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2008年11月

2008年11月29日 (土)

ロシア海軍がPMC業務に進出?

読売新聞によると、ロシア海軍がソマリア沖で他国商船の有料警護を請け負うことを検討しているそうです。


これは、11月20付のロシア紙「ガゼータ」が海軍当局者からの話として報じているようで、火のないところに煙というものではないでしょう。


ソマリア沖での海賊被害に対しては、海上自衛隊の派遣も検討されており、そうとうに酷い状況のようですが、なんとロシア海軍それをビジネスにするつもりのようです。

なんともコメントのしようがないニュースなのですが、ソマリアの海賊はカラシニコフ装備でしょうし、これもロシアのしかける新たなマッチポンプビジネスかもしれません。


ロシアのマッチポンプビジネスについては、中国に対するSu-27などの武器輸出が、インドや東南アジア諸国の兵器需要を喚起し、これに対して防空システムなどを売り込むといった例が挙げられます。


今までは紛争当事者の双方に武器を売り込むだけでしたが、今回の報道は、映画「アイアンマン」ばりに、自ら売った兵器を使用する海賊を退治するというものです。


映画ではヒーローとして描かれていますが、これはどう見ても極悪人の所業です。

2008年11月27日 (木)

災害時に六本木米軍ヘリポートが使用可能に

東京都がかなり粘り強く交渉した結果、11月10日に協定が 締結され、災害発生時に六本木にある米軍へリポートが防災用として使用可能になりました。

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六本木ヒルズ展望室から撮影

六本木に米軍ヘリポート?と思う方も多いと思いますが、ちゃんとあるんです。(このブログを見ている方はほとんど知ってる?)
場所は、都の広報では赤坂プレスセンターと紹介されている通称ハーディバラックス内です。土地は米陸軍管理ですが、米軍部内新聞の星条旗新聞社が使っているため、プレスセンターという名前になっています。
都心の一等地にあるため、返還交渉が行われていますが、米軍としても非常に便利な土地であるため、手放すことはないでし ょう。
六本木など都心部で米軍ヘリを見かけた場合は、ここと横田あるいは厚木間の米軍関係者の移動と思って、ほぼ間違いありません。

防衛庁(当時)幕僚監部が六本木に在った際は、そちらのヘリポートが災害用として使えていたのですが、幕僚監部が市ヶ谷 に移転してしまうと、六本木周辺のヘリポートとしては、六本木ヒルズと東京ミッドタウンの高層ビル上のヘリポートが主力となってしまいました。
高層ビル上のヘリポートは、強風が吹きやすいため、使えない可能性も高い上、被災者を屋上まで運ぶことも結構な手間です 。(エレベーターが使えない可能性もあります)
ミッドタウンの地上部分にある芝生広場ゾーンも緊急時にはヘリポートとして使えるようになってますが、常設のしっかりした物に比べると運用制限が多く、使いやすいとは言えません。救急車をヘリの近くに横付けできるヘリポートは災害時に活躍してくれるでしょう。

写真を見ると良く分かりますが、ハーディバラックスのヘリポートは、非常に広いモノで、災害時用として言う事なしです。

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六本木ヒルズ展望室から撮影
(室内のテーブルが写りこんでしまってます)

なお、ここは、公開している小説中で、パトリオットの展開地として描いた場所です。写真の通り広い地積がある上、北西方向が青山墓地で、レーダーマスクになるものが少ないので、パトリオットの展開地として最適です。
ですが、貸してはくれない可能性が高いような気もします・・・

2008年11月24日 (月)

