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2009年2月16日 (月)

北朝鮮がミサイル?発射準備-日本に出来ること

北朝鮮が弾道ミサイルの発射準備を行っていると各所で報道されています。
当初、金総書記の誕生日である16日に発射が行われるのでは、と報じられていましたが、現在の情報では、まだ準備は整っておらず、李明博大統領が就任1周年を迎える今月25日とか、軍創立の4月25日とか諸説でています。

発射時期については、情報なしに憶測しても仕方ないので、これ以上書かないというつもりでしたが、RC-135Sコブラボールが13日夜に嘉手納に来たということなので、そう遠くはなさそうです。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090215/plc0902150139000-n1.htm
もっとも、前回の2007年のミサイル発射時にも1ヶ月以上前から飛来していましたし、この時米軍情報筋はコブラボールの飛行時間に関して、夜間は発射しないだろうと見込み、日中だけ飛行させていた結果、払暁に発射され裏を書かれた経緯があるため、早めに展開しているかもしれません。
同機やミサイル観測支援艦(オブザベーションアイランド、インビンシブル)の所在が報じられれば、米軍の行動から発射時期は見当が付きます。


さて、今回の北朝鮮の行動に対して、日本政府は奇妙なほど落ち着いた沈黙振りを示しています。
おそらくこれはテポドンが既に日本にとっての脅威というよりも、アメリカにとっての脅威となっているため、騒ぎが大きくなれば、やっかいな集団的自衛権の問題が顕在化してしまうことを警戒しての行動でしょう。
しかし、表向き沈黙していても、「もしも」の事態に備えて、自衛隊は準備しているはずです。
では、「もしも」の事態としては、どんなものが考えられ、自衛隊は何ができるでしょうか。


まず最初に一つ重要なことがあります。今回の北朝鮮の行動について、ニュースでは「ミサイル発射準備」と報じられていますが、おそらくミサイルではなく、テポドン2号を利用した人工衛星の打ち上げ実験でしょう。
と書こうと思っていたら、今回は珍しいことに北朝鮮が衛星の発射であることをアナウンスしました。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090216-OYT1T00391.htm?from=main2

1998年と2006年の発射の際にも事前には何もアナウンスしていないこと、及び政治的に揺さぶりをかける意図から、今回も何もアナウンスすることなしに発射を行うかと思っていましたが、さすがに北朝鮮でも国際的な目を気にしたようです。
ただし、衛星などによる偵察を避けるため、上部をふたで覆った特殊な貨物列車を使用し、これを工場内まで引き込んでロケット(ミサイル)を積載しており、対応にはちぐはぐな点も見られます。(本当に宇宙開発であるならおおっぴらにやればいい)
http://www.chosunonline.com/article/20090213000020
米軍の偵察能力を見くびっており、ばれないと思っていたものの、騒ぎになったのでアナウンスした、というあたりが実情かも知れません。


1998年の日本を飛び越えたテポドン2号の発射実験の際、北朝鮮は事後に衛星の発射だったと主張しています。実際にも、衛星の軌道投入を意図していたが失敗したと見られています。(軍事研究誌に掲載されている野木恵一氏の記事など参照)
今回も国際的な批判をかわす意図から、ミサイル発射実験としてではなく、衛星打ち上げ実験として実施するようです。


これは、両者は表裏一体どころか、技術的には全く同じもので、衛星の打ち上げが出来れば、ミサイルとしても使用できるからです。
違いはペイロードと飛翔距離だけで、軽い衛星なら周回軌道に乗るものが、重い弾頭だと再突入してくるというだけに過ぎません。
(再突入弾体を大気圏への再突入に耐えられるようにすることは必要)
日本ではあまり認知されていませんが、ソ連(当時)が世界最初の人工衛星スプートニクを打ち上げた際、アメリカがICBMの脅威にパニックになったことも同じ理由です。これは、スプートニクショックと呼ばれています。
最近の例としては、今月2日イランが国産のサフィール(使者)2型ロケットを使用し、オミド(希望)衛星を打ち上げたばかりです。


