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2009年7月

2009年7月 5日 (日)

7連射

独立記念日の4日という事前予想が出ていましたが、北朝鮮は期待に違わず実施してくれました。
「「2発はノドン」 弾道弾7発連射」 (産経新聞09年7月4日)
「北朝鮮、7発目は中距離ミサイル「ノドン」の可能性」 (朝日新聞09年7月4日)
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北朝鮮は4日朝から夕方にかけて、東部の江原道旗対嶺(キッテリョン)のミサイル基地から日本海に向けて弾道ミサイル計7発を断続的に発射した。韓国政府が明らかにした。韓国軍は7発とも400~500キロ飛行したと分析している。

 午前8時~8時半に2発発射した後、同10時45分、正午、午後2時50分、同4時10分、同5時40分ごろにも各1発撃った。韓国政府などによると、速度や航跡などから1~4発目が短距離弾道ミサイル「スカッドC」(射程約500キロ)で、7発目は飛距離を抑えた中距離弾道ミサイル「ノドン」(同約1300キロ)の可能性が強く、5、6発目はスカッドかノドンのいずれかとみられるという。
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産経と朝日では、ノドンと断定している数が若干違いますが、このへんは分析を待たなければならないでしょう。

さて、前回の記事で情報発表は控えるべきと書きましたが、今回祭りは行わず、記事で提言した通りの対応でした。
というより、スカッド中心で、ノドンも射程を短縮した発射だったため、十分な捕捉が出来なかった可能性も高いでしょう。

この辺り、いろいろと分析、評論を期待している方も多いと思いますが、現時点では公開されている情報が少なすぎ、軍事的な側面の分析は困難です。
追加で情報が出てくれば、論評します。

政治的には、独立記念日に併せたということで、メッセージ性の強い行動だった訳ですが、この辺は興味がないのでパスします。

北朝鮮による弾道ミサイル発射は、今日の7発に留まらず、テポドン2などの発射も予想されているため、また情報があれば、お伝えします。

THAAD導入

SM-3、PAC-3に加え、THAAD導入が検討されているようです。
新型迎撃ミサイル:導入を検討…地上配備型、迎撃3段構え 」(毎日新聞09年7月5日)

「SM3とPAC3を補完する「第3のミサイル」と位置付け」るとの事ですが、性能的には補完ではなく、対弾道ミサイル対処能力ではPAC-3の上位互換と言えるものです。
大気圏内外で迎撃が可能で、長い射程と広い防護範囲(フットプリント)を持ちます。

以前の記事に載せたPAC-3による防護範囲と比較してみます。(10倍の距離をフットプリントとして描画)

O0320023010208179665
習志野、朝霞にPAC-32個FU(Fire Unit)、市ヶ谷にPAC-3リモート・ランチを配備する場合

O0320021810208179668
習志野にTHAAD1個FUを配備する場合

一見して分かる通り、その差は歴然です。
更に、THAADは、より高高度から迎撃が可能なため、迎撃失敗時に再試行することも可能で、最終的な迎撃成功確率も、高いものになります。
また、特に生物・化学兵器搭載の弾道ミサイルに対処した場合、PAC-3では迎撃高度が低く、迎撃成功した場合でも地上に影響がでる可能性がありますが、THAADでは迎撃後に大気との摩擦熱でBC兵器も無害化されます。

加えて、THAADの導入が検討される理由は、単に防護範囲が広いというだけではありません。
公開している小説中にも描いていますが、弾道ミサイル攻撃能力(特に射程)を強化する北朝鮮に対して、現有のSM-3、PAC-3態勢では、それぞれに欠点があります。
SM-3ではディプレスト弾道に対して対処困難であり、PAC-3ではロフテッド弾道に対して対処困難です。
THAADは、両現有システムが対処困難なこれらの目標にも対処可能です。
記事に付いている図でも、このことが描かれています。
O0208025010208179674
毎日新聞より

