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2009年12月

2009年12月28日 (月)

22年度政府予算案

22年度の政府予算案が出ました。

防衛省公開資料の方は、数字ばっかりで概要が掴み難いですが、財務省の資料にはそれなりに情報がまとめられていますので、こちらを見てみたいと思います。

まず、トピックと言えるものとして、先日の記事「22DDHは座礁、新戦車は擱座か?-防衛予算方針閣議決定」でヤバそうだと書いた22DDHと新戦車ですが、どちらも予算案には載りました。
どちらも閣議決定された「平成22年度の防衛力整備等について」において、「老朽化した装備品の更新(中略)を中心として防衛力整備を効率的に行う」とされたことを受け、装備品の更新(しらね他→22DDH、74式戦車→新戦車)として通ったようです。
ただし、新戦車の方は修正された概算要求よりも更に数が減り(16→13)、全て教育所要(部隊用ではなく富士学校用ということ)ということになったようです。
22DDHについては、どういうわけか概算要求よりも額が上がってます。もしかして友愛ボートの影響でしょうか?
しかし、こういった大物が通ることで、資料には載っていないその他の装備は軒並み削られたのではないか、という懸念があります。

続いて、事業仕分けの反映状況ですが、自衛官の実員増の予算計上を見送ることによって72億円、情報システム借料等を20%削減することによって52億円、国際平和協力センターの予算計上見送りによって25億円、それぞれ削ることなどで168億円を浮かせたことになっています。
情報システムの借料は20%も削るようですが、そうなるとメーカーサービスが低下するでしょうし、必要なシステムがちゃんと稼動するかどうか果たして疑問です。

次に、後方支援の充実として資料に記載されている事項として、装備品の修理の充実というものがあります。
対前年度55億となっており、一見すると良い内容にも思えますが、新規装備の購入を減らせた分、既存装備を長持ちさせるための措置ではないかとも勘ぐれます。
また、教育訓練の充実として、教育訓練器材の整備等が対前年度比41億となっており、こちらも一見すると良いじゃないかと思える内容なのですが、後でも書く一般物件費における教育訓練費は、対前年度比マイナス10億円となっているため、概算要求資料でも出てこなかったP-1訓練シミュレーターなどが大きく響いているだけかもしれません。
おまけにP-1シミュレーターなどは、まさかP-1の取得自体を削ったのではないか、とも思えてしまいます。(この資料にはP-1の取得自体についての記述はない)

研究開発については、研究開発の充実という項目が書かれており、対前年度比94億円増と悪くなさそうです。
果たしてホントに通すのか、と思った中SAM(改)開発も盛り込まれてますし、削れるはずの無いSM-3の共同研究も入ってます。
個人的にはあまり良くないと思うのですが、レーザー兵器の研究もあります。
なお、これに関しては、私の私見としてはより後発者利益を享受することができるよう、もっと先送りにしても良いのではないかと思ってます。

米軍絡み(思いやり予算など)については、仕分けでも削るような話にはなってなかったため、概算要求とあまり違いはなさそうです。
この資料でも、実質22ページ中、8ページも割かれており、重視されていると言う位置付けのようです。

さて、ここまでは主に表読みの部分ですが、それほど悪くないようにも思えます。
ただし、22DDHや新戦車のように記述のない装備品は相当削られている可能性がありますし、実員増が認められなかったのは部隊にとっては、影響がボディーブローのように効いて来る可能性があります。

そして、もう一つ気になるのは、経費の分類の中で書かれている一般物件費の内訳です。
一般物件費総額としては、前年度比195億円増となっており、良い数字と言えるのですが、中を見てみると基地対策経費等の増額が大きく、油購入費や修理費、そして教育訓練費などは対前年度比マイナスです。
つまり、部隊にかけるお金は減らし、民主党として票を稼げる周辺住民対策にお金を増やしたということです。
部隊は既に青色吐息ですが、来年度はもっと酷いことになりそうです。

2009年12月26日 (土)

オーストラリアとACSA

日本とオーストラリアが物品役務相互提供協定(ACSA)を締結する方針だそうです。
自衛隊と豪軍、国際救援活動で物資融通へ」(読売新聞09年12月13日)

ACSA(アクサ)は、PKOや災害救援活動などにおいて、自衛隊とオーストラリア軍の間で軍需物資や役務の融通を円滑化する、つまり派遣される豪軍に自衛隊が食事を提供したり、豪軍の医療資材を使用して自衛隊が被災民の診察を行ったりすることを可能にするための協定です。

コレは、例の友愛ボートとリンクした話ですね。
友愛ボートについては、パシフィックパートナーシップに参加する形で行われる見込みですが、この活動にはアメリカ軍だけでなくオーストラリア軍も参加しています。
Australians Join Humanitarian Mission Pacific Partnership 2009
そうなると、オーストラリア軍との間にACSAがないと円滑な協力が出来ない、という判断がされたのではないかと思われます。
友愛ボートについては、その本気度にクエスチョンマークもついてましたが、こういった準備をしているところを見ても、どうも本気のようです。

