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2008年12月

2008年12月 1日 (月)

石垣島に米軍ヘリ

米軍の艦載ヘリが、石垣島の空港を使用したことが、沖縄でニュースになっています。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-138505-storytopic-1.html
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-11-29-M_1-027-1_003.html

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(琉球新報)

飛来した2機のヘリは、米海軍のMH-60Sで、グアムにあるアンダーセン基地の第25ヘリコプター海上戦闘中隊所属、強襲揚陸艦エセックスに配備されている機体です。
エセックスは香港から佐世保に帰る途中で、石垣近海を通過したもよう。
今回の飛来は、米海軍が船上で「貴賓イベント」を催し、在沖米総領事館が八重山防衛協会(三木巖会長)の会員ら14人を招待したことから、その送迎のために実施されました。

イベント自体は、各地で行われるオープンハウスなどと同様に、安保体制の重要性や米軍の活動への理解を深めるため行われたものです。
飛来は、米海軍から沖縄県空港課に対して事前に届け出られており、淡々と実施されました。

従来、米軍機による沖縄の民間空港使用は、緊急時を除けば、機体の長距離フェリーのための給油目的程度でした。
それが、今回はイベントのためということで、メディアだけでなく、沖縄県知事や石垣市長も噛み付いたため、結構なニュースになったというところです。

メディアでのいろいろな批判はあれ、沖縄(八重山)の対米軍感情が、イベントに人を招待できるほどに改善したということは良いことだと思います。
たとえ本土でも、米軍が変わったことをすれば反対する人はいるのですから、ニュースになったことをもって沖縄の特異性を語ることは適切ではないと考えてます。

ただし、今回の記事でも、沖縄タイムスの次のような、一部個人の意見を殊更に取り上げる報道姿勢は、マスメディアとして自戒すべきモノでしょう。
以下沖縄タイムス記事の引用
********************
一方、三人の子どもを連れ、同空港を訪れたライアン・千鶴さん(38)=石垣市平得=は「米軍の活動に丸め込もうとしているようで気持ち悪い。子どもたちが戦争に巻き込まれないよう自分の目で何が起きているかを見ようと思って来た」と話した。
********************
今回のイベントに参加した石垣防衛協会のメンバーの一人は、「(エセックスの)規模の大きさに驚いた。島に住んでいると分からないが、この艦船が八重山近海を警戒しなければならない状況に不安を持った」と語っています。
中国の軍事力が急拡大するなか、八重山の方の心配は、首都圏に住む者が考える以上のものがあるのでしょう。

地勢を見ると、台湾から八重山、沖縄本島のラインは、中国の東の海岸線の半分を封鎖する形となっています。
この地勢は、結氷するという条件の違いはあれ、ウラジオストクに対する千島列島と北方四島の関係に似ています。
中国が、大陸国家から海洋国家に姿を変えようとする時、八重山、先島に触手を伸ばさないと考えることは、楽観的すぎる考えに思えます。
石垣防衛協会には、もっと頑張ってもらい、自衛隊や米軍との交流を深めて頂きたいと思います。

2008年12月 3日 (水)

結果として中途半端

12月1日、空自浜松基地の侵入防止用センサー線が切断されたというニュース が流れました。http://mainichi.jp/select/today/news/20081201k0000e040014000c.html?inb=ff

切断されたのは、断線警報装置と呼ばれる侵入者警戒用のセンサーの電線です。
この線は、非常に細く弱くできており、侵入者が柵を乗り越えて進入しようとした際、引っかかって線が切れることで警報を発します。数ある警戒警報装置の中でももっとも簡単なもので、早い話、電子式の現代版鳴子です。

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(毎日新聞)

センサーは長さ500mに渡って26カ所も切断されており、基地としては、侵入者の検索など所要の対応処置は採ったでしょうが、常識的に考えれば、どうみてもイタズラか嫌がらせです。

とてもニュースバリューがあるとは思えない下らないニュースです。
それをなぜブログでも取り上げたのかと言うと、ここから自衛隊と警察の関係が 透けて見えてくるからです。

自衛隊と警察は、今でこそ、協同訓練を行うなど連携を深めていますが、従来は 決して仲良くありませんでした。
警察は、旧軍への印象や後藤田正晴を筆頭に自衛隊によるクーデターを本気で警戒していた他、畑を荒らされる形となる治安出動の存在から、防衛庁時代から内局に出向者を出し、自衛隊を監視の対象としてきました。
一方、自衛隊は、内局への警察出向者が気にくわないし、治安出動の訓練を掛け合っても相手にされない、それどころか防災の訓練でもあからさまに自衛隊を遠ざけるような対応をされていました。

関係が好転したのは、北朝鮮のゲリコマによる侵入破壊工作が懸念されるように なった(小説宣戦布告などの影響もあり)他、9.11テロや阪神大震災など、協力しなければ国民の期待に応えきれないと、お互いが認識したからです。

しかし、長らく反目しあっていたものが、一朝一夕に綿密な連携が採れるわけで はありません。
今回のセンサー線の切断は、報じられることで自衛隊になんのメリットもありま せん。むしろ、度胸試しの模倣犯や、ニュースになりたいというような下らない動機の侵入事案を喚起するだけです。
おそらく、基地としては、センサーが発報した時点で警察にも連絡したのでしょうが、状況がわかった時点で、双方とも緊張感を持った対応をしていないはずです。
そこで、「では穏便に」ということにしておけば良かったものを、警察が記者クラブに伝えてしまったのでしょう。
基地としても、こんなものがニュースになるなど思いもよらず、一言言っておく ような配慮ができなかったのでしょう。
今回の事は、連携が良くなって、結果として中途半端だったということなのだろうと想像しています。(以前なら即座に警察に連絡したりはしない)