また、上の図でも北朝鮮による弾道ミサイル攻撃を念頭に置いた図を描いていますが、対中国という点では、PAC-3による迎撃は困難で、THAADが必須となります。

そんな良いものなら、なぜ最初からPAC-3でなくTHAADを導入しなかったのか、という意見も出てくるでしょうが、THAADは米軍でもやっとこれから本格的な配備が始まるところです。自衛隊がPAC-3の導入を決めた当時は、THAADは開発が難航しており、中止される可能性すらウワサされるほどでした。

もし十分な数のTHAADが配備されるなら、PAC-3は必ずしも不要(パトリオット自体は、対航空機や巡航ミサイル対処が可能であり、システム全体が不要になるわけではない)になります。毎日新聞は、費用がかかる事を批判していますが、JADGEとの連接など、積み上げた無形の資産は大きく、PAC-3を配備してきたことが無駄になるわけではありません。

費用の問題はもちろん有りますが、実際にTHAAD配備を検討する上で、おそらくそれ以上に問題なのは人員です。
THAADを配備するとしても、何かの後継システムとして配備するわけではないので、組織上はスクラップアンドビルドを行わざるを得ません。
俎上に上がってくるのは、パトリオットの高射群に留まらず、陸自の高射特科部隊にも影響が及ぶ可能性があるでしょう。
XRIM-4陸上配備型の話題も出ていますが、陸自が中SAMによるホーク後継ミサイル選定を失敗(中SAMがウエポンとして失敗という意味ではなく、更新が頓挫してしまうようなシステムとなった事が部隊建設上の失敗という意味)した事もあり、THAAD導入問題は、今後の陸空高射部隊を巻き込んだ大きな組織改編に繋がってくる可能性があります。
過去にはナイキJの配備に伴って、陸自から空自への人員の転換がありましたが、これと同様に陸自高射特科の人員が空自THAADに転換する可能性があります。逆に、THAADが陸自高射特科群に配備となり、パトリオット部隊が縮小するような可能性もなきにしもあらずと思われます。
個人的には、THAADはJADGEとの連接が大前提であり、おそらく固定運用となるため、空自とすることが適切だと思いますが、陸・空幕間で綱引きがあるかもしれません。

この件は、引き続きフォローしていきます。

元記事全文
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 北朝鮮の弾道ミサイルに備え、防衛省が現在保有している海上配備型迎撃ミサイル(SM3)、地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)に加えて、新型迎撃ミサイルの導入を検討していることが4日、分かった。地上配備型の「高高度広域防衛システム」(THAAD、サード)と呼ばれ、防御範囲がPAC3より10倍程度広い。同省は、SM3とPAC3を補完する「第3のミサイル」と位置付け、年末に行う「防衛計画の大綱」(防衛大綱)や「中期防衛力整備計画」(中期防)の改定に反映させることも視野に入れている。

 弾道ミサイルの軌道は、米国の早期警戒衛星が発射を探知した後、日米のイージス艦やレーダーの情報を合わせて計算する。現在の日本のミサイル防衛(MD)は2段構え。飛来してくるミサイルはまず、海上自衛隊のSM3が高度100キロ以上の大気圏外で迎撃する。

 これを撃ち漏らした場合、弾道ミサイルが地上15~20キロに到達した時点で、航空自衛隊のPAC3で迎え撃つ仕組みだ。

 ただPAC3は射程が20キロ程度と短く、地上の守備範囲も半径20キロ程度に限られるため、発射情報を事前に得て必要な場所に移動しておく必要がある。首都圏、中部、近畿地方に配備され、10年度中には計11カ所に広げるが、日本全土をカバーするのは難しい。

 一方、THAADは射程が100キロを超え、地上の防御範囲もPAC3の10倍程度広い。国内に3~4基配備すればほぼ全土を守ることができる。数百キロ飛ぶSM3より射程は短いものの、大気圏の内外いずれでも迎撃可能で、SM3では対応できない低い軌道の弾道ミサイルも撃ち落とせるという。米軍は9月から米国内で実戦配備する予定だ。

 PAC3は11カ所への配備で5000億円程度かかる。防衛省はTHAADの導入費を明らかにしていないが、THAADの方が少ない予算で日本全土をカバーできると見込んでいる。【仙石恭】
 ◇解説…新型配備に数千億円、費用対効果に疑問も

