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2009年1月

2009年1月 2日 (金)

やっぱり毎日は

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。


今回は、めずらしく、ちょっと政治的なネタを書きます。


イスラエルによるガザ空爆に関して、毎日が欧米の反応を報じています。

********************

<ガザ空爆>国際社会、反応鈍く 欧米「自衛」に理解
12月30日21時23分配信 毎日新聞


 イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への空爆について、国際社会は暴力の即時停止要求では一致しているものの、非難を強めるイスラム諸国に対し、欧米主要国の首脳がイスラエルの「自衛」に一定の理解を示すなど、分裂の様相を示し始めている。国連は鈍い反応にいらだちを強めている。

 ヨルダンのアブドラ国王は29日、ブッシュ米大統領に電話で「空爆を中止させる国際的な努力が必要」と促した。インドネシアのユドヨノ大統領は「平和が引き裂かれている」と記者団に述べた。

 30日はイラン、インド、韓国、日本など世界各地で平和を求めるデモが行われた。

 しかし、米国家安全保障会議(NSC)のジョンドロー報道官は29日、空爆について「イスラエルの自己防衛に必要な行動」と述べ、事態の責任はイスラム原理主義組織ハマス側にあるとの見方を強調した。27日にはライス米国務長官が、ガザでの暴力再燃はハマスの責任だとする声明を発表した。

 また、ブラウン英首相は29日、イスラエルに強く自制を求める一方で「イスラエルには、自国民を守らなければならない義務がある」と理解を示した。

 独政府によると、メルケル首相は28日のオルメルト・イスラエル首相との電話会談で「事態の責任は一義的にハマスにある」との見解で一致したという。メルケル首相は「イスラエルが自国領を防衛するのは法的権利だ。ハマスがロケット砲撃をやめれば、イスラエルは速やかに軍事行動を終えることができる」と語ったという。

 一方、アラブ連盟は来月2日に緊急首脳会議を開く方向で調整しているが、サウジアラビアのサウド外相は29日、「影響力のある声明を出す条件が整わない会議に出席する意味はない」と発言するなど、アラブ諸国には無力感も漂っている。

 国際社会の反応に国連はいらだっており、潘基文(バンギムン)国連事務総長は29日の記者会見で、イスラエルの自衛権は認めるとしながらも、空爆が「度を越したもの」との見方を示した。そのうえで「周辺地域や国際社会の指導者は(事態収拾のため)十分なことをしていない」と不満をもらした。

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http://mainichi.jp/select/world/news/20081231k0000m030066000c.html


欧米の一部の国が、イスラエルによる「自衛」に一定の理解を示していることを非難する報道です。
ですが、その理解がどこから来るのか、全く書かれていません。


日本の主要メディアではほとんど報じられていませんが、イスラエル南部の町アシュケロンなどは、ガザ地区からのロケット弾攻撃を受け続けてきました。
各国が「自衛」に理解を示していることを報じるなら、「今」そして「ここまで」やる理由までは触れなくとも、その理由を報じなくては、各国首相や国連事務総長の頭がイカレていると言っていることと変わりありません。


イスラエル=悪という、結論ありきの典型的な報道ですが、毎日は本当にこういう報道が多いように思えます。
読者は馬鹿ではありません。こんな姿勢を続けていると、倒産してもおかしくありませんよ、毎日さん。

2009年1月 4日 (日)

海自によるソマリア海賊対策の根拠と限界

ソマリア沖の海賊対策に海自艦艇の派遣が検討されています。


しかし、海自の派遣は、自衛隊法82条(の1)に規定されている海上警備行動を根拠とする方向で調整されています。
海上警備行動を根拠とする理由は、法改正の必要性は認識しつつも、法改正には時間がかかるためですが、さまざまな限界があります。


最も問題な点として報じられている点は、保護する対象が日本籍船、日本の事業者が運航する船及び外国船に乗船している日本人に限られることです。


また、現場において、これ以上に問題となりそうな事項は、海上警備行動は、警察権の行使として本来は海上保安庁が行う任務を代わって行うものであるため、強力な火器を持っていても武器使用権限などは警察並にならざるを得ないことです。
このことが、12月25日の記者会見で、増田防衛次官が「海上警備行動時の権限と、海賊対策での武器使用とには差があるように感じる」と発言した理由です。