それにしても、こんな警察だって真剣に捜査するはずのない下らない事件を、ニ ュースとして取り上げる新聞社もよほど暇なのでしょうか。
全国紙4紙の中で、報道価値なしとして取り上げなかったまともな新聞社は、朝 日だけでした。

2008年12月 5日 (金)

自衛官の思想的マジョリティー (田母神元空将論文問題)

田母神元空将の論文問題は、ネットだけでなく、雑誌などでも取り上げられ、未だにホットな話題のようです。
私の中にも、未だ整理しきらないものの、書きたいことがかなりあります。
そこで、関連した記事を何回かに分けて書こうと思います。


まず最初に、自衛隊OBとして、多くの方が気になるであろう、歴史認識に関する自衛官の思想的マジョリティーがどんなところにあるのか、端的に言えば、田母神元空将のような思想が自衛隊内において一般的なのかどうかについて書いておきます。


今回の論文中、もっとも問題とされた歴史認識について、田母神元空将の考えは、決して多数派ではありません。


おそらく、最も多数なのは無関心派(私も)でしょう。

受験に近現代があまり必要ないこともあって、基本的に知識不足であることも、世間一般と同様です。(幹部よりも曹士隊員の方がこの傾向が強い)
ただし、その無関心派内でも、60年以上経過した現在でも、謝罪ばかりを繰り返す謝罪外交に対しては、憤慨している者が多数です。


この無関心派に次ぐのが、日本の過ちは認めつつ、当時の国際政治状況を鑑みれば、致しなかったとする考えです。幹部では無関心派を超えるかもしれません。


その次が、日本の過ちを明確に認める立場です。以外に思われるかも知れませんが、幹部でも少なくないように思います。


その一方、田母神元空将のような、侵略を認めないといった考えは、ほとんど聞いた記憶がありません。
実際にはある程度の数がいるのかもしれませんが、自衛隊内でも、こう言った考えはむしろタブー視されている状況です。


そして、こういう状況だからこそ、田母神元空将としては、この状況を問題視して、幹部学校のカリキュラムに取り上げたり、訓示やモーニングレポート後のコメントで語ってきたのではないかと思います。


今回の事件で、自衛隊が国民の信頼を失ったといった意見があります。
それは、上に書いたように、自衛隊の内実が国民一般とそう乖離していないにもかかわらず、田母神元空将のような考えの者が多いのではないかとする疑念を抱かせたという点において、残念ながらその通りなのかもしれません。

2008年12月 7日 (日)

田母神元空将の人望と指揮官型 (田母神元空将論文問題)

田母神元空将の更迭問題が発生した以後、ネットでは自衛隊関係者による田母神元空将擁護の書き込みがかなりの数ありました。


個人的な心情を書かせてもらえば、わたし自身も田母神元空将を擁護したいとさえ思っています。
それは、田母神元空将が部下に慕われる方だったからに他ならなりません。


文芸春秋11月20号でも、田母神元空将に批判的な論調の記事を書きながらも、記者から好かれていた事が書かれています。


なお、「お前は田母神元空将のことを知っているのかよ」という感想を持たれる方がいると思うので、今のうちに申し述べておきますが、私は某部隊の司令部において、幕僚の一人として、直接に仕えさせて頂いた経験があります。


自衛隊では、広義の指揮は、狭義の指揮、統御、管理の3つに分類されます。
狭義の指揮は、純粋に命令を与えて部下の行動を律するというもの。

統御は、部下のやる気を起こさせ、部隊を行動させていくというもの。

管理は、人事管理など、部隊を組織的に行動させるための調整を行うものです。
実際に部隊を指揮する指揮官は、この3つの全ての要素において部下を指揮している訳ですが、それぞれの指揮官のパーソナリティや部隊の規模などによって重点は違ってきます。


田母神空将は、この3つの指揮の分類で言えば、統御に優れた指揮官でした。
論文が問題となった以降でも、新聞紙上で「朴訥とした中にもユーモアを交えた語り口には定評がある」と表現されたように、司令官の訓示など、隊員として、ともすれば「かったりい」というような印象を抱くものでも、田母神空将の訓示は聞いているものを引き付け、「この指揮官ならば」と思わせるものがありました。

また、幕僚が起案した命令等の文書指導においても、狭義の指揮タイプなら事細かに注意し修正させるところですが、田母神空将の場合は、大筋が合っていれば、あとの細部は幕僚に任せるといったスタンスで、任された幕僚が意欲的に業務に取り組めるよう仕向けることがうまい方でした。


また、今回の論文や東京大学での講演などでもその片鱗が見られますが、田母神空将は、「ヒラメ」(上のご機嫌ばかり見る)とは対極にあり、首を切られても構わないという姿勢で上に臨んでいたため、部下としては非常に心強い方でした。


そして、この統御型指揮官だからこそ、自分の国の正当性といった隊員の士気に影響しそうな問題について、強いお考えを持っていたのだろうと思います。
(私自身は、現在の自衛隊が正当ならば、過去の正当性はどうでも良いと思っている為、田母神元空将とは考えが異なります。)