SM-3によるBM迎撃失敗の原因 その2

一つ前のエントリー「SM-3による弾道ミサイル迎撃試験失敗の原因」にさむざむ。氏より、かなり細かいコメントを頂きました。

コメント欄をご覧にならない方も多いと思いますし、ネット資産として勿体無いので、記事として取り上げてみることにしました。
コメント全体は、前のエントリーをご覧下さい。

http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/sm-3-5a8a.html

さむざむ。氏によるコメントの抜粋 その1
********************
なお、電池切れという可能性もちと薄いです。熱電地は動作時間以上(安全率)を取った放電特性を有していること。そして熱電地は構造自体、余りにも設計が枯れすぎており、溶接部が十年を超える経年で腐食してしまう程度のトラブルしかまずあり得ないからです。それくらい枯れきっています。
********************
技術的には、さむざむ。氏のコメントの通りだと思います。
ただし、私が現役時代に情報に接してきたミサイルの中には、実際にバッテリー異状が疑われるものがあったため、バッテリー異状についても疑ってかかったわけです。もちろん、大抵のミサイルは、比較的経年による劣化の可能性のあるロットだったわけですが、設計上の耐用年数内のものです。
設計上ではOKでも、現物がその通りに出来上がっているかは分からりません。トラブルは起こりうる事です。
今回の事象では、バッテリー異状の可能性は「低い」ということになるのでしょう。

なお、バッテリーの種別についても、同氏よりご指摘を受けました。
記事を書くにあたり、私の場合、極力資料のリファレンスも行ってはおりますが、基本的に現役時の記憶をベースに書いていますので、時々間違いもあると思います。
ご指摘頂ければ、随時訂正します。

さむざむ。よるコメントの抜粋 その氏に2
********************
シーカーが目標をロストしたという言葉だけで考えられる事は以下の2点、枝だけ考えても7点になります。

1.シーカーそのものが故障した場合
1.1クールボトル及び冷却配管の破損による赤外線輝度分解能の低下(溶接部位の強度不足、継ぎ手の強度不足)
1.2.素子配線の切断もしくはIVアンプ(電荷-電圧変換器)の故障(検証方法の不足)

2.純粋にシーカー視線から目標が消えた場合
2.1中間誘導誤差によるミスディスタンスの増大があった場合
2.1.1迎撃エンベロップギリギリの位置がコリジョンコースであったため(発射タイミングが早すぎもしくは遅すぎ)
2.1.2迎撃エンベロップ外の位置がコリジョンコースであったため(同上)
2.2中間誘導制御が良すぎた場合
2.2.1終末誘導に切り替わった相対位置が余りにも近すぎた(誘導は収束系ですので最適な相対位置というものが確実にあります)
2.3KVそのものに問題があった場合
2.3.1DACSのノズルが詰まった(2000Kを優に超えるガスを貯め、噴出させるのですからあり得なくはないです)
2.3.2ガスジェネレータ容器が破れたか火薬が燃えなかったかのいずれかの条件下で駆動力が失われた(同上)

いま数十秒程度考えただけでも、この程度のFTA(Fault Tree Analysis)モドキが出てきますし、普通はFTA等を作った上で運用で対処可能なもの、HW的な不具合があるため早急に設計変更もしくは製造・検証方法変更をするのかを考えます。以上は物づくりをしている人であるならば誰でも知ってる思考法ですね。当然ながら、ある程度の概念設計ができることが大前提にありますが。
********************
報道では、「迎撃予定の数秒前に標的を見失った」とありますが、私も「シーカーが目標をロストした」と同義だと考えているので、以下ではさむざむ。氏のFTAモドキに則って書いてみます。

1.は、現時点では最も可能性が疑われているもので、もちろん在り得る可能性の一つです。
ただし、枝については、ジンバル(そんな構造になっているかは承知していませんが)の駆動系に問題があった場合など、他のモノも在り得るでしょう。

次に2.についてです。
2.3は在り得ることですが、今回の試験では、2.1.1から2.2.1については、可能性はないと考えてます。
まず、2.1.1と2.1.2については、今回の試験が模擬弾道ミサイルの発射時刻を知らせずに実施されたものではあったものの、JFTM-1よりも早いタイミングでミサイル発射している他、YouTubeの動画を見ても、しっかりとカウントダウンしており、捕捉、追随が遅延した結果、発射タイミングが遅延したとは考え難いため、可能性としては除外できるモノでしょう。
また逆に、弾道ミサイル要撃は、高度な誘導技術を要求されるため、最適発射タイミングを目標諸元からオペレータが判断することは無理です。
システムが最適タイミングをオペレータにリコメンドするわけですが、まだ2回目の試験でリコメンドよりも早い時点でミサイル発射したとは到底考えられません。