 防衛省が導入の検討に入った新型迎撃ミサイル・THAADは、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)と地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)を補完するものだが、政府は既にSM3とPAC3に8000億円以上を費やしている。THAADの配備に数千億円が必要なのは確実で、防衛予算が年々減る中、ミサイル防衛(MD)にどれだけカネをつぎ込めばいいのか、政府は難しい判断を迫られている。

 4月、北朝鮮が日本上空を越える弾道ミサイルを発射したことで、自民党国防族を中心にMD拡充を求める声が勢いを増している。その際には、PAC3の不足も指摘された。ただ、MDには費用対効果への疑問もある。米国頼みの早期警戒衛星導入が先だとの声も強い。著しい技術革新で費用が膨らむ一方のMDと、通常装備とのバランスをどう取るのか。「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の改定を前に、政府には慎重な判断が求められる。【仙石恭】
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2009年7月12日 (日)

ツーショット写真

更新が滞っておりまして申し訳ありません。
性質の悪い夏風邪にやられてダウンしておりました。
皆様も気をつけてください。

さて、以前の記事「笑えるニュース 」でピースボートがソマリア沖において海自護衛艦による護衛を受けたというニュースを書きましたが、なんとその際のツーショット写真が出回ってます。
(コメントで海族様より教えていただきました。)
O0320021610212084515

写真の流出?元は、大石英司氏のブログ「大石英司の代替空港 」です。
大石氏が「私はこの写真が2ちゃんを含むありとあらゆるネット上でばらまかれて、広く国民に知られ、防衛省がきちんとした形(とサイズ)で、鮮明な写真を公開することを、納税者として強く求めるものです。」とコメントしているので、転載させて頂きました。

写真自体は、海自が某所でヒッソリと公開しているものをデジカメで撮影したもののようです。
海自が表立って写真を公開していないのは、さすがに大人気ないと思ったからでしょうか?

写真が鮮明でなく、ハッキリとは分かりませんが、艦番号からするとDD-106さみだれのようです。
護衛にあたっては、ツーショット写真が撮れるほどに接近する必要性は無いので、この位置は完全に撮影用ですね。
しかも、艦尾に艦載ヘリが写っているところを見ると、撮影された艦艇からではなく、わざわざ派遣されている別の艦艇DD-113さざなみからヘリを飛ばして撮影したことになります。

以前の記事で、今回のピースボート参加者に対して、海自による護衛を受けていることをしっかり説明してもらいたいと書きましたが、そんな必要なかったですね。
彼らは、世界の現実を、その目でしっかりと見たわけですから。

広報に使える写真として、コレ以上のものはそうないでしょう。
今年度版の防衛白書の表紙がまだ差し替え可能であれば、コレにしては如何でしょうか?

2009年7月14日 (火)

ハイテクも大事だが

テロ対策用に産学官で開発されて来たハイテク機器が実用化される見通しだと報じられています。
テロ阻止、先端技術の出番 日立や東芝、小型爆弾発見2秒など 」(日経新聞09年7月2日夕刊)

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 小型爆弾や生物兵器などテロ兵器の対策として産学官が開発してきた防護機器が、2~3年後にも実用化する見通しだ。日立製作所は小型爆弾を瞬時に発見する装置を試作、実証試験に着手するほか、東芝などは生物兵器となる病原体の検出技術を開発、今月から警察などに導入を働きかけ始めた。テロ兵器は身近な材料とハイテクで急速に高度化しており、脅威が増している。海外も日本の先端技術に注目している。

 日立の装置は海外のテロ事件で使われ問題化している小型爆弾をわずか2秒で発見できる。大きさは約60センチメートル角で100キログラム。物質の重さから物質の種類を特定する質量分析装置を応用した。
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日立の装置は、プラスチック爆弾から揮発する微量物質を感知するもので、東芝の物は生物兵器の検知用のようです。

