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2009年5月

2009年5月31日 (日)

P-3派遣

現在活動中の2隻の護衛艦に加え、P-3C2機がソマリア沖での海賊対処のため派遣されることになりました。
朝日新聞「P3C哨戒機のソマリア派遣を命令 海賊対策で防衛相
防衛省広報資料「P-3Cの派遣について

P-3Cの派遣に関して、海賊対処という目的で果たして実際にどれだけの効果があるのか、現地では歓迎する声が大きいものの、日本では自衛隊関係者でさえ疑問を投げかける人もいます。

ですが、私は十分に効果を発揮するだろうと思っています。
というのも、たった1度きりですが、P-3Cが日本近海で毎日実施している哨戒活動に同乗させてもらったことがあり、「ここまでやってるのか」という感想を抱いたからです。

P-3Cは飛行可能時間が長く、哨戒活動は1フライト10時間以上にも及びます。早朝から準備を始め、明るい時間帯をフルに使って行動します。
飛行は常時低高度(100m程度だったと記憶している)で行い、船舶がいれば更に高度を落として詳細な状況を確認します。
正確な高度は記憶してませんが、小型の漁船など確認がし難い船舶に対しては、それこそ30mを切るような低高度を低速で確認していました。もちろん写真も撮影します。私が同乗させて頂いた時には、コックピットから普通の1眼でバシャバシャと撮っている感じでした。
ちょっとでも不審な点があったり、1パスで船名を読みきれなかった場合には、その低高度のまま、かなりの急旋回(後部に乗っていたときは、窓から外を見回しても視界が全て海になるほど)で船の周囲を周回したり、パスをし直します。

ここまでやっているため、北朝鮮の不審船を発見した際にも、漁具が見当たらない、他の漁船と異なった海域にいるなど、些細な点から不審船を発見できているのです。

ソマリア沖の海賊は、「不審船? 」でも紹介したような、一見して不自然な船舶を使用しているケースも多いようです。巧妙に偽装していれば航空機からの判断が難しいケースもあるかもしれませんが、「こいつは怪しい」という判断は可能でしょう。
P-3Cでは、海賊相手に過剰にならない武装がない(ミサイルなら積めるが強力すぎる)ため、海賊を追い払うことは難しいかもしれませんが、諸外国のものを含めて艦艇に連絡するだけで、P-3Cは十分に効果を発揮できたと言えると思います。

艦艇は持続性に優れますが、速度が遅く広範な監視は苦手です。逆に航空機は持続性はないものの、艦艇とくらべれば遥かに高速で、広範な監視が可能です。
P-3Cが現地に到着すれば、武勇伝が聞こえてくる日も遠くない気がします。

ただし、海賊側から攻撃してくる可能性は少ないと思いますが、MANPADSや対空機関砲を保有しているという情報もあるため、注意は必要です。

2009年5月30日 (土)

その実、敗北宣言

同じ話題に2度触れることはしたくないのですが、マスメディアが情報操作、あるいはプロパガンダとも思えることをやっているなら、少しでも情報発信することができる以上、戦わない訳にはいけないのでしょう。


朝日新聞が、「イラク派遣の違憲訴訟、終結 岡山の原告団控訴せず」とのタイトルで記事を掲載しています。
http://www.asahi.com/national/update/0508/OSK200905080056.html


タイトルだけみると、まるで原告団にとって満足の出来る結果だったように思えます。
記事中でも、名古屋高裁での判決を大切にしたいと書かれています。


しかし、結果は全ての訴訟が敗訴であり、殊更注目させようとしている名古屋高裁の判決でも「憲法9条に違反する活動を含んでいる」との内容を、「傍論」に含んでいるのみです。
傍論は判決理由ではなく、こういう意見もあるとの参考意見に過ぎませんが、朝日の記事でも傍論であることは記述せず、名古屋高裁の判断が派遣を違憲としていたかのように書いています。
なお、この際、伝聞として書くことにより、朝日新聞としては嘘は言っていない、という情報操作的記述をしています。


朝日としては、自衛隊海外派遣に反対の方向に読者を誘導したいのでしょう。
ですが、このたった10行程度の記事であっても、よく読めば派遣反対派の敗北宣言、それも「撤退」を「転進」と言い換える類の情けない敗北宣言であることが分かります。
「名古屋高裁判決を大切にし」、最高裁への控訴を断念して裁判が終結させる、ということは、最高裁へ上告した結果、イラク派遣が合憲との判断が下され、名古屋高裁の傍論が、傍論であるだけでなく、より高位の最高裁判決によって否定されることを恐れたのです。


