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2009年6月 2日 (火)

秘密兵器は掃除機

北朝鮮による核実験に際して、防衛省も核実験を証明するための証拠集めに尽力していることが報じられています。

地下核実験、防衛省など放射性物質測定に全力 (読売新聞09年5月26日)
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 北朝鮮の地下核実験による放射能の影響が日本に及ばないか調べるため、防衛省は25日夜、専用装置を備えた自衛隊機を日本上空などに出動させ、大気中のちりを集める作業を始めた。普段から放射性物質の観測をしている百里(茨城県)と三沢(青森県)、築城(福岡県)の3基地に所属する練習機が最低1週間、大気中のちりを集め、文部科学省の分析機関に持ち込んで放射性物質を確認する。
後略
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航空機マニアな方はご存知かもしれませんが、ここで書かれている専用装置とは、T-4に取り付けられる集塵ポッド、正式名称「機上集塵器2型」です。
解りやすい写真はないか、と探してみましたら、マニアな方が良い写真を載せていました。
白石嶺々の航空機写真 」の「百里基地航空祭2007(2007/09/09) 」に紹介されていたので、写真を転載しておきます。
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正直なところを白状すると、私はこんな装備を航空自衛隊持っていると知ったのは、前回の北朝鮮による核実験の際、「集塵ポッド搭載機を飛ばします」という報告を、担当幕僚がモーニングレポートで報告していたところを聞いた時でした。
「どんな特殊装備だ?」と思いましたが、詳しく聞いてみると早い話が単なる紙パック式の掃除機と同じで、中空のポッドの中にフィルターが入っているのみでした。
上の写真では、内部を開けて見せているので写真を見れば一目瞭然でしょう。

北朝鮮が地下核実験をした場合、岩盤の微細な割れ目から、どうしても放射性物質が漏出します。これが偏西風に乗って日本海上空に流れ出しますから、原理は簡単でも拡散してしまう前に日本海上空で集塵すれば、これをキャッチできるわけです。
コレによって、北朝鮮が核実験をした証拠が得られるのみならず、放射性物質を分析することによって行われた実験の内容(使用された核物質の濃縮度や核反応の効率など)が分かります。
中身は掃除機ですが、立派な秘密兵器です。

ちなみに、アメリカは単なる集塵ポッドではなく、1機しかないものの、専用機を保有しています。
WC-135Wコンスタントフェニックスという機体がそれで、集塵ポッドが経路上の放射性物質をごちゃ混ぜにしてしまうのに対して、リアルタイムで放射性物質を検地できる機能を持っています。(これによって、実験場所の特定などにも効果を発揮できます)

今回の実験でも活動した可能性は高いと思うのですが、それらしき報道は見当たりませんでした。

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