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2009年4月29日 (水)

豚インフルのパンデミックに自衛隊の出番は?

豚インフルエンザによるパンデミックに自衛隊はこうすべきだ、ということを書きたい所ですが、現状では残念ながら出来ることはほとんどありません。

直ぐに出来ることが有るとすれば、感染地域からの在留邦人の非難を特輸隊の政府専用機を使って行うくらいです。
ですが、それさえも、要員に十分な装備や準備ができる訳ではありません。

今までも、防疫関連としては、生物兵器による攻撃が、特殊武器攻撃として想定されてはいました。
ですが、特殊武器の中では核と化学にはそれなりの配慮がされていたものの、生物兵器に対しては対処が非常に難しいこともあって、対策はほとんど採られていなかったと言ってよい状況です。
このことは、NBC防護のための部隊の名称が化学防護隊などと言う名前になっていることにも表れています。
そのため、パンデミックに対しては、それほど準備ができていないのです。

米軍の場合は、生物兵器の研究も進んでいたこともあり、映画「アウトブレイク」や「バイオハザード」にも多数登場しているように、CDCなどと連携してパンデミックに対応する能力が備えられています。
(余談ですが、アウトブレイクのネタ本と言われるノンフィクションの「ホット・ゾーン」は、オススメです。「アウトブレイク」やホラーなんて目じゃない怖さがあります)

自衛隊の場合、今年21年度の概算要求に「新型インフルエンザのパンデミック対応」として44億円を投じて能力整備する予定でした。
ところがこの項目は、その後の予算折衝でそっくり削られてしまいました。
当初「新たな脅威や多様な事態等への対応」の中に、新たな項目として入っており、「自衛隊もやっと本腰か」、と思っていたのですが、なんとも残念な結果です。
豚インフルエンザのニュースに接して、関係者は今頃歯噛みしていることでしょう。
はたして不明だったのは財務省だったのか、あるいは防衛省だったのかは分かりませんが、少なくとも今年度予算の反省点であることは間違いありません。

この消えてしまった新たな予算項目「新型インフルエンザのパンデミック対応」ですが、中身を見ると次のようになっていました。
・在外邦人輸送、国内物資輸送等
 輸送機・輸送艦等の乗員、物資輸送に従事する隊員用の感染防護衣、感染防護マスク、手袋等
・医療支援
 医療従事者用の感染防護衣、感染防護マスク、手袋等
 人工呼吸器、X線撮影装など治療・診断用器材
・自衛隊の機能維持
 感染防護マスク、抗インフルエンザ薬等

なかなか意欲的だなと思った点は、最初の輸送機や輸送艦乗員などのための感染防護装備です。
対生物、特にインフルエンザなどのウイルスに対しては、通常の化学兵器用の装備とはレベルの違う防護性能が必要です。
特に、呼吸のための装備には外気をろ過するようなマスクではウイルスの遮断がし切れないため、消防が使う空気呼吸器のような装備が必要です。
本当にそこまでの装備をさせるつもりだったのかは分かりませんが、概算要求に盛り込む以上、装着しながら航空機などの操縦操作や必要なコミュニケーションを取れる装備の選定も終っていたのでしょう。

もし概算要求の通り盛り込まれていれば、今頃緊急に納入され、活躍の場も出てきたかもしれません。
44億ほどの予算は、いきなりひねり出せないでしょうが、もし豚インフルエンザが本当にパンデミックになるような様相となれば、これらは緊急に取得されることになるかもしれません。

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災害派遣」カテゴリの記事

コメント

1 ■Σ(゚Д゚;エーッ!!
こん〇〇は多種多様な活動が日向に出ること増えたよーに感じてましたが、インフル対策は驚きです。中国、ソ連の在来型も厄介ですが未知の敵は・・・。国防、広いですね。空港に医官も出てるよーですが、大掛かりな防疫活動なく、鎮静すること願いたいですね。m(__)m
http://ameblo.jp/pegasus402/