過去、雫石の事故など自衛隊がらみの裁判では、疑問符の付きまくる事件も少なくありませんでした。
しかし、世論全体の防衛問題に対する理解が深まるにつれ、世間と乖離した感のある司法も少しづつ良くなっているように思えます。


ここで取り上げた記事のように、マスコミは未だに偏向してますが・・・

2009年5月27日 (水)

核実験には韓国の軍備制限を

北朝鮮が2回目となる地下核実験を行いました。
この件については、少々思うところがあるので、今回は炎上覚悟で政治、というか大戦略的な話について書きます。


地震波の観測から、今回の実験が、設計通りの出力が出せなかったと見られている前回の実験よりも、数倍から十数倍の威力(数キロトンから20キロトン程度)があったと見られています。しかし、果たしてこれが設計通りだったのか否かは分かりません。兵器として使用可能なほど小型化が行われていたのかも分かりません。

というわけで、残念ながら今回の実験の戦術上の意義については、現時点ではほとんど言えることがないというのも事実です。


その一方で、早くも安保理で追加制裁が検討されていることからも分かるとおり、戦略あるいは政治的には大きな意味があります。
また、昨日の東証株価を下落させるなど、経済的な意味さえあります。


メディアも国会も、諸手を上げて北朝鮮を非難しています。
なんと、共産党でさえ非難決議に賛成票を投じたくらいです。国防に関する問題で国会が全会一致を見るなど、前回の核実験以来でしょう。
今後、おそらく日本独自の措置を含めて相当に強い措置が採られると思われます。


しかし、私はこの件に関しては、北朝鮮を追いつめることが、本当に日本にとって得策だとは思っていません。
核による攻撃を受ける可能性があるからではありません。
最大の理由は、北朝鮮を追いつめ、北朝鮮の滅亡するような事態が発生することは日本の為にならないからです。
北朝鮮が日本に核ミサイルを撃ち込むような事態は避けなければなりません。ですが、そうはならない限りは北朝鮮がこのまま存続した方が、日本にとってはプラスです。


北朝鮮が消滅し、朝鮮半島が統一されれば、朝鮮半島の人々の敵意は必ず日本に向きます。もちろん統一後しばらくは混乱が続き、そんな余裕はないでしょうが、いずれは間違いなくそうなります。
韓国での対馬に対する領有の主張は、まだ一部の人に止まっていますが、統一朝鮮では竹島に対する主張のように当たり前のモノになるかもしれません。
韓国、北朝鮮の方には悪いですが、日本にとっては、朝鮮半島は永遠に分断されているべきです。


私としては、日本で同種の主張をする人がほとんどいないことが不思議でなりません。
ドイツが統一される前、フランスでは統一ドイツに対する警戒は決して少なくありませんでした。
至って普通の考えだと思いますが、世界の常識が通用しないこの国にあっては、この主張は非常識であるようです。


さて、では北朝鮮の核実験に対してどう対応すべきでしょうか。
怯える犬ほど良く吠える、と言われます。今の北朝鮮はまさにこの怯える犬です。
北朝鮮が怯える長期的、構造的な理由としては、朝鮮半島の軍事バランスが崩れていることが挙げられます。韓国は、米軍から戦時作戦統制権の移管を受けることを望むくらい軍事的な力を付けました。一方の北朝鮮は、飢餓に喘ぐほど国力が衰退し、軍も兵力数と士気だけはあるものの、装備は老朽化し、錬度は低下していると伝えられます。
短期的には、金正日の健康が悪化し、後継者問題が騒がれる中、北朝鮮としてはこの虚に付け込まれることを恐れています。


北朝鮮が、核開発や弾道ミサイル開発に執着し、その動きを活発化させている理由は、上記のように軍事的に劣勢に立っている上、彼らの認識上では、現在が「危機」だからです。

北朝鮮に核や弾道ミサイルの開発を思いとどまらせるためには、禁輸など彼らを圧迫する措置も必要ですが、同時に彼らが感じているであろう恐怖を低下させてやる必要があります。

そのためには、長期的、構造的な原因である軍事バランスを取り、国際社会が北朝鮮の生存を認める姿勢を示す必要があります。
具体的には、朝鮮半島に広範な軍備管理を導入し、特に韓国の軍事力を制限する必要があります。
これは同時に、竹島や対馬に野心を燃やす韓国を規制する結果にも繋がります。


一般的に、北朝鮮はその存在自体が望ましくないと考えられているため、北朝鮮の永続を助長させるような選択肢はほとんど考慮されません。ですが、日本の防衛のためには北朝鮮の永続はむしろ望ましいことです。この認識に立てば、北朝鮮を永続させる方策は採用を検討すべき選択肢です。