「海上における警備行動に関する訓令」等の関連規則は公開されていないため、詳細はご紹介できませんが、基本的に海上警備行動時の(武器使用)権限は、自衛隊法九十三条ににおいて「警察官職務執行法(第7条)に準じる」と規定されています。
(なお、自衛隊法第93条の3において準用されることが規定されている海上保安庁法第20条の2では、警察官職務執行法第7条よりも、武器を使用する条件が緩和されていますが、この規定は我が国の内水又は領海での規定であるため海賊対策には使えません)


警察官職務執行法第7条は、次のように規定されています。
********************
(武器の使用)
第七条 警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。但し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条(正当防衛)若しくは同法第三十七条(緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
一 死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。
二 逮捕状により逮捕する際又は勾引状若しくは勾留状を執行する際その本人がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。
********************


法文を読んだことのない方には、はなはだ辛い文章かもしれませんが、ものすごく大雑把に言うと、相手の状況に応じて、やりすぎない範囲でのみ武器を使用して良いという規定です。
これは、「警察比例の原則」と呼ばれる物で、この原則が在るゆえに、警察による拳銃使用がニュースとして流れる度に、警察が「適正な銃の使用だった」とアナウンスするわけです。
警察比例の原則については、詳しいサイトが沢山あるので、興味のある方はそちらをご覧下さい。

この比例の原則があるため、海自が派遣される場合、相手に危害を与える射撃(いわゆる危害射撃)については、正当防衛もしくは緊急避難の場合に限られるなど、海賊を相手とするには難があることが予想されます。

ソマリア沖の海賊については、相当に重武装であることが報じられており、RPGなどを所持していると考えるのが妥当ですが、発見した海賊が、発砲もせずに逃走した場合、いきなり機関砲弾を叩き込むわけには行きません。
不審船事案と同様に、相手が相当の抵抗の意思を示さない限り、如何に強力な火器を持っていても使用できない訳です。


また、海上警備行動における権限には、海保が司法警察官として実施する捜査や逮捕、送検などの権限などは含まれていません。
そのため、海自艦艇に海上保安官が同乗することが検討されています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090103/plc0901030108000-n1.htm
実力行使の部分は海自が行い、その後の処置は同乗する海上保安官が実施するという、なかなかの妙案だと思います。
(このニュースが流れるまでは、巡視船も行かなければ無理か、と思ってました)

なお、清谷信一氏は、自身のブログで、自衛隊の警務隊も司法警察官なので、海上保安官が乗り込む必要は無く、海保が縄張り争いでこんなことを言い出したと書いています。
http://kiyotani.at.webry.info/200901/article_3.html
ですが、警務隊は基本的に部内の犯罪に対してしか司法警察権がないため、民間船舶に対する海賊行為を、犯罪として処置することはできません。
(海自艦艇に対する抵抗については処置できる)


このように、海自が海賊対策を海上警備行動として行うには様々な問題があります。
自衛隊の海外派遣は、今までも多くの問題があるまま派遣されてきたケースがほとんどです。
その都度、現場の努力で乗り越えてきた訳ですが、今の政治のドタバタを見ると、またしても同じ様相になりそうです。

2009年1月 6日 (火)

対馬海峡通過のロシア艦

今日も海関係です。


ちょっと古いですが、12月12日付朝雲ニュースが対馬海峡を通過するロシア艦について報じています。
短いので、転載しておきます。

********************
対馬海峡で露艦3隻など確認

 対馬海峡で露艦3隻など確認 12月12日午後零時ごろ、長崎県・上対馬の北東約140キロの対馬海峡東水道を南西進するロシア海軍の「ウダロイI」級ミサイル駆逐艦(満載排水量8500トン)、「ボリスチリキン」級補給艦(同2万3450トン)、「ドゥブナ」級補給艦(同1万1500トン)とロシア民間船舶のサルベージ曳船各1隻を、海自3護隊(佐世保)の護衛艦「まきなみ」が確認した。
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http://www.asagumo-news.com/news/200812/081218/08121810.html


朝雲新聞ではロシア艦の艦名、行き先や目的について報じられてはおりませんが、艦艇の構成や日時などから、おそらくコチラで報じられているものでしょう。
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/36227120.html


どうやら、インドとの演習とソマリア沖での海賊対策に向かうものだったようです。
今回のロシア艦ですが、ソマリア沖で海賊対策に入るのは来年1月で、現在海賊対策を実施中のバルト艦隊所属のネウストラシムイと交代するようです。
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/36299885.html