2.2.1についても、弾頭部の切り離しがインパクトの約30秒前、赤外線シーカーの捕捉能力が300kmと言われながら、「迎撃予定の数秒前に標的を見失った」とされていること、及び現時点での報道では、終末誘導への以降は問題なかったと思われる表現がされていることを考えると、除外して良いモノだと思っています。

記事を書いた以後の報道を見ると、DACSに問題があったのか?と思われる報道もあり2.3なのかとも思われますが、いずれより詳細な情報が出てくるでしょう。

私が記事を書いた意図としては、2.1.1と2.1.2以外の2.1の可能性、つまり想定されていない中間誘導誤差によるミスディスタンスの増大の可能性(イージスシステムを含む)もありながら、単純にSM-3の問題だろうと早計な判断が大勢を占めそうな状況だったため、これに警鐘を鳴らせたかったということです。
私も、さむざむ。氏のような可能性の列挙をやっていない訳ではありません。

さむざむ。氏によるコメントの抜粋 その3
********************
もし、ある程度の説得力のある故障分析を今後も展開したいのであれば、最低限上記程度の分析を行った上でどの領域のフォルトが致命的なのか、どの領域ならば問題が少ないか(運用でカバーできるなど)を切り分けた上で展開していただければと思います。
********************
大変貴重なご意見だと思ってはおりますが、防衛問題への理解を深めるための活動として小説という形式を採っていることと同様に、このブログでも、より広範な方を対象読者として考えて行きたいと考えているため、今後もあまり技術に突っ込んだ記述はしない(MD関係のエントリーは外れがちですが)方向でやって行きたいと思っています。
SM-3については良いのですが、モノによっては、あまり突っ込んだ記述をしようとすると、守秘義務上、逆に歯切れの悪い表現にせざるを得ないということもあります。

ただし現状では、万人に分かりやすい状態にはなっていないという事だと思いますので、この点は精進して行きたいと思ってます。

これからもよろしくお願いします。

2008年11月21日 (金)

SM-3による弾道ミサイル迎撃試験失敗の原因

イージス艦「ちょうかい」による弾道ミサイル迎撃試験(JFTM-2)が実施されました。
10112559211
(海上自衛隊/毎日新聞)
10112559214
(海上自衛隊提供/東京新聞)

試験が失敗したことで、ニュースやブログで原因と影響について話題となっています。
SM-3の弾頭部分に問題があったのではないかとも報じられており、統合幕僚長も個人的見解として「システム全体では許容範囲」と説明するなど、あまり問題視しない見方が多いようです。
週間オブイェクトでも、同様の論調です。
http://obiekt.seesaa.net/article/109960076.html