事実上、韓国の軍備制限となる朝鮮半島への軍備管理を導入するためには、最大の問題はやはり韓国の説得です。日本独自に主張しても受け入れてもらえる可能性はゼロです。
アメリカから圧力をかけてもらう以外、方法はありません。しかし、今のところ、アメリカでも強行な主張が多いようで、軍備管理を進めるような発想は聞こえてきません。
また、韓国以外では北朝鮮の人権問題が障害となるでしょう。オバマ政権も民主党ですから、基本的に人権問題にはうるさく、抵抗があるかもしれません。
その一方で、中国は飛び付いてくるかもしれません。


いままで北朝鮮に対するアメは、エネルギーや食料の供給に限られて来ました。
しかし、国の生存が脅かされていると感じている内は、彼らが核やミサイルの開発をやめることは決してありません。
軍事的な問題には軍事的な措置が必要です。

2009年5月24日 (日)

北朝鮮によるミサイル発射について防衛省が発表

5月15日、防衛省が先日行われた北朝鮮による「弾道ミサイル」発射に関連して、2つの発表を行っています。
一つは「北朝鮮によるミサイル発射について 」、もう一つは「北朝鮮のミサイル発射に係る防衛省の情報伝達について 」です。

「北朝鮮によるミサイル発射について」の内容は、これまで随時出してきた情報をまとめただけというものに近く、ほとんど新たな情報はありません。
多少なりとも新味のある情報は、第三国から資材・技術の流入などがあった可能性も指摘した点と1段目ブースターの推進剤が液体燃料だとした点の2点程度です。
防衛省発表に対して、メディアが注目した点もこの2点に集約されている感じです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090515-OYT1T00206.htm
http://www.asahi.com/national/update/0515/TKY200905150123.html
読売と朝日の両紙で面白い違いは、第三国として読売が「イラン、パキスタンなど」としたのに対して、朝日は「中国、ロシア、イラン、パキスタン」としていた点です。
北朝鮮の弾道ミサイル開発に対して、中国やロシアが現在も協力しているとは考えにくいのですが、朝日がどんな意図でこの2カ国を入れたのか気になります。

第三国からの技術流入、第1段ブースターの推進剤とも、当然ながらアメリカと情報の摺り合わせも行った結果でしょう。特に第三国からの技術流入に関しては、日本独自ではほとんど情報収集が困難な内容です。

第1段ブースターの推進剤については、防衛省の発表では、燃焼の火炎状態等から単に液体燃料であるとしていますが、野木恵一氏は、軍事研究誌最新号(6月号)に掲載されている記事中で、推進剤は予想されていたヒドラジン系ではなく、ケロシンとガソリンの混合物ではないか、と書いています。(野木氏の分析根拠は、北朝鮮が公開した弾道ミサイル発射シーンの噴射炎の色からです。元素は燃焼時に特定の波長の光を多く出すことから、炎の色から燃料の種類が分析できます。)
推進剤がヒドラジン系ではないかと予想されていた大きな理由は、北朝鮮は入手したスカッドC(ヒドラジン系推進剤)を弾道ミサイル開発のモデルとしたと思われていたからです。
ケロシンが燃料だったスカッドは、最も設計の古いスカッドAだけですが、野木氏はこのスカッドAの技術がソ連から北朝鮮に渡り、北朝鮮の弾道ミサイル開発の元になったと考えているようです。
ほとんど勘ぐり過ぎかもしれませんが、朝日新聞が、野木氏並みの分析能力を持っているとはとても考えられないので、もしかすると防衛省とアメリカも野木氏と同じ考えを持ち、これが朝日に漏れ伝わったのかもしれません。

今回の情報だけで、推進剤の種別に結論を出すことは危険かもしれませんが、もし北朝鮮がヒドラジン系に比べて推進力に劣り、技術的には古いと言えるケロシン系の推進剤を採用しているとしたら、弾道ミサイルとして実戦的能力を獲得し易いという考えから、扱い易い推進剤であるケロシン系を選択した可能性も考えられます。(ヒドラジン系の燃料は腐食性や毒性があり扱いにくい)
この点からも、北朝鮮は何らかの物体を衛星軌道に投入しようとしていたと思われるものの、今回の行為により「弾道ミサイルの性能の向上のために必要となるこれら種々の技術的課題の検証等を行い得たと考えられる」と防衛省が分析していることは肯ける話です。

