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2009年4月 3日 (金)

破壊措置命令ー防護範囲と迎撃の適否(PAC-3編)

SM-3編からのつづき

さて、射程についていろいろと言われるPAC-3です。

ノドンクラスに対する迎撃性能については、以前の記事「PAC-3はノドンを撃墜できるか? オブイェクト記事 その1 」からその4で書いているとおり、十分な性能があるはずです。
問題はPAC-3の射程と防護範囲になります。

PAC-3の射程は20kmと言われています。
そして、PAC-3によって防護される範囲、フットプリントは、次の図のよう形になります。
資料が少々古いことと、描画条件が違うのですが、形はほぼ同じです。某ブログで、ギターのピックの形と表されていましたが、まさにそんな形です。
O0480047510160550212

射程を20kmとし、高射隊との位置関係を表した図としては、次の通りです。
O0320024710160550215

実際のフットプリント(防護範囲)としては、各高射隊を基点として、弾道ミサイルの飛来方向に対して、次の図のような形、距離の防護範囲となります。
ランチャーファーム(リモートランチを利用した発射機ユニット)の場合、レーダーが直近にないので、フットプリントは少し小さくなるでしょうが、やはりランチャーファームを基点としてフットプリントが描けます。

新屋演習場
O0480035210160550226

岩手山演習場
O0480035210160550233

朝霞駐屯地
O0480034610160550245

習志野演習場
O0480034510160550264

市ヶ谷駐屯地
O0480034510160550272

入間基地
O0480034510160550276

首都圏全体(入間あり)
O0480034510160550285

首都圏全体(入間なし)
O0480034510160550292

首都圏での防護範囲は、十分とは言えないものの、十分に意味のあるものになっています。
今後は、高射隊だけでなく、リモートランチ端末の取得も今年度(21年度)にも続いてゆくので、防護範囲はさらに拡大させてゆくことが可能でしょう。
一方、東北の方は、もう少し適切な展開地が無かったのか、と思える防護範囲になっています。
ただ、今回のことはなにぶん急でしたし、関東と違って、秋田や岩手に関しては、事前の陣地偵察や調整なども出来ていなかったでしょうから、とにかく自衛隊の管理する土地で広い地積の確保できる場所、ということで両演習場が選ばれたのだと思われます。
今後は、破壊措置命令でも陣地構築ができるよう自衛隊法の改正も視野に入れなければなりませんし、せめて防衛省以外の官庁が管理する土地も使用できるよう、官庁間協力を進める必要があります。

なお、複数の部隊が入っていると思われる習志野、朝霞では次のような範囲になるんじゃないか、と思われる方もいるかもしれませんが、フットプリントは弾道ミサイルの飛来方向に対して描けるものなので、あくまで上の図ようなフットプリントになります。
O0320023010160550300

また、この図を見て「私の家はギリギリ入ってない!」と思う方もいるでしょうが、多少外れているだけなら、迎撃できる可能性はあります。
と言うのも、このフットプリントはあくまで有効射程(通常80%程度の十分に高い迎撃確率が得られる範囲)を元にしたものですので、確立は低くなるものの、図示した範囲外でも防護される可能性はあるからです。
また例えば、迎撃確率が50%しかないような地点でも、2発のミサイルを同時あるいは連続して射撃すれば、撃墜確率は75%になります。

次に、迎撃の適否について考えて見ます。
今まで何回も書いてきたとおり、破壊措置命令を発出し、PAC-3部隊を展開させることは実施するべきですし、実際そのようになりました。
ですが、PAC-3によって実際に迎撃を行うことについては、懸念もあります。
その理由は、一言で言えば、命中しない可能性がかなりある、ということです。

「今まで迎撃可能だと言って来たじゃねえか!」とおっしゃる方も多いでしょう。
目標がまともな弾道ミサイルなら、迎撃は十分に可能なはずです。
ですが、今回迎撃することになるターゲットは、あくまでまともに飛ばなかったミサイルです。「破壊措置命令ー日本に飛来する可能 」で書いたとおり、目標は異状の発生した第2段ロケット以上の部分です。本来、この状態で大気圏に再突入することは意図(設計)されていませんし、突入の際の姿勢も先端部を先にしてはいない可能性が高いでしょう。
突入の際に空中分解したり、弾体が歪む可能性も高いと思われます。
当然、弾道は不安定で、不規則に変化することになります。

これと同種の現象は、イラク戦争においても発生しています。イラクが急造したアルフセインミサイルは、空中で分解したり歪んだりした結果、PAC-2パトリオットによる迎撃は失敗しているのです。

もしPAC-3による迎撃を行いながら、迎撃に失敗した場合、北朝鮮や左翼活動家などの格好の宣伝材料となってしまいます。

PAC-3での迎撃は、人口稠密地でのみ実施すべき(着弾地点が岩手山麓や、秋田の海岸ならスルー)だと思いますし、射撃する場合は、それこそ1目標に5発くらいのPAC-3を叩き込むつもり(2FUが展開している場所なら可能なはず)でいないと、逆効果になりかねません。

最後に、Xデーが、いよいよ明日に迫りました。
現役自衛官の方々のご健闘を祈念致しております。

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