私としては、なにも友愛ボートに限らずも適用できるものですから、大いにやるべきモノだと思いますし、歓迎したいと思います。
僅かながらですが、中国へのプレッシャーにもなりますし。

2009年12月24日 (木)

婚活連載へ

「またか!」と思う方もいるでしょうが、一応続報ということで

「MAMOR」誌の婚活企画が好評(掲載16人に対して100通近くの応募)だったそうで、3月号からは企画の連載が決定したとのことです。(毎月2~3人)
防衛省公認の自衛官「婚活」企画、連載化へ-1人に30人の応募も」(市ヶ谷経済新聞09年12月14日)

自衛官との結婚を考えてみたいという方は、要チェックです。

11月号での企画に対して、一人で30通の応募を受け取った方も居たそうです。やっぱり女性自衛官の方でしょうか。
下世話な話ですが、やっぱり興味を惹かれますね。

2009年12月21日 (月)

22DDHは座礁、新戦車は擱座か?-防衛予算方針閣議決定

来年(22年)度の防衛予算に関して、基本的な方針が閣議決定されました。
平成22年度の防衛力整備等について
平成21年12月17日
安全保障会議決定 閣議決定

今回の閣議決定は、来年度以降を対象とする「防衛計画の大綱」及び「中期防」策定を先送りにするため、22年度の予算編成が方針がないまま策定されることを防止するという観点で決定されたものです。
実際の中身と言える別紙部分「平成22年度の防衛予算の編成の準拠となる方針」は、2ページと3行しかない貧弱なものです。

方針の構成は次のとおりです。
1 考慮すべき環境
2 基本的考え方
3 弾道ミサイル攻撃への対応
4 留意事項
この段階で言えるのは3項の「弾道ミサイル攻撃への対応」だけ、ずいぶんと特別な扱いになっていることです。

まず、ここから見てみると、パトリオット部隊をどうするか、という内容になっています。
新聞等でも報じられていますが、6個のナンバー高射群の内、既にPAC-3化されている部隊に対しては弾道弾対処能力を向上させるとなっており、具体的には機動展開資材の調達や定修用予備器材などが予想されます。
残りの3個高射群については、「現有機能の維持に必要なシステム改修」となっており、報じられていた全部隊のPAC-3化を断念し、アメリカのパトリオットがPAC-3化される中、PAC-2のまま残ることになるため、部品供給に支障が出ないよう改修するだけとなります。

さて、冒頭に戻って「考慮すべき環境」を見ると、「基本的には現大綱が示す認識を前提」とすることになっており、根本的な転換の必要はないとしています。
また、財政事情については、またしてもマニフェストを持ち出して新たな財源を生み出すために配慮が必要として、防衛費圧縮の必要性に言及するというスタイルです。

次に、「基本的考え方」を見てみると、環境が現大綱を前提なので当たり前な結論になりますが、「現大綱の考え方に基づき防衛力を整備」とされており、「現有装備の改修による有効利用を中心として防衛力整備を効率的に行うことを原則」として現状維持の方針を打ち出しています。
また、仕分けで見送りとなったように、実員増は行わないこととしています。

最後の「留意事項」では、調達コストの縮減を図る一方、中長期的な視点から我が国の防衛生産・技術基盤の在り方について検討するとしており、防衛調達基盤の空洞化には、一応の配慮をすることとなりました。
また、人員については仕分けで「見直しを行う」となったとおり、「隊員の階級・年齢構成等の在り方について検討する」となっています。
加えて、経費の取扱いとして「歳出額及び新規後年度負担額を極力抑制」とされ、ここでも予算削減を匂わせています。

全体を総括すると、防衛力としては現状維持を目指すものの、予算は削る、という内容です。
北澤防衛大臣の就任直後に、防衛費を削る考えはないなどと言うコメントもありましたが、結局は民主党政権誕生で予想されたとおり、新たな動きはないまま予算だけ削られるという形になりそうです。
こうなると、22DDHや新戦車の調達は、かなり厳しくなったと見るべきでしょう。

なんか、お約束の結末って感じです。

2009年12月20日 (日)

民主党は節度が足りない

民主党は節度が足りないというか、慎みがない。

今週、各所で非常に話題となった天皇特例会見問題に関連して、自民党の谷垣禎一総裁が「この政権は権力の行使について抑制の感覚を持っているのか。」と発言しています。
天皇特例会見に野党反発 首相「間違っていない」(朝日新聞09年12月14日)
特例会見問題については、他で鋭い指摘をしている方が多数いるので、私は言及を避けておきます。
ただ、多くの方が今回の問題で、やっと民主党の強権的な性格が認識できたようです。

また、ちょっと前にもこんなニュースもありました。
道路ほしいなら「民主応援を」副幹事長、陳情の知事らに」(朝日新聞09年11月26日)
そりゃ自民党も同じことは考えていたでしょうが、あからさまに口にするとは、常識というか、品性を疑わざるを得ません。

北澤防衛大臣なんかは、就任直後の記者会見で早速馬脚を現してました。
北澤防衛大臣、さっそく問題会見

今回の特例会見問題で、民主党の強権的な性格が顕となり、支持率がどこまで低下したのか興味が湧くところです。

2009年12月18日 (金)