今回の防衛省の発表で問題のある点は、第1段ブースターを切り離した後の飛翔体が日本の東1270kmに落下すると予測した点について、なんらのコメントも行っていない点です。これについては防衛省発表は次の通りに書いているのみです。
「「落下物2が11時43分頃日本の東、約1270kmの太平洋上に落下すると予測された。(11時38分の時点)」と発表した件については、そのような落下は確認されていない。」
この件については、以前の記事「コースティング 」に書いていますが、状況によっては誤った迎撃をすることになった可能性もあり、発射前日の誤報問題なんかより遥かに重要な問題であるはずですが、防衛省は今のところダンマリを決め込んでいるようです。

防衛省が発表したもう一つの「北朝鮮のミサイル発射に係る防衛省の情報伝達について」は、発射前日の誤報について人為的ミスであったことを書いているだけです。
これに関しては以前の記事「誤報の原因と課題 」でも書いてますし、新たにコメントすることはありません。

なお、このちょうど良いので、この機会に訂正を書いておきます。
以前の記事「破壊措置命令-展開部隊 」と「破壊措置命令-PAC-3配備について早速訂正 」で、首都圏に展開したPAC-3部隊について、第4高射群の高射隊を含めて5個高射隊と書いていました。
ですが、浜松の高射教導隊が機動した報道はあるものの、岐阜の部隊が機動した報道は全くなかったので、高射隊に関しては、首都圏には第1高射群の4個高射隊のみが展開していたようです。

2009年5月22日 (金)

ロクサナ・サベリ問題と日本の外交的能力

あまり大々的に報道されてはいませんが、イランで拘束され、スパイ行為の罪で訴追された結果、一旦は禁固8年の刑を言い渡されていた日系アメリカ人(アメリカとイランの2重国籍)女性ジャーナリスト、ロクサナ・サベリさんが控訴審の結果、禁固2年執行猶予5年となり、釈放されました。
http://www.asahi.com/international/update/0512/TKY200905120402.html


これは司法判断というより、政治的な判断が強く働いた結果です。
もっとも、彼女はスパイ行為で訴追されたとは言っても、とてもスパイ行為とは言い難い記者証未発行状態での取材活動が訴追の理由でしたので、そもそもが政治的な拘束だった訳ですが、イランが大統領がオバマ大統領に変わった米国との関係を重視したこと、そして日本からの働きかけを受けて政治的決断により、釈放となりました。


日本の行った働きかけについては、読売がちょっとだけ報じています。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090503-OYT1T00568.htm?from=nwla
この中では、中曽根外相が「公正かつ寛大な措置」を求めたと伝えられる程度ですが、イランのエッテマーデ・メッリー紙によれば、彼女の母親が日本人であることから、日本政府は人道問題上の見地からこの問題をフォローしてきており、イラン外相は、控訴審は公正さと人間的憐憫にもとづいて行われると述べた、と言うことです。
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=16347


日本の外交能力については、殊更低い低いと言われてますが、八方美人とも言われる全方位外交は、米国が影響を行使し難い国に対しても外交能力を発揮できる、とも言えます。
対イランなどはその典型で、日本の場合、エネルギー政策上強い関係を持たざるを得ないという理由もあるのですが、長年そう悪くない関係を続けてきています。

この件についても、その効果が発揮されたと見てよいでしょう。米政府高官が、解決に向けて「日本政府が積極的な役割を果たした」と語ったとも報じられています。
http://www.asahi.com/international/update/0512/TKY200905120060.html


日本としては、北朝鮮と比べればイランの核問題については関心が薄いものの、アメリカは、これを非常に重視しています。
この件について中曽根外相がイランのモッタキー外相と会談した際にも、イランの核問題についても話がされていますが、イランに対しては、日本は相応の外交的能力を持っており、しかも日本の安全保障上のパートナーであるアメリカは、その事の価値を高く評価します。
下世話な言い方をすれば、これはポイントを挙げるチャンスであり、日本が本当に必要とする対北朝鮮問題に関してアメリカの関与を引き出すバーターとしても使えます。
チャンスは活用しましょう。

2009年5月19日 (火)

防衛相は問題発言しろ!

