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2009年3月14日 (土)

4月4日に向けた自衛隊部隊展開案

ここ数日、ブログの来訪者が急増しています。
おそらく北朝鮮による「衛星発射」に関連していると思うのですが、実は新たに書くべきことはそれほどありません。

というのも、ほとんどが以前に予測や法制面、技術面の限界として書いてしまっているからです。
日本を飛び越えることは「北朝鮮のミサイル?発射方位 」で書きましたし、日本として何が出来るかは「北朝鮮がミサイル?発射準備-日本に出来ること 」で書きました。
政府が自衛隊に発令すべき命令についても「「弾道ミサイル等の破壊措置命令」予想 」で詳細に書きました。
また、集団的安全保障上の問題があることも「外相、首相の発言は布石 」で書いていますし、アメリカが慌てている理由も「不沈イージス艦「日本」 」で書いています。

そんなわけで、新たに書くことと言えば、北朝鮮が、部品等の落下が予想される危険区域として、北朝鮮は秋田県沖の日本海と千葉県東方の太平洋の二つの海域を指定したということに関連したことくらいです。
O0320028010152387783
読売新聞より

メルカトル図法の地図で見ると妙な地点に通報海域が設定されていますが、正距方位図法で見ると、セオリー通りほぼ真西に打ち上げられることが分かります。
O0284025410152387789
(ピョンヤンを中心とした正距方位図法)(NIJIX ANNEXより)

ロケットが正常飛翔すれば、秋田の能代市、角館市、岩手の久慈市あたりを飛び越えるルートです。

今回の事態に対して、政府がPAC-3での迎撃を意図するなら、首都圏に居る第1高射群+第4高射群の一部をこのあたりに展開させる必要があります。
というのも、秋田沖に危険区域が設定されていることからも分かるとおり、もしロケットの第1段目で異状が発生すれば、ロケットは日本に到達することなく日本海に落下します。
第2段目で異状が発生した場合、初めて日本に落下する恐れが出てくる訳ですが、その場合は1段目まではまともに飛翔した時ですので、この能代・角館・久慈ラインを大きく外れる範囲に落下する可能性はほぼないと言えるからです。

そもそも異状発生時なので、何処に落ちるか分からない上、PAC-3の迎撃範囲が狭いこともあり、正直言ってパトリオットを展開させる実質的な意味はないでしょう。
ですが、日本として脅威を感じているという明確なメッセージの一つにもなりますし、政府としても国民を保護するという意思表示になります。

PAC-3は、現在首都圏の第1高群と中京圏に配備されている第4高射群の一部に配備されています。
配備数について、明確な報道が見当たりませんが、先月2月26日に岐阜基地に首都圏を除いて初めて配備とする報道があるので、少なくとも5個高射隊が運用可能です。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009022602000224.html
4高群の指揮所運用隊にPAC-3機材が配備されているか否かはわかりませんが、一つの指揮所運用隊は6個高射隊まで統制可能なため、岐阜のPAC-3も1高群の編成に組み入れればOKです。
部隊を展開させるとなると、能代・角館・久慈ラインに部隊を分散配置することになるでしょうが、山がちな場所であるため、指揮所運用隊とのリンクを確保する必要があるため、中継用のCRGと呼ばれる機材を使用しても、部隊配備上の制限がかかるかもしれません。

イージス艦の方は、SM-3を運用できる2隻の内、1隻は3月中旬までドック入りと報じられていますが、発射が4月4日以降であることがほぼ確実となったため、「こんごう」、「ちょうかい」の2隻態勢で迎撃が可能です。
イージス艦は、ロケット飛翔コースの真下に入ると、追尾に支障を来たすので、青森の西方沖と山形の西方沖あたりに展開することが適当でしょう。

現在、北朝鮮の国際海事機関(IMO)への通報を受け、海上保安庁が船舶に対して航行警報を出し、国土交通省航空局が航空機に対してNOTAM(ノータム)を出しています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090313/plc0903132148026-n1.htm
今後自衛隊に迎撃命令を出すのであれば、パトリオットとイージス艦の上空にもノータムを出す必要性が出てきます。
(迎撃するPAC-3やSM-3が偶然航空機に当たる可能性などほとんどありませんが)

また、今まで自主規制したものの森本敏拓殖大教授が書いてしまっているので書きますが、パトリオット運用のため電波管制も必要です。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090313/plc0903130257002-n1.htm

これらによって、国民生活にも影響が出ますが、ある意味国民に理解してもらうためにも良い機会かもしれません。

それと、有毒な燃料が入ったままのロケットが落下してくる可能性があるので、落下後の避難誘導と無害化について、消防や警察の準備が必要です。
そこまで必要はないと思いますが、化学防護隊を災害派遣として出すことも検討されるかもしれません。

なんにせよ、4月4日までに準備と整えるためには、もうあまりゆっくりしている余裕はありません。

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