ですが、楽観視することは危険な気がします。現段階では情報が少ないのですが、分かっている範囲の情報をまとめて、原因を考えてみました。
YouTube画像はコチラ
http://jp.youtube.com/watch?v=QIlLysf1LM0
最初に、判明している事実関係です。
・迎撃試験は、「こんごう」に続き2回目
・「ちょうかい」には、標的となる模擬弾道ミサイルの発射時刻を知らせずに実施(「こんごう」の際は、通知)
・「ちょうかい」は、模擬ミサイル発射地点(カウアイ島)から数百キロ離れた海上に停泊(「こんごう」の際は約450キロ)
・標的はMRBM(弾頭がブースターと分離する物かは不明)を模擬(JFTM-1でもMRBMだったが、弾頭はブースターと分離する形式)
・(標的発射の)3分後にSM-3を発射
・SM-3は大気圏外まで順調に誘導された
・迎撃予定の数秒前に標的を見失った
今回の試験が前回(JFTM-1)と最も異なっている点は、模擬ミサイルの発射時刻を知らされていなかったことですが、SM-3の発射時間が前回と同等あるいは若干早かった(JFTM-1では、模擬ミサイル発射4分後にSM-3を発射)ことを見ると、捕捉追尾については問題が無かったものと思われます。(YouTubeの映像を見ても、S M-3の発射前にしっかりと10秒のカウントダウンを行っており、慌てている様子はない)
防衛省としても、「イージス艦のシステムに問題はなかった」と発表しているので、発射時期の事前通知がなかったことが失敗の原因になったということはありえないでしょう。
少々気になる点は、YouTubeの映像中、発射されたSM-3が早くもブースターの燃焼中にかなり水平方向に飛翔している点です。(JFTM-1の時は、あまり水平方向には飛翔していない)
公表されている情報にはありませんが、JFTM-1と比べると、模擬ミサイルはイージス艦から離れた位置を横行するようなトラジェクトリーだった可能性、あるいはイージスよりかなり手前か、逆に奥に着弾するようなトラジェクトリーだった可能性があります。
そうだとすると、発射されSM-3は、模擬ミサイルの進路と直交する速度成分が大きい状態でインパクトしなければならなかった可能性が高いことになります。
なにが言いたいかと言うと、直交速度成分が大きかった結果、中期誘導での誤差が大きく、終末期誘導で誤差を修正しきらなかった結果、インパクト数秒前になって赤外線シーカーの追随範囲外に目標が出てしまった可能性もあるということです。
今回の試験に用いられたSM-3の弾頭が、どの程度の情報をダウンリンクで「ちょうかい」に送信しているかは分かりません。
ですが、以前の米軍での試験のYouTube映像であったような、赤外線シーカーが捕捉した映像をダウンリンクで落としていたのなら、上で指摘していたような可能性は直ぐに確認できるでしょう。(普通は、試験用のテレメトリー弾でもない限り、そこまでダウンリンクで落としてはいないと思うのですが、SM-3ブロック1A自体が試験用みたいなものなので、それだけの機能を持っている可能性もあるのかも)
もしそうであれば、失敗の原因が確定するのも早いが、原因の根は深く、「システム全体では許容範囲」と発言した統合幕僚長の認識も間違っていることになります。
また、単純に弾頭部に異状のあった不良弾だったとしても、必ずしもJSF氏が書いているような赤外線シーカーの問題とは限りません。
インパクト数秒前までは捕捉できていたようなので、ミサイル内蔵のバッテリー(多くは熱電池)不良による急激な電圧変動でシーカーの動作が不安定になった可能性も十分にありえます。(内蔵電池の作動時間は、ミサイルの飛翔時間に合わせて作ってあるため、ミサイル不良の原因としては比較的多い)
もちろん不良な赤外線シーカーが、インパクト直前の急激な受光量増大に対応しきらず、目標をロストした可能性(カメラのハレーションのような状態)、あるいは突然壊れた可能性もあるでしょう。
なお、米軍が実施したSM-3の迎撃試験の内で失敗したものは、いずれも模擬ミサイルの弾頭がブースターと分離しないタイプのものだったことを考えると、感度を高くとっている赤外線シーカーが、インパクト直前の受光量の増大に対応しきらないケースは多いのかもしれません。
防衛省が原因の詳細を発表するかは分かりませんが、発表があればまたレポートします。
(中期誘導の誤差が大きかったのならば、詳細の発表はされないかも・・・)

2008年11月20日 (木)

コンゴ情勢はチャンス?

コンゴ民主共和国東部において、反政府武装勢力「人民防衛国民会議(CNDP)」が攻勢を強め、北キブ州の州都で要衝のゴマに迫っている。
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20081031D2M3102X31.html


コンゴにおける武力衝突について、日本政府はあまりコミットメントしていないが、選挙監視団を派遣したり、国連が主導する武装勢力に対する武器禁輸に協力するなど、基本的に政府側を支持している。


外務省が今後の今後情勢をどう見ているか分からないが、レアメタルなどの天然資源が豊富とされるコンゴについては、慎重に情勢を見つめ、場合によっては反政府勢力を支持することも考えた方が良いかもしれない。
http://mainichi.jp/select/world/news/20081101ddm007030056000c.html