自衛隊による殺人の根拠

先日、ブログのアクセス解析を見ていたら、「自衛隊 法的根拠 殺人」というワードで検索して来られた方がいらっしゃいました。

これについて、以前の記事「自衛隊の行動任務についての法的根拠」という記事で簡単に触れているのですが、気になる方がいらっしゃるようなので、もう少し詳しく書いてみます。

殺人については、刑法199条に「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と書かれており、自衛隊云々という記述はありませんし、自衛隊法にも刑法を適用除外するという記述はありません。

しかし、自衛隊による戦闘行為(による殺人)は罪にはなりません。
それは、刑法35条に「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」と規定されているからで、この条文によって違法性が阻却されることになりなるからです。

法解釈的には、法令による行為及び正当業務行為は違法性阻却事由に該当する、と言われます。

ただし、言うまでもないことかもしれませんが、自衛隊による殺人が無条件で正当化される訳ではありません。
自衛隊法第6章「自衛隊の行動」(76条~86条)に基づいて出動等を命じられた部隊でなければなりませんし、第7章「自衛隊の権限等」(第87条~96条の2)で与えられた権限を範囲でしか認められません。

そのため、これらを逸脱した行為であれば、例え戦闘行動によるものであっても、起訴され有罪となることもありえます。
自衛隊発足から現在まで、個人の行動は別として、部隊行動が(意図があっての行為として)殺人罪として罪に問われたことはありませんが、業務上過失致死に問われたケースはあります。
最近の例としては、海自特警隊養成課程入校者の死亡事件がありますし、古くは雫石事故を挙げる事ができます。

上記の様な事故ではなく、戦闘行動でも罪になる可能性がある例を挙げてみると、次のようなものが考えられます。
例1:自衛隊施設にテロ行為で損害を与えた犯人が基地外を逃走中に、背後から銃撃し死傷させた場合
例2:治安出動中の隊員が、手配中のテロリストを発見し、警告を与える余裕があるにも関わらず、即座に射撃し死傷させた場合
例3:防衛出動中の隊員が、降服の意思を示した敵兵を射撃し死傷させた場合

グレーなものを含め、例を挙げればキリがありませんが、自衛隊による殺人のライセンスには、ちゃんと制限がかかっています。

2009年12月16日 (水)

航空労組

古い話で申し訳ありませんが、今年の夏のある日、銀座の真ん中で怪しい方々を拝見しました。

Koukuurouso
ちょうど、街宣活動終了の所に出くわしたため、写真は撤収中のものです。
「憲法9条を守り安全な空を!」だそうです。
実施していたのは、航空労組連絡会。
イラン・イラク戦争の最中、テヘランの在留邦人の危機に際して、チャーター機の運行に反対した方々ですね。(この時、トルコが国営のトルコ航空を使って日本人の輸送をしてくれた話は有名です。)

アジは終わりの挨拶しか聞けませんでしたが、配っていたビラはゲットしました。
Img_4728
片面は、「憲法9条を守って平和な社会を」というタイトルで、内容はステロタイプな主張なので省略します。
推して知るべしです。

Img_4725
その裏はちょっと注目です。
「テロを招く民間航空の軍事利用反対」とあります。
小項目が3点
「迷彩服で自衛隊が民間機に搭乗」
「軍事利用の既成事実を重ねる防衛省」
「平和あっての航空産業」

まず最初の「迷彩服で自衛隊が民間機に搭乗」ですが、イラク派遣の帰国時や海賊対処のためジプチに移動する際などに、自衛隊員の輸送のため、日本航空がチャーター便を飛ばせたことが書かれています。そしてその際に、隊員が迷彩服を着用していたことを問題視しています。
問題の部分を転載すると次の通りです。
「自衛隊が迷彩服を着用して搭乗すると言うのは、まさしく民間機の軍事利用に他なりません。民間機の軍事利用は、国際民間航空条約に違反し、安全運行に関する条約の保護を受けられず、テロ攻撃などの危険性にさらされます。」
テロリストが条約に縛られる訳ないだろ!、と言いたいところですが、それは置いておいて、この主張が誤っている点を書いておきます。
国際民間航空条約(通称シカゴ条約、この条約に基づき国際民間航空機関ICAOが設置されている。)には、第35条(貨物の制限)に軍需品又は軍用器材を運送してはならないと記載されています。この点で、確かに民間機の軍事利用は規制されています。
しかし、条約のどこにも軍人を運んではいけないとは書かれていません。

迷彩服を着ようが制服を着ようが、自衛官が民間機に搭乗してもなんら問題はないのです。
それをあたかも条約違反であるかのように、レトリックを弄して主張しています。
自衛官(軍人)の輸送は、条約で言う民間機の軍事利用ではありませんが、さもそれに該当するかのように思わせる文章として書いているのです。

それに、自衛官が搭乗していれば、たしかにテロリストが狙う動機は高まるかもしれませんが、テロが行われる可能性はむしろ低下するでしょう。
今や陸自は言うに及ばす、航空自衛官でも全員が徒手格闘という自衛隊流の格闘術を訓練しています。迷彩服がぞろぞろ乗り込んでいたら、ハイジャックを計画しているテロリストが搭乗していても、計画を断念するでしょう。

