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2009年12月10日 (木)

ランウェイ一本儲けた?

防衛省は、ランウェイ一本分、まるまる儲けたことになるかもしれません。
茨城空港、売店なしで開港? 1日1往復「赤字必至」」(朝日新聞09年12月1日)
茨城空港:航空自衛隊百里飛行場を民間共用化するもので、国が設置・管理する空港です。(by茨城空港HP

来年3月11日に開港する茨城空港のターミナルビルに飲食店も売店もない状態となる可能性が出てきたと報じられています。
というのも定期便の就航が1日1往復だけとなる見込みで、テナントが不採算になるためです。
同記事よると「1999年に示された国の需要予測では、同空港には国内4路線が入り、年約81万人が利用するはずだった。しかし、今のところ国内線はゼロ。唯一決まっているアシアナ航空・ソウル便が1日1往復しても、想定される利用者は年7万7千人と当初予測の10分の1にも満たない。 」とのことで、報道ではそこまで言及されていないものの、テナントはもちろんのこと、茨城空港自体も赤字必至です。

国土交通省による事業の妥当性などは置いておくとして、もし赤字が続けば、事業継続は困難になるでしょう。JALが傾いていることなどもあり、とても黒字化するとは思えません。
なにせ茨城空港の場所は、空自の戦闘航空団配備基地として、最も首都に近いながら、最も人気がない陸の孤島こと百里基地です。(百里の方ゴメンナサイ)

もし、茨城空港事業が継続困難となれば、そのために建設された新たなランウェイが防衛省に移管されることは間違いなく、防衛省は労せずしてランウェイを1本儲けたことになります。

左側が新滑走路(茨城空港HPより)
Fromair3

空自の基地は、通常ランウェイが損傷した場合などにタクシーウェイから離着陸できるよう作られていますが、百里は用地取得の問題から、タクシーが屈曲しており、それが出来ませんでした。(上記写真の右側に屈曲部が見える)
つまり、1本しかないランウェイが閉鎖されれば、それだけで基地機能を失ってしまうという抗たん性が低い状態だったのですが、新滑走路が滑走路長2400mの既存滑走路と同規模(2400m)で、しかも中型旅客機の離着陸が出来るように耐加重の高い滑走路が平行滑走路として整備されたため、基地の抗たん性は一気に高まりました。
もちろん共用空港のままでも、抗たん性が高まったことは間違いないですが、1日1回とは言えアシアナ航空が来ると保全措置が面倒です。(来航に合せ、空自の能力が分からないよう、いろいろと措置が必要です。)

それに、上で言及したように、新滑走路は中型旅客機としてボーイング767の離着陸が可能(国交省と絶妙な調整をしたようです)です。そして、既存滑走路も、新滑走路完成後かさ上げ工事が実施され、767が離着陸可能となっています。
つまり、茨城空港が出来ることで、百里基地はE-767AWACSやKC-767空中給油機が運用可能になった訳です。
茨城空港事業が破綻すれば、これらの運用に適したエプロンや関連施設も自衛隊の手に入ります。

新エプロンと建設中のターミナルビル(茨城空港HPより)
Fromair2
ターミナル地区平面図(茨城空港HPより)
Terminalarea

また、付随してアクセスの改善も図られたため、陸の孤島も少し改善されました。

事業仕分けなど、民主党政権は事業の経済性を重視する政策を採ってます。茨城空港は、自走式による航空機運用などローコストキャリア(低コスト航空会社)の誘致を図り、就航便数を確保しようと計画していますが、今後就航便数が伸びなければ、事業として赤字となることは確実です。
事業継続の判断をしてもらえれば、防衛省にとっては儲けになります。
早い段階で判断して欲しいものです。

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コメント

はじめまして。
興味深い内容が多いので、移転前後より良く読ませていただいています。

茨城空港に関しては当初より事業としての採算は取れない見通しで、百里基地の整備こそが真の目的である、と言う話が少なくとも県職員レベルではあります。
もちろん公の発言ではありませんが、主に土木分野で仕事をしている職員が言っているので憶測の類とも思えません。

もし当初からそのつもりであれば今回の航空不況は渡りに船、と言う話になるのでしょうね。

藤宮直樹 様
現在のこの状況を見る限り、そういう推測が出てきてもおかしくはないですよね。

しかし、私が知る限り防衛省側に当初からそういう狙いがあったわけではないです。
言いだしっぺが誰かなのかは私も知りませんが、共用というのは自衛隊にとっては面倒この上ないので、肩に星を付けた方々も含め相当抵抗してました。まあ、その抵抗があったので防衛省側を納得させるために767が運用できるようにするという配慮がされたのでしょう。茨城空港の需要を想像するに、そんなに大型の機体を運用できる必然性は、ほとんどありませんから。

確かに防衛省にとって、この航空不況は僥倖ですね。

確かに、民間共用そのものには自衛隊側にメリットがありませんから、言い出すはずはないですよね。
百里基地の民間共用化、と言う話はかなり前からあったと記憶しているので、空港は欲しい、でもお金はかけたくない茨城県側が言い出したのだと思います。

しかし767系の機体が運用できるようになったと言うのは知りませんでした。

ただ、多少のアクセス改善があっても小美玉市、特に基地周辺の旧小川町は衰退していく一方なので百里が陸の孤島なのは変わらないかと。こちらはむしろ茨城空港が栄えたほうが改善されそうな気がします。

県側とすれば、なんとかして、あの地域の活性化につなげたいという思いが有ったのでしょうね。
ホントになんにもないですから。

767の運用については、県のHPにも就航想定航空機として記述があります。
http://www.pref.ibaraki.jp/close_up/cl0512_01/index.html

昨年の航空観閲式に行きましたが、東京から百里は遠いですネ。
旅客を集めようと思ったら、人口の多い地域(首都圏)に近くなければなりません。
首都圏に近い場所には成田がありますから、わざわざ遠い茨城空港(百里)に行く
理由がありません。 
よって、茨城空港を作る合理性は、最初から無かったと思います。
数多様のおっしゃる通り、結果的に空自は丸儲けになると思います。

距離が遠い訳じゃないんですが、行こうとするとホントに大変ですよね。
まあ、地域振興だったんでしょうが、あそこで1日に10便も離発着するなんて、なんて希望的観測だったんだろ、という感じがします。

あの辺りは農業が盛んですよ。
それしかありませんが。

交通アクセスの作りも、詰めの甘さが実に茨城県らしいです(苦笑)
駅から車で何分、と言う発想がまさに茨城県民のそれです。

高速道は新たに引くのですから、せめてそれだけでも直結、欲を言えば旧鉾田線用地を再度整備・延伸して直接空港に接続する鉄道を整備するくらいの意気込みでなければ本気で空港が成り立つとは思えません。立地的に成田と高速道・鉄道で結ばれれば全く違った展開が見えてきそうな気がしますが、現状茨城県にはそこまでやる気概はないようです。
この”本気が伺えない”辺りから私の最初のコメントにあるような話が出てきたのかも知れません。

>やん様
実のところ、茨城県在住であっても県南部なら羽田まで出られるんですよ。
南東部であれば北関東自動車道を使用して成田・都内に出られますし、南西部だとそもそも百里方面へのアクセスが悪いです。
そこで県北地域の県民にメリット、と言う話が出てきたのですが、上記のように南半分の県民は羽田に行きたがりますから、TV局も新幹線もない茨城県が空港を欲しがったというのが真相ではないかと思っています。

藤宮 直樹様
なるほど! 茨城県も南北に長いですからネ。
茨城県のみなさんが、全員茨城空港を利用するとは限りませんしネ。

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