CNDPは、人道に対する罪などで国際社会から批判を受けているが、一方的停戦で対話を迫るなど、国際社会を意識した行動を採っている。
その勢力は、僅か6000名と言われるが、隣国ルワンダからの支援もあり、戦闘機や歩兵戦闘車まで持つ政府軍を相手に、東部で攻勢を強めるほどの実力がある。
軍事研究誌08年4月号の久野氏の記事に詳しいが、士気が高く統制の取れた武装勢力のようだ。
コンゴの中でも特に資源の豊富な東部地域を押さえ、隣国ルワンダを通じた資源輸出で資金を得ているとの噂がある。


一方の政府軍は、武装勢力や民兵の寄せ集めで、士気もモラルも低く、市民を迫害し、略奪を繰り返しているという状態にある。国際社会はCNDPを非難しているが、五十歩百歩のようだ。
前述の久野氏の記事を見ていると、ヌクンダ将軍率いるCNDPの方がまともな組織にさえ見える。


CNDP、政府軍以外の勢力としては、いくつかの武装勢力の他、国連平和維持部隊(MONUC)がいる。南アジア、アフリカ諸国からの寄せ集めで、1万7千名を超える大勢力だが、避難民に対する性的虐待や押収した武器を金で元の武装勢力に戻すなど、国連部隊としては俄かには信じ難い状態にあるようだ。

そして、この国連平和維持部隊には、中国も部隊を派遣している。
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2008-10/30/content_16690500.htm

中国がMONUCに部隊を派遣している理由は、間違いなく資源狙い、いわゆる資源外交の一環だろう。
悔しい話だが、日本の外務省よりも中国の方が戦略的だ。


しかし、CNDPがゴマはおろか、首都にも侵攻することを匂わすなど、情勢は不透明な状態になっている。
日本政府(外務省)は、中国に遅れをとっている資源確保において、戦略的に外交を展開し、巻き返しを行うチャンスかもしれない。

2008年11月17日 (月)

銭湯専用

銭湯専用の自衛官募集ポスターが好評だそうだ。
http://ichigaya.keizai.biz/headline/438/
最近では、ポスターの作成もそれなりの所に外注しているせいか、垢抜けたデザインになっており、とても自衛官募集のポスターには見えない。しかも銭湯専用だという。ポスターのテーマは、被災者の入浴時の笑顔だそうです。
陸上自衛隊は、野外入浴セット(2型もあり)を保有しており、災害派遣での活躍は良く知られています。
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/other/military-powers_quartermastercorps.html#04
そんなところからこのポスターが出来たのでしょう。
ポスターの作成は自衛隊東京地方協力本部(以前の地連)で、発案者は3佐の女性自衛官、陸幕勤務時代に職場に泊り込むため銭湯を利用するようになったそうです。
以前より少なくなっているようですが、各幕の幕僚が職場に泊まりこむことは結構普通の行動で、月曜出勤金曜帰りなんてこともあります。
この発案者の方もそうだったのかも知れません。
幕のある市ヶ谷周辺の銭湯を調べてみると、実は結構な数が残っています。
10111346828
(東京都公衆浴場業生活衛生同業組合HPより)

市ヶ谷移転前の六本木周辺では銭湯がほとんど見られないので、このWACの方の幕勤務というのは市ヶ谷での話なのでしょう。
10111346834
(東京都公衆浴場業生活衛生同業組合HPより)

自衛官が公務員であることから、残業なんてないと思っている方もいるかもしれませんが、一部では相当に過酷です。(手当てもないし)

2008年11月15日 (土)

防衛省に情報開示請求 その4

さて、開示が決定された6件分については、引き続き「行政文書の開示の実施方法等申出書」というものを提出します。

これは、開示方法を
・閲覧
・複写の交付
・スキャナによって電子化(PDF)し、FDに保存したものの交付
・スキャナによって電子化(PDF)し、CD-Rに保存したものの交付
から選び、所定の手数料を印紙として納付するものです。