2008年12月 9日 (火)

田母神元空将の更迭・処分 (田母神元空将論文問題)

田母神元空将の更迭、処分については、正直な心情を言えば残念だが、致し方のない事だし、妥当なモノだと思っています。


更迭直後の記事において、更迭されることを含めて内諾があったのではないかとまで書いた通り、あの論文の内容は、政府見解に反する以上、政府として座視できない内容であり、更迭も当然だろうと感じています。

歴史認識に係わらず、政府見解は、閣僚内でも閣内不一致として問題となります。それを考えれば、首相の幕僚たる航空幕僚長としては、内心どう思っているにせよ、それを公に口にすることは問題でしょう。
そして、問題となることを予見できなかったという点において、更迭は妥当なことだったと言わざるを得ないと思っています。


残念なのは、田母神元空将自身、こんな騒ぎになるとは思っておられなかったと言われており、政治状況を読めていなかったことです。
「鵬友」(航空自衛隊幹部会誌)に同様のものが載ったことがあると言えど、部内誌と部外の公募論文では訳が違います。
佐藤守氏がブログで書いていた通り、歴史認識について似通った人との付き合いが多く、判断を誤ったのかもしれません。


ただし、佐藤正久参議院議員が指摘している通り、階級章に4つの星がつく「航空幕僚長たる空将」から、役職なしで3つの星しか付かない普通の空将への更迭は、表面的にも実質的にも「降任」であり、懲戒処分の審理なくして処分されたことになります。
懲戒処分における「降任」は、最も重い「免職」に次ぐ処分であり、制服を着ていた者ならば、極めて重い処分であることは直ぐに分かります。


このことを含め、民主党を始めとして、懲戒処分を求める動きがあったことには憤慨を覚えます。
懲戒に対しては、あの論文発表が懲戒処分に当たるか否かを審理する訳ですが、田母神元空将も受けて立つ構えだった通り、とても処分に値するとは思えません。

唯一、懲戒処分における当たるか否かについて疑義のある点は、官房長に文書で報告していなかった事ですが、少なくとも口頭では報告しています。内規違反ではありますが、せいぜい注意か口頭注意(最も軽い懲戒処分が「戒告」ですが、懲戒処分には当たらないものの、そこまでに至らない問題に対しては、「注意」が行われる)程度です。

内規では、部外に対する発表に事前の報告、許可を求めていますが、同様に海外渡航も事前の報告、許可が必要な事になっています。

何年か前、この内規に反して、無許可で海外に渡航していた隊員が何人もいたことが問題になりましたが、私が記憶している限り、懲戒処分を受けた隊員はいなかったはずです。
もちろん、立場が違うという考えもあるでしょうが、高級幹部に文書で報告を求めることは、部内にいたことのある者としては不自然にも思えます。


離任式も行わずに定年退職を適用したことで、組織としての処分は十分にされていたと思います。

2008年12月11日 (木)

シビリアンコントロールを逸脱していない (田母神元空将論文問題)

田母神元空将がシビリアンコントロールを逸脱していたとする主張があります。
ですが、私はそうは思いません。


田母神空将は、自身の歴史認識がどうあれ、求められた職責は果たしてきています。

以前の記事でも書きましたが、田母神元空将は、アメリカに対して反感を持ちつつも、MDを中心として「協同」を進める方向で努力されていました。
(現在の安保条約の解釈と、集団的自衛権行使の観点から、防衛省自衛隊では、日米に関しては「共同」とは言われても「協同」と言われることは決してありません。ですが、MDについては再三書いている通り、実質的に「協同」状態にあります。)
田母神元空将は、自衛隊よりも、政府主導で行われたMDの推進を、自分の感情は排して推進していた訳です。


論文の発表自体が、シビリアンコントロールの逸脱だとする意見もありますが、それは言いすぎだと思います。
発表に至る手続き的問題(事前の許可)と内容が村山談話に反する見解であるとは言え、直接職務に関係のない歴史認識を披露したことをシビリアンコントロールの逸脱とするなら、逆に自衛官には歴史認識を含む思想教育が必要だと言うことになります。
これからは、服務の宣誓だけでなく、村山談話支持の宣誓でもしろと言うつもりでしょうか。


おまけに、政府見解と異なる見解の発表が問題だというなら、田母神元空将が同じ論文中に記述した集団的自衛権に関係する下りの方が余程問題となるはずです。
集団的自衛権についての法解釈は、内閣法制局がまとめた法解釈なわけですから、田母神元空将の論文を問題視するならば、むしろこの点において問題とされなければおかしいはずです。


また、自衛隊のイラク派遣に対して、名古屋高裁が一部違憲判決を下し、これに対して田母神元空将が「そんなの関係ねえ」という発言したことに関しても、2つの点からシビリアンコントロール上でも問題はありません。(発言が高級幹部として品がないという批判はその通りでしょうが。)
第一に、まだ2審が終了しただけで、判決は確定していないため、判決に強制力は発生していない。
第二に、判決中、違憲であるとした部分は傍論の中で述べられている。
傍論とは、判決理由にはならないが、こういう考え方もあるということを示した部分であり、この時の判決自体は、派遣をやめる必要はないとしていました。判決理由も、当然にやめる必要がない理由を述べています。
まさに「そんなの関係ねえ」という通りだった訳です。
この点をちゃんと報道している報道機関がほとんど無いことは、日本の報道機関の異常性を示すモノだと言わざるを得ないと思っています。


