P-3派遣
現在活動中の2隻の護衛艦に加え、P-3C2機がソマリア沖での海賊対処のため派遣されることになりました。
朝日新聞「P3C哨戒機のソマリア派遣を命令 海賊対策で防衛相 」
防衛省広報資料「P-3Cの派遣について 」
P-3Cの派遣に関して、海賊対処という目的で果たして実際にどれだけの効果があるのか、現地では歓迎する声が大きいものの、日本では自衛隊関係者でさえ疑問を投げかける人もいます。
ですが、私は十分に効果を発揮するだろうと思っています。
というのも、たった1度きりですが、P-3Cが日本近海で毎日実施している哨戒活動に同乗させてもらったことがあり、「ここまでやってるのか」という感想を抱いたからです。
P-3Cは飛行可能時間が長く、哨戒活動は1フライト10時間以上にも及びます。早朝から準備を始め、明るい時間帯をフルに使って行動します。
飛行は常時低高度(100m程度だったと記憶している)で行い、船舶がいれば更に高度を落として詳細な状況を確認します。
正確な高度は記憶してませんが、小型の漁船など確認がし難い船舶に対しては、それこそ30mを切るような低高度を低速で確認していました。もちろん写真も撮影します。私が同乗させて頂いた時には、コックピットから普通の1眼でバシャバシャと撮っている感じでした。
ちょっとでも不審な点があったり、1パスで船名を読みきれなかった場合には、その低高度のまま、かなりの急旋回(後部に乗っていたときは、窓から外を見回しても視界が全て海になるほど)で船の周囲を周回したり、パスをし直します。
ここまでやっているため、北朝鮮の不審船を発見した際にも、漁具が見当たらない、他の漁船と異なった海域にいるなど、些細な点から不審船を発見できているのです。
ソマリア沖の海賊は、「不審船? 」でも紹介したような、一見して不自然な船舶を使用しているケースも多いようです。巧妙に偽装していれば航空機からの判断が難しいケースもあるかもしれませんが、「こいつは怪しい」という判断は可能でしょう。
P-3Cでは、海賊相手に過剰にならない武装がない(ミサイルなら積めるが強力すぎる)ため、海賊を追い払うことは難しいかもしれませんが、諸外国のものを含めて艦艇に連絡するだけで、P-3Cは十分に効果を発揮できたと言えると思います。
艦艇は持続性に優れますが、速度が遅く広範な監視は苦手です。逆に航空機は持続性はないものの、艦艇とくらべれば遥かに高速で、広範な監視が可能です。
P-3Cが現地に到着すれば、武勇伝が聞こえてくる日も遠くない気がします。
ただし、海賊側から攻撃してくる可能性は少ないと思いますが、MANPADSや対空機関砲を保有しているという情報もあるため、注意は必要です。
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