なお、ロシア艦がソマリア沖での海賊対策を有償で請け負うとの報道がありましたが、現在までの活動状況はなかなか活発なようで、有償で請け負っているとしたらそれなりの数の契約行為が行われている事となります。
その割には続報がないことを考えると、誤報だったのかもしれません。
護衛を受けている船舶運行会社のコメントなので、全面的に信用できるとは思えませんが、
有償ではないとの発言もあるようです。
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/35837272.html


日本でも、海自艦艇の派遣が検討されておりますが、国際貢献という点でロシアや中国に遅れを取っているのはマズイと思います。

2009年1月 8日 (木)

エコ燃料

今月末、日本航空がバイオ燃料をテストするという記事が出ていました。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20081217dde041020048000c.html


日本航空は、ボーイングとプラット・アンド・ホイットニーの協力を得て、非食物系の植物性バイオ燃料を50%混合した燃料を、クラシックジャンボ(ボーイング747-300型機)の4基あるエンジンのうち右側の1基に供給してフライトを行うそうです。


こう言った取り組みは、自衛隊でも早期に取り掛からないといけませんが、現在までのところ自衛隊が同様の実験を計画をしているとは聞こえてきません。


世界的な景気後退による需要減で、一時の燃料高騰は、ウソのように消えてしまいましたが、今年の燃料価格暴騰は、防衛関係者にも危機感を与えたでしょう。
石油の枯渇は、生産技術の向上や新たな油田開発によってまだまだ先に伸びるかもしれません。しかし、需給バランスが崩れることで、信じられないほどの暴騰をすることも、今年1年で認識されたはずです。
実際、訓練削減のニュースなんかも流れてました。


この点、米軍はしっかり考えているようです。米軍での取り組みは、「軍事研究」誌昨年2月号と3月号の野木恵一氏の記事に詳しく紹介されています。
興味のある方は、そちらをお読み下さい。


今回のボーイングとP&W社の協力も、米軍での研究成果を踏まえたモノでしょう。

2009年1月10日 (土)

海賊処罰取締法-浮かび上がるねじれ

1月4日に「海自によるソマリア海賊対策の根拠と限界」をUPしたばかりですが、そのわずか2日後の6日、新法「海賊処罰取締法」(仮称)が今国会に提出される方針であることが報じられました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090107-OYT1T00007.htm


海上警備行動での海賊対処には問題があることは以前のエントリーで書いたとおりですから、その問題と解決するこの新法制定の動きはもちろん歓迎すべきものです。
ですが、この新法が制定されると、一つのねじれ現象が浮かび上がって来ます。


今回の「海賊処罰取締法」(仮称)は、警察比例の原則を超える対処(正当防衛や緊急避難に該当しない場合での危害射撃など)を公海上において行うための法律です。
翻って、わが国の領域警備はどうでしょう。

海上警備行動にせよ、航空自衛隊が行っている対領空侵犯措置にせよ、わが国の領域内にもかかわらず、警察比例の原則内でしか行動できません。

新法が制定されると、わが国の領域外である公海上においては、私人による不法行為に対して警察比例の原則を超えた対処が可能になるにもかかわらず、わが国の領域内で行われる敵性国家による不法行為に対しては警察比例の原則内でしか対処できないという状況が生起します。
これはもう、あまりにも酷いねじれと言わざるを得ません。


泥縄とは言え、海賊対処にはそれなりの法を作りながら、北朝鮮による不審船や中国、ロシア機による領空侵犯に対して、今後も自衛隊の手足を縛ったままである法体系を放置するとしたら、これはもう行政(政府)と立法(国会)の怠慢でしかないでしょう。


諸外国の対処がそうでないことはいまさら言うまでもないですが、いい加減、領域警備についてもっと突っ込んだ法整備が必要です。

2009年1月13日 (火)

那覇基地にF-15到着

今年度の事業として計画されていた那覇基地のF-4と百里基地のF-15入れ替えですが、いよいよ部隊移動が始まりました。
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-01-09-M_1-027-1_005.html?PSID=c15df5685317d43e328534c7deb5b648
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-139704-storytopic-1.html


今回の報道は、F-15を装備する204飛行隊の10機の那覇に飛来したというものです。
ビッグスコードロンだった302の後を継ぐため、配備される204飛行隊もビッグスコードロン化されるのかと思っていましたが、配備機数は20機に止まるようです。
整備所要を考えると、機数的には同数以上かもしれません。