しかし、政府とすれば、政府見解とことなる認識をどうどうと発表する姿勢をもって、シビリアンコントロールから逸脱しそうな危険人物と判断することは、致し方ないことだと思っています。
田母神元空将は、更迭に際して浜田防衛大臣が「これこそ文民統制だ」と言った通り、シビリアンコントロールによって解任された訳です。

2008年12月14日 (日)

本当に内規違反だったのか? (田母神元空将論文問題)

前々回のエントリー「田母神元空将の更迭・処分 (田母神元空将論文問題)」に対して、Bambi氏より、次のようなコメントを頂きました。

********************
田母神氏の内規違反の件を調べて。。。というより、管理人様と同じく違和感を感じ、防衛省に問い合わせたところ、「違反ではない」「原則、届けが必要だが例外がある」と返答をいただきました。
私は、まったく部外の人間で素人ですので、これは、なんと考えれば良いのか。。。爾来、戸惑っております。
********************


以前のエントリーでも書いたとおり、私自身、この件については、田母神元空将の内規違反だと認識しておりました。
ですが、防衛省の回答の通りだとすると、記憶違いがあったのかもしれません。
そこで、出来る範囲で調べてみました。

その結果、今回の件に関係すると思われる文書は次の2件でした。


まず一つ目は、大臣官房長が各幕僚長などに宛てて発簡した「部外に対する意見の発表について(通知)」です。
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1980/az19810223_00814_000.pdf
これを読むと、航空幕僚長は、「大臣官房長(大臣官房広報課長気付)に通報」しなければならないことになっています。
今回の件では、部外への論文発表は許可が必要と報じられていました。ですが、この文書では、「許可」ではなく一方的な「通知」で良い事となっています。
また、文書が必要だとも報じられていましたが、文書を要することは明示されていません。広報課長気付とされていることから、文書が必要と読めなくもないですが、通常文書が必要な場合は、「文書により」と明示されるため、広報課長に連絡が行っていれば十分であると読めます。


もう一つは、当の航空幕僚長が定めた「航空自衛隊の広報活動に関する達」です。
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/g_fd/1960/gy19610107_00001_000.pdf
この達の25条では、「隊員が航空自衛隊に関し、部外発行の新聞等に論文記事等を投稿し、(中略)努めて事前に広報担当官を通じて所属部隊等の長に届出るものとする」とされています。
この達でも、努めて届け出ることとされているだけで、義務であることは規定されていません。
また、そもそも航空幕僚長が達として発簡したもので、航空幕僚長を縛る物でもありません。ただし、自分で規定している以上、その趣旨に反することをしないことは当然です。


なお、この文書の根拠文書である「防衛省の広報活動に関する訓令」には、部外に対する論文発表などについての規定はありません。
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1960/ax19600729_00036_000.pdf


ということで、現在のところ例外規定を含め、違反であると読める内規は、見つかっておりません。

私自身の記憶は、(小説の発表を意図していた為)部外への著作物の発表について調べた際に、文書を調べた結果見つけたものだったと記憶しているのですが、もしかすると兼業の禁止についての文脈と混同してしまったかもしれません。
「隊員の分限、服務等に関する訓令」第14条及び第15条
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1955/ax19550903_00059_000.pdf


なお、兼業の禁止について規定している15条の1に続き、同条の2において、前々回のエントリーでも触れた海外渡航についても規定されています。


完璧に調べたとは言えない状態ですので、もう少し調べて後日(少々時間がかかるかも)記事としてUPします。

2008年12月16日 (火)

那覇空港の拡張案は軍事的にも評価できる?

空自那覇基地と滑走路を共用する軍民共用の那覇空港では、以前からトラフィックがの過密が問題となり、空港拡張が議論されてきました。
これに関して、12月10日、琉球新報が拡張案について報じています。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-138878-storytopic-3.html

今回の報道は、拡張の方向が、現在の滑走路の沖合1310mに平行滑走路を設けるものになりそうだとのいうものです。
現在検討は最終段階で、候補には2つの案が残っています。ともに現在の滑走路と平行の滑走路を新設するもので、現滑走路との離間距離を1310mと850mとするものです。
10120475732

10120475737
共に琉球新報より

両案共に、現在ある滑走路の北側からタクシーウェイを経由して沖合の滑走路に向かうもので、お世辞にも利便性が良いとは思えません。ですが、現状より改善されることは間違いないでしょう。

報道では、環境とコストのことばかりが書かれ、防衛への影響は一言も言及されていませんが、拡張プランの策定には当然防衛省も咬んでいるはずです。
もうずいぶんと前になりますが、私が沖縄で勤務していた頃にも、検討状況は防衛庁(当時)にも入ってきていました。

防衛省が実際にどのような要望を国交省側に渡しているのかは分かりません。
また、2本の滑走路の使用を防衛省と国交省で分けるのか、分けるとしたらどちらを使うのかなど、細部はまだ見えてきていないようです。
細部は未定ながらも、今回報じられている方向は、防衛省にとっても悪いものではないと思います。

その理由は、抗坦性、特に弾道ミサイルに対する抗坦性(冗長性も含め)が高まるからです。(中国本土から沖縄本島を航空攻撃することは、政治的にだけでなく航空機の航続距離の面から困難なこともあり、DCAはあまり重要ではない。)