次の「軍事利用の既成事実を重ねる防衛省」には、「民間機を利用する自衛隊の一連の行動は、民間航空の軍事利用の既成事実を積み上げ、なし崩しに拡大しようとする意図が見えます。」と書かれています。
自衛隊が民間機を利用する理由は、自前で輸送機を飛ばすより安いからですが、そこに迷彩服や制服で搭乗する理由には、確かに自衛隊が活動していることを国民に知らしめたいという考えはあります。
私は、迷彩服で搭乗したことはありませんが、制服での搭乗は何度もしました。その際も、やはり制服を見せることで広報の一環にしようという指揮官の意図はありました。
正直な所を言うと、制服や迷彩服など、一目で自衛官とわかる格好だと、いつも人目を気にせねばならず、隊員とすると結構キツイものがあります。

最後の「平和あっての航空産業」には、憲法9条の改正により、日本の民間機もテロの対象となりかねないと書かれています。
一般の搭乗者の不安をかき立て、9条護持の方向に持って行きたいということは容易に見て取れますが、9条を維持すれば民間機がテロの対象にならずに済むなぞ、テロや防衛問題に詳しくなくとも分かる話です。
飛躍した論理にどれだけの人が賛同するというのでしょうか。

労組は何処も同じような考えなのかもしれませんが、こんな考えの方が航空産業界に巣食っているようでは、やはり在外邦人の輸送は自衛隊にさせるつもりでないとまずそうです。

2009年12月14日 (月)

子ネタ3題

ちょっとした子ネタ3連発です。

岡田外相、目立つやつれぶり
普天間問題で連立与党とアメリカとの板ばさみになった岡田外相が大分お疲れのようです。
まあ、岡田外相自身嘉手納への統合案なんてアメリカが飲むはずもない案を率先して言ってたくらいなので、自業自得でしょう。

続いて、タイヤキではなく、ブルーインパルス焼きが登場したとのニュース
日持ちするようなものでは無さそうなので、お取り寄せという訳にはいかなそうです。

最後に、観艦式フォトコンテストの結果が海自HPで公開されてます。
フォトコンテスト優秀作品
海自は、こういった広報がウマイですね。

2009年12月12日 (土)

SSとDC

もう1月号が発売されようという所なので、既に半年も前の号になりますが、軍事研究誌7月号に、ミリタリーライターの芦川淳氏が、「日本防空の最前線、SSとDC」と題して、航空警戒管制組織についてのレポートを書かれています。

その重要さに反比例して、あまり注目されない警戒管制組織を取り上げている貴重な記事です。

実際に、沖縄に所在する南西航空警戒管制隊の第54警戒隊(久米島SS)と南西防空管制群(那覇DC)を取材して書かれているようですが、どういう訳か結構間違いも多いようなので、こちらに書いておきます。

まず、P181にAOCC(Air Operation Control Center)の事を航空総隊作戦指揮所と書いていますが、これは作戦管制所の間違いです。ちなみに、航空総隊作戦指揮所はCOC(Combat Operation Center)の方です。
また、AOCCが航空総隊司令部に置かれるというのも間違いで、AOCCは航空総隊の直轄部隊である防空指揮群に置かれており、航空総隊司令部に置かれるのはCOCです。

その後の指揮統制関係の記述を見てもSOCとDCを混同しているように思えるところもあり、どうも、COCとAOCCを混同されているようです。指揮(command)と統制(control)を弁別されていないのでしょう。
もっともSOCとDCが切っても切れない関係でSOC/DCと呼ばれるように、COCとAOCCも切り離すことは出来ません。特に弾道ミサイル防衛ではそうです。

次に、P187には、「南西警戒管制団の警戒管制群が・・・」という記述があるのですが、他の航空方面隊では航空警戒管制団ですが、南混団だけは、警戒管制団ではなく南西航空警戒管制隊です。また警戒管制群ではなく、防空管制群です。直接取材したはずなのに、なんで間違うんでしょうか。

他にもありましたが、重箱の隅になるので、間違いの指摘はこのへんで止めておきます。

最後に、レーダーやBADGEのJADGEへの換装に伴って、SSやDCの様子が変化していることが書かれていますが、その背景を書いておきます。
従来は、薄暗い中でボゥと浮き上がるコンソールや導光板方式でグリペンで書いた部分が浮かび上がって見えるプロッターで仕事をしていたものが、明るいオフィスのような状態に変わって来ています。
その背景は、COTS品を導入しているという事があるのですが、COTS品でも用が足りるようになった大きな理由は、画面のカラー化です。
今時の方はカラーでないモニターを見たことがない方も多いと思いますが、モノクロだと広範囲に及ぶ膨大な情報を直感的に理解するのは大変です。
そのため、BADGEのコンソールは、シンボルや線の輝度をアナログ的に変化させることができる特殊なものでした。
カラー化により表示できる情報量が飛躍的に上がったので、画面の精度などがCOTS品でも良くなったと言えるのです。
でも、職人技と言える逆文字(プロッターは裏面から書くため、鏡像の文字を書く必要性があった。)を書ける人が減るのは寂しい気もします。

2009年12月10日 (木)

ランウェイ一本儲けた?