今後、204飛行隊の順次展開と慣熟の後、対領空侵犯措置の任務付与が行われ、302飛行隊が百里に移動することになるようです。


部隊入れ替えの理由は、「F-4の減勢対応と島嶼部に対する侵略や領空侵犯等に実効的に対応できる体制を確保する」(防衛省の本年度予算の概要より)となっていました。
急激な質的向上を続ける中国の航空戦力に対して、長らく待たれていた処置です。
今回の措置には、おそらく中国空軍でも注目しているでしょう。


関連する話になりますが、防衛省発表の本年度予算の概要では、「島嶼部に対する侵略や領空侵犯等に実効的に対応」という表現で、F-4による対応がキツイことが書かれていました。
この事について、空自が取材協力しているコミックチャージで連載中の「レディイーグル」にもF-4の足の長さが分かりやすく表現されてました。
南西地域の防衛に興味のある方は、見てみると良いかもしれません。(私も、現在刊行されている単行本3巻までしか見ていませんが)


なお、実際にF-15が配備されると、沖縄のメディアは批判的な記事を書くのかと思っていましたが、主要2紙(沖縄タイムズ、琉球新報)はともに、淡々と報道しています。

2009年1月15日 (木)

SDB使用の訳

先月12月29日付のエルサレム・ポストによると、現在も継続しているイスラエルによるガザ攻撃の当初にGBU-39(SDB:Small Diameter Bomb(直訳すると小直径爆弾))が使用されたそうです。


使用された目的は、地下に設置されているカッサム・ロケット発射台の破壊とラファにおいてハマスが掘ったトンネルの破壊だとのことです。
共に地下の目標であり、貫通力に優れたGBU-39を使うことは理に合ってはいるのですが、イスラエルは、GBU-39を12月の初旬に入手したばかりである他、他の手段(レーザー誘導のBLU-109など)を使えばより確実に目標を破壊できたことなどを考えると、他にも使用した目的があったのではないかと勘ぐりたくなります。


もっとも、使用弾種は不明ですが、その後も地下トンネルやロケット発射基地は空爆の目標になっているようです。
http://www.asahi.com/international/update/0114/TKY200901140049.html


GBU-39は、前記のように貫通力に優れているだけでなく、弾体のサイズ・重量が小さく、搭載する航空機の行動に及ぼす影響が小さい他、投弾後に展開する翼によって高高度からなら60nm(110km)を超える滑空が可能なスタンドオフウエポンです。

これらの事を考慮すると、イスラエルは、イランの核施設攻撃を、本気で考えているのではないかと思えてきます。


イランの各施設は、地下に作られている上、周辺にはSAMによる強力な防空網が構成されていると伝えられます。
おまけに、シリアの原子炉と比べても、長距離の進出が必要です。別の報道でも、イランまでの進出を意図した演習を地中海上で実施したと伝えられました。

滑空距離が24kmしかないJDAMや20kmもないペイヴウェイ、貫通力という点では最高のGBU-28では、イスラエルの攻撃編隊はイランの強力な防空網に突入せざるを得ません。JSOW(AGM-154C)でも心もとない。
射程を考えればJASSMが最良でしょうが、大型で長躯しての携行は困難ですし、それ以前にイスラエルは保有してません。


イランの核施設攻撃には、GBU-39(の貫通力、破壊力)では役不足ではないかとも思いますが、現在イスラエルが保有する兵器のなかでは最も適しているでしょう。


受領したばかりのGBU-39ですが、早速実戦でテストし、検証されたことになります。
全般状況を考えると、イラク攻撃の可能性は薄いと思いますが、SDBを使用したイスラエル空軍関係者の頭には、イランでの使用も念頭にあるのでしょう。

2009年1月18日 (日)

省エネじゃない

訂正記事という訳ではないですが、余りにもタイムリーな新情報があったので紹介します。

1月8日にエコ燃料について記事を書きましたが、そのちょうど翌日、防衛省が車両のハイブリッド化・電気自動車化、代替燃料開発の検討に着手することが報じられました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090109-OYT1T00438.htm

タイトルには「自衛隊も省エネ」とありますが、省エネが目的ではありません。
「エコ燃料」 や上記ニュース中でも指摘されている通り、石油燃料に全面的に依存した状態がまずいからです。

