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2009年10月 9日 (金)

H22概算要求-離島侵攻対処

新DDHや新戦車のおかげなのか、あまり注目されてはいませんが、22年度の概算要求には、離島対処のための陸上自衛隊方面隊実働演習が含まれています。
平成22年度概算要求資料

当面の間、自衛隊が実際に直面する蓋然性の高い事態は、テロや特殊部隊による攻撃以外は離島対処くらいでしょう。
そのため、離島対処を念頭にして、海空自衛隊の協力を得て実施される陸自方面隊の実働演習は非常に意義深いものがあります。

しかし、概算要求資料(7ページ)を見る限り、想定が変です。
イメージとして示されている図では、第1段階として「空自航空機及び海自艦艇との協同による展開」が描かれており、空路では熊本から、海路では鹿児島から、沖縄本島への機動が演練されることになっています。
沖縄本島は、作戦の根拠地として付随的に攻撃対象となることはあっても、直接対象となった危機が発生する蓋然性は極めて低いと考えられますから、この段階で既に変です。
その上、発地、着地とも十分なインフラがある、この程度の機動でしたら、出来て当たり前です。離島対処として本当に演練しなければならないのは、沖縄本島より先への機動です。
加えて、第2段階の演習は、「九州本土を含む対処要領の訓練」となっており、九州に敵の陸戦戦力が襲来することを想定しているようです。
実際の場所として九州地区の演習場を使用しながら離島を想定した訓練をするなら理解できますが、沖縄本島から九州地区に侵攻する陸戦戦力を想定するなど、北海道に旧ソ連軍が侵攻することを想定していた冷戦期以上です。

大きな演習の場合、多数の部隊を状況に入れる必要性が発生するため、「少し」無理な想定をすることは良くある話ですが、これは不自然過ぎます。

自衛隊がいろいろな制限の中で訓練をしていることは十二分に分かっているつもりですが、想定の段階からあまりにおかしいと、何のための訓練なのか分かりませんし、成果も上がってきません。
防衛省として、中国を仮想敵国としていることが明白な訓練は、政治的にやりにくいでしょうが、例えば自衛官しか居住していない某離島を訓練場所として、離島への機動や対処を訓練するなど、やりようは幾らでもあるはずです。

「合理化のための創意工夫」は決まり文句のハズですが、ちょっと足りないのでは?

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