扱われています。
その中でも、仕分け前日には蓮舫参院議員と田嶋要衆院議員が陸自広報センターを視察するなど、大規模広報施設の運営方法が槍玉に上げられました。
「「仕分けチーム」蓮舫氏、陸自広報センター視察」(読売新聞09年11月23日)
「広報」の趣旨から無料であるべきと主張する防衛省に対して、要は金を徴収することで費用を削減しろと言う訳です。
そして、評価結果としても入場料の徴収を含め民間委託し、予算を削減しろというものになりました。
評価コメント及び評価結果
けしからん、と言うのは簡単ですが、確かに一理あるとも思えます。音楽祭のチケットなどは倍率7~8倍というプレミアムチケット化しているので、多少のお金を取っても人が集まらないということはないと思えますし、エアパークなども200円程度の気にならない金額であれば、来場者数にはあまり影響はないのではないかと思います。個人的には、現役時から音楽祭は金を取れば良いのにと思ってましたし、広報施設は駐車料だけでも徴収すれば混雑も緩和されて周辺の方にも喜ばれるのではないか、などとも思ってます。
仕分け人の中には、「税投入なしに運営」(それじゃ広報じゃなく、テーマパークの経営だろ)などと言う無茶な意見もありましたが、予算全体としても厳しいという状況がありますから、実際の予算が大幅に削られるのでなければ致し方ないかな、と思います。
もう一方の募集事業は、隊員リクルートのための募集広報です。
任務が拡大したり、対テロなどのため少人数での行動が想定されることが多くなって来たため、従来以上に少しでも優秀な隊員をリクルートする必要性が高まっています。そのため、この事業の必要性も高くなっており、なんで仕分けにかけられるのか、という思いもあるのですが、募集コールセンター(地本があるだろ)や以前の記事「自衛隊広報施設 渋谷 「自衛館」」で取り上げた募集情報等発信ステーション追加開設など、私が見てもコストパフォーマンスに疑問符の付く内容が目を付けられたようです。
そして結果はやはり予算要求の縮減(効果のある事業に集中)となっています。
評価コメント及び評価結果
結果の中でも、「大前提として必要な事業である。国防を支える優秀な人材を確保することは重要である。」とされており、事業自体の重要性は理解されているので、実際の予算がとんでもない数字でなければ、適切な助言として受け取るべきじゃないかと思います。
ただし、仕分け人の中には「景気の悪い時期でもあり、求職数は上がるはずであり、採用者1人当たりコストを考えて見直し削減は可能ではないか。」とか「現時点は就職が厳しい時期であるから逆に費用を削るべきである。」といった見識が低いと思われるコメントがあったので、記憶に留めて置くべきでしょう。(景気がよければ何倍もコストをかけてイイのか?)
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国際協力が今まで以上に求められる自衛隊にあって、人員増は急務だと
考えます。
C-130のパイロット・整備員しかり、護衛艦の乗員しかりです。
人手不足で、隊員の方々はかなりの激務になっていると聞いています。
そのような環境で、国に貢献するという士気を保っている隊員の方々には
頭が下がる思いです。
投稿: やん | 2009年12月 3日 (木) 00時38分