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2009年3月28日 (土)

破壊措置命令-展開部隊

いよいよ、というより私の感想としてはやっとですが、弾道ミサイル等の破壊措置命令が発令されました。

破壊措置命令の全文が公表されるのではないかとも思っていましたが、各紙の報道、防衛省のサイトを見ても、内容の概略が示されただけで、確実な詳細と言える物は見当たりません。
そのため、各紙の断片情報をまとめて、そこから読み取れる情報について書いてみます。
なお、弾道ミサイル「等」破壊措置命令なのかどうかは、各紙が略して「破壊措置命令」と書いているので、いまいちハッキリしません。
今回は特に展開する部隊について書いてます。

その前に、北朝鮮の「弾道ミサイル」(政府見解をコレで通すみたいなので、これで統一します)を迎撃する法的根拠ですが、自衛隊法82条の2の3項となります。
これによって、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に基づいて防衛大臣が命令を発令します。(邪推ですが、閣議決定を経て首相の承認を得る必要がある1項ではなく、3項での発令となったのは、浜田防衛相が「オレが命令したんだ!」と後で自慢したかったからかもしれません。)
現在の緊急対処要領はネットで見つかりませんが、コチラ の一部が修正され、パトリオットPAC-3の他にイージスSM-3が加えられ、首都圏との地理的制限が外れたものとなっています。
http://www.asagumo-news.com/news/200801/080103/08010304.html
一言で要約すれば、航空総隊司令官の指揮の下、日本に落ちてくるものは日本もしくは公海の上空で迎撃する、ということになります。

さて、部隊についてですが、指揮下に入るイージスには、SM-3を運用できる「こんごう」と「ちょうかい」だけでなく、監視だけは可能な「きりしま」も含まれており、太平洋上で監視活動を行います。ちなみにもう1隻のこんごう型護衛艦「みょうこう」は整備中です。
イージスに随伴する護衛艦艇については報道がないので分かりません。(単独ということはないと思います)
以前にも書いたとおり、予想される弾道ミサイル経路の真下には入らないはずなので、両艦は、経路の南北に分かれて位置するか、あるいは故障の発生を考慮して、東北と関東双方への飛翔に対応できる予定経路の南側に2艦ともに位置することになるでしょう。
今後、両艦の上空にNOTAMが出されれば概略位置も分かると思われます。
(イージスの能力秘匿のためには出さない方が良いと思われますが、日本以外の航空機も飛行していますし、出さないわけにはいかないでしょう。)

問題はPAC-3ですが、展開地と部隊は次のとおりとなるようです。
東北地域
 加茂分屯基地--高射教導隊第1教導隊
 新屋演習場---高射教導隊第2教導隊
 岩手山演習場--高射教導隊第2教導隊
 秋田駐屯地---高射教導隊整備隊
 岩手駐屯地---高射教導隊整備隊
高射教導隊本部については不明ですが、指揮所運用隊の機能を持つ第1教導隊が加茂に展開するため、加茂に進出する可能性が大きい。
首都圏
 入間基地----第1高射群指揮所運用隊
 朝霞駐屯地---部隊不明(2個?)高射隊
 習志野演習場--部隊不明(2個?)高射隊
 市ヶ谷駐屯地--部隊不明(1個?)高射隊
第1高射群本部と整備補給隊は、おそらく入間から動かないでしょう。
第4高射群は群本部と整備補給隊が展開するのか否かを含めて不明です。普通に考えれば単に高射隊と整備補給隊を1高群指揮下に差し出すだけなので、群本部が展開する必然性はないものの、可能性はあるでしょう。
高射隊の移動状況は良く分かりません。入間の第4高射隊は動く必然性がないものの、市ヶ谷への展開部隊が入間からなどとの報道もあるため、複雑な動かし方をしているかもしれません。
首都圏に展開可能な高射隊は5個で、展開に必要な地積を考えると市ヶ谷には2個部隊も入れないため、上記のような配備数になると推測します。
さて、防護範囲が数十キロしかないと伝えられるPAC-3の高射隊を、なぜ重複して配備するのでしょうか。
この理由は報道されていませんが、理由はおそらくバックアップ、つまり予備とするためです。
どんな機械でも故障しますが、高機能で高出力のレーダーを車載するためには、設計上無理も生じます。その無理は、RS(レーダーセットの略)の故障確率に関わってくるわけで、そのため米軍のパトリオット中隊(高射隊と同等の部隊)はRSを2個保有しています。
残念ながら自衛隊はそんなに裕福ではないので、各高射隊は1台の機材を故障させないよう、日本人特有の勤勉さで高い稼働率を維持している訳です。
自衛隊の高射隊にも2個RSを配備すべき、という意見は、一部のパイロットからさえも出ていたくらいなので、もしかすると今回のことで動きがあるかもしれません。
(RS1台で戦闘機1機並のお金がかかることなので難しい事とは思いますが)

最後に、下らないニュースについて。
麻生首相が、「4月4日、北朝鮮がロケットと称してミサイルを撃つ」を発言したことに対して、4日が確定した訳ではないとの主旨で、これを失言だとしています。
北朝鮮が通告している危険区域は、4日から8日の0200Z-0700Z(日本時間の11時~16時)となっていますが、常識で考えれば4日が北朝鮮としての予定日で、5日以降は予備日であることは分かるはずです。首相の発言はそれを踏まえたものですが、重箱の隅にも程があります。

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コメント

1 ■通りすがりですが‥
「ミサイルが来る」って言われてもなにも出来ませんよね‥
(´・ω・`)指くわえてるダケ‥
憲法9条ってシャレになりませんねぇ‥日本人はいつ目が覚めるのか‥


http://18-x.net/

2 ■これでも進歩
福岡博多っ子様

自衛隊法が改正されて、対処が出来るようになっていただけでも、ずいぶんと進歩したとは思いますよ。

もちろん、それだけで足りる訳ではありませんが
今回の件は、破壊措置命令があったおかげで、逆に憲法問題とはなってくれないように思います。


http://ameblo.jp/kuon-amata/

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