あれだけ原油価格が高騰し、燃料費がかさむと、やはり手をこまねいている訳には行かなかったのでしょう。
米国に調査団も派遣したようです。

記事に書いた代替燃料の話だけでなく、米国の取り組みには、太陽光や地熱発電所を基地内に設置することもあったようです。その中で、太陽光発電については、本気で検討しても良いかもしれません。
外部の発電所に電力供給を100%依存するよりも、自前の発電能力を持つことは、冗長性の確保にもつながり、能力の向上になるためです。
現在でも、外部からの給電が止まった時のため、発動発電機は多数装備されていますが、自家給電能力が高まることは良いことです。
太陽光発電は、発電効率の向上も著しく、早ければ数年後にもコストが通常の発電と同レベルになるという予測もあります。

今現在は、庁舎の屋上は物干し場としてしか活用されていませんが、10年後には発電用パネルが並んでいるかも知れません。

2009年1月19日 (月)

不発弾で死傷

以前も不発弾関係の記事を書いていますが、今回ちょっと大きなニュースになったので、書いてみます。
沖縄県南部の糸満市で、工事中に地中に埋没していた不発弾が爆発して、工事関係者が負傷するという事故が発生しました。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-139848-storytopic-152.html


負傷者は2人で1人は予断を許さない状況が続いているようですが、250キロ爆弾が爆発したと見られることを考えれば、奇跡的と言えるほど被害は少なくて済んでいます。


負傷者が出たため、全国紙にも取り上げられてニュースになりましたが、沖縄県では今でも不発弾の発見は珍しくありません。


私が那覇基地で勤務していた時にも、基地内の工事現場から何回も不発弾が発見されていましたし、ちょっとした事件になったケースもありました。

ある日、普通にオフィスで仕事をしていると、いきなり火災警報器が鳴り出しました。
「どこだ?」と騒いでいると、「外だ」と言う声が聞こえ、飛び出してみると、庁舎の裏の丘から煙が出ていました。
早くも数人が消火器を持って近づいて行きましたが、きれいに刈られた芝の丘から煙が吹き出しており、様子がおかしいので、彼らは遠巻きに観察していました。
しばらくすると煙は収まり、不発弾じゃないかということになり、基地のすぐ隣にある陸自那覇駐屯地から、不発弾処理隊に来てもらいました。
結果は、土中に埋まっていた不発の発煙弾が、周辺の土が流れ出た結果地表として地上に現れ、腐食した結果、内部に侵入した水と黄燐が反応して煙が吹き出したものということでした。


沖縄では、この程度の事件は山ほどあります。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-139964-storytopic-152.html

そのため、本土では信じられないほど不発弾の危険性に無頓着になっています。
今回の事故も、自衛隊発注の工事では必ず行っている地中の磁気探査を実施していなかった事も事故の一因となっています。
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-01-15-M_1-001-1_002.html?PSID=934d530ab419715052ba5dc0bacb433c


沖縄の方が、不発弾に対して無頓着になっている例として、こんな事例もありました。
ある時、某分屯基地のゲートに軽トラが現れ、乗っていた方が「畑から出てきたので預かってくれ」と言って荷台を指差しました。
そこに乗っていたのは、数発の不発艦砲弾だったそうです。
空自の分屯基地としても、役割が違うから持って帰れとも言えず、ゲート脇の空き地に降ろすと防爆措置(もし爆発しても被害が出ないよう、防爆マットや土嚢で覆う措置)をして不発弾処理隊を呼びました。


不発弾の処理費用は、来年度から全額国庫負担になることが決まっていますが、工事の前に行うべき磁気探査の費用は一部が沖縄で負担しなければならない状態が続いています。

沖縄では、今なお2500トンの不発弾が埋まっていると見られ、全てを処理するためにはあと80年かかるとも言われています。

以前の記事でも書きましたが、工事前の磁気探査を含め、不発弾処理に絡む費用を沖縄に負担させることは筋違いでしょう。
費用のかかる事とは言え、国が責任を負うべき問題です。

2009年1月21日 (水)

早期警戒衛星についての産経の報道姿勢


私は保守を自認しています。
そのため現役自衛官だった頃から、産経新聞の報道姿勢はありがたいと思っていましたが、あまりに提灯記事が過ぎるとニュースとしての信頼性に疑問符が付いてしまいます。

1月16日、産経は「防衛省、早期警戒衛星を開発へ ミサイル発射を直後に探知」という記事を載せています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090116/plc0901161817008-n1.htm

タイトル・記事内容を見ても、まるで早期警戒衛星を開発配備することが方針として決まったとも取れる書きぶりですが、ニュースソースが同じと思われる他紙の記事を探すと、朝日に「宇宙の防衛利用、防衛省が基本方針を公表」というものがありました。
http://www.asahi.com/politics/update/0116/TKY200901160294.htm