防衛省は、ランウェイ一本分、まるまる儲けたことになるかもしれません。
茨城空港、売店なしで開港? 1日1往復「赤字必至」」(朝日新聞09年12月1日)
茨城空港:航空自衛隊百里飛行場を民間共用化するもので、国が設置・管理する空港です。(by茨城空港HP

来年3月11日に開港する茨城空港のターミナルビルに飲食店も売店もない状態となる可能性が出てきたと報じられています。
というのも定期便の就航が1日1往復だけとなる見込みで、テナントが不採算になるためです。
同記事よると「1999年に示された国の需要予測では、同空港には国内4路線が入り、年約81万人が利用するはずだった。しかし、今のところ国内線はゼロ。唯一決まっているアシアナ航空・ソウル便が1日1往復しても、想定される利用者は年7万7千人と当初予測の10分の1にも満たない。 」とのことで、報道ではそこまで言及されていないものの、テナントはもちろんのこと、茨城空港自体も赤字必至です。

国土交通省による事業の妥当性などは置いておくとして、もし赤字が続けば、事業継続は困難になるでしょう。JALが傾いていることなどもあり、とても黒字化するとは思えません。
なにせ茨城空港の場所は、空自の戦闘航空団配備基地として、最も首都に近いながら、最も人気がない陸の孤島こと百里基地です。(百里の方ゴメンナサイ)

もし、茨城空港事業が継続困難となれば、そのために建設された新たなランウェイが防衛省に移管されることは間違いなく、防衛省は労せずしてランウェイを1本儲けたことになります。

左側が新滑走路(茨城空港HPより)
Fromair3

空自の基地は、通常ランウェイが損傷した場合などにタクシーウェイから離着陸できるよう作られていますが、百里は用地取得の問題から、タクシーが屈曲しており、それが出来ませんでした。(上記写真の右側に屈曲部が見える)
つまり、1本しかないランウェイが閉鎖されれば、それだけで基地機能を失ってしまうという抗たん性が低い状態だったのですが、新滑走路が滑走路長2400mの既存滑走路と同規模(2400m)で、しかも中型旅客機の離着陸が出来るように耐加重の高い滑走路が平行滑走路として整備されたため、基地の抗たん性は一気に高まりました。
もちろん共用空港のままでも、抗たん性が高まったことは間違いないですが、1日1回とは言えアシアナ航空が来ると保全措置が面倒です。(来航に合せ、空自の能力が分からないよう、いろいろと措置が必要です。)

それに、上で言及したように、新滑走路は中型旅客機としてボーイング767の離着陸が可能(国交省と絶妙な調整をしたようです)です。そして、既存滑走路も、新滑走路完成後かさ上げ工事が実施され、767が離着陸可能となっています。
つまり、茨城空港が出来ることで、百里基地はE-767AWACSやKC-767空中給油機が運用可能になった訳です。
茨城空港事業が破綻すれば、これらの運用に適したエプロンや関連施設も自衛隊の手に入ります。

新エプロンと建設中のターミナルビル(茨城空港HPより)
Fromair2
ターミナル地区平面図(茨城空港HPより)
Terminalarea

また、付随してアクセスの改善も図られたため、陸の孤島も少し改善されました。

事業仕分けなど、民主党政権は事業の経済性を重視する政策を採ってます。茨城空港は、自走式による航空機運用などローコストキャリア(低コスト航空会社)の誘致を図り、就航便数を確保しようと計画していますが、今後就航便数が伸びなければ、事業として赤字となることは確実です。
事業継続の判断をしてもらえれば、防衛省にとっては儲けになります。
早い段階で判断して欲しいものです。

海自ヘリ乗員殉職

残念ながら、前回の記事で書いた海自ヘリ不時着水事故で、救出された機長以外の2名は、殉職されたもようです。

不時着海自ヘリ、副操縦士の遺体収容」(読売新聞09年12月10日)

ご冥福をお祈りします。

2009年12月 8日 (火)

海自ヘリ不時着水

単なる偶然のハズですが、つい先日自衛隊の事故が多いと書いた矢先、海自ヘリが不時着水してしまったようです。
海自ヘリ不時着、2人不明 長崎市沖、訓練飛行中に」(中日新聞09年12月8日)

現段階の報道を見る限り、不時着水していたSH-60は発見時に浮いていたということなので、エマージェンシーフロートが作動して浮いていたようです。
海自は、こうした不時着水に備えて、ディッチングトレーナーという水没する機体から脱出する訓練を行う装置を持ってます。大きなプールに、機体を模した訓練装置が様々な姿勢変化をしながら沈むというものです。
搭乗していた方も、当然にこれによる訓練を受けていたはずです。脱出だけでも無事に出来ていれば、生存している可能性もあります。