私が現役時にも、防衛庁(当時)に爆弾検知装置など同種の機器が売り込みされていましたが、眉唾物とまでは言わないものの、どれも性能は不十分でした。
報じられているものが果たして本当に使い物になるものなのかは分かりませんが、興味があるところではあります。

これ自体は、少しも悪いニュースではありません。ですが、日本のテロ対策は、こう言ったハード面よりも、運用などソフト面に問題が有り過ぎます。

その良い例がコレです。
米国製手りゅう弾と判明 旅客機内持ち込み 」(琉球新報09年3月25日)

O0192024010213519276
機内に持ち込まれた米国製MKII破片手りゅう弾の不発弾(琉球新報より)

不発弾とは言え、爆発する可能性のある生きた手榴弾が、空港のセキュリティチェックを通過し、機内に運び入れられていた訳です。手りゅう弾は、預かり手荷物としてX線検査装置などによるチェックを受けていたはずですが、発見されなかった事になります。
プラスチック爆弾どころか、金属塊である手りゅう弾を見逃している状態ですから、これはもう装置の問題ではありません。
(ただし、多少の弁護をするなら、最新の装置はプラスチック爆弾などを着色して表示する機能があり、検査係はそれだけを見ていた可能性もあります。)

また、この件では、もう一つソフト面の問題が見て取れます。
それは、監督官庁である国土交通省の責任意識の低さです。
この件を報じた別の記事で、国土交通省那覇空港事務所は「このようなケースは聞いたことがない。もし事実なら、原因究明や再発防止に努めるよう要請する」と話した、と報じられています。
セキュリティチェックの直接的責任は、航空会社にあった訳ですが、「要請する」ではなく、自己の責任範囲の事項として捉え、国土交通省として対策を講じなければならないにも関わらず、こんな人事なコメントを出しているようでは、ダメです。

新たなハイテク機器が実用化されても、係官や監督官庁の意識など、ソフト面を改善しなければ、テロは防げないでしょう。

2009年7月16日 (木)

歓迎すべき話ではない

アメリカとロシアが、核弾頭及びその運搬手段の削減に合意したとのニュースに対して、河村官房長官が歓迎するとのコメントを出していますが、これは歓迎すべき話ではありません。


「米露の核削減合意「歓迎する」 河村官房長官」http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090707/plc0907071208007-n1.htm (産経新聞09年7月7日)


削減された場合にも、まだ相当数が残るとは言え、アメリカの核戦力の縮小は、傘の縮小に他ならず、その傘に入れてもらう日本としては喜ばしい話ではありません。
アメリカの核戦力が縮小すれば、北朝鮮などに対する抑止力も低下し、日本など同盟国の危機に対して核カードを使うことも困難になってきます。

そう言う視点なしに、官房長官が軍縮=善という単純発想でコメントを出すようでは困ります。


おそらく、近づく選挙に向けた民主党に対する揺さぶりだと思われますが、最近ではアメリカによる核の持ち込みを容認するような情報も散見されます。
アメリカの核は、日本の防衛にとって極めて大きな要素です。政府首脳には、日本にとっての核問題は、まず第1に傘の問題だと認識して欲しいモノです。

2009年7月19日 (日)

次は自衛官にならない

防衛省の準機関紙「MAMOR(マモル)」に、現役自衛官に対するアンケートの結果が載っているそうです。
http://ichigaya.keizai.biz/headline/612/


「生まれ変わっても自衛官になりますか?」という問いに対して、「ならない」が72%、「なる」が28%となっており、7割が再び自衛官という選択はしないと答えています。


回答には、もちろん色々な理由があるでしょうが、7割が再び自衛官を選択しないと回答するということは、自衛隊が魅力を感じられる職場ではないという事の現れです。


個人的にはそんなことはなかったと思っていますが、やりがいや働きやすさなどの点で、自衛隊はもっと改善を図っていかなければならないのでしょう。

与那国に陸自部隊

今までにも先島の防衛について何度か記事に書いているので、この話題を外す訳にはいきません。
与那国島に陸自部隊を配置することが検討されています。

与那国に陸自部隊の配置検討、防衛相が表明 」(産経新聞09年7月5日)