防衛相が、先島への自衛隊部隊配備について、今後検討すると発言しています。
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-04-29-M_1-002-1_005.html?PSID=a943ddd335dff2613303c08eb59f565e


先島への部隊配備については、このブログでも何回か取り上げています。
離島防衛を考えた時、極めて重要で早急に取り掛かるべき事だと認識していますが、今回のニュースに限らず、一つ気になることがあります。
それは、竹島や対馬での対韓国離島問題と比べて、国民一般の関心が極めて低いと思わざるを得ないことです。


今回の件については、発言に対する反応を含め、現地では非常に大きな関心を集めています。(総じて反対の姿勢ですが)
http://www.y-mainichi.co.jp/news/13538/
http://www.yaeyamanippo-news.com/diary.cgi?no=2051&continue=on
ただし、沖縄の主要2紙の内、どういう訳か琉球新報の方は、この関連ニュースをほとんど伝えておらず、唯一別のニュースの中でちらっと触れているだけです。(沖縄県民も、むしろ賛成している人が大勢だとでも見たのでしょうか?)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-144635-storytopic-3.html


一方、全国紙での報道は私が探した限りでは皆無です。
この状況は、対馬や竹島に対して政治家による発言があったケースと比べると余りにも差があります。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081129/plc0811291858008-n2.htm


こんな状況が続けば、中国は「沖縄は取れる可能性が高い」と認識するでしょう。
浜田防衛相は予想に反して爆弾発言を飛ばしませんが、この問題については父親を見習って一発ぶち上げて欲しいものです。

2009年5月17日 (日)

笑えるニュース

軍事ネタとは言えませんが、あまりに笑える話がありましたので紹介しておきます。

海自による海賊対策に反対していたピースボートが、ソマリア沖・アデン湾を通過に際して、海自艦船による護衛を受けたそうです。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090514/plc0905140140001-n1.htm


ピースボートは、産経のニュース中では「社民党の辻元清美衆院議員が早稲田大在学中の昭和58年に設立。船旅は寄港地のNGO(非政府組織)や学生らと交流を図ることなどを目的としている」と書かれていますが、私の認識を一言で言えば、左翼思想による少年少女洗脳ツアーです。


彼らは、海自による海賊対策に反対する以上、危険を認識するなら時間がかかっても喜望峰回りのルートを選択するべきです。彼らには自らの主張に矜持も何もないのでしょうか。

左翼の活動家は、自らの主張が世間には通用しないことが分かっていながら主張しているのではないか、と思える場合がありますが、この件では彼らもそれを実感したのではないでしょうか。


この件を受けてのことなのか分かりませんが、ピースボートのHPには海賊対策については何も書かれていません。
http://www.peaceboat.org/index_j.html
せっかく青少年に世界を体感させているのですから、せめて今回の参加者に対しては、海自による護衛を受けていることをしっかり説明してもらいたいものです。(おそらく何も説明しないのでしょうが)それでこそ、世界の現実が解るってものです。


ピースボートに限らず、左翼活動に参加すると就職などで明らかに不利になります。(仕事そっちのけで組合活動をする人間を誰が雇うでしょうか)
彼らは、参加者に不利益を与えているのですから、このぐらいの勉強はさせて欲しいと思います。


このニュースは、ネットでも相当に話題になっており、ピースボートのHPが一時閲覧不能になっていたほどです。
ネットでの話題を総括してみると、良い笑いものと言ったところですが、これで彼らの矛盾が広く認識されることになれば、良いニュースと言えるのかもしれません。

2009年5月15日 (金)

スパイラル・アプローチ

軍事研究誌の先月号(5月号)に、イラク人道復興支援派遣輸送航空隊(第16期)隊長だった北村1佐のインタビューが載っていました。

この中で、派遣空輸隊がイラクでの着陸の際、スパイラル・アプローチを行っていたことについて触れられています。


このスパイラル・アプローチについては、派遣が終了した後に報道され、多少の話題となりましたが、ネットで調べてみると、平成15年の石破防衛庁長官(当時)の会見にも出ていますし、16年の「防衛人事審議会職員処遇問題部会議事録」という資料にも載っています。
http://www.mod.go.jp/j/iraq/kisha/1218.htm
http://www.mod.go.jp/j/delibe/jinji/gijiroku/shokuin/gimo10.pdf


このスパイラル・アプローチは、新聞報道されていた内容では、飛行場の直上から、螺旋状に旋回し、着陸するというものでした。
このようなアプローチ方法が採られる理由は、地上兵力による空港周囲の安全化(MANPADSを打たれないよう、ゲリラなどが空港に接近しないようにすること)が空港周辺の6kmであるため、MANPADSの脅威の及ばない細い円柱状の空域内を降下するためだと報じられていました。(新聞は見たものの、今改めて資料が見つからず記憶で書いているため、新聞の書き方とは若干表現が異なっているかもしれません。)