この手数料、高いのではないかと勝手に想像していましたが、まあ標準的な価格でした。
複写(コピー)の場合は1枚10円
CD-Rの場合は、CD-R自体が100円で、プラス用紙1枚のスキャン代金が10円となっています。
ただし、実支払い額は、上記の金額から300円を引いたものとなり、300円以下なら無料となります。
つまりは、最初の開示請求時の手数料が充当されているとも考えられます。
今回の記事その2で、防衛省がセコいと書きましたが、お詫びして訂正します。


今回の開示方法としてはCD-Rを希望するので、各開示請求について、基本金額が100円がかかる他、各文書の枚数に応じてスキャン代が10円となる計算です。
実際には、6件中4件が、開示される文書の枚数が少ないため無料になり、残り2件が190円と370円という値段でした。
この2件分については、印紙を貼って申出書を提出しました。

またCD-Rの場合、容量が大きいので、複数の開示請求結果を1枚にまとめてくれるようです。
加えて、複写やFD、CD-Rの郵送を希望する際には、郵送に要する切手も必要なので、それも同封します。


後は、CD-Rが到着するのを待つばかりです。多分、また1ヶ月くらい要すると思われます。

今回のシリーズは、一応これで終了です。
全般の感想としては、予想通り手続きは面倒でしたが、費用は予想ほどかかりませんでした。
途中、防衛省の担当者と何度か電話でやりとりしましたが、結構遅い時間(21時以降)帯でも連絡が取れました。
というわけで、結構忙しいようです。

2008年11月12日 (水)

日本独自の早期警戒衛星は不要だ!

2ちゃんの軍事板「ミサイル防衛」スレで気になる話題がありました。また、ちょうど先日関連のニュースがあったので、開示請求についての最終回を急遽変更し、早期警戒衛星について書きます。


政府の宇宙開発戦略本部(本部長・麻生首相)がとりまとめる衛星とロケットに関する事務局原案が明らかになりました。
内容として、弾道ミサイル発射を検知する早期警戒衛星や、通信手段を強化する衛星の導入の検討など、防衛利用の促進が掲げられています。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20081104-OYT1T00414.htm


このブログでは、MDについてもたびたび取り上げており、普通に考えれば歓迎のコメントを書くところです。
ですが、早期警戒衛星については反対です。


現時点で、早期警戒衛星と言えば、アメリカのDSP衛星のことになります。
事務局原案でも、DSP衛星と同様の物を自前で整備することを盛り込んでいると思われます。(原文が見つかりませんが、大石英司氏のブログでも、DSP衛星と読みかえられていますし、おそらく間違いないでしょう)
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2008/11/post-e52b.html


DSP衛星は、赤道上空3万6千kmに位置する静止衛星で、数基をもって地球全体を監視していると言われています。
もともとは、冷戦期においてソ連が発射する弾道ミサイルを検知し、警報を発するために作られた物で、性能向上が図られつつ、順次新型に置き換わってきました。


これと同等のモノを装備することは、日本にとっても、一見、悪い話には思えません。
しかし、それに敢えて反対意見を述べるのは、DSP衛星と同様なものでは、日本への脅威には不十分だからです。
また、十分なモノはコストが見合わないからです(後述)


DSP衛星は、もともとICBMなど射程の長いミサイルを監視することが目的とされており、順次改良されているとは言え、ノドンなどMRBMに対して十分な監視能力を持っていません。
DSP衛星のセンサー感度や処理アルゴリズムを高性能化すれば、問題が片付くと言うものでもありません。感度が高ければ、誤警報の可能性も高まるからです。

実際、2001年11月22日に、韓国が済州島の西にミサイルの発射実験をした際、警報を受けた防衛省・自衛隊が一時騒然となるという事態も発生しています。
(古いニュースのため、日本の新聞社のサイトからは既に消えています。ですが、当時のニュースがコピペされた2ちゃんのログ、及び朝鮮日報のニュースは残ってました。)
http://news.2ch.net/newsplus/kako/1006/10064/1006437050.html
http://www.chosunonline.com/article/20011123000008

この時、警報によって問題が発生したと言うことは、発射地点が北朝鮮なのか韓国なのか、着弾地点が東シナ海なのか日本まで届くのかが不明確だったということです。
そして、こういう事態が実際に生じているということは、ハインリッヒの法則によれば、問題として顕在化していない誤警報が多数存在すると言うことです。そして通常は、一定時間経過するまで待ってから再確認するなどのフィルタリングが行われている可能性が高いということになります。