ただし、いくら九州とは言え、この時期では水温が低く生存可能時間は限られるため、行方不明の方の一刻も早い発見が望まれます。

2009年12月 7日 (月)

事業仕分け後半 その3

最後なので、どんどん行きます。

最初に、防衛施設の用地借料の水準
行政刷新会議の資料
要は自衛隊や米軍用地として借り上げている借地料が高すぎるのではないか、特に、特別な配慮がされている沖縄は高すぎるのではないか、というものです。
確かに高すぎます。
しかし、反戦一坪地主(実際には1㎡以下の地主もいる)などが多数いるなど、反自衛隊・反米軍感情の強い沖縄では仕方の無いことです。自衛隊・米軍用地となった経緯の問題もあるので、一筋縄では行きません。それとも、民主党政権が強制的に接収でもしてくれるんでしょうか。

結果は、案の定というか何というか、見直しを行わないというものでした。特段目を付けられた沖縄の更新協力費についても予算要求通りとなりました。
評価コメント及び評価結果
仕分け人のコメントの多くは削減すべきというものでしたが、結果は据え置きです。
普天間問題など、地元の感情を重視する民主党の意向が反映された結果です。そんな政治的な判断をするくらいなら最初から仕分けにかけなければ良いものを、と思います。

次は、自衛官の若年齢化による人件費の効率化(中長期の取組み)、退職予定自衛官就職援護業務費補助金(防衛省)
行政刷新会議の資料
タイトルを見ても何の事業か分かり難いですが、要は年齢別に所属人員数のグラフを書いた場合、通常の軍隊ではピラミッド状になることに対して、自衛隊の場合、上が大きすぎることを改善しようというものです。
これは昔から言われている問題点なのですが、やっと本腰を入れるつもりになったのかもしれません。
ただし、これは日本の社会習慣(早期退職をさせると再就職が難しい)とも関わる問題であり、一筋縄では行かない問題です。

この事業は、もともと検討中の施策であり、22年度予算においても予算要求なしという事業なのですが、なんでこれが仕分けにかけられたのか意味不明です。

それでも一応評価はされました。
評価コメント及び評価結果
自衛隊の若年齢化による人件費の効率化(中長期的取り組み)については見直しを行う、退職予定自衛官就職援護業務費補助金については予算要求の縮減となっています。
もともと予算要求のない事業なので、あれこれ言っても仕方ないでしょう。
ある仕分け人のコメントに「大綱の見直しが必要(仕分けに合わない)。」というのがありましたが、その通りでしょう。

続いて、備品、被服、銃器類・弾薬のコスト(防衛省)
行政刷新会議の資料
これはあまり説明の必要がないでしょう。

結果は次の通りです。
評価コメント及び評価結果
備品:予算要求の縮減
被服:予算要求の縮減
銃器類・弾薬:見直しを行う
備品と被服については、確かに調達の工夫をもう少し進めるべきで、額にもよりますが仕方がないとも言えると思います。確かに、制服が国産でなければならない理由は見当たらないです。(迷彩服など戦闘に使うものはどうかと思いますが)
一方、銃器類・弾薬については、輸入調達の導入・拡大をすべきという意見が大勢だったようです。
国産を廃止するかどうかは仕分け人の中でも意見が分かれたようですが、コレを言うなら武器禁輸3原則の運用見直してからにして欲しいと思います。そうしないと、豊和工業に対してフェアではないでしょう。
輸入推進の人は、何処でも作れるものは国産にする必要がないとお考えなのでしょうが、であるなら日本が禁輸をする理由もありません。

次は、装備品の調達(22年度新規後年度負担)、装備品の選定段階でのコスト抑制(中長期の取組み)(防衛省)
行政刷新会議の資料
新戦車も22DDHもPAC-3も、その他なんでもかんでもまとめて議論しようというものです。
もうこの時点で無茶ですし、結論も分かったようなものです。

評価コメント及び評価結果
装備品の調達(22年度新規後年度負担)については、「政治の判断を待つ」でした。
大綱の整備を待つべき、年末の閣議決定を待って修正を待つ、というのが理由のようです。
装備品の選定段階でのコスト抑制(中長期の取り組み)については、「見直しを行う」となってます。とにかく削れというだけですね。

次が、基地周辺対策(1)(住宅防音)
行政刷新会議の資料
基地周辺住民対策です。特にコメントはありません。
評価コメント及び評価結果
これこそ、費用の縮減とかになっていいはずですが、予算要求通りでした。民主党の票におもねる姿勢は明確です。

次は、基地周辺対策(2)(特定防衛施設周辺整備調整交付金、民生安定助成(一般助成))
行政刷新会議の資料
こちらも特にコメントなし。
評価コメント及び評価結果
特定防衛施設周辺整備調整交付金についても、民生安定一般助成についても「見直しを行う」というものでしたが、減額ということではなく、使い方を自治体に任せるというものです。

最後は、 駐留軍等労働者の給与水準
行政刷新会議の資料
いわゆる思いやり予算ですが、内容としては米軍基地内で働く日本人の給与を日本側が支払うというものです。
彼らの給与水準がどうなのかについては、正直コメントするほどの知識はありません。ですが、オイシイという話が聞こえてくるわけでもありませんから、特段高いものではないと思います。
それでも、勤務地の職種毎の民間賃金を細かく反映して、給与水準を低く抑えるべきではないのか、というのが仕分けに入れられた理由のようです。

