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2009年11月23日 (月)

事業仕分け前半

事業仕分け前半が終了し、来週から後半が始まる予定ですが、防衛関連では「情報システム借料、開発・改修経費」としてJADGE関連予算などが俎上に上がりました。

事業仕分けは、1事業につきたった1時間の審議しかされず、そもそもなぜその事業が仕分に掛けられるのか不明なまま始まったため、異論や混乱が多々みられました。
クローズアップ2009:事業仕分け、来週から第2弾 「横串」で削減上積み」(毎日新聞09年11月20日)
防衛関連部分のみ上記リンクより転載
********************
 仕分け対象に、在日米軍の一部費用を日本が肩代わりする「思いやり予算」のうちの「駐留米軍の労働者の給与」(約1233億円)など17事業が入った防衛省。北沢俊美防衛相は「(思いやり予算は)防衛省と米軍との話」と不快感を示す。

 17日の仕分けでは、同省の指揮統制システムリース料が議論され、「2~3割の予算縮減」と判定された。審議終了後、制服姿の1等陸佐が目に涙を浮かべながら「これが国民の命にどれくらい影響するのか」と抗議した。

 防衛省側は「安全保障」「国防機密」の重要性を説くだけでは、仕分け人の追及をしのげないことも学ぶ。24日からの残る16事業について「どんな質問が飛んでくるか予想できず、想定問答集だけではカバーできない」(幹部)と判断。担当課員をインターネット中継に張り付け、携帯電話で会場の説明者に助言する。
********************

さて、実際に何が審議されたかについてですが、報道では「、領空侵犯の監視やミサイル防衛(MD)を運用する新自動警戒管制システム(JADGE)にかかるリース料など853億円を要求。仕分け人はリース料の一般競争入札時に1者応札が多い点を挙げて「コスト意識に欠けている」と批判。20~30%程度の予算削減と判定した。」などと報じられています。
JADGE関連を20~30%も削れとは、なんとけしからんと思いました。
関連のブログとしては、北王子機関様も「行政刷新会議事業仕分:空自新自動警戒管制システム関連費用20~30%削減要求」として記事を書かれています。

しかし、行政刷新会議のHPを見ると、ことさらJADGEが注目されているものの、「情報システム借料、開発・改修経費」にはその他のシステムも多く含まれているようです。
行政刷新会議公開の資料
具体的には航空自衛隊指揮システム、自動警戒管制システム(JADGEのこと)、陸上自衛隊補給管理システムなどが含まれるようで、ハード的にCOTS品が多い最近のシステムのリース料等が審議されたようです。

ということは、素人でもある程度理解できる事業を俎上に載せたというように思えます。
資料を見ても、防衛上の重要性などは全くといって審議の内容となっていないようで、契約の形態などが問題になっているのみです。
これらを見るにつけ、保全の必要性などから現在の契約方法になっているとは言えるものの、防衛省としても、もう少し努力すべきだったのかもしれないとは思えます。

しかし、審議結果としては20~30%もの予算縮減を図れということになっており、その数値については無茶だろと思われます。
評価コメント及び評価結果
私は、この事業仕分けの成果がどのように反映されるのかまでは理解していませんが、実際に20~30%減でしか予算措置されないとしたら、来年度は大変なことになりそうです。
来週からの仕分け後半には、残り16事業が審議されるはずですが、また無茶な結果にならないか不安です。

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防衛政策」カテゴリの記事

コメント

リース料に関して言えば「防秘部分」「仕様」を完全公開し、一般入札をもって契約すれば安くなるんじゃないの?という、いつも主計官から出てくる話です。
いつもならば、何時も通りの受け答えでお仕舞いになるのですが、今度は政治主導で、人の話を聞かずに一方的に断じてきただけのこと。

個人的には、誰がその意見を出し、誰がそれを採用し、誰が最終的な責任を持って実施するのか、を永年保存の文書にして残して欲しいと思っていますけど。
あの無責任体制では絶対に無理ですけどね。

あ。念のために言うと、単なる一社随契ではありません。正確には公募による審査を経た会社との契約になります。まずは、契約可能相手方に必要とする資格、技術力を提示した公募を打ち、その後契約希望相手が提出する資格(全省庁統一資格も含む)、技術力を示す資料を基に官審査を行い、審査をクリアした契約希望相手方(1社とは限らない)と指名入札なり(複数社の場合)、契約(詳細な見積書の提出及び、その査定後)を行うという流れを経ています。要するに「公募は悪」と言ってる訳です。資格審査は不当排除だと言ってるわけです。ただでさえ契約に関するオペレーション効率が低い(主観ですと4倍以上悪くなっています)事を強いた上にそれはなあ、というやりきれないものがそこにはありますよ。

今回の事業仕分けは、防衛に限らず非常に単純な経済効率が論点になって
いるように思います。
防衛って、経済効率で判断できるものでしょうか? 

