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2009年12月 7日 (月)

事業仕分け後半 その3

最後なので、どんどん行きます。

最初に、防衛施設の用地借料の水準
行政刷新会議の資料
要は自衛隊や米軍用地として借り上げている借地料が高すぎるのではないか、特に、特別な配慮がされている沖縄は高すぎるのではないか、というものです。
確かに高すぎます。
しかし、反戦一坪地主(実際には1㎡以下の地主もいる)などが多数いるなど、反自衛隊・反米軍感情の強い沖縄では仕方の無いことです。自衛隊・米軍用地となった経緯の問題もあるので、一筋縄では行きません。それとも、民主党政権が強制的に接収でもしてくれるんでしょうか。

結果は、案の定というか何というか、見直しを行わないというものでした。特段目を付けられた沖縄の更新協力費についても予算要求通りとなりました。
評価コメント及び評価結果
仕分け人のコメントの多くは削減すべきというものでしたが、結果は据え置きです。
普天間問題など、地元の感情を重視する民主党の意向が反映された結果です。そんな政治的な判断をするくらいなら最初から仕分けにかけなければ良いものを、と思います。

次は、自衛官の若年齢化による人件費の効率化(中長期の取組み)、退職予定自衛官就職援護業務費補助金(防衛省)
行政刷新会議の資料
タイトルを見ても何の事業か分かり難いですが、要は年齢別に所属人員数のグラフを書いた場合、通常の軍隊ではピラミッド状になることに対して、自衛隊の場合、上が大きすぎることを改善しようというものです。
これは昔から言われている問題点なのですが、やっと本腰を入れるつもりになったのかもしれません。
ただし、これは日本の社会習慣(早期退職をさせると再就職が難しい)とも関わる問題であり、一筋縄では行かない問題です。

この事業は、もともと検討中の施策であり、22年度予算においても予算要求なしという事業なのですが、なんでこれが仕分けにかけられたのか意味不明です。

それでも一応評価はされました。
評価コメント及び評価結果
自衛隊の若年齢化による人件費の効率化(中長期的取り組み)については見直しを行う、退職予定自衛官就職援護業務費補助金については予算要求の縮減となっています。
もともと予算要求のない事業なので、あれこれ言っても仕方ないでしょう。
ある仕分け人のコメントに「大綱の見直しが必要(仕分けに合わない)。」というのがありましたが、その通りでしょう。

続いて、備品、被服、銃器類・弾薬のコスト(防衛省)
行政刷新会議の資料
これはあまり説明の必要がないでしょう。

結果は次の通りです。
評価コメント及び評価結果
備品:予算要求の縮減
被服:予算要求の縮減
銃器類・弾薬:見直しを行う
備品と被服については、確かに調達の工夫をもう少し進めるべきで、額にもよりますが仕方がないとも言えると思います。確かに、制服が国産でなければならない理由は見当たらないです。(迷彩服など戦闘に使うものはどうかと思いますが)
一方、銃器類・弾薬については、輸入調達の導入・拡大をすべきという意見が大勢だったようです。
国産を廃止するかどうかは仕分け人の中でも意見が分かれたようですが、コレを言うなら武器禁輸3原則の運用見直してからにして欲しいと思います。そうしないと、豊和工業に対してフェアではないでしょう。
輸入推進の人は、何処でも作れるものは国産にする必要がないとお考えなのでしょうが、であるなら日本が禁輸をする理由もありません。

次は、装備品の調達(22年度新規後年度負担)、装備品の選定段階でのコスト抑制(中長期の取組み)(防衛省)
行政刷新会議の資料
新戦車も22DDHもPAC-3も、その他なんでもかんでもまとめて議論しようというものです。
もうこの時点で無茶ですし、結論も分かったようなものです。

評価コメント及び評価結果
装備品の調達(22年度新規後年度負担)については、「政治の判断を待つ」でした。
大綱の整備を待つべき、年末の閣議決定を待って修正を待つ、というのが理由のようです。
装備品の選定段階でのコスト抑制(中長期の取り組み)については、「見直しを行う」となってます。とにかく削れというだけですね。

次が、基地周辺対策(1)(住宅防音)
行政刷新会議の資料
基地周辺住民対策です。特にコメントはありません。
評価コメント及び評価結果
これこそ、費用の縮減とかになっていいはずですが、予算要求通りでした。民主党の票におもねる姿勢は明確です。

次は、基地周辺対策(2)(特定防衛施設周辺整備調整交付金、民生安定助成(一般助成))
行政刷新会議の資料
こちらも特にコメントなし。
評価コメント及び評価結果
特定防衛施設周辺整備調整交付金についても、民生安定一般助成についても「見直しを行う」というものでしたが、減額ということではなく、使い方を自治体に任せるというものです。

最後は、 駐留軍等労働者の給与水準
行政刷新会議の資料
いわゆる思いやり予算ですが、内容としては米軍基地内で働く日本人の給与を日本側が支払うというものです。
彼らの給与水準がどうなのかについては、正直コメントするほどの知識はありません。ですが、オイシイという話が聞こえてくるわけでもありませんから、特段高いものではないと思います。
それでも、勤務地の職種毎の民間賃金を細かく反映して、給与水準を低く抑えるべきではないのか、というのが仕分けに入れられた理由のようです。

評価の結果としては、「見直しを行う」となっています。
評価コメント及び評価結果
地域の同職種とのバランスが必要とされているようですが、方向としては削減になるに決っていますから、ストが起きたり、米軍が望む水準の仕事がされなければ、日米間の問題となるでしょう。
普天間問題と並ぶほどにはならないかもしれませんが、日米間の懸案にならないことを望みます。

これで、防衛省関連案件は全てです。
全般を通してみると、結果は予想通り厳しいものだったと言えるでしょう。
感想としては、かなり難しい問題まで、あっけなく結論が出されており、そのおざなりさ加減に唖然とした、という所です。
それにしても、このいい加減な仕分けの結果として、民主党の支持率が上がったというのが、なんだかガックリさせられる話でした。

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コメント

自衛隊の予算というのは民間と違い職場を理解されにくいですから
認識としては額面が安くなっていれば
削減出来たと思うのかもしれませんね。何でも輸入に任せればいいと安易に考えすぎてます
中国製品が発火して船一隻ぶちこわしたの忘れたんでしょうか…

ホントに仕分けは安易でしたね。
民主党の方は安かろう悪かろうという言葉をしらないかもしれません。

輸入すれば良いという考え方は、専門家と言われる方でも口にする方が少なくないので、素人同然の議員先生が信じても無理なからぬことかもしれませんが・・・

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