となると、日本にとっての「もしも」の事態としては、なんらかの失敗によって、日本の領域にブースターを含めたロケットの一部が落下してくることが考えられます。
1998年のテポドン発射では、日本を飛び越え太平洋に落下しているのですから、これは十分にありえる事態です。


法的には、自衛隊法82条の2(弾道ミサイル等に対する破壊措置)によって、「弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のもの」に対して、破壊(迎撃)することを自衛隊に命ずる事が出来ることになっています。

現時点では、破壊措置命令は出されていませんが、82条の2の3項による緊急対処要領が定められて(平成19年3月23日の閣議決定)おり、防衛大臣が命じさえすれば、迎撃ができることになっています。
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2008/2008/html/ks316000.html
ただし、この緊急対処要領は、パトリオットPAC-3ミサイルを装備する第1高射群に対してのみ規定しており、SM-3を装備したイージス艦での緊急事態対処はできないことになっています。

総理はこの問題よりも給付金問題や郵政民営化の方が忙しいようで、イージスも使用可能にするための破壊措置命令を出すような方向に動いていませんが、もし日本の領域に何かが落ちてくるような事態になれば、非難は免れないでしょう。


能力的には、初期の警報は米軍のDSP衛星頼みです。

レーダーは、FPS-3改と飯岡で試験に使用されていたFPS-XX、それとイージスのSPY-1となります。FPS-5が実働状態にないため、十分とは言い難いですが、発射地点が分かっているため、問題なく捕捉できるでしょう。

指揮統制は、年度末には中警団にJADGEが入ることになっているので、任務付与されてはいないでしょうが、おそらくもう稼動状態にあると思われます。1高群に対してのキューイングは、JADGEに問題がなければ大丈夫でしょう。まだJADGEが使えない状態であれば、イージスもパトリオットも自らの目標捕捉能力だけで対処することになりますが、今回に限れば、複数目標に対処しなければならない事態ではないため、さほど問題は生じないと思われます。

迎撃能力は、イージスSM-3とパトリオットPAC-3です。
イージスは、昨年11月に実施された2回目の迎撃試験に失敗しましたが、1回目の試験では成功しています。もともと日本に到達する程度のミサイルには対処可能なスペックで開発されているので、2回目の試験で生じた不具合(確定した原因はアナウンスされていない)が、システムの根本的な問題でない限り対処は可能なはずです。
ただし、ブースターなどが落ちてくる場合、SM-3のキネティック弾頭の重量が小さい(わずか23kg)ため、イージスで迎撃した場合、被害がより広範に及ぶ結果となり、迎撃したことが結果としてマイナスとなる可能性もありえます。

パトリオットPAC-3は、日本に到達するノドン級のミサイルには対処が可能と思われています。
弾道軌道をとる物体は、基本的に射距離と速度が相関しているため、今回の件で、日本の領域に落ちてくる物体がある場合、速度はノドン級と同等になります。そのため、PAC-3による対処も可能なはずです。
昨年9月に行われた実射試験も成功しました。
ただし、パトリオットの場合、射程が短いので、迎撃したところで、物体が落ちてくる事自体は防げません。弾頭であれば、当然破壊すべきですが、ブースターであれば落下物を増やす(PAC-3弾の分)結果になるだけかもしれません。
また、PAC-3は射程が短く防護範囲が狭いので、現在の配備基地に置いたままでは、各基地とその北東方向の狭い範囲が防護できるだけです。
今回の件では、日本に物体が落ちてくるとすれば、それはなんらかのミスの結果であり、落下位置が予測しようがないことから、パトリオットの存在はほぼ意味がないとも言えます。


このまま政府がアクションを取らなければ、今回の「もしも」に対しては、意味のあることはなんら出来ないことになります。(PAC-3には防衛大臣が(緊急で)破壊措置を命ずることができますが、PAC-3の防護範囲に落下してくる可能性はゼロに近い)
「もしも」を警戒してとるべき手段は、自衛隊法82条の2の1項に基づく命令を発し、航空総隊司令官の下にイージスを含めた統合任務部隊を編成してSM-3を使用した弾道ミサイル等の破壊措置を行うことです。


実効性という点では難しいものがありますが、日本の姿勢を北朝鮮に分からせるためにも、弾道ミサイル等の破壊措置命令を出すべきです。

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