破壊措置命令-PAC-3配備について早速訂正
PAC-3の配備について、早速訂正記事を書かなければならないようです。
市ヶ谷に展開されたPAC-3が公開されました。今のところ、朝日と産経が報じています。
http://www.asahi.com/politics/update/0329/TKY200903290199.html
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090329/plc0903291738005-n1.htm
問題は展開した器材なのですが、朝日は「ミサイルの発射機2機や通信機材を積んだ車両」と報じています。
産経はもっと踏み込んで「発射機2基は上空に向け、隊員用の運動場に配置。データ情報の受信アンテナも近くにある。しかしミサイルの動きを統制する射撃管制装置はなく、市ケ谷以外の展開場所の陸自朝霞駐屯地(東京都)や空自習志野分屯基地(千葉県)に配備されたとみられる。」と書いています。
産経は、写真もかなり載せています。
(産経ニュースより)
これを見ても(もちろん写真の画角外という可能性もありますが、記事の方を信用すると)、RS(レーダーセット)やECS(射撃監視装置)はなさそうです。
ということは、コレは本年度(20年度)に取得されたばかりのリモートランチ端末を持ち込んだ展開をしているということです。
リモートランチとは、PAC-3によるフットプリント(防護範囲のこと)を拡大するための機能で、RSやECSから発射機(LS)を離して展開できるようにするものです。
つまり、リモート(遠隔)ランチ(発射)という機能がそのままネーミングになっている訳です。
産経が載せている写真に、リモートランチのためのAMGとCRGという車両も写っています。
というわけで、産経の記事にもありますが、市ヶ谷のLS2機は、29.3km(地図上で図ったおおよその距離)ほど離れた習志野演習場展開部隊からコントロールをされているようです。
コレによって、習志野展開高射隊によるフットプリントは、習志野演習場を軸にしたものと、市ヶ谷を軸にしたものが描けることになります。
(具体的な範囲は別の機会に)
リモートランチによって、なぜフットプリントが拡大するのか、という点については、逆説的ですが一言で言えば、PAC-3による弾道ミサイル迎撃は、レーダーからの位置関係ではなく、発射機からの位置関係が重要な要素になるということです。
理論的な事については、以前の記事「PAC-3はノドンを撃墜できるか? オブイェクト記事 その1」からその3あたりを参考にして下さい。
しかし、こうなると5個の高射隊が、どこに展開したかですが、報道にはないものの、おそらく入間基地の第4高射隊は移動していないのではないかと思われます。
首都圏の部隊をまとめると、こんな感じと推測します。
首都圏
入間基地----第1高射群指揮所運用隊
同 第4高射隊
朝霞駐屯地---部隊不明(2個)高射隊
習志野演習場--第1高射群第1高射隊
部隊不明(1個高射隊)
市ヶ谷駐屯地--習志野展開高射隊からのリモートランチ
正直なところを白状すると、市ヶ谷に高射隊を入れても運用できないだろうから、市ヶ谷展開は国民に対するポーズ(ポーズでも重要)で、本当に市ヶ谷から迎撃するつもりはないのではないか、と思っていたのですが、どうやら防衛省は本気のようです。
(いつのまにか、写真にあるようなブラスト被害防止用?の柵も買ってあるし)
蛇足-最近読売新聞はケチで、写真などの引用を禁止にしてますが、産経新聞はこの点太っ腹です。
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