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2009年3月 5日 (木)

不沈イージス艦「日本」

北朝鮮による「人工衛星」打ち上げ準備に対して、アメリカは迎撃発言をするなどセンシティブな状態になっています。

これは、日本列島を震撼させた97年の弾道ミサイル発射に対して、韓国が非常に落ち着いていたことと同じ構図です。
97年当時でも、韓国は北朝鮮が以前から実戦配備していたスカッドや、ソウルなどは野砲の射程にさえ入っていたため、さほど脅威の変化はなく、慌てることはありませんでした。
今回の場合、日本は既にノドンの射程内にあり、テポドンが開発されたとしても脅威の変化はさほどでないことに対して、ミサイルを撃ち込まれるようになるかもしれないアメリカは、ヒステリックにさえ見える状況となっています。

その結果、アメリカの対外政策における日本の重要性が増しています。
先頃クリントン国務長官は、最初の外遊先として日本を選びましたし、オバマ大統領がホワイトハウスに招く最初の外国首脳として、麻生首相が選ばれました。

報道では、日本重視の理由として、経済的な側面ばかりが取り上げられましたが、軍事的な側面も強いのです。
北朝鮮の弾道ミサイルからアメリカを守るためには、日本の協力が重要なのです。

北朝鮮からアメリカ西海岸に向けて弾道ミサイルが飛翔する場合、ロシア沿海州からカムチャツカをかすめるように飛ぶルートを採ります。東海岸の場合は、シベリアを縦断する形になります。
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(ピョンヤンを中心とした正距方位図法)(NIJIX ANNEXより)

北朝鮮による弾道ミサイル発射の直後から正確な位置を捕捉するためには、日本の北部は都合の良い位置にあるわけです。
というより、アメリカとしてはロシアの協力が期待できない以上、日本ないしはその近海から監視網を構成できなければ、いくらGBIがアラスカやカリフォルニアに配備されていても、迎撃はおぼつきません。

現状の監視網では、青森県の車力には米軍が持ち込んだレーダーAN/TPY-2レーダーがありますし、コブラボールは嘉手納から監視飛行を行っています。日本近海で行動する米海軍艦艇にとっても、横須賀や佐世保での補給は重要です。
そして、何より重要なのは、今後はFPSー5やFPSー3改がとらえたデータを、JADGEを経由して入手できることです。(BMD統合任務部隊の指揮所となるCOCは、在日米軍との共同統合運用調整所と一体化します。)
また、北朝鮮がICBM級のミサイルを実戦配備するとなれば、ABLの発進基地として在日米軍基地が使われる可能性は高いですし、集団的自衛権行使の問題がクリアーされれば、稚内あたりにGBIを配備するなんて話が出てきてもおかしくはありません。
(イランに対するポーランドの位置と比べると、稚内でも北朝鮮に近すぎるが、これより遠くでGBIが設置可能な場所となると、アメリカに近くなりすぎる。特に東海岸)

公開している小説中でも書きましたが、北朝鮮の弾道ミサイルがアメリカに直接の脅威となる時、日本はアメリカにとって不沈空母ならぬ不沈イージス艦となる運命にあるのです。

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