2 ■変な事ではないですよ。
だって、自衛隊の任務に「防疫」は含まれていませんから。少なくとも明記されていない。NBC防護設備、機材といった自衛隊員等が直接被害を被り、かつ厚生管理下の医療機関では対処できない、緊急性を必要とするものに限りお目こぼしされているような状態であることを忘れてはなりません。では、今足りないと言われている防疫に対するRDFのような部隊を創設し、運用するとしても、やはり根拠となる法律があり、何処に隷属、指令を受けるのかといった部分、そして二重行政ではないか?という組織としての非効率さが指摘できます。いずれにしても無理な相談ではあります。もっと皮膚感覚的な話をさせてもううと、阪神淡路大震災時に経験した、あの近隣住民、医療機関及び地方行政組織の自衛隊に対するバッシング、サボタージュ煽動(報道されませんでしたけどね)を考えれば、創立し、運用するだけ無駄かもな。という思いは正直なところあります。

3 ■見守るばかり
ペガサス様インフル対策は国防というわけではなく、民生協力、活動根拠としては災害派遣になります。なんにせよ、これ以上拡大しないことを祈るばかりですね。

4 ■災害派遣
「防疫」として任務になるわけではないですが、災害派遣が「従たる任務」として自衛隊の「本来任務」化された事により、侵略からの防衛と公共の秩序維持だけではなく、パンデミックを含めた自然災害に対処することも、自衛隊が本来行うべき任務になりました。だからこそ、多様な事態等への対応として予算要求することもできるようになったと理解すべきではないでしょうか。実際、鳥インフルエンザに対する防疫活動も災害派遣として発令されてます。もっとも日本の場合、RDF(緊急展開部隊)のような部隊を創設するよりも、CDCのような強い権限を持った防疫のための機関を設けることが先だろうと思います。もちろん厚生労働省の下に。阪神大震災で自衛隊バッシングをしたこと、およびそれに対する批判によって、状況は大分好転したと思います。もともと近畿地方など革新政党が勢力を持っている地域以外はそれほど自衛隊感情が悪いとは思わないですが、この辺は経験で感じる部分でしょうね。

5 ■現状においては。ですが。
厳密を期すれば災害派遣というのは、本来、真にやむを得ない場合に限って適用されるもので、その判断には緊急性、非代替性及び公共性の3点から判断して派遣の可否が判断されるものです。もっとも、最近はお気楽に、自分の手を汚したくないから、それこそ便利屋気味に要請が出たりしますが。例えば96年の豊浜トンネル崩落事故の様に。あの時は駆けつけた機動隊員は何一つ手伝いもせず、ほぼ24時間体制で土砂の除去を行っている自衛隊員に対し、遅い、弛んでるとさんざ警察関係者、センセー様、当時の道庁関係者等に貶されるわ、ようやく土砂のかなりの部分が除去出来た後、お疲れとばかりに現場から放り出され、警察だけが頑張った救出ショーとして最終的に演出され、我が社の関係者ブチ切れに至った訳ですが。当時の道知事の方の影響そのままと言ってしまえばそのままでしょうけど。まぁ、こんな恨み言を言い出せばキリが無くなるのでやめますけど、今回概算要求の段階で落っことされたのは、正に真にやむを得ない場合、代替手段がない場合、という部分です。もの凄くざっくり言えば厚生労働省からの苦情が根本にあります。現時点にて任務的に可能なのは、既に防疫体制(この場合は防疫区域が指定され、消毒設備等が整った事を言います)が整った後、その中に入って手を汚す仕事(例えば鶏等の薬殺・埋設等)が依頼された場合です。ちょっと言い方が悪いかも知れないけど、お膳立ては整えた、後はあなた方が手を汚す番ですよという状態から動くことができます。個人的には、この手の仕事というのはゲリラ・コマンドゥ対処に非常に似ており、特に敵性部隊の囲い込みに匹敵するものですので、主要道路の交通規制(除毒)、エリアのヘリ等を用いた監視及び除毒剤の散布、といった初動こそ、自衛隊であるが故に可能な仕事だとは思うんですが、現実は、中々ねえ…。

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