防衛省を訪れた与那国町長と防衛省が会談したり、逆に与那国島を防衛省が訪問したりと、にわかに活発な動きが出ています。

一部に反対はあるものの、地元の大勢も誘致に積極的で、次期中期防衛力整備計画(2010~14年度)に反映され、実現することはほぼ間違いなさそうです。
部隊としては、今年度末末に第1混成団から格上げされて編成される15旅団隷下の部隊として、部隊規模数十人から百人弱、沿岸監視を任務とする部隊となるようです。
産経の記事では、「レーダーサイトを設置する」なんていう?な記述も見られますが、所謂レーダーサイトではなく、おそらく沿岸監視レーダーを配備することを言っているのでしょう。

装備は、部隊規模も考慮すると、85式地上レーダー装置 JTPS-P11 でしょうか。(他にも地上レーダ装置2号 JPPS-P10などの可能性があります。)
よほどのマニアでないと知らない器材ですが、不審船事案以降、一気に注目され、演習でも主役級の活躍をするようになったモノです。
公開している小説中でも、登場させてます。

あるいは、常時監視を行うつもりなら、固定の沿岸監視レーダーを設置するかもしれません。(産経のレーダーサイトとはそういう意味か?)

常時監視をするのでなければ、部隊配置をする意義は、軍事的には増援受け入れ部隊としての意味合いが強いと言えます。
そして、それ以上に先島(と尖閣)にかける日本の政治的意思の表明という性格が強いでしょう。
宮古島に部隊配置をするというウワサもありましたが、一挙に最西端の与那国に部隊を配備することになりそうです。
純粋に軍事的には、沖縄本島、久米島以西には、宮古島のレーダーサイトと与那国の沿岸監視部隊ということになり、監視網という点では良いものの、ちょっとアンバランス過ぎるような気がします。
今後はやはり宮古島に普通科部隊、下地島に空自飛行隊が欲しいところです。

さて、今回の報道で、一つうれしい点があります。
それは、沖縄の地元紙が反対キャンペーンをほぼ諦めていると思われる点です。
今回の関連報道では、沖縄タイムス にしても、琉球新報 にしても、非常に小さな扱いしかしていません。
やはり、地元の大勢が誘致に賛成しているという点が大きいのでしょう。

この動きは、今後の宮古島、下地島への自衛隊部隊配置にも大きな影響を及ぼして行くことは間違いないでしょう。

2009年7月22日 (水)

問題の「人物」

以前の記事「問題は「人物」 」において、新設される防衛相補佐官に関して、誰が就くのかが問題だと書きましたが、拓殖大教授で、空自OBでもある森本敏氏(68)が内定したとの報道がなされています。

新設の防衛相補佐官に森本敏氏内定 防衛省改革の一環 」(朝日新聞09年7月15日)

率直な感想としては、「変な人が就かなくて良かったな。」という所です。
妙な書き方になりましたが、自衛隊OBでありながら、この方の印象は、安全保障・防衛問題の専門家というより、まともな国際政治学者といったところなので、あまりピンと来ない、というのが正直なところなのです。

良い言い方をすれば、非常に大局的な視点でモノを語る方で、防衛相補佐官の存在意義を考えれば良い人選なのかもしれません。
但し、例えばFX選定問題などでも、政治的な要素を重視した判断をする傾向が強いのではないのか、という懸念もあります。

補佐官として気になる行動(発言)があれば、また書いてみます。

2009年7月25日 (土)

現実路線なら良いかな?