こちらを見ると、確かに早期警戒衛星についても言及されているものの、「活用の検討や研究開発を推進」と書かれ、軸足は「研究」だと見て取れます。記事全体としては、早期警戒衛星よりも、既存の情報収集衛星の能力向上などに重点があるように書かれており、落ち着いた書きぶりで、防衛省が発表したものとしても現実的と見えます。

以前にこのブログでも「日本独自の早期警戒衛星は不要だ! 」という記事を書いていますが、日本のニーズに合った早期警戒衛星を配備しようとすれば、非現実的なコストになる可能性が高いです。

早期警戒衛星については、日本の防衛に真に必要なものはどの様なものか、その配備運用におけるコストはどの程度か、について、研究を進めておくことは必要ですし、結果は国民にも知らせるべきものです。

産経は、保守を自認するなら、もう少し現実を良く精査し、正確な記事を書いていただく必要があるでしょう。

産経と朝日の記事内容については、以下の通りです。

産経新聞
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防衛省、早期警戒衛星を開発へ ミサイル発射を直後に探知

 防衛省は16日、防衛目的での宇宙利用を解禁する宇宙基本法制定を受けた「宇宙開発利用に関する基本方針」をまとめた。今後、取り組む施策として弾道ミサイル発射を直後に探知できる早期警戒衛星の開発や、軍事通信電波を傍受する電波情報収集衛星の研究を挙げた。航空機を利用した小型衛星打ち上げシステムの検討も盛り込んでいる。

 世界でも米露両国しか保有しない早期警戒衛星の導入は、年末に改定される防衛計画の大綱でも焦点となる。同省では大綱に導入が盛り込まれれば、衛星から地表のミサイル発射を探知する高感度赤外線センサーの研究・開発に先行して取り組む方針だ。

 現在の弾道ミサイル防衛(BMD)は地上、艦船のレーダーで日本に飛来する弾道ミサイルを探知・追尾し、イージス艦の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)で迎撃するシステムを取っている。迎撃精度の向上に不可欠なミサイル発射情報は米国の早期警戒衛星でしか探知できず、自衛隊は情報をもらう立場でしかないのが実情だ。

 同衛星については災害監視など多目的な利用が可能なため、政府全体で研究開発を行う。一方、日本上空に飛来する軍事通信電波や各種兵器の発する電波を探知する電波情報収集衛星については防衛省を中心に研究を進める考えだ。

 ただ、すでに内閣情報衛星センターが運用する情報収集衛星でも開発に5年以上かかっており、「実用化は中長期的な課題」(防衛省幹部)となる。
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朝日新聞
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宇宙の防衛利用、防衛省が基本方針を公表

 防衛省は16日、宇宙の防衛利用をめぐる基本方針を公表した。昨年5月成立の宇宙基本法を受け、衛星からの情報収集や警戒監視の強化による防衛力整備を目指す。今年末に改定する防衛計画大綱に反映させる考えだが、「国際的な緊張を高める」「巨費を要する」などの批判もある。

 基本方針では軍事衛星について「費用対効果や技術的可能性等を考慮して、具体的な事業化も視野に入れた検討を行う」とした。現在運用している情報収集衛星の解像度を上げるほか、緊急時に特定地域を集中監視できる「即応型小型衛星」や「電波情報収集衛星」の可能性も検討する。

 重点分野として、日本周辺海空域の常時監視▽日米共同対処行動の円滑化や統合運用の強化▽国際平和協力活動のための情報収集能力強化――などを挙げた。近隣諸国のミサイル発射の兆候をつかむ早期警戒衛星についても、活用の検討や研究開発を推進するとしている。
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2009年1月25日 (日)

防衛省に情報開示請求 その5

このシリーズについては、その4で終了にする予定だったのですが、「そりゃないだろ」というものが出てきたので、追記します。


「その4」までで、私が請求した文書(某課が保有する文書リスト)は、公開が決定されたわけですが、私としてはそれで終わりというつもりではなく、リストを見た上で、価値があると思われる文書を請求するつもりでした。


当然、リストからピックアップして有用そうな文書について、請求しました。
その結果、「開示決定等の期限の特例規定の適用について(通知)」という文書が送られてきました。