中国は、台湾制圧用に大量のSRBMを配備し、それを開戦劈頭に空港に対して使用することで、空港を使用不能にする戦術を採ると見られています。
SRBMは那覇まで届きませんが、MRBMを用いた同様の作戦を考えている可能性は高いでしょう。
那覇を十分に射程内に捉えるDF-21は、100基弱が配備され、CEPは300mから400mと見られています。もちろん、核弾頭を使用されれば話になりませんが、DF-21が使用可能と見られる通常弾頭や化学弾頭の場合には、滑走路の離間距離は結構重要な問題です。

離間距離が850mでは、ほぼ中央部を目標として発射すれば、どちらかの滑走路に影響を及ぼす可能性が高いでしょう。しかし、離間距離が1310mだった場合、目標をどちらかの滑走路に絞らなければ、無駄となる可能性が高い数値になります。

また、さらに重要な問題として、パトリオットの配置があります。
現在那覇基地に配備されているパトリオット部隊は、PAC-2を装備する第5高射群第17高射隊です。装備がPAC-2なので、南西地域(特に尖閣や先島)に対する脅威が高まれば、5高群は飛行部隊と共に下地島及び宮古島に展開すべきです。代わりに那覇にはPAC-3装備の高射群が配置されるでしょう。
PAC-2ではMRBM対処は不可能ですし、下地島にはSRBMが届くと共に、PAC-2でも効果が期待できます。もちろん対航空機対処(DCA)も重要です。

現在の17高射隊のサイトは、那覇基地の主要区画から離れ、地図中の大嶺崎と記載されている辺りにありますが、もし850m案が採用された場合は移転せざるを得ないでしょう。
那覇基地内で移動できればまだ良しですが、最悪基地内展開は無理かもしれません。基地の主要部から離れ過ぎると、MRBM相手ではPAC-3でも防護範囲が狭いため、対処できなくなる可能性があります。

その点、1310m案では、17高射隊のサイトを移動させる必要はないので、両滑走路の中央から基地全体を防護できます。

おまけ
久々に那覇基地の公式HPを見てみたら、5高群のワッペンがロービジデザインに変わってました。
年度末には飛行部隊も入れ替わるので、那覇は変化が激しいですね。

2008年12月18日 (木)

環境問題は防衛にやさしくない!

タイトルが間違ってないか?
と思う方もいらっしゃると思いますが、間違えているわけではありません。


先週の土曜13日まで、東京ビックサイトにてエコプロダクツ2008が開催されてました。
http://www.eco-pro.com/
小中高校生も授業の一環で来ていると見えて、大変な盛況振りでした。
地球環境の維持は、われわれが生きてゆく上で大切なモノですが、防衛に無配慮では大変なことになります。


もちろん、環境問題に関する全てが防衛に悪影響を与えるわけではありません。
防衛、特に防空に悪影響を与えるのは、風力発電用の風車です。

そんなもの送電線と大差ないだろ、と思う方も多いと思いますが、実は送電線と風車では大違いなのです。


その理由には2つあります。
一つには、風車によるレーダーエコーが常に変化することです。
定常的なレーダーエコーは、単純なグランドクラッタだと言えます。現代のレーダーは、単純なグランドクラッタをマスク処理などで自動的に消去してくれます。
それ故、送電線もグランドクラッタの発生原因になりますが、レーダーにとってさほど障害とはなりません。
ですが、常に変化するレーダーエコーは、レーダーにとっては、ニュートラックが発生し続けているということに他なりません。
現代のフェイズドアレイレーダーは、ビームを自由に撃てるため、追随している目標以外の新たなレーダーエコーを捕捉すると、目標として確立するため、周辺を含めて集中的にレーダービームを撃ちます。
それ故、風車はレーダーのビームマネジメントに過大な不可をかけてしまう結果になります。
つまり、風車がある場所以外の目標捜索効率まで低下させてしまうという結果になるのです。

ただし、逆に言えば、旧式なレーダーではさほど影響しないとも言えます。


風力発電用の風車が(特に固定式)レーダーとって良くない第2の点は、レーダーと風車の設置適地が重複しやすいことです。
レーダーは、広い捜索覆域得るため、見通しの良い場所に設置することが基本です。そして、見通しの良い場所は、多くの場合風通しの良い場所でもあります。
結果、防衛省がレーダーの周りに広い用地を持っているのでなければ、レーダーの目の前に風力発電所が作られることにもなってしまう訳です。(方や送電線は極力風を避けて設置されます)

具体的地名には触れませんが、実際に問題となっている場所もあるようです。


こう言った省庁間の連携不足とも言われる問題は、旧郵政省時代から使用する電波の周波数割り当ての問題などが指摘されて来ました。
そのため、現在では総務省や国交省とは、それなりに連携できているように思います。
ですが、経産省、特に資源エネルギー省や環境省とはまだまだのようです。

環境も大切ですが、各省庁は、防衛にもちゃんと配慮した施策をとって頂きたいと思います。

2008年12月20日 (土)

副官の服装

副官のお仕事シリーズ番外編として、今回は副官の服装について書きます。


と言っても、副官は普段から専用の副官服装なんてものがあるわけではありません。
ですが、礼装時はちょっと違います。もちろん普通の礼装のケースもありますが、以前の記事に書いた視察時等では一般の隊員が着用することはないモールで出来た肩章や同じくモール製の副官飾緒を装着します。

