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2009年3月23日 (月)

狼が来たぞ

3月19日付読売新聞に医療アラームの聞き逃しによる事故が多発しているという記事が載っています。

記事の主旨は、設定の不備などにより、医療アラームの「無駄鳴り」、つまり誤警報が頻発し、そのことに慣れてしまった医療スタッフが、本当のアラームに気が付かずに事故が多発しているというものです。

このニュース自体は、軍事とはなんの関係もありません。
ですが、誤警報によりシステムが機能不全に陥るということは他山の石として参考になるものです。
同種の話としては、以前にも「日本独自の早期警戒衛星は不要だ! 」に挙げた早期警戒衛星による弾道弾監視にも同じこと言えます。

現役自衛官時代に、ある警戒警報装置の試験に携わりました。
この装置は試験的に導入されたもので、1個部隊分しか無かったのですが、これを実地に運用させ、その効果を確認しようとしたのです。

その結果、年間数千回にも及ぶ誤警報が発生することが分かりました。
このデータを見た時、結果自体にも驚いたのですが、試験前には誤警報確率がそれほど高いとは思っていなかったため、あらためて感じた自衛官の真面目さにも驚きました。
担当としてオーダーした訳ではありますが、1日数十回に及ぶこともあった誤警報(時間や場所)を、試験担当部隊は逐一記録してくれたのです。(○空団○○小隊のみなさん、ありがとうございました)

幸いなことに、このデータを受け、その警報装置がそのまま導入されることは無かったのですが、もし本格的に導入されていたらどうなっていたでしょうか。
1日に数十回も誤警報が発生し、逐一反応していたら、部隊は疲弊してしまいます。導入当初はそうなるでしょう。ですが、しばらくすれば「どうせまた誤警報だ」という思い込みが発生し、警報をまともに取り合わなくなることは間違いありません。まさに、記事に在る医療事故と同じ事が起きるということです。

探知確率がいくら高くとも、警報システムは、誤警報確率を一定水準以下に抑えなければその機能を果たしません。また、誤警報確率がスペックに記載されない事も珍しくありません。ですが、警戒警報装置の導入に当たっては、極めて重要な要素です。

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コメント

1 ■これって面倒な話です。
警備用の警報装置もそうなのだけど、誤報も困る。だけど(センサー感度等の低下により)失報も困る。この辺の案配を決めるのは設計上、多大な苦痛であったりします。

論理をORにすると誤報しやすい、けれどもANDにすると失報の恐れがという感じで、結局は論理回路以前の部分で高度なアナログ処理をしなければならず、何処がデジタルなんぢゃあああ、最終段だけぢゃねえかああっとセルフ突っ込みが入ること沢山ありました。

確度向上ってホント面倒です。

2 ■だろうとは思っていたんですが
最終段のみデジタルですか、全部アナログの方が作りやすそうですね。

私は使う方でしたので、作ることは大変なんだろうな、とは思っていましたが、基本的に文句を付けるだけでした。
ですが、ゼロになることもありえないものなので、そこは運用者でも斟酌する部分です。
最終的には、(誤警報に文句をつけないで)「とにかくやれ」と言ってました。


http://ameblo.jp/kuon-amata/

3 ■最近ならば…
ADCでアナログ信号をデジタルストリームに変換し、処理できるようになりましたけどね。でも、やってることがスレッショルドを超えたかどうかとか、スレッショルドを単位時間当たり何度超えたか、とか、困った事にやってることがアナログと大差無かったりします(笑

今だと失報は限りなく0に出来るけれども、遅報が生じるレベルかな。当たってから撃ってきましたと警告するような感じで:D

もっとも、そういうシステムを基本とした上で出来る限りタイムラグが生じない様にチューニングするのが最近のやり方ではあるのですけど。

4 ■マンマシン
かなり良くなって来ているみたいですね。

その分マンマシンインターフェースの作りこみは難しくなってくるかもしれませんね。


http://ameblo.jp/kuon-amata/

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