評価の結果としては、「見直しを行う」となっています。
評価コメント及び評価結果
地域の同職種とのバランスが必要とされているようですが、方向としては削減になるに決っていますから、ストが起きたり、米軍が望む水準の仕事がされなければ、日米間の問題となるでしょう。
普天間問題と並ぶほどにはならないかもしれませんが、日米間の懸案にならないことを望みます。

これで、防衛省関連案件は全てです。
全般を通してみると、結果は予想通り厳しいものだったと言えるでしょう。
感想としては、かなり難しい問題まで、あっけなく結論が出されており、そのおざなりさ加減に唖然とした、という所です。
それにしても、このいい加減な仕分けの結果として、民主党の支持率が上がったというのが、なんだかガックリさせられる話でした。

2009年12月 5日 (土)

自衛隊の事故多発

ここの所、自衛隊の事故が多くなってます。

まず、千歳のF-15の部品脱落
F15の部品 日本海上に落下」(産経新聞09年11月26日)

続いて、築城航空際でのF-15部品脱落
航空祭で空自F15尾翼落下 福岡・築城基地」(産経新聞09年11月29日)
脱落の瞬間の映像


もう一件、部品脱落事故
訓練中の海自ヘリ、重さ3キロの窓落下」(読売新聞09年12月3日)

さらに、護衛艦同士の接触事故
訓練中の海自護衛艦2隻が接触 高知・足摺岬沖」(朝日新聞09年12月4日)

加えて、小松でのF-15ランウェイ上かく坐
石川・小松空港で滑走路4時間使えず 空自機が立ち往生」(朝日新聞09年12月4日)
F15が着陸トラブル、右主脚に不具合か 小松空港は一時閉鎖」(産経新聞09年12月4日)

何れも死傷者の発生など、大きな事故にはなっていません。しかし、まかり間違えば何れも大事故であってもおかしくない事故です。
単に報道されるケースが増えただけということもあるかもしれませんが、10日あまりでこれだけの事故が頻発するのは、ちょっと聞いたことがないほどの頻度です。

ハインリッヒの法則を持ち出すまでも無く、こういった事故が多いということは、大事故の可能性も高い訳ですから、自衛隊にはもう少ししっかりしてもらわないといけないと言えます。

しかし、事業仕分けで予算計上が見送られた実員増の要求があるとおり、背景には実員の不足があることもあります。
まさか、仕分けで予算計上見送りとなったからアピールのために事故を作為しているなんてことはないと思いますが・・・・

2009年12月 4日 (金)

事業仕分け後半 その2

後半その2は、国際平和協力センターからです。

結論から書くと、なんと廃止です。
【事業仕分け】防衛省の「国際平和協力センター」は廃止 刷新会議」(産経新聞09年11月24日)
PKO施設「廃止」、官庁営繕費削減…仕分け再開」(読売新聞09年11月24日)

これは、典型的なハコモノ事業として目を付けられた結果でした。

事業の内容を見てみると、国際平和協力活動等に携わる要員の教育施設の建設です。
行政刷新会議の資料
統幕学校や各幕幹部学校が所在する目黒地区に地上7階地下1階建ての施設を建設する事業なのですが、20年から事業は開始されており、既に3.2億円が投入されています。
この事業は、PKOだけでなく、対テロやイラク特措法、加えて友愛ボートにも必要な事業であるはずなのですが、上記各学校や目黒地区以外の既存施設でなんとかすべきということだそうです。
しかし、資料にもある各学校教場の使用率は高く、既存の利用では無理があると思われるのですが・・・、ハコモノ=悪という図式に押し切られた形のようです。
評価コメント及び評価結果

実に残念な結果なのですが、よく見ると防衛省としても反省すべき点はあるように思います。
施設は地上7階地下1階建てなのですが、1階は全てエントランスフロア、2階と地下1階の一部は展示フロアになる予定のようです。
エントランスは言うに及ばず、自由に出入りの出来ない目黒地区内に展示フロアが必要なのかと言われると、疑問と言わざるを得ません。要は、確かに1/3ほどは無駄に見えるのです。
防衛省も、もう少しコスト意識が必要なことは確かでしょう。

続いて、自衛官の実員増要求

これは早い話、定員と実員の乖離を是正し、充足率高めよう(それでも100%じゃない)というものです。
行政刷新会議の資料
資料を見ると、次の3点からこの事業の必要性が語られています。
1 多様化している脅威は予測困難性が高く、緊急募集等では対応できない。
2 本年4月の北朝鮮によるミサイル発射事案に鑑み高充足が必要(言い換えれば、4月は苦労したということでしょう。)
3 任務の拡大によって種々の問題が発生(事故増加の背景に充足率の低さがあるということか)