湾岸戦争、イラク戦争でのスカッド迎撃にDSPが機能したことをもって、DSPでも一定の効果を期待できると言う論もあります。
しかし、湾岸やイラク戦争では、たとえ誤警報確率が90%だったとしても、パトリオットの態勢移行回数が増え、故障発生率が増える以外、大した問題はありませんでした。
しかし、ここで詳細を書くことはできませんが、日本の弾道ミサイル防衛では、誤警報によって重篤な問題が発生します。


また、誤警報確率が高いシステムは、「狼が来たぞ」と同じで、直ぐに信頼されなくなります。各自治体を通じて警報が流されても、誤警報が続けば、誰も反応しなくなるでしょう。


この問題は、衛星が静止軌道に在るという基本条件が変わらない限り、十分な能力を持たせることが出来るとも考えられてはいません。
そのため、アメリカはMRBMなどにも十分な監視能力を持たせるため、DSP衛星の後継として、宇宙空間赤外線システム(SBIRS)衛星に置き換えることとしています。


SBIRSには2種類(正確には3種)あり、静止軌道GEO(2基)と長楕円軌道HEO(2基)に投入されるSIBRS-HIGH、そしてLEOに投入されるSIBRS-LOW(24基)という構成になっています。なおSIBRS-LOWは、現在ではSTSS(宇宙配備追尾監視システム)と名称変更されています。
詳しくは、軍事研究07年10月号の多田智彦氏の記事をご覧下さい。
また、ウィキ(英語)にも記事があります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Space-Based_Infrared_System
http://en.wikipedia.org/wiki/Space_Tracking_and_Surveillance_System


アメリカがやっている事が常に正解という訳ではありませんが、確度の高い早期警戒情報を得るためには、STSS衛星と同様のものが必要ということです。
日本周辺の監視能力に限定すれば、STSSと同様の衛星は、24基も必要ないかもしれません。ですが、低軌道ゆえ、いくつもの衛星を代わる代わる使用する形を取らざるを得ず、多数の衛星が必要なことに変わりはありません。
となると、前述のとおり、早期警戒衛星の独自保有は、コストがかかり過ぎることになります。


現在、アメリカのSIBRSとSTSSの開発は遅延しています。それは、アメリカの関心が、同盟国の防護ではなく、自国を守るNMDに集中しているからだと思われます。(ICBM級の弾道ミサイルを警戒するNMDでは、早期警戒衛星はDSPで事足りる。)


日本政府は、早期警戒衛星の独自配備を考えるほどならば、開発費用を一部負担するなどしてSTSS衛星の開発配備を進展させ、出来れば協同運用する(集団的自衛権の問題もありますが)などした方が現実的です。


以前は、DSPからの早期警戒情報が、日本国外の経由地を経ることから、警報の伝達遅延を問題視する声も聞かれました。
しかし現在では、JTAGSが三沢にも配備されているので、至短時間で日本の領域にも伝達されますし、横田のBJOCCが既に稼動中ということなので、COC/AOCCの横田移転を待つことなく、自衛隊にも伝達される態勢が整っていると思われます。

2008年11月10日 (月)

防衛省に情報開示請求 その3

続報を書くと書いていながら、ずいぶんと間の開いてしまった開示請求について、その後の状況をお知らせします。


前回は、開示請求の内容が確定するまでのやり取りを書きました。

結果的に、ある部署の平成10年度から20年度にかけての保管文書リスト(発簡簿と来簡簿)を請求した訳ですが、8月25日に請求を受け付けて頂き、9月24日には開示・不開示の決定が出る予定でした。


保管文書リストなどという簡単な請求に1ヶ月もかかるものなのか、と訝しんでいると、決定の期限直前になって、また電話がかかって来ました。
最近10年間分のリストを請求した訳ですが、14年度以前の古いものについては、保存期間を過ぎた文書が破棄された結果、該当する保管文書なしということで、不開示という結果になるかもしれないということでした。
加えて、請求を取り下げれば、手数料も返還するとの事です。