以前の記事「不審船? 」において、民主党が海賊対処新法に反対していたため、彼らが政権を取ってもらっては困ると書きましたが、政権奪取が現実性を帯び、彼ら自身が考え直してくれたようです。

民主が海賊対策に海自容認、外交で現実路線 」(読売新聞09年7月23日)
民主、「インド洋撤収」を政策集から削除 現実路線へ 」(朝日新聞09年7月23日)

民主党がまとめた2009年の政策集において、防衛政策における非現実的な政策のほとんどを改めています。
海賊対策のため自衛隊派遣の容認、インド洋での海上自衛隊による給油活動の継続、日米地位協定改定や思いやり予算削減についてのトーンダウンなど、外交にも配慮した現実路線への転換を打ち出しました。
また、国連安保理決議にもとづく貨物検査の実施を盛り込み、北朝鮮対策として貨物検査特措法案の法整備にも舵を切っています。

個人的には、北朝鮮や中国に近く、アメリカのMDや在日米軍基地による極東域へのパワープロジェクションに日本が必須であることを踏まえれば、日米地位協定の改定問題などは、もっと強い姿勢で臨んでも良いと思ってますが、日米安保が片務条約である内はある程度仕方のない部分かもしれません。

民主党は、国防費の削減は行うつもりでしょうが、国債の格付け低下が不安視されるほどの財政状況ですから、これは仕方がないことでしょう。
政権交代はほぼ確実なようですが、今回の政策集にまとめられたとおり、現実的な政策に転換するのであれば、政権を取ってもらっても良いかな?

2009年7月27日 (月)

自衛官の婚活

1週間ほど前にも取り上げた「MAMOR(マモル)」誌ですが、今度は自衛官の「婚活」企画を載せているそうです。
http://ichigaya.keizai.biz/headline/636/


出会いがない独身自衛官のための企画ということですが、個人的には、その気になれば、いくらでも出会いはあるものの、本人がその気になっていないだけだと思います。
(その気にならないまま年をとってしまった自衛官は確かに多い)


それはさて置き、今回は自衛官の婚活について書いてみます。
なお、以下は私が見聞きしてきた狭い範囲の事例で、必ずしも一般的でない話も含まれているかも知れないというつもりで読んで下さい。


自衛官の場合、基地の中だけで生活することも可能なくらいですので、積極的に外に出なければ、女性と出会う可能性が低いことは確かです。

ですが、その少ない機会を確実にモノにしている?自衛官も少なからず居ます。
それは、女性自衛官(男女比が激しいので、女性自衛官はモテる)だったり、基地内の売店などに勤める女性という防衛省に何らかの関わりのある女性であるケースが多いですが、それ以外では、基地内にセールスのために入ってくる保険の外交員というケースもあります。
レアな例として、その保険の外交員の娘さんを紹介してもらったという猛者もいます。


出会いを求めて積極的に外に出てゆく場合、一般の方とそれほど違った手段があるわけではありません。
合コンだったり、友人の紹介だったりというところです。ですが、これらのケースは確かに一般社会の方ほど機会がないのは事実でしょう。

出会いを副次的な目的として、外部と接触しているというケースもあります。各種のスポーツサークルに参加したり、英会話教室に通ったりする場合です。

こういった外部との接触をしている場合、特に地方の場合は、自衛官の給料が悪くないこともあり、結婚を望んでいる自衛官の大半は結婚できていると思います。


ですが、積極的に外部に出てゆかない自衛官の場合、確かに機会がないというのも事実です。
そのため、基地レベルでは、自衛隊の協力団体と協力して、婚活のためのパーティを開いていたこともありました。私の知る限りでは、確か試みはあまりうまくいかなかったと記憶していますが、部隊ではそんな努力もしています。


また、主に幹部の話になりますが、基地司令などが、外部の協力団体の方(いわゆる地方の名士)から娘婿を紹介してくれ、などと頼まれるケースは、かなりの事例があり、実際にそれで結婚している例もありました。


今回の「マモル」誌の企画がうまく行くかどうかは興味のあるところです。

2009年7月30日 (木)

中SAMの失敗がRIM-4陸上型を生む

RIM-4陸上型の話題は、先日の記事「F-22が高いかどうかはROE次第 」に対してさむざむ。氏から頂いたコメントにも出ていましたし、週刊オブイェクト「XRIM-4が地対空ミサイルとして復活? 」などでも話題になってます。

その背景には、21年度の概算要求に「03式中距離地対空誘導弾(改)の開発」が盛り込まれていた(実際の予算では没った)事でも分かるとおり、03式中SAMのライフサイクルを含めたコストが高すぎることが原因として言われています。
また、良いものが出来たと言われるRIM-4に日の目を見させたいと言う技術サイドの思い入れもあるでしょう。