経済効率だけでいったら、民間委託・民営化が結論でしょうね。
(民間でも、公募は随契よりコストがかかるので、協力会で囲い込みをしますが)
どっかに書いてましたが、国家論までいきつく話ですよね。

効率を無視してでもやるべき任務や保持すべきものがあるから、税金でやってるわけで。
それに対して効率が悪いとかは、やはり本末転倒でしょう。
税金も、再配分のために払うわけじゃないですし。

さむざむ。様
公募に対して、1社しか応札していないとすれば、その程度の旨みしかない契約だったのでしょうし、その意味では妥当な価格のはずですよね。
単純な一般入札では必要なクオリティが保たれない可能性があるので、公募は必要な措置のはずです。

ただ、防衛省の仕様が細かすぎ、それによって応札の手間がかかり過ぎているという側面もあるのではないでしょうか。某システムの立ち上げに関係したこともありますが、細かすぎないか、と感じたこともあります。
とは言え、私自身も不具合がでると追求をしていた方ですが・・・

仰られるとおり、今回の仕分けについて、責任を明確化すべきと思います。
来年度になって、システムのリース料が払えず重要事項の伝達が遅れました、なんて事になりかねませんから。

やん 様
防衛にも経済効率は必要ですが、必要なクオリティを維持し、その上で初めて経済効率が論じられるべきじゃないでしょうか。
時々ダウンしたり、伝達されたはずのデータが飛んでいる指揮システムなんて使い物になりませんから。

否丸 様
公募は随契よりコスト高なんですか。
確かに、応札する側からすれば、必ず契約できる随契より、公募の方が面倒ですですよね。

今回の件は、ホントに効率だけで論じられている感じがしますが、これを仕分けに含めるべきと言い出した?入れ知恵した?のが誰なのか気になります。

数多久遠様
防衛で経済効率は、二の次ですよネ。 ちゃんとした機能を持った装備品が作れて、
なおかつ民間企業が適正な利益(これが一番難しいですが。。)を得られて、初めて
効率を論じることができると思います。

>公募は随契よりコスト高なんですか。
公募は、募集する側にもかなりのコスト高となります。
まず、応募会社が応札事業にふさわしいか、受注した場合に完遂できるか、その方面の選別資料に多くを割かなければなりません。商務とか法務とかが主となりますので、会社・部署内で専門をあつかってる技術者には大変です。
次に技術力の判定ですが、なにを基準にすべきか。専門技術を前面に出すと公募になりません。判定方法も公平に数値化・可視化するとなると、ますます専門技術からは遠ざかります。

さむざむさんが書かれておられる審査もこのあたりの事だと思います。
特に技術力の評価基準と可視化方法は、大変だと存じます。

専門業者だけでしたら、専門用語ばりばりの特記仕様書・要求書だけで問題ないです。
随契だったら、口頭指示とポンチ絵だけで、業者側に詳細仕様書をつくらせることが普通でしょう。

公募だと、その事業独自の話・入札にたどりつくまでのコスト(人・時間)が大きいのです。(このコストは応募側の価格と募集側の経費に反映されます)
そして、目当ての業者が書類審査で落ちちゃうのがしばしばです(笑


>入れ知恵した?のが誰なのか気になります。
事業仕分けは、「国家でやる事業かどうか?」を争点とすべきですよね。
入れ知恵したのは誰かわかりませんが、敵も然る者。今度の政権は、論題のすり替えとか印象操作とか、そっち方面には長けてるみたいですねぇ。

なるほど、そうですね。
随契は癒着などが問題にされるから公募になっているんでしょうが、かかっている手間として自衛官の人件費も論じた方がよさそうな気がしてきました。
民間だとその分も価格に反映されるのでしょうが、防衛省の場合関係ないですし。

確かにコスト意識は必要ですが、仕分け人には国家の舵取りに携わっているという認識は薄いように感じます。
印象操作というか、民主党としての票稼ぎには意識があるようですが・・・

