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2009年1月27日 (火)

離島有事に無人偵察機

記事の真偽には疑問符が付きますが、今後の(離島)防衛を占う上で重要なヒントになるかもしれない話なので、今回も産経新聞を元ネタに書いてみます。

24日、産経新聞が「離島有事に無人偵察機 防衛省、21年度導入へ 」という記事を載せました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090124/plc0901240138000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090124/plc0901240138000-n2.htm
10134312600

本題に入る前に、冒頭で疑問符が付くと書いた理由を書いておきます。
今回の報道では、「防衛省は独自に開発を進めてきた無人偵察機(UAV)を実用化する方針を固めた」と書かれており、「無人機研究システム 」として研究が進められている無人機が、そのまま配備されるように書かれています。
研究については次のリンクを参照して下さい。
http://www.mod.go.jp/j/info/hyouka/15/jizen/youshi/08.pdf
防衛省が、本当に配備の方針を固めたのならスクープでしょうが、後で書いている問題がある他、21年度の概算要求資料にも載っていなかったものを、21年度予算にネジ込んだとは考えにくいものがあります。
産経には結構批判的な「週間オブイェクト 」としてはめずらしく、そのまま記事を信用しているようですが、設計時の耐用年数に対するメーカー保障のことなどもありますし、かなり怪しい気がするのですが・・・

また、今回の記事には単純で明確な誤りもあります。
「固定翼の無人偵察機の導入は自衛隊では初めて。」と書かれているのですが、陸自の装備に「チャカR」という固定翼無人偵察機が存在し、静内(北海道)の第1高射特科団第101無人偵察機隊という、そのものズバリなネーミングの部隊が運用しています。
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/omoshiro/military-powers_omoshiro-06.htm
(ただし性能は不十分で、とても離島対処に使用できるようなものではありません)

さて、やっと本題です。
まず、何が重要なヒントかというと、この無人偵察機を(本格的に)配備するとすれば、離島防衛(有事)において、自衛隊にどんな活動が求められ、政府・自衛隊にその意思があるか、という点が見えてくるからです。

離島、ここではズバリ尖閣と言っておきますが、有事において、この尖閣を実効支配するためには、一定期間、尖閣を越える範囲までまで航空優勢を確保しなければなりません。
それが出来なければ、岩ばかりで身を隠す手段をとることがほとんど出来ない魚釣島で、陸自隊員がみすみす命を落とすことになります。
この点が、産経の記事中に「地対空ミサイルで攻撃される恐れのある空域まで入り、敵の部隊配置や戦力規模を把握する「強行偵察」が不可欠になる」と書かれている理由な訳です。

つまり、防衛省がこの「無人機研究システム」を応用した無人偵察機を配備するとすれば、その危険な空域まで進出して偵察行い、離島防衛(作戦)を本気で実施する意思があると言える訳です。

次に、これは推測というより、憶測に近くなりますが、もしこの無人偵察機を実際に配備するつもりであるならば、自衛隊が作戦基盤として下地島の利用を意図している可能性がある、と言えることです。

現在までの「無人機研究システム」は、パラシュートとエアバックを利用した垂直着陸方式です。ですが、冒頭のリンクを見ても分かるように、自動滑走着陸を可能とするよう研究が進められています。
しかし、技術的に十分安全なものが出来たとしても、それが空港周辺に居住する住民にとって、受け入れ可能かというと、はなはだ怪しいのが実情でしょう。
ましてや、沖縄ではなおさらです。
那覇、嘉手納や普天間、また本島以外の離島であっても、無人機が着陸するとなれば、大きな反対が起きることは間違いありません。(私が住民でも正直嫌です)
それと、これは今後の研究にもよるでしょうが、あの機体規模であの程度の翼面積となると、着陸速度はかなり速そうです。
比較的長い滑走路が必要となるのではないでしょうか。
また、滑走着陸を諦め、パラシュートとエアバックによる垂直着陸方式としたとしても、パラシュートの開傘タイミングはなかなか思うようにはいかないものです。
おまけに降下中は風に流されます。
いずれにしても、かなりの面積が必要ですし、周辺への安全の保障は難しいでしょう。
(那覇が拡張され、沖合滑走路が完成すれば、那覇でも運用できるかもしれませんが、いったい何時になることやら。また、当面は海上に着水させて回収という方法もありえなくはないですが、チャカRと比べて重量が3倍もある無人偵察機を引き上げることは相当に苦労するはずです。高温の状態で海没するエンジンの整備も大変)