ですが、RIM-4陸上型が検討される直接的な理由を一言で言えば、中SAM(の配備)が失敗だからでしょう。
これは、中SAMが兵器として失敗作だという意味ではありません。
開発要求を出した陸幕による将来脅威の読み違えと必要とされる兵器性能の算定ミスです。
分かりやすく言えば、情勢に合わないものを作ってしまったということです。
これは、まるで冷戦の終結に合わせるように配備を始めた90式戦車と同じです。
陸幕が愚かだというのは簡単ですが、正直コレを読むのは難しいことです。なにせ、アメリカでも同じ状態のものがあるのです。それは、追加配備が打ち切られたF-22です。(打ち切り派は、イラクやアフガンで活躍の場がないことを根拠にしている。)

中SAMの具体的問題点は、現在そして近い将来に予想される戦略環境において、機動性が不足している点です。

中SAMは、一般的には、ホークと比較し展開布置に要する時間が短縮したことをもって、機動性が向上したと言われます。
ですが、ここで機動性が不足すると言っているのは、展開に要する地積が拡大する等、展開条件がより厳しくなる他、離島防衛など戦略機動における輸送が難しくなったことを言っています。

中SAMは、システムを構成するユニットが大型化し、それこそパトリオット並みと言えるほどです。これは、一言で言えば陸自が運用要求としてパトリオット並みの迎撃性能を求めたからです。
空自のパトリオット導入後、同時期に実施している年次射撃訓練において、当時のホークにいろいろと問題があったこともあり、陸自の隊員が、それこそ垂涎ものでパトリオットを眺めていたことを思えば、このことは理解できなくもないとは思います。
ですが、空自のパトリオットが、全般防空を任ずるFIの活動根拠である飛行場を守るための拠点防空用兵器であることと異なり、野戦防空用であるはずの中SAMを、あれだけ大掛かりなシステムとすることについては、空自内にも疑問の声があったくらいです。

それはともかくとしても、北朝鮮の弾道ミサイルを除けば、近い将来に蓋然性の高い事態は、対中国の離島防衛くらいですが、離島への展開を考慮する場合、時間的な要素も含め、中SAMの機動性では、パトリオットに比べて展開が容易だとは言い切れません。
ホークであれば、CH-47のスリングでの運搬さえ可能でしたが、C-Xが配備されるまでは、中SAMは、パトリオットとともに船舶での輸送しか不可能でしょう。

陸自のSHORADを除いたSAM体系は、中SAMとホークですが、もう一方のホークは改善が図られているとは言え、陳腐化(特に電子的な部分)老朽化が進み、中国機相手でも対処が困難となって来ています。

端的に言えば、今後予想される中国との衝突に際して、ホークは迎撃性能が不足し、中SAMは機動性能が不足するのです。
ここに、RIM-4陸上型を配備する根拠が、実体的にも、そして建前的にも出てきます。この建前的にもというのが実は重要で、財務に対して必要性を訴えることが出来るということです。
もっとも、財務は「あんたら中SAMで大丈夫と言ったでしょう」とは言うのでしょうが、そこはそれ、情勢が変わりましたと言うしかないです。

RIM-4陸上型は、艦載SAMとして検討されていた流れを受け、TVC装置を有した垂直発射方式になるようです。少々おごり過ぎのような気もしますが、改造箇所が少なくて済む分、開発費を抑えるにはその方が良いでしょうし、展開場所の選定上も垂直発射方式の方が便利ですので、運用上も楽でしょう。

このブログでも、先島防衛ネタを何度も記事にしているとおり、離島防衛は留意すべき問題だと思っています。
RIM-4陸上型の将来は、まだ予断を許さないでしょうが、離島防衛に有用な兵器が調達されることは好ましいことだと思います。

なお、以上のRIM-4陸上型の予測は、断片的な情報を元に、推測で書いたものです。ですが、財務を通すためのロジックとしては、コレしかないと思われます。

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