最近の面白い監査結果の例としては「切手、印紙を一般入札を経て購入しないのは何故だ?」「(汎用機材のレンタルで)何故台数を小分けにして一般入札しなかった?」「(特殊計測器の購入で)一般入札で1社入札・落札はけしからん。不当排除を行っているのではないか?何故スペックを落としたものにしなかったのか?」とか、何処ぞからの指示もあるのでしょうが、結構無茶苦茶な事を言ってきてますよ。官が動く分にはタダなんだから、オペレーション効率を下げてでもなんとかしろ。リスクは要求元が負うものだ。という感じがありありです。これは3,4年前から顕著になってきました。今じゃ、少額随契ですら3社見積もりが必要と言い出していますし、工事に至っても少額でも3社から見積もりを貰う必要が出てきています。正直、見積もり作るのにも人が動いてる=金が掛かってるのに、利益の少ない小さな工事、しかも落札できるとは限らないものにすら、何とかお願いして見積もって貰っている状態にココロが痛いです。事実、最近では○防お断りな話が増えてきました。見積もり出させるのはタダだと思っている人が多いんじゃないかな?だから、こうなってるんじゃないかな?と正直思うときがあります。

そんな感じで、最近は、、、なんていうか、血の通わない、単なる契約行為、という感じになりつつありますね。意欲のある小さな会社が参入する機会を逆に失ってるような気がします。物品販売のような比較的見積もり書の制作コストが安いものしか参入機会がなくなってきています。

まぁ、全体的な話はこの位にしてと。公募はリスク「も」高すぎて困ります。何処が入ってくるか、何が入ってくるか分かりませんから。物買いでもズバリ○○と社名と製品名を特定して購入する事すら難しくなりました。○○もしくはその相当品(同等品はアウト)にし、スペックについても大雑把なものしか書けません。本当に必要なスペックを列記すると、不当排除と言われ、指導されます。例えば経年変化試験では同じセンサー、同じ増幅器、、といったように同一なものを使用して10年以上の経年変化試験をする必要がありますが、今では○○相当品としか書けないため、ある日突然今まで使用したことがない、特性がよく分からないものが納品される恐れが常に付きまといます。そして、それにより某かのトラブルが生じた場合、要求者にその全責任が掛かる。という状況で仕事をし続けるしかない。という状況なんです。リアルでロシアンルーレットをやってる感じがありますね:D

さむざむ 様、

同等品がだめで相当品とは、それはひどい。(英語にすると、なんでもいいよになっちゃいますね)その会社でしか作っていない製品、その製品でないと実現出来ない機能とかは、あたりまえに存在するのですが。
てゆうか、それって、競争になってないのでは?

リスクは、結局は現場に廻ってくるんですよね。リスクコントロールも技術者の仕事、と上は簡単に言ってくれますが。(xx;

公募、一般入札でコスト・リスク高に見合うほど調達価格が低くなればいいんですけど。
防衛をはじめ、国でやってる事業は、金額でなく人命とかで換算すべきリスクが多いわけですよね。

調達価格では推し量れませんよ?何故なら「時間」が関係してきますから。

日本では加速劣化試験もやりますが、実経年変化試験(弾薬庫に保管した状態での性能劣化の評価)もやります。当然、同一ロット内でそのサンプルは用意されますが、もし、10年の経年変化試験で計測に何かがあった場合、使用した装備品の価格、消耗品の価格だけではなく、10年の歳月が無駄になってしまいます。それは、もう、絶対に取り返しの付かないことです。時間は遡れませんから。

最悪、性能及び安全性の検証が出来ないため、その装備品は全て一時的ながらも使用禁止になってしまいます。事実、過去にも似たような事例がありました。というのもあり、最近ではカウントアップした瞬間から本気で胃が痛くなります。病院送り寸前まで行きましたし:D

それはそれとして、今は「専売品」は事実上購入し辛くなってますよ。消耗品、しかも契約額が少額随契(見積もり合わせによる随意契約/少額の場合に限る)の範囲であっても、物販で公募を出すなんていう時代になりました。

さむざむ。 様
切手の入札なんて、結構無茶どころか気が狂ってるとしか思えません。そんなのとお付き合いしているとは、ご苦労様です。
確かに、見積もりだけで発注がないと業者さんもレスポンスが悪くなってきますよね。お断りされるケースが増えると、今度は価格的あるいは質的に悪い業者に発注せざるを得なくなってしまうのに。
防衛省も日本的からアメリカ的になって来ていると言えるのでしょうか。

経年劣化試験がちゃんと出来ていないと、運用サイドとしても嫌な思いをします。
「多分大丈夫なんじゃないかな」なんて思っていても、立場上も「過去のロットも含めて使える保障(確認)をしろ!」なんて言わなければならないので。

私も実際にそういうケースに関わったことがあります。唇をかみ締める整備補給サイドと、「全部用廃にする必要があるんじゃないか」なんて言う上司の板ばさみでウツになりかけました。

測定器が違ったりすれば、話はなおのことややこしくなるでしょうね。その辺の必然性が理解してもらえないとは、調達改革の悪影響でしょうか。

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