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2008年12月16日 (火)

那覇空港の拡張案は軍事的にも評価できる?

空自那覇基地と滑走路を共用する軍民共用の那覇空港では、以前からトラフィックがの過密が問題となり、空港拡張が議論されてきました。
これに関して、12月10日、琉球新報が拡張案について報じています。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-138878-storytopic-3.html

今回の報道は、拡張の方向が、現在の滑走路の沖合1310mに平行滑走路を設けるものになりそうだとのいうものです。
現在検討は最終段階で、候補には2つの案が残っています。ともに現在の滑走路と平行の滑走路を新設するもので、現滑走路との離間距離を1310mと850mとするものです。
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共に琉球新報より

両案共に、現在ある滑走路の北側からタクシーウェイを経由して沖合の滑走路に向かうもので、お世辞にも利便性が良いとは思えません。ですが、現状より改善されることは間違いないでしょう。

報道では、環境とコストのことばかりが書かれ、防衛への影響は一言も言及されていませんが、拡張プランの策定には当然防衛省も咬んでいるはずです。
もうずいぶんと前になりますが、私が沖縄で勤務していた頃にも、検討状況は防衛庁(当時)にも入ってきていました。

防衛省が実際にどのような要望を国交省側に渡しているのかは分かりません。
また、2本の滑走路の使用を防衛省と国交省で分けるのか、分けるとしたらどちらを使うのかなど、細部はまだ見えてきていないようです。
細部は未定ながらも、今回報じられている方向は、防衛省にとっても悪いものではないと思います。

その理由は、抗坦性、特に弾道ミサイルに対する抗坦性(冗長性も含め)が高まるからです。(中国本土から沖縄本島を航空攻撃することは、政治的にだけでなく航空機の航続距離の面から困難なこともあり、DCAはあまり重要ではない。)

中国は、台湾制圧用に大量のSRBMを配備し、それを開戦劈頭に空港に対して使用することで、空港を使用不能にする戦術を採ると見られています。
SRBMは那覇まで届きませんが、MRBMを用いた同様の作戦を考えている可能性は高いでしょう。
那覇を十分に射程内に捉えるDF-21は、100基弱が配備され、CEPは300mから400mと見られています。もちろん、核弾頭を使用されれば話になりませんが、DF-21が使用可能と見られる通常弾頭や化学弾頭の場合には、滑走路の離間距離は結構重要な問題です。

離間距離が850mでは、ほぼ中央部を目標として発射すれば、どちらかの滑走路に影響を及ぼす可能性が高いでしょう。しかし、離間距離が1310mだった場合、目標をどちらかの滑走路に絞らなければ、無駄となる可能性が高い数値になります。

また、さらに重要な問題として、パトリオットの配置があります。
現在那覇基地に配備されているパトリオット部隊は、PAC-2を装備する第5高射群第17高射隊です。装備がPAC-2なので、南西地域(特に尖閣や先島)に対する脅威が高まれば、5高群は飛行部隊と共に下地島及び宮古島に展開すべきです。代わりに那覇にはPAC-3装備の高射群が配置されるでしょう。
PAC-2ではMRBM対処は不可能ですし、下地島にはSRBMが届くと共に、PAC-2でも効果が期待できます。もちろん対航空機対処(DCA)も重要です。

現在の17高射隊のサイトは、那覇基地の主要区画から離れ、地図中の大嶺崎と記載されている辺りにありますが、もし850m案が採用された場合は移転せざるを得ないでしょう。
那覇基地内で移動できればまだ良しですが、最悪基地内展開は無理かもしれません。基地の主要部から離れ過ぎると、MRBM相手ではPAC-3でも防護範囲が狭いため、対処できなくなる可能性があります。

その点、1310m案では、17高射隊のサイトを移動させる必要はないので、両滑走路の中央から基地全体を防護できます。

おまけ
久々に那覇基地の公式HPを見てみたら、5高群のワッペンがロービジデザインに変わってました。
年度末には飛行部隊も入れ替わるので、那覇は変化が激しいですね。

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