インタビューの中では、スパイラル・アプローチとは、螺旋階段のようなものではなく、MANPADSの脅威範囲を至短時間に抜けるためのアプローチ方法だと言われています。
「滑走路の上からアプローチしていってサッと切り返して、スッと着陸する(公園にあるようちょっと複雑な滑り台のような軌道)とでも言ったらいいでしょうか・・・」と書かれており、コンバットピッチのようなものがイメージされます。
螺旋状という訳ではなく、MANPADSの脅威範囲を速やかに抜けるための急角度の降下と急旋回ということです。


ですが、このアプローチ方法が検討された当初は、本当に螺旋階段のようなアプローチが検討されていました。
このアプローチ方法が誰かの発案だったのか、あるいは米軍からのサジェスチョンだったのかは知りません。

ですが、派遣前は多聞に実験的なアプローチ方法として検討されており、硫黄島などで行われた事前準備の中で、検討の結果、北村1佐が述べているようなアプローチ方法になって行ったのです。
その理由としては、やはり何度も旋回しながら螺旋状に降下することが、安全面などで現実的ではないからです。

スパイラル・アプローチを採用することによって脅威を回避できるような印象もあるかもしれませんが、実際には派遣航空輸送隊は危ない橋を渡っていました。


また、インタビュー中にも触れられていない事ですが、考えてみれば簡単に分かる重要なことが一つあります。
それは、スパイラル・アプローチが螺旋状に降下するものだとしたら、その意図はPANPADSからの脅威に対して、安全化された空域内を飛行して輸送任務を行うことにあるわけですが、着陸した後には離陸もしなければならず、その時には、同じ発想の戦術が全くもって実施不可能だということです。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、輸送機の飛行性能では、狭い範囲を旋回しながら上昇するなんてことをしたら、いつまで経っても安全な高度に到達しない、ということです。
ゲリラ側としては、着陸後1時間程度で離陸することも分かっていますし、むしろ離陸時の方が狙い易いのです。


インタビューの中では、ランダム・スティープ・アプローチ(軍事研究誌では「スティーブ」となっていますが、これは誤植です)を行っていたことも述べられていますが、上昇時も、ある程度はランダムではあるものの、戦闘機のようなハイレート・クライムができるはずもなく、スティープ(急角度)にはなりきりません。
地上部隊がいくら努力したところで、空港周辺の民家もある範囲を含めて完全に安全化することなどできるはずもありませんし、MANPADS回避の手段が、ほとんどフレアしかないと言える上昇時には、相当に危険が高い状態でした。


派遣されていた方々には、改めて「お疲れ様でした」と言いたいと思います。

2009年5月10日 (日)

日本独自の早期警戒衛星2

ブログ「週刊オブイェクト」様が、「日本独自の早期警戒衛星を導入すべきかどうか 」という記事を書いています。

この記事は、国防族議員の先生方が日本独自で早期警戒衛星を整備しようと活動していることに対して、毎日新聞が疑問を呈していることを取り上げたものですが、記事内容だけでなく、タイトルまで以前に私が書いた「日本独自の早期警戒衛星は不要だ! 」に良く似ています。
別に盗作だと言うつもりは毛頭ありません。早期警戒衛星がどういうもので、日本にとって何が必要で、かつ何が可能かを「ちゃんと」考えれば、当然同様の回答になると思っています。

国防族議員先生の単純な思考に対して、ブログの閲覧者数からすれば百倍以上(実際凄いヒット数です)も影響力のあるブログで、同様の内容で熟慮を求めることをして頂けることは、むしろうれしいことです。

内容としてはほとんど一緒なので、異論と言うほどのものは結論部分くらいです。
私としては、以前の記事にも書いたとおり、JSF氏も言及しているSTSSの配備に日本が関与してゆく案が最も妥当で現実的だと考えています。
AIRBOSSは、果たして実用に耐えるモノになるか不透明ですし、北朝鮮には有効でも中国、特に中国の内陸から発射される弾道ミサイルには限定的な能力しか発揮できないでしょう。
そして、それ以上に、運用の現場に居た者としては、運用に困難が予想される監視手段というのは、骨が折れるのでできれば避けたい。

BMDについては、監視能力も迎撃能力も手に入れ、「後は早期警戒能力さえあればアメリカに頼らなくて済む」というのが先生方の感覚なんでしょうが、自前でなくても良い部分は、無理して自前で整備する必要はありません。
まあ、BMDの能力整備については、防衛省ではなく、ほとんどが政治主導で決定がされてきたことなので、先生方を批判することは恩を仇で返すようなもので気が引けるのですが・・・

2009年5月 9日 (土)

自衛隊による防疫活動

先日の記事「豚インフルのパンデミックに自衛隊の出番は?」に対して、さむざむ。氏から今年の予算からパンデミック対応関連予算が消えた内情などについてコメントを頂きました。

コメントで返すことが本来でしょうが、内容が深くなるので、記事にすることにしました。
頂いたコメントの細部については、先日の記事をご覧下さい。

自衛隊が防疫活動を含む災害派遣を実施するにあたっては、「災害派遣の3要件」と言われるものを満たしている必要があります。
この災害派遣の3要件とは、「公共性」「非代替性」「緊急性」の3つです。
この内で、「非代替性」以外はなんとなく理解できるでしょう。「非代替性」とは、平たく言えば「他に有効な手段がない」という事です。
例を挙げると、行方不明者が出た場合、まずは警察が対処すべき事なので、警察が余力がある状態では非代替性も満たしていないということになります。
なんとなく災害派遣できそうですが、この「非代替性」を満たしていないということから災害派遣が行われていない例としては、移植用臓器の輸送なんかもあります。この場合、民間機のチャーターなどにより迅速に輸送する手段がないとは言えないため、災害派遣はできないという訳です。

縁あって、災害派遣の担当者となったことが何度かありましたが、実際に派遣の打診を受けながら、この3要件を満たしていないことから断ったケースもありました。
伝聞として聞いた話も含め、派遣の打診を断ったケースでは、やはり自治体等の担当者が、この「非代替性」を十分理解していないと思える事が多数でした。

さて、なぜこの3要件について書いたかと言うと、今年度予算の概算要求に載っていた予算項目「新型インフルエンザのパンデミック対応」が、実際の予算案から落とされた理由が、この「非代替性」に問題があったからだ、というお話だったからです。
「防疫」は本来厚生労働省の仕事で、厚生労働省関係の機関に同様の予算を付けるより先に防衛省に予算をつける事はおかしい、ということでしょう。
ただし、これは理由というより、建前のようです。要は、厚生労働省が自分の領分を防衛省に犯されることを懸念した、というところにあるようです。

私の考えとしては、防衛省が「非代替性」に問題があるからと言って、この新たな予算項目を削る必要はないと思っています。
というのも、以前は災害派遣は自衛隊の「本来任務」ではなく、「付随的な業務」でしたが、現在では自衛隊法の改正により「本来任務」の一つとなっているからです。
もともと、災害派遣の実施にあたり、前記の3要件が求められた主旨も、災害派遣が自衛隊の「本来任務」ではなく、「付随的な業務」であり、「本来の任務に支障のない範囲でやれば良い業務」だったからです。
しかし現在では、災害派遣も「本来やるべき仕事」となっています。当然、必要な投資は行ってしかるべきモノです。防疫に関しては、主担当が厚生労働省であることは疑うべくもないですが、防衛省・自衛隊も関与してゆく根拠(自衛隊法改正による災害派遣の本来任務化)は出来ていると思うのです。

災害派遣の3要件が、派遣に当たって求められなくなったという話は聞きません。ですが、主旨を考えれば厳密に3要件を満たしている必要はなくなったはずです。
実際に、3要件を厳密に適用しないことは、災害派遣が本来任務とされる以前から流れとして定着している感がありました。
これは、地域との関係を重視する陸自に顕著で、私が現役自衛官だった頃にも「ホントにコレを受けたのか?」と思うような災害派遣要請を受け(基本的に事前に打診があり、派遣を受けるとなった時に、初めて派遣要請が出される場合が普通)、派遣している事が良くありました。

この流れのエポックとしては、雲仙普賢岳における災害派遣があります。雲仙での災害派遣では、消防の活動が限界とは言えない状況で、つまり「非代替性」が怪しい状況で災害派遣が実施されています。
この件については、「自衛隊の災害派遣について知ることのできるページ」様のコチラ のページを覗いて見てください。

この雲仙のケースに限らず、実際に3要件が怪しい状況で災害派遣を行っている訳ですから、自衛隊が災害派遣として防疫を行う装備を買っても建前上でも問題ないはずです。

問題は、政府が行う防疫活動の内、自衛隊がどのあたりを行うか、という点かもしれません。
この辺は、「災害派遣なんか自衛隊の仕事ではない」という意見の方もおりますし、汚れ仕事ばかり押し付けられるケースが多いことから、異論も多いと思いますが、私は汚れ仕事(感染した家畜の処分など)をも主体となって動くつもりで良いと思っています。
検知や指揮は厚生労働省所轄の機関が行い、消毒薬の散布などを含めて自衛隊が行うという分担で良いのではないでしょうか。
交通統制などによる汚染地域の封鎖などは、アメリカでは軍が行いますが、日本の場合は市民が銃を持ち出してくることはありませんし、一般市民に対して強圧的になることに慣れている警察が行った方がスムーズなような気がします。

ただし、自衛官が汚染地域に入ることになる訳ですから、装備も抗ウイルスマスクやディスポーザブル防護衣程度ではなく、空気呼吸器を供えた完全気密型の防護衣を備え、教育訓練についても十分に行っておく必要があるでしょう。
そして、そこまで行っておけば、炭疽菌などの生物兵器による攻撃やテロが行われても対処できるはずです。

とりあえず装備がないと出来ることは限られてしまいます。
来年(22年度)は、買いましょう。

2009年5月 7日 (木)

レーション試食記

以前の記事「缶メシ 」で書きましたが、キッチンの奥から発掘された中に米軍のレーションがありました。
今回は、そのレーションを開けて食べてみましたので、その試食?記です。

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モノはこれ。
MENU No.23
CHICKEN WITH CAVATELLI
です。
日本語にすると、「鳥の貝巻き状パスタ添え」というところでしょうか。

コレを支給された時ですが、ダンボールの中に様々なナンバーのメニューがランダムで入っていました。
好きなメニューを選べるようになっているようですが、戦場ではケンカの元にもなりそうな気がします。いい大人が、と思うかもしれませんが、何も楽しみがない状況での食事は重要です。

製造年月日や賞味期限のような刻印がありませんでしたが、レーションなんで大丈夫でしょう。
早速開けてみます。
まずは主食から。
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パンとチーズスプレッド

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ウニみたいですが、チーズスプレッドです。
ただし、味はチーズ味ですが、食感はピーナツバターのような感じで脂っこい。
これだけで、結構おなかにきます。

続いてメインディッシュ
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BREADED CHICKEN BREAST PATTY WITH PASTA SHELLS IN TOMATO SAUSE
と書いてあります。
鳥胸肉パテの貝巻きパスタ添えトマトソース味というところでしょうか。
箱の中にレトルトパックが入っています。
右の薄い青色の袋は、加熱用のバックです。
中には使い捨てカイロのような物が入っており、水を入れると化学反応で温かくなります。

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こんなふうにインストラクションが書いてあります。
メインディッシュの箱にいっしょに入れて温めます。

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加熱中

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取り出すとこんな感じ。
戦場では、レトルトパックから絞り出してパクつくか付属のスプーンでパックから掻き出すことになるでしょう。
見た目はおいしそうですが、パテがボソボソした感じで、おいしいとは言い難い代物です。ソースは悪くない。

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箱の裏には、食事の大切さなどが書いてあります。
食べてトップパフォーマンス!

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続いていちじくバー
付け合せと言うより、これも主食っぽい感じ。
見た目よりもしっとりしており、なかなかおいしい。
いちじくと言うより、ナツメのような味でした。

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最後にデザートというか、スナックと言うべきか。
日本人には理解し難いですが、アメちゃんはこう言う物が好きですね。
チョコレートディスク付きナッツとレーズンのミックス

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ジュースも付いています。
レモンライム味ですが、あまり香りがしませんでした。

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その他の付属品など

中には
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食後のコーヒー

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調味料として、塩ととうがらし

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紙ナプキンと濡れナプキン

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最後に食後の一服用?マッチとガム

なんか、至れり尽くせりという感じです。
米軍は、戦場にもこれだけの物をもって行かせます。
いろんな意味でスゴイと思います。

2009年5月 2日 (土)

不審船?

ソマリア沖で海賊対処を行っている「派遣海賊対処水上部隊」は早くも3回目の不審船対処行動を行ったそうです。
http://www.asagumo-news.com/news/200904/090423/09042303.html

対処した艦載ヘリSH-60Kから撮影した写真が朝雲新聞に掲載されています。
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朝雲新聞より
不審船として対処したの訳ですが、コレを見ると、「不審船」ではありません。
明らかに、あからさまに異状です。
細身の船体は良いとしても、このクラスの船にエンジンを2機搭載する必要性はどう考えてもありません。ウェーキを見ても相当の速度が出ていることが分かります。
この経済性を無視した仕様は漁船ではありえず、海賊行為専用の船と判断して間違いないでしょう。

民主党がいろいろと注文をつけているため、海賊対処のための新法は未だ成立していませんが、そのおかげでこんな不審とは言えないあからさまな海賊船にも追い払うだけしか出来ていません。

今後、審議の単なる引き伸ばしは行わないようですが、法案成立には衆院での再議決が必要な見込みになっています。
民主党は社民党など野党との共闘に配慮しているようですが、彼らと手を切り、必要な法案を通すようにならなければ、政権など取れないでしょうし、取ってもらっては困ります。

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