朝日に心配してもらうとは・・・
朝日新聞が日本の防衛産業の衰退を憂う記事を掲載していました。
「防衛産業、撤退相次ぐ 予算削減で装備品の発注減」(朝日新聞09年8月24日)
防衛費の縮減による防衛産業の苦境と防衛生産・技術基盤が崩壊しかねない事を懸念した至極真っ当な記事です。
防衛部門の苦境が、日本経済全体に悪影響を与える可能性にまで踏み込んでおり、過去の軍産複合体論や軍事産業が財政のお荷物になっているなどと言う論調は、その影さえも見えません。
「正面装備費は冷戦が終わった90年度の約1兆700億円から、09年度は6850億円と3割強減」と防衛費の縮減が問題の根本であることも伝えています。
対策としては、この方を出すのはどうかなとも思いますが、清谷信一氏のコメント「市場規模に比べて企業、とくに主要メーカーの数が多すぎる」を載せて、再編の必要性を説いています。
この点は、私も賛成です。
再編を進め、財務体質の強化で発注の増減に耐えられるようにすることや設備の効率化により収益体質を強化することで防衛力の維持向上にも寄与するでしょう。
独占、寡占状態になることで無駄な支出が増えることを懸念する人もいるかも知れませんが、日本の場合、もともと複数の企業があっても、事実上競争原理は十分に機能していません。その代わり、装備品の発注に際しては原価計算を行って適正価格で発注するようにしています。
確かに、不正が行われる余地はあるので、調達の透明性を高める措置は必要ですが、システムが機能すれば、極端な話、全ての防衛装備を1社に発注しても問題は発生しません。
下請けを含め、早期に再編に手を付けなければ、技術が失われるだけでなく、秘密の流出など保全上の問題が発生される懸念もあります。
民主党政権の発足を受け、今後4年は防衛支出の増加を期待することは不可能になるでしょう。
防衛省が先頭に立って再編を主導しなければ、10年先どころか数年先にも危機的状態となってしまうかもしれません。
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