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2009年4月14日 (火)

新聞の将来

軍事関係ではありますが、今回は少々趣の異なった記事を書きます。


ちょっと前の話になりますが、電通が「日本の広告費2008」というレポートを発表しました。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2009/pdf/2009013-0223.pdf

それによると、広告の各種メディア別の広告費は、昨年秋からの金融危機によって軒並み低下しています。
が、その中でも新聞の低下は激しく、前年度比12.5パーセントもの減少となってとなっています。
新聞広告の下落は昨年だけのものではなく、ここ数年継続している傾向です。


その最大の理由は、主にネットの普及による新聞離れだと言われています。
今やほとんどのニュースがネットで見ることができるため、新聞を買う必要はないというわけです。

もともと新聞はテレビなどと比較すると、即時性に劣る代わりに、正確で事象を深く掘り下げるところにメリットがあるとされていました。
テレビが普及した後も、そのメリットを生かして、現在まで生き残ってきたわけですが、最近では軍事を含む一部で、そのメリットさえも失われつつあるようです。


軍事は専門性の高い分野で、(特に日本にあっては)防衛記者クラブに詰める記者でも、理解が十分と言える人はほとんどいないのが実情でしょう。
その結果、記事に誤りがあるケースが珍しくないだけでなく、ニュースの意味を読み解けていない場合も少なくありません。
次の記事なんかは、その酷いケースの典型で、物理的な限界と政治的な困難と法的な限界が弁別できていません。(小川和久氏の話がおかしいこともあるが)
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090307/kor0903071801001-n1.htm


こう言った実情に加えて、インターネット、特にアマチュア記者が書くブログの存在が新聞の存在意義を脅かしています。新聞よりも、事象を深く掘り下げ、ニュースの意味を読み取っているからです。速報性の点でもブログの方が早いことも珍しくありません。


1日1万ヒットを超える化け物ブログの「週間オブイェクト」では、イスラエルのガザ進攻で使用された白燐弾の件を、新聞やニュースが記事にする前から報じていますし、内容もそれらより突っ込んだものでした。(個人に対する攻撃的な姿勢はどうかとも思うが)
http://obiekt.seesaa.net/category/909880-1.html


最近の弾道ミサイル関連を中心として、私が書いたエントリーも、その簡略版かと思えるような記事が後になって紙面に載ったりしています。(私の場合は元プロなので、同列に並べてはいけないのかもしれませんが)


インターネット先進国のアメリカでは、大統領の記者会見にもブロガーの席が設けられるほどです。

アメリカの新聞は、日本の新聞に比べ、単なる事実の報道に留まらず、事象を深く掘り下げた記事を書くことが一般的です。
そのアメリカでさえ、印刷された新聞の発行を停止し、ネット販売に注力する新聞社が出始めています。

広告収入の減少や販売部数の低迷から、新聞各社の業績は危機的だと伝えられています。記事のグレードを上げなければ、アメリカのようにネット転換もかなわず、本当に消えてゆく運命かもしれません。

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