このあたりも、副官の存在そのものが、指揮官の権威を顕している部分でしょう。


モールで出来た肩章は、通常「わらじ」と呼ばれています。もちろんその理由は、見た目がわらじに似ているからです。
実はこの「わらじ」、一つ困った点があります。
それは、なかなか向きがわからない事です。180度向きを変えても、ぱっと見には同じに見えます。ですがビミョーに違うのです。
そう頻繁に使うものでもないので、普段は箱に入れて保管していますが、この箱に一緒に入っている装着要領を書いた紙を無くすとどちらが内向きなのか分かりません。
個人で買う装具でもないので、副官申し送りなのですが、以前の方が装着要領を書いた紙無くしていると、途方に暮れる事になるでしょう。

わらじの装着方法は、制服の肩に付いている肩章を付けるためのベルトのようなものを、わらじの下に通して留めます。


もう一つの副官飾緒ですが、これについては、「渉外事務を行う際に着用する副官の飾緒に関する訓令」という規則で、目的や着用区分、制式が示されています。
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1958/ax19580801_00074_000.pdf


副官飾緒は、長さを違えた2重の三つ編モールと、同じく長さを違えた2重の一本紐モールで出来ており、端末には錘のようなもの(陸自では桜花及び桜葉、海自では錨、空自では鷲)が付いています。
この錘のようなものは、規則では金属製金具と規定されてますが、実際のものはメッキされたプラスチック製が多いようです。
現在は飾りになっていますが、元は作戦会議などで使用するためのチョークが原型のようです。現代の副官は完全な秘書ですが、19世紀の副官は副指揮官的な位置付けで、肩に下げたチョークで図を書き、戦闘指導をしたようです。

副官飾緒は完全に飾りで、中に腕を通し、わらじを止めるベルトのようなもので装着します。


わらじのみの装着だと、見栄えとしては今ひとつなのですが、この副官飾緒を付けると、副官の服装はなかなか映えて見えます。


なお、この副官飾緒に似たものとして、警衛隊員が装着しているものがありますが、あちらは不審者などの捕縛用で、使用時は編みこんだ紐を解いて手錠代わりに使う実用品です。また、警衛隊員のものは、前述の金属製金具の変わりに、ホイッスルが付いています。


高級幹部以外で、わらじや飾緒を装着するのは副官と儀仗隊、音楽隊くらいですので、制服にあこがれて自衛官を目指している方は、副官を目指すと良いかもしれません。(副官用なので、副官付(曹士)では着用しません。)


蛇足ですが、自衛官の結婚式の時に美玉さんからレンタルする礼装も、副官の礼装とほぼ同じモノ(わらじ飾緒付き)です。

2008年12月22日 (月)

やっぱり内規違反とは言えない (田母神元空将論文問題)

先日のエントリー(「本当に内規違反だったのか?」)で書いた、田母神元空将の論文発表が内規違反だったか否かを規定する根拠文書について、調べがついたのでご報告します。


調査の方法は、単純に防衛省(の広報)に電話をして、根拠文書を問い正しただけです。


私が問いただした際にも、防衛省の回答は「違反ではない」ということでしたが、それに関して記述した文書は、先日のエントリーで触れた「部外に対する意見の発表について(通知)」だそうです。


一応、この文書がが判断基準になるようなので、内容を転載しておきます。

(読みやすくするため若干省略、注釈付)

********************

官広第814号(56. 2.23)
改正官広第284号(19. 1. 9)
官広第8361号(19. 8.30)


(あて先)各幕僚長 殿 (他略)


(発簡)大臣官房長


部外に対する意見の発表について(通知)

標記について、下記のとおり定められたので通知する。



1 出版物、テレビ、ラジオ等を通じ、あるいは講演会等において、職務に関し意見を発表する場合は自らの立場と責任を自覚し節度をもって行うことは当然のことである。このことは従来よりしばしばいわれてきたところであるが、今後は更に、一層留意するとともに、発表に際してはあらかじめその旨を上司に届け出るよう改めて周知徹底されたい。
2 事務次官、防衛参事官、衛生監、技術監、施設等機関の長、各幕僚長、情報本部長、技術研究本部長、装備施設本部長、防衛監察監及び各地方防衛局長にあってはあらかじめ大臣官房長(大臣官房広報課長気付)に通報するものとする。
********************


以前にも書いたとおり、単なる「通報」で良いこと、「文書により」とは記述されておらず、電話連絡でも問題ないと読めることから、やはり田母神元空将は内規違反ではなかったと言えます。

2008年12月24日 (水)

ダブルスタンダード (田母神元空将論文問題)

前のエントリー「やっぱり内規違反とは言えない」で、触れた通知文書「部外に対する意見の発表について(通知)」について、一つ引っかかっている点があります。
通知文書(内規)のアドレス
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1980/az19810223_00814_000.pdf


この文書ですが、当初の発簡は昭和56年とかなり古いのですが、昨年の1月と8月に一部修正が入ったのか、再度発簡されているようです。
さらに、文面中「従来よりしばしばいわれてきたところであるが、今後は更に」という表現が入っており、防衛省内において、今回の件以外にも問題となった事例があったことが窺われます。
昨年のことなので、田母神元空将の「関係ねえ」発言や東大での講演は関係ないでしょう。


今回の論文だけがことさらに問題とされ、これら以前の事案が闇に葬られていることを考えると、防衛省(というより防衛相)はダブルスタンダードだなと思えます。


そして、今回の事案以降にも、ダブルスタンダードの一例と思われる事象も発生しています。

それは、佐藤正久参議院議員が自身のサイトで防衛部会について書いている中で触れた、五百旗頭防衛大学校校長の論文です。
http://east.tegelog.jp/index.php?itemid=1934


以下、佐藤正久議員のサイトからの転載です。
********************
本日の部会において、最も紛糾したのは、11月9日付の毎日新聞に掲載された五百旗頭真・防衛大学校校長の論文だった。この論文では、今回の田母神さんの空幕長解任に触れ、「これに関連して想起するのは、1928年の張作霖爆殺事件である」として、「軍部に対するブレーキが利かないという疾患によって、日本は滅亡への軌道に乗った<中略>このたびの即日の更迭はシビリアンコントロールを貫徹する上で、意義深い決断であると思う」と綴られている。


ある議員が問題視したのは、今回の田母神論文事案と張作霖爆殺事件を同一視しているという点と、あわせて、この五百旗頭論文は「部外への意見発表」であるが、その手続きがなされていたのか、という点だった。
防衛省は、手続きの有無について、即座に答えられず、また論文の内容については確認していない、との発言があり、議員の間からは、「これこそ懲戒の必要があるのではないか」との怒号にも似た声が相次いだ。
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ブログ「週間オブイェクト」で、JSF氏は、「防衛大学校はそれより制約はありますが、研究の名目で政府方針と異なる見解を述べる事は可能です。」と書いています。
一般論ではその様に理解されるでしょうし、私自身は政府方針と異なるものでも、私的見解として述べることは許容されるべきだと考えています。
ですが、悪法も法なりで規則は規則です。
防衛省が即座に答えられなかった点を見ると、おそらく手続きはなされていなかったのでしょう。


なお、件の内規が防衛大学校校長に対しても適用されるのかという点は、文書のあて先に防大校長が入っている点から、明らかに防大校長にも適用されると言えます。
この内規のあて先には、「施設等機関の長」というものが入ってます。そしてこの施設等機関とは、防衛省設置法で規定されています。
(設置)
第十四条 防衛省に、次の施設等機関を置く。
  防衛大学校
  防衛医科大学校
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO164.html
その長が、防衛大学校では校長になることは自明です。


手続き問題に関する限り、田母神元空将と五百旗頭防大校長の件は明らかにダブルスタンダードです。
やはり防衛相にとって、問題は内容(謝罪外交の一端)だったのでしょうね。

2008年12月26日 (金)

艦隊の防空能力 (空母保有論議その7)

このシリーズもやっと最終回を迎えました。
最後に、艦隊の防空能力について書きます。


海自艦隊の防空能力を語る上で、最も問題な点は、艦隊防空可能なイージス艦がわずか6隻しか存在しないことです。

世界最強と比べても詮無いことかもしれませんが、米海軍の空母機動部隊では、空母の護衛となるタイコンデロガ級巡洋艦とアーレイバーク級駆逐艦は、全てイージスシステムを装備し、艦隊防空能力を持っています。一例として横須賀を母港とする第7艦隊の第15駆逐隊の編成を見てみると、
タイコンデロガ級巡洋艦×2隻 VLS各122セル
アーレイバーク級駆逐艦×7隻 VLS各 90セル
となっており、艦隊防空に使用されるスタンダードミサイルの搭載数は、VLSの半数にしか装填していなかったとしても400を優に超えます。


日本が空母を保有する際には、ひゅうが型護衛艦と同様に、個艦防空用のESSMを装備することになるでしょうが、個艦防空だけで十分なはずはありません。
ESSMについては、限定的な艦隊防空能力があるとも言われますが、ESSM搭載改修の施された汎用DDで空母を守る場合、空母の直近に位置しなければならなくなります。
(一般的に、接近してくるミサイルは迎撃し易いが、横行する目標は迎撃し難い)
そうなれば、対潜戦での縦深も浅くならざるを得ませんし、各艦相互に船影がレーダーマスクとなり、対空戦闘での支障にもなります。


やはり、艦隊防空能力のあるイージス艦で対空防御を行うことが望ましいのですが、昨今の情勢では、イージス艦はMDの主力でもあるため、空母の護衛にまわすことは困難でしょう。
MDの実施においては、元来艦隊防空用だったイージスが、逆に守られる立場になっているくらいです。


海自に空母を配備するためには、SM-6の開発状況も見ながら、防空能力の高いイージス艦を増やしていかなければなりません。
しかし、あたご型の2隻を配備した以降、海自は19DDなど、汎用型護衛艦の更新に向かっています。
海自自身、空母保有に関して、願望はあったとしても、展望はないのでしょう。


個人的には、政治が空母保有を認めるくらいなら、(対艦攻撃能力もある)爆撃機を保有した方が得策だと考えてます。
ここ最近でも、中国による空母保有が噂されてますが、対抗して空母を保有するよりも、中国の空母に脅威となる爆撃機or(長距離)攻撃機を持った方がコストパフォーマンスは高いでしょう。

2008年12月28日 (日)