となれば、十分な規模があり、周辺に住民が居ない空港が運用の適地になります。
そして、それは下地島以外にありえません。

運用できる場所の当てがないまま、本格的な配備に動くことはありえないので、今後この無人偵察機が研究の域を超え、本格配備の可能性が高くなれば、自衛隊による下地島空港の使用は下調整が出来ていると見るべきだと思えます。
(もっとも、百里あたりに配備しておいて、有事には強引に事を運ぶ可能性もありますが・・・)

しかし、コレを制式化してしまったら有人偵察機にはお金が付かないんじゃないでしょうか?
RF-15はどうなるんでしょう。

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コメント

1 ■無題
失礼致します。このUAVはもちろんそれなりの存在意義も使用する状況もありますが・・・しかし実際は「運用実績」を積み上げるのが目的ではないでしょうか?少なくともこのUAVが自衛隊の航空偵察を全てまかない、RF-15の存在を無意味にするような代物ではないのは同意いただけると思います・・・・法的にも、日本ではUAVは使いづらいモノがあります・・・また国交省もUAVには否定的考えがある噂があります(それどころか自衛隊ATCもUAVに対し否定的とか・・・)その中でこれから、より高度な本命UAVを運用するためにも、ひたすら「硫黄島」で運用実績を積み上げる為に実用化しようとしてるのではないかと邪推しています・・・・

2 ■いらっしゃいませ
海族 様元記事に書かれている「導入」と「実用化」が何を意味するのか明確ではないですが、当面は、元記事にあるとおり硫黄島において飛行「試験」が行われるだけでしょう。記事が本当だとしても、運用実績といえる段階はまだ先のはずです。法的には、使いづらいどころか、準備はまだまだです。記事が誤報でなければ、UAVが必要な事態が突発したときに使えるように担保しただけではないでしょうか。UAVが有人偵察機と同じ機能を果たすなどと言っているつもりは毛頭ありませんよ。ですが、財務省の役人は言うんです。「あれ(UAV)があるんだから、有人機はいらないんじゃないですか?」と
http://ameblo.jp/kuon-amata/

3 ■化かし合い・・・・・
再度失礼致します。>「あれ(UAV)があるんだから、有人機はいらないんじゃないですか?」な~に、担当者の方は顔色一つ変えず「いえっ発射母機として必要です」と言うだけでしょう・・・・(もっともこのUAVがTACにおいては、どのF-15の機体が発射母機を行うかは明言されておりませんが)まあその程度で凹まされている程度じゃ、予算の仕事なんてできないですよ・・・・まだ空自さんは構想立てて、装備化するまでの作業は他幕と比べりゃうまい方ですよ。大風呂敷広げるのが旨いですからね。少なくとも高々度UAVから基地警備用のUAVまで構想を持ってますからね。未だに構想すら出ない「我が社」と比べりゃそらもう・・・・・・(というか不審船対策なんてフレーズは元来うちのモノでしょう)。ただRF-15の装備予定数が、今のところ、RF-4EとEJの合算した数に達しておりませんので、F-15が機体の整備性が高いことを勘案しても、以前の構想道理、何らかのUAVを装備化しないといけないでしょうね・・・最も今回のUAVが代わりになるとは思えません、代わりというより、偵察機が持つ「手段」の一つが増えたにすぎないでしょうね。

4 ■う~ん
空自は装備化うまいですか。ほんとにそうでしょうか。確かに風呂敷広げるのはうまいと思います。なにせ、支離滅裂ですから。あのUAVが装備化される場合、プラットフォームがRFでなければならないか否かは、データリンク次第でしょうね。現にTRDIで飛んでいるので、運搬とロンチにはさしたる苦労はないはずです。問題は水平線のかなたを飛行させるUAVからのデータ伝送を、既存のプロトコルを活用してAWACSなどでも中継可能な形式とするのかどうかです。案外、陸自のヘリ映伝あたりと同じものを使ったりするかもしれないですが、それならポッド形式でも可能になりそうですし、RFでなければ中継できないことはなさそうな気がします。今の段階で憶測しても鬼に笑われそうですが・・・
http://ameblo.jp/kuon-amata/

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