確かに、14年以前の文書が残っているとしたら、それは保存期間10年と指定された文書で、極めて重要で、滅多に発簡されることのない文書ということになります。
それを考えると、無くてもおかしな話ではないのですが、なんとなく恣意的なものを感じ、請求は取り下げない旨を伝えました。


そして、期限である24日を過ぎたのですが、なんの連絡もありません。
こちらから電話で問い合わせてみると、事務手続きが送れていたが、先日発送したとのことです。
であれば、もう少し待ってみるかと思いつつ帰宅すると、「防衛省 MINISTRY OF DEFENSE」と書かれた封筒が着いていました。
早速開けてみると、文書の上端に割り印が押され、防衛大臣の角印が押された文書が出てきました。

しかし、なんと文書名は「開示決定等の期限の延長について(通知)」となっています。

内容を見てみると、期限をさらに30日延期するとなっています。そして、その理由は「開示決定等に係る事務処理及び調整に時間を要するため」となっていました。


至極簡単な請求にも関わらず、事務手続きの遅れを理由として期限延期となるとは、俄かには信じ難いのですが、こちらとしては待つ他ありません。
まさか、この間にマズイ文書を慌てて破棄しているのでは、などとも思いましたが、それはさすがにしないでしょう。


そうこうする内に、また1ヶ月が過ぎ、10月28日になってやっと通知が届きました。
今回の請求は、10年から20年の分ということで、請求としては11件になっていました。そして、やはり10年度から14年度分の5件については、文書不存在につき不開示、15年度以降分6件については開示という決定になっていました。

たったこれだけの事に、丸2ヶ月もかかりました。如何にもお役所です。


今回、結果的に約半分が不開示となったわけですが、文書不存在による不開示という結果は、意外に多いのかもしれません。

防衛白書を見ると、情報公開の実績が載っています。
20年度版防衛白書によると、19年度の実績は、
開示請求受付件数:1531件
開示決定:625件
部分開示決定:466件
不開示決定:239件
となっています。残り約100件は、何らかの理由により取り下げたものと思われます。

不開示の239件の中には、今回と同様に不存在を理由としたものが何件か含まれているでしょう。
おそらく開示請求の中には、「UFOに対するスクランブル件数」とか、「防衛省の原爆開発について」というような電波なモノもあるでしょうから。


ちなみに、不開示239件中、不服申し立て件数は209件にも及びます。
これを見ると、事務手続きの遅れという理由も分からなくもありません。
情報公開・個人情報保護室の方、お手数かけましてゴメンなさい。


続く

2008年11月 8日 (土)

防衛省ガンダム消滅?

昨年、防衛省が開発している「先進個人装備システム」が防衛省ガンダムとして話題になりました。
開発は継続しているのですが、防衛省ガンダムという名称は消えてしまうようです。
防衛省技術研究本部による研究発表会が今年も実施されますが、そこでは「防衛省ガンダム」の名称は使われないようです。
http://ichigaya.keizai.biz/headline/432/


今年度の技本研究発表会は、11月11日、12日にグランドヒル市ヶ谷で実施されます。行ってみたいですが、残念ながら平日ではとても無理です。

昨年の発表会は、ガンダムと銘打ったため、前年の6倍以上の来場者数を記録し、2日で延べ3200人もが来場、軍事関係の雑誌だけでなく多くのメディアで取り上げられました。


先進個人装備システム(ACIES:Advanced Information Combat Equipment System)は、防衛省ガンダムなどと呼ばれていますが、パワードスーツの類ではなく、日本版ランド・ウォーリアです。
昨年発表されたシステムについては、軍事研究誌本年3月号に詳しく紹介されているので、そちらをご覧下さい。


昨年の発表時に展示されていた物は、フェーズ1と呼ばれる、正に研究試作品でした。今年はフェーズ2の実地検証が可能なモデルが展示されるようです。
どこまで仕上がっているか、興味深いところです。


さて、このACIESