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2008年11月24日 (月)

SM-3によるBM迎撃失敗の原因 その2

一つ前のエントリー「SM-3による弾道ミサイル迎撃試験失敗の原因」にさむざむ。氏より、かなり細かいコメントを頂きました。

コメント欄をご覧にならない方も多いと思いますし、ネット資産として勿体無いので、記事として取り上げてみることにしました。
コメント全体は、前のエントリーをご覧下さい。

http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/sm-3-5a8a.html

さむざむ。氏によるコメントの抜粋 その1
********************
なお、電池切れという可能性もちと薄いです。熱電地は動作時間以上(安全率)を取った放電特性を有していること。そして熱電地は構造自体、余りにも設計が枯れすぎており、溶接部が十年を超える経年で腐食してしまう程度のトラブルしかまずあり得ないからです。それくらい枯れきっています。
********************
技術的には、さむざむ。氏のコメントの通りだと思います。
ただし、私が現役時代に情報に接してきたミサイルの中には、実際にバッテリー異状が疑われるものがあったため、バッテリー異状についても疑ってかかったわけです。もちろん、大抵のミサイルは、比較的経年による劣化の可能性のあるロットだったわけですが、設計上の耐用年数内のものです。
設計上ではOKでも、現物がその通りに出来上がっているかは分からりません。トラブルは起こりうる事です。
今回の事象では、バッテリー異状の可能性は「低い」ということになるのでしょう。

なお、バッテリーの種別についても、同氏よりご指摘を受けました。
記事を書くにあたり、私の場合、極力資料のリファレンスも行ってはおりますが、基本的に現役時の記憶をベースに書いていますので、時々間違いもあると思います。
ご指摘頂ければ、随時訂正します。

さむざむ。よるコメントの抜粋 その氏に2
********************
シーカーが目標をロストしたという言葉だけで考えられる事は以下の2点、枝だけ考えても7点になります。

1.シーカーそのものが故障した場合
1.1クールボトル及び冷却配管の破損による赤外線輝度分解能の低下(溶接部位の強度不足、継ぎ手の強度不足)
1.2.素子配線の切断もしくはIVアンプ(電荷-電圧変換器)の故障(検証方法の不足)

2.純粋にシーカー視線から目標が消えた場合
2.1中間誘導誤差によるミスディスタンスの増大があった場合
2.1.1迎撃エンベロップギリギリの位置がコリジョンコースであったため(発射タイミングが早すぎもしくは遅すぎ)
2.1.2迎撃エンベロップ外の位置がコリジョンコースであったため(同上)
2.2中間誘導制御が良すぎた場合
2.2.1終末誘導に切り替わった相対位置が余りにも近すぎた(誘導は収束系ですので最適な相対位置というものが確実にあります)
2.3KVそのものに問題があった場合
2.3.1DACSのノズルが詰まった(2000Kを優に超えるガスを貯め、噴出させるのですからあり得なくはないです)
2.3.2ガスジェネレータ容器が破れたか火薬が燃えなかったかのいずれかの条件下で駆動力が失われた(同上)

いま数十秒程度考えただけでも、この程度のFTA(Fault Tree Analysis)モドキが出てきますし、普通はFTA等を作った上で運用で対処可能なもの、HW的な不具合があるため早急に設計変更もしくは製造・検証方法変更をするのかを考えます。以上は物づくりをしている人であるならば誰でも知ってる思考法ですね。当然ながら、ある程度の概念設計ができることが大前提にありますが。
********************
報道では、「迎撃予定の数秒前に標的を見失った」とありますが、私も「シーカーが目標をロストした」と同義だと考えているので、以下ではさむざむ。氏のFTAモドキに則って書いてみます。

1.は、現時点では最も可能性が疑われているもので、もちろん在り得る可能性の一つです。
ただし、枝については、ジンバル(そんな構造になっているかは承知していませんが)の駆動系に問題があった場合など、他のモノも在り得るでしょう。

次に2.についてです。
2.3は在り得ることですが、今回の試験では、2.1.1から2.2.1については、可能性はないと考えてます。
まず、2.1.1と2.1.2については、今回の試験が模擬弾道ミサイルの発射時刻を知らせずに実施されたものではあったものの、JFTM-1よりも早いタイミングでミサイル発射している他、YouTubeの動画を見ても、しっかりとカウントダウンしており、捕捉、追随が遅延した結果、発射タイミングが遅延したとは考え難いため、可能性としては除外できるモノでしょう。
また逆に、弾道ミサイル要撃は、高度な誘導技術を要求されるため、最適発射タイミングを目標諸元からオペレータが判断することは無理です。
システムが最適タイミングをオペレータにリコメンドするわけですが、まだ2回目の試験でリコメンドよりも早い時点でミサイル発射したとは到底考えられません。

2.2.1についても、弾頭部の切り離しがインパクトの約30秒前、赤外線シーカーの捕捉能力が300kmと言われながら、「迎撃予定の数秒前に標的を見失った」とされていること、及び現時点での報道では、終末誘導への以降は問題なかったと思われる表現がされていることを考えると、除外して良いモノだと思っています。

記事を書いた以後の報道を見ると、DACSに問題があったのか?と思われる報道もあり2.3なのかとも思われますが、いずれより詳細な情報が出てくるでしょう。

私が記事を書いた意図としては、2.1.1と2.1.2以外の2.1の可能性、つまり想定されていない中間誘導誤差によるミスディスタンスの増大の可能性(イージスシステムを含む)もありながら、単純にSM-3の問題だろうと早計な判断が大勢を占めそうな状況だったため、これに警鐘を鳴らせたかったということです。
私も、さむざむ。氏のような可能性の列挙をやっていない訳ではありません。

さむざむ。氏によるコメントの抜粋 その3
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もし、ある程度の説得力のある故障分析を今後も展開したいのであれば、最低限上記程度の分析を行った上でどの領域のフォルトが致命的なのか、どの領域ならば問題が少ないか(運用でカバーできるなど)を切り分けた上で展開していただければと思います。
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大変貴重なご意見だと思ってはおりますが、防衛問題への理解を深めるための活動として小説という形式を採っていることと同様に、このブログでも、より広範な方を対象読者として考えて行きたいと考えているため、今後もあまり技術に突っ込んだ記述はしない(MD関係のエントリーは外れがちですが)方向でやって行きたいと思っています。
SM-3については良いのですが、モノによっては、あまり突っ込んだ記述をしようとすると、守秘義務上、逆に歯切れの悪い表現にせざるを得ないということもあります。

ただし現状では、万人に分かりやすい状態にはなっていないという事だと思いますので、この点は精進して行きたいと思ってます。

これからもよろしくお願いします。

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