通知文書の内容は、情報公開に関する法律の11条(開示決定等の期限の特例)を適用し、約2ヶ月後までに可能な部分についての開示決定を行い、残りの部分については、さらに7ヶ月後に開示決定するというものでした。


請求した文書は、有用そう=秘に該当する情報が含まれている、であるため、当然全て秘文書だったはずです。
現在の文書公開制度では、秘文書であることを根拠として、自動的に文書の全てを非公開とすることはできないため、秘文書については、公開しても問題のない部分だけ公開し、本当に秘匿するべき部分のみ非公開とすることになっています。


私が現役の際も、担当していた秘文書の開示請求があると、開示する部分と非公開とする部分を分ける作業をしました。
ただその作業は数日でやっていたはずなので、2ヶ月、さらにその先7ヶ月も待たせる必要なんて無かったと思うのですが、今回は待たされる結果となってしまいました。


防衛省の建前(理由)としては、私の請求した文書は、「不開示情報が含まれており、かつそれらは特に機微な情報であることから、開示・不開示の判断に慎重を要するとともに、同時に関連を要する多数の開示請求があり、情報公開に関する法律所定の期間内に開示・不開示の決定を行おうとした場合、開示担当課の他の業務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある」だそうです。


確かに、私が現役の際にも何度も読み込んだ重要な文書を含めて請求した訳ですが、2ヶ月、7ヶ月はないだろ、というのが正直な感想でした。


ただ、今回の請求で現役の方々に手間をかけさせてしまっていることは事実です。


ゴメンなさい。
よろしくお願いします。

2009年1月27日 (火)

離島有事に無人偵察機

記事の真偽には疑問符が付きますが、今後の(離島)防衛を占う上で重要なヒントになるかもしれない話なので、今回も産経新聞を元ネタに書いてみます。

24日、産経新聞が「離島有事に無人偵察機 防衛省、21年度導入へ 」という記事を載せました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090124/plc0901240138000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090124/plc0901240138000-n2.htm
10134312600

本題に入る前に、冒頭で疑問符が付くと書いた理由を書いておきます。
今回の報道では、「防衛省は独自に開発を進めてきた無人偵察機(UAV)を実用化する方針を固めた」と書かれており、「無人機研究システム 」として研究が進められている無人機が、そのまま配備されるように書かれています。
研究については次のリンクを参照して下さい。
http://www.mod.go.jp/j/info/hyouka/15/jizen/youshi/08.pdf
防衛省が、本当に配備の方針を固めたのならスクープでしょうが、後で書いている問題がある他、21年度の概算要求資料にも載っていなかったものを、21年度予算にネジ込んだとは考えにくいものがあります。
産経には結構批判的な「週間オブイェクト 」としてはめずらしく、そのまま記事を信用しているようですが、設計時の耐用年数に対するメーカー保障のことなどもありますし、かなり怪しい気がするのですが・・・

また、今回の記事には単純で明確な誤りもあります。
「固定翼の無人偵察機の導入は自衛隊では初めて。」と書かれているのですが、陸自の装備に「チャカR」という固定翼無人偵察機が存在し、静内(北海道)の第1高射特科団第101無人偵察機隊という、そのものズバリなネーミングの部隊が運用しています。
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/omoshiro/military-powers_omoshiro-06.htm
(ただし性能は不十分で、とても離島対処に使用できるようなものではありません)

さて、やっと本題です。
まず、何が重要なヒントかというと、この無人偵察機を(本格的に)配備するとすれば、離島防衛(有事)において、自衛隊にどんな活動が求められ、政府・自衛隊にその意思があるか、という点が見えてくるからです。

離島、ここではズバリ尖閣と言っておきますが、有事において、この尖閣を実効支配するためには、一定期間、尖閣を越える範囲までまで航空優勢を確保しなければなりません。
それが出来なければ、岩ばかりで身を隠す手段をとることがほとんど出来ない魚釣島で、陸自隊員がみすみす命を落とすことになります。
この点が、産経の記事中に「地対空ミサイルで攻撃される恐れのある空域まで入り、敵の部隊配置や戦力規模を把握する「強行偵察」が不可欠になる」と書かれている理由な訳です。

つまり、防衛省がこの「無人機研究システム」を応用した無人偵察機を配備するとすれば、その危険な空域まで進出して偵察行い、離島防衛(作戦)を本気で実施する意思があると言える訳です。

次に、これは推測というより、憶測に近くなりますが、もしこの無人偵察機を実際に配備するつもりであるならば、自衛隊が作戦基盤として下地島の利用を意図している可能性がある、と言えることです。

現在までの「無人機研究システム」は、パラシュートとエアバックを利用した垂直着陸方式です。ですが、冒頭のリンクを見ても分かるように、自動滑走着陸を可能とするよう研究が進められています。
しかし、技術的に十分安全なものが出来たとしても、それが空港周辺に居住する住民にとって、受け入れ可能かというと、はなはだ怪しいのが実情でしょう。
ましてや、沖縄ではなおさらです。
那覇、嘉手納や普天間、また本島以外の離島であっても、無人機が着陸するとなれば、大きな反対が起きることは間違いありません。(私が住民でも正直嫌です)
それと、これは今後の研究にもよるでしょうが、あの機体規模であの程度の翼面積となると、着陸速度はかなり速そうです。
比較的長い滑走路が必要となるのではないでしょうか。
また、滑走着陸を諦め、パラシュートとエアバックによる垂直着陸方式としたとしても、パラシュートの開傘タイミングはなかなか思うようにはいかないものです。
おまけに降下中は風に流されます。
いずれにしても、かなりの面積が必要ですし、周辺への安全の保障は難しいでしょう。
(那覇が拡張され、沖合滑走路が完成すれば、那覇でも運用できるかもしれませんが、いったい何時になることやら。また、当面は海上に着水させて回収という方法もありえなくはないですが、チャカRと比べて重量が3倍もある無人偵察機を引き上げることは相当に苦労するはずです。高温の状態で海没するエンジンの整備も大変)

となれば、十分な規模があり、周辺に住民が居ない空港が運用の適地になります。
そして、それは下地島以外にありえません。

運用できる場所の当てがないまま、本格的な配備に動くことはありえないので、今後この無人偵察機が研究の域を超え、本格配備の可能性が高くなれば、自衛隊による下地島空港の使用は下調整が出来ていると見るべきだと思えます。
(もっとも、百里あたりに配備しておいて、有事には強引に事を運ぶ可能性もありますが・・・)

しかし、コレを制式化してしまったら有人偵察機にはお金が付かないんじゃないでしょうか?
RF-15はどうなるんでしょう。

2009年1月31日 (土)

驚いた事、驚かなかった事

先日、現役自衛官時代に机を並べ、共に田母神元空将の下で幕僚として働いた方から、田母神元空将の応援をしてやって欲しいというお手紙を頂きました。


このブログでは、田母神元空将の論文問題を何度か取り上げて来ました。
その中で、田母神元空将に対する応援は、それなりにして来ましたし、世論の反応は注意深く見たきたつもりです。


その中で、驚きと共に感じた事は、田母神元空将は、私が応援する必要はないのではないか、という事です。
私なんかが微々たる応援などしなくても、それほど叩かれてはいないし、支持する声もかなりあるように感じました。


特に驚かされた事は、おそらく最も一般の方の反応に近いであろうテレビの反応です。政治バラエティーと言える番組では、何度か田母神元空将の件が取り上げられましたし、ご本人も出演されてました。
それらの中で、田母神元空将は驚くほど好意的に取り上げられていましたし、明確に支持するコメンテーターの方も多かった事は、正直言って驚きでした。
保守を自認する私が驚くんですから、革新系の方は衝撃を受けられたでしょう。


もちろん批判的な主張はいくらでもありますが、それについては、驚きは感じません。
新聞なぞはこぞって批判していますが、十分に予想されたことです。
(中国の潜水艦についての情報を新聞記者に伝えた事件の事もあり、自衛官が発言することについては、擁護する姿勢を示すかと思われた読売新聞までが批判的だったことは、少々驚きでした。)


逆に、世間一般では結構驚きをもって迎えられていたものの、私自身は驚かなかった事は、諸外国の反応です。
特にアジア諸国から相当に叩かれる、という予想が随分とありましたが、実際には殊更騒ぎにはなりませんでした。
その理由は、更迭が決まっていたということもあるでしょうが、最大の理由は、どこの国でも、国を守る軍人が愛国的であることは当たり前だからでしょう。
我々日本人でも、中国の抗日戦争記念日などで、一般市民が騒いでいれば違和感を感じても、軍がパレードを行っても誰も気にしない事と同じではないでしょうか。


今回の田母神元空将の論文問題は、日本の愛国心などについての歴史の中では、実はエポックメイキングな事象だったのかも知れません。
10年後に、今回の件がどう評価されるのか、興味深い所です。

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