任務の拡大などで極めて必要性が高くなっている事業なのですが、これほど通すことが難しい事業も少ないです。
なにせ、今まで要求してこなかった以上、定員を充足しなくても良いと認めて来てしまったという事実があるからです。
来年度は、総人件費改革改革による純減が見込まれており、これによる影響が我慢の限界を超えたとも言えるのでしょうが、ロジックの構築が難しいことは確かです。

実際、結果は「来年度の予算計上は見送り」でした。仕分け人のコメント見ると、防衛計画の大綱や中期防が宙ぶらりんなことも影響しているようです。
評価コメント及び評価結果
しかしこの事業は、22年度は通らなくとも、継続的にしつこく要求すべき事業だと思います。実際、充足率の低さには苦労させられましたから。

なお、これに関して、要注意な事があります。それは、「後方部隊の民間委託の努力不足」などというコメントがあることです。
アメリカが後方をアウトソーシングしていることを見て言っているのかもしれませんが、遠い他国を戦場とし、後方部隊の多くが安全な地域にいるアメリカの真似を、全土が戦場となる可能性のある日本がしたら、必ず痛い目を見ます。

2009年12月 1日 (火)

事業仕分け後半 その1

事業仕分け後半は、防衛省案件が目白押しでした。

一応整理してみます。
全17事業と報じられていましたが、細部で複数項目に分けているようで、大項目としては残り10項目です。
24日・自衛隊の広報・募集事業
   ・国際平和協力センター
26日・自衛官の実員増要求
   ・防衛施設の用地借料の水準
   ・自衛官の若年齢化による人件費の
    効率化(中長期の取組み)、
    退職予定自衛官就職援護業務費補助金
   ・備品、被服、銃器類・弾薬のコスト
   ・装備品の調達(22年度新規後年度負担)、
    装備品の選定段階でのコスト抑制(中長期の取組み)
   ・基地周辺対策①(住宅防音)
   ・基地周辺対策②(特定防衛施設周辺整備調整交付金、
    民生安定助成(一般助成))
   ・駐留軍等労働者の給与水準

全部一気に書くと長くなりますので、何回かに分けて記事にします。

まず、最初は「自衛隊の広報・募集事業」から。
行政刷新会議の資料
これは、一つにまとめられていますが、広報事業と募集事業の2事業に分かれます。
広報事業は、航空自衛隊浜松広報館(エアーパーク)などの大規模広報施設による広報の他、公式HPの開設や映画などへの協力など様々な広報活動を含め、一つの事業として取り扱われています。

その中でも、仕分け前日には蓮舫参院議員と田嶋要衆院議員が陸自広報センターを視察するなど、大規模広報施設の運営方法が槍玉に上げられました。
「仕分けチーム」蓮舫氏、陸自広報センター視察」(読売新聞09年11月23日)
「広報」の趣旨から無料であるべきと主張する防衛省に対して、要は金を徴収することで費用を削減しろと言う訳です。

そして、評価結果としても入場料の徴収を含め民間委託し、予算を削減しろというものになりました。
評価コメント及び評価結果
けしからん、と言うのは簡単ですが、確かに一理あるとも思えます。音楽祭のチケットなどは倍率7~8倍というプレミアムチケット化しているので、多少のお金を取っても人が集まらないということはないと思えますし、エアパークなども200円程度の気にならない金額であれば、来場者数にはあまり影響はないのではないかと思います。個人的には、現役時から音楽祭は金を取れば良いのにと思ってましたし、広報施設は駐車料だけでも徴収すれば混雑も緩和されて周辺の方にも喜ばれるのではないか、などとも思ってます。

仕分け人の中には、「税投入なしに運営」(それじゃ広報じゃなく、テーマパークの経営だろ)などと言う無茶な意見もありましたが、予算全体としても厳しいという状況がありますから、実際の予算が大幅に削られるのでなければ致し方ないかな、と思います。

もう一方の募集事業は、隊員リクルートのための募集広報です。
任務が拡大したり、対テロなどのため少人数での行動が想定されることが多くなって来たため、従来以上に少しでも優秀な隊員をリクルートする必要性が高まっています。そのため、この事業の必要性も高くなっており、なんで仕分けにかけられるのか、という思いもあるのですが、募集コールセンター(地本があるだろ)や以前の記事「自衛隊広報施設 渋谷 「自衛館」」で取り上げた募集情報等発信ステーション追加開設など、私が見てもコストパフォーマンスに疑問符の付く内容が目を付けられたようです。

そして結果はやはり予算要求の縮減(効果のある事業に集中)となっています。
評価コメント及び評価結果
結果の中でも、「大前提として必要な事業である。国防を支える優秀な人材を確保することは重要である。」とされており、事業自体の重要性は理解されているので、実際の予算がとんでもない数字でなければ、適切な助言として受け取るべきじゃないかと思います。

ただし、仕分け人の中には「景気の悪い時期でもあり、求職数は上がるはずであり、採用者1人当たりコストを考えて見直し削減は可能ではないか。」とか「現時点は就職が厳しい時期であるから逆に費用を削るべきである。」といった見識が低いと思われるコメントがあったので、記憶に留めて置くべきでしょう。(景気がよければ何倍もコストをかけてイイのか?)

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