H21概算要求-基地防衛教導隊

H21年度の予算は、まもなく予算審議が始まります。

防衛省が出した概算要求について、何度か記事に記事にしてますが、今回は空自の基地防衛教導隊について書きます。


と言っても、基地防衛教導隊について、概算要求に盛り込まれているわけではありません。

この基地防衛教導隊について、報じられたのは2004年8月の産経新聞です。

既に該当ページは消えているようですが、ネットにコピーがあったので、以下に転載します。

********************


空自基地テロ対策 防衛専門部隊新設へ 200人体制、軽装甲車装備


 防衛庁は二十一日、テロやゲリラから航空自衛隊の基地を守る専門部隊として、空自に「基地防衛教導隊」(仮称)を新設する方針を固めた。基地や航空機が陸上から攻撃される事態に機動的に派遣し、平時には基地の警備要員を指導して警備能力の向上を図る。


 平成十八年度に新設に向けた準備室を設置、二十年度に部隊を発足させる方針。部隊の規模は約二百人体制になる見通しで、部隊を指揮する隊司令も置く。


 新たな装備として軽装甲機動車、軽機関銃を配備する。軽装甲機動車は陸上自衛隊部隊などに配備され、軽対戦車誘導弾の車上射撃が可能。特殊部隊によるテロ攻撃などの危険性を踏まえ、空自として対処能力を強化する。


 空自の基地は全国に七十二あり、基地防衛では各基地ごとに約四十人の警備小隊を置いている。しかし、「特殊部隊の基地侵入や滑走路が破壊されるようなテロやゲリラの攻撃には、現状では装備、技術の両面で対応できない」(防衛庁幹部)という。


 実際の有事の際の基地防衛の流れは、初動は基地の警備小隊が対処、その後に陸自の支援を受けられるまでの間、基地防衛教導隊が展開して敵の攻撃を阻止する。


 一方、空自はミサイル防衛(MD)で高速飛行の弾道ミサイルを捕捉できる新型警戒管制レーダーの導入を目指しているが、レーダーサイトが攻撃される危険性も高く、基地防衛教導隊はサイトの防衛についても研究に着手する。


 通常のレーダーサイトは攻撃を受けても、E-2CやAWACSといった早期警戒機が代替機能を果たすが、政府が二十年度から四基の配備を目指している地上配備型の新型警戒管制レーダー「FPS-XX」が破壊されれば代替手段がなく、弾道ミサイルに対する迎撃能力が失われてしまうためだ。


 このほか、空自は基地内で爆弾などによる攻撃から航空機を守るシェルターの「掩体(えんたい)」についても、テロやゲリラの攻撃に対応できるものに切り替えるなど、整備計画を見直す方針だ。


********************


加えて、wikiにもページがあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%BA%E5%9C%B0%E9%98%B2%E8%A1%9B%E6%95%99%E5%B0%8E%E9%9A%8A


さて、この産経の記事ですが、今現在も部隊は新設されておらず、来年度概算要求にも載ってないわけですから、記事としては誤報と言えるかもしれません。
ですが、火のないところに立った煙でもありません。


産経の記事にもあるとおり、防衛省は(空自の)基地や航空機が陸上から攻撃される事態
を憂慮しています。

そして、それは私も同じです。
公開している小説でも、空自基地の地上からの攻撃に対する脆弱性を描きました。やり方次第では、極少数の特殊部隊が侵入しただけでも、深刻な事態が発生する可能性があります。

基地防衛教導隊を新編する意義は高いわけです。

ですが、2012年を想定した小説でも基地防衛教導隊は登場させませんでした。残念ながら、2008年どころか、2012年でも編成は難しいと思っているからです。

wikiでは、予算等の問題から編成には至っていないと書かれています。

来年度の概算要求に盛り込まれなかったため、2010年までは新編されないことが確定しまいました。

ですが、放置して良い問題ではないことは、公開している小説を読んで頂ければ、理解して頂けると思います。


その一方で、予想に反して2012年までに新編されてしまわないか、結構ドキドキしてます。

2008年12月31日 (水)

郷には入らない

12月13日、キャンプハンセンの演習場に隣接する沖縄県金武(きん)町伊芸区で、車のナンバープレートに銃弾のような金属片が発見されるという事案が発生しました。
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-12-15-E_1-001-2_003.html?PSID=aad0d38ab2259779001795d43acadb75


また、21日にも同地区の別の場所で金属片が発見されています。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20081222-OYS1T00198.htm


本土ではあまり報じられていませんが、沖縄では、たびたび続報が報じられています。

いずれの金属片も、50口径の徹甲弾とみられ、M2による射撃訓練の流れ弾の可能性が高いようです。
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-12-20-M_1-002-1_004.html?PSID=e54ccec2a03cce6e39dc4e8aa930da7a


2週間以上が経過した現在でも、真相は確定しておりませんが、米軍の対応は、殺人エレベーターと騒がれたシンドラー社製エレベーターによる死亡事故と被るモノがあります。


米軍とすれば、事故を認めれば訓練中止を求められると考えているのでしょうが、日本人のメンタリティーを考えず、アメリカの感覚で対応している感じがします。
真相はともあれ、まず謝罪し、真摯に対応策を検討する旨を発表すれば、それほど執拗な報道や反対運動は起きないと思うのですが、未だにそういった動きはありません。


エレベーターの事故は、シンドラー社よりも管理会社の責任が大きかったようですが、同社は事件以後日本での受注が一件もないそうです。
実際の責任と信用は必ずしも一致しません。
米軍には、自分たちがグローバルスタンダードという発想があるのでしょうが、日本では「郷に入っては郷に従え」が常識だということを認識してもらった方が良いと感じています。


今年の更新はこれが最後です。
毎度ご覧頂きありがとうございます。
来年もよろしくお願い致します。

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