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2009年3月 2日 (月)

「弾道ミサイル等の破壊措置命令」予想

北朝鮮による「人口衛星」の発射が迫っていると思われるので、今回は発令されるかもしれない「弾道ミサイル等の破壊措置命令」の内容を予想してみたいと思います。
なお、以前の記事「北朝鮮がミサイル?発射準備-日本に出来ること」とダブる部分がありますが、ご了承下さい。


命令は、自衛隊法82条の2(第1項)に基づき防衛相が発令します。(3項による緊急対処ではイージスが使えないため、第1項による命令が発令される)


航空自衛隊の航空総隊司令官に対しては、BMD統合任務部隊指揮官として、指揮下の警戒管制部隊と高射部隊、そして統合任務部隊に組み込まれる海自の海上構成部隊を指揮して、我が国に飛来するおそれのある弾道ミサイル等を破壊(迎撃)することが命じられます。
海上構成部隊に対するエアカバーを行うため、戦闘機部隊を統合任務部隊に含む可能性も否定できませんが、戦闘機は(航空方面隊司令官を通じて)総隊司令官の権限で、運用できるため、必ずしも含まれないでしょう。(対領空侵犯措置の範疇で行動させる)(内規で含まないことと定められている可能性もある)


海上自衛隊の自衛艦隊司令官に対しては、BMD統合任務部隊指揮官に対して、指揮下にある艦艇を差出し、指揮を受けさせることが命じられます。
イージスが差し出される事は間違いありませんが、イージスを護衛するため、他の護衛艦も併せて差し出されると思われます。ただし、イージスに対する水上や水中からの脅威(今回の場合、そんなものがあるとは思えませんが)に対して、航空総隊司令官が適切な指揮を行えるか否かには疑問もあります。そのため、統合任務部隊の指揮所となるCOCに指揮要員として幕僚が派遣されるでしょう。
また、他の護衛艦は自衛艦隊の指揮下のまま、自衛艦隊司令官がイージスの護衛を行う可能性もあります。
ですが、BMD任務中でもイージス自体の自衛能力が相当にあるため、他の護衛艦が自衛艦隊指揮下のままでは、船頭多くして船山を登るのことざわの通りになりかねません。
やはり、イージスと一体に統合任務部隊に差し出されると思われます。
(防衛省の資料を見ても、イージスではない艦艇も描かれています)


「弾道ミサイル等」の定義が「弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう」とされているため、破壊(迎撃)を行う対象には、弾道ミサイルはもちろん、そのブースターや、北朝鮮が言うとおりの人工衛星でさえ含まれています。当然、未確認でも良いわけです。

ただし、「我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるとき」と決められているため、いくら腹立たしくても、衛星軌道に乗るものや、日本列島を大きく越えるものは何であれ(アメリカに向かう弾道ミサイルでも)破壊できません。

そのため、捕捉した目標の緒元(位置、方位、速度等)を常にモニターし、着弾予測地点を計算しておかなければなりません。(弾道ミサイルは、その名のとおり弾道軌道を描くため、着弾地点は目標諸元から計算できる。)
この着弾予測をどこで行っているかは公開されている情報が見当たりませんが、JADGEなどの指揮統制システムが行っていると考えるのが妥当です。(イージスやパトリオットのシステムも当然にその機能は持っている)


また、破壊(迎撃)を行う場所については、「我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において」とされているので、今回の場合では、北朝鮮ないしは韓国の領空でなければ良い訳です。


この計算された着弾予測地点や迎撃ポイントに基づき、BMD統合任務部隊指揮官が破壊(迎撃)を命ずる訳ですが、個別の目標に関して、司令官がいちいち迎撃命令を出す訳はないので、あらかじめ対処要領として定められた基準を元に、オペレーターが判断することになります。
実際に判断するオペレーターを、どのクラスまで下ろしているかは分かりませんが、統合任務部隊として一元的に判断しているはずですので、おそらくCOCに勤務する課長クラスで、AOCCまで権限を下ろしていると言うことはないと思われます。


ここまで、ほとんど法的な権限に関連したことを書いてきましたが、上記の実際の判断に際しては、迎撃確率や実効性についても考慮されているはずです。
つまり、迎撃システム(SM-3やPAC-3)の性能限界を超えて迎撃を命ずることや、いくら日本の領域に着弾すると言っても、ほとんど人の住んでいない場所に落下することが予想される場合は、迎撃を命じないことになっている(ハズ)と言うことです。
SM-3やPAC-3弾は高価ですし、それ以上に、迎撃確率が低い状況で迎撃すれば、弾道ミサイルに加えて、SM-3やPAC-3弾の破片まで地上に降り注ぐことになります。
山間地や海上に落ちるはずの弾道ミサイル等を迎撃すれば、結果として市街地に落下するというケースも考えられます。(普通に考えれば、迎撃によって弾道ミサイル等の水平方向の運動エネルギーが減少する)
例えば、東京湾への落下が予想される場合に迎撃を行うと、結果として都心に落ちるなどが予想される訳です。


北朝鮮が日本を狙って「人工衛星」を落とすとは到底考えられませんから、今回かりに弾道ミサイル等の破壊措置命令が出されるとしても、PAC-3の機動展開が行われる可能性はほとんどないでしょう。
今回PAC-3を展開させてしまえば、防衛省が考えているPAC-3の展開候補地がバレてしまう結果となるため、本当に必要となる場合に、特殊部隊によるゲリラ攻撃等を誘発する結果ともなります。


必然的に、今回の弾道ミサイル等の破壊措置命令(だされるとすれば)では、迎撃手段はイージスのSM-3です。イージス艦の所在情報は見当たりません(報道していたら国賊だ)が、既に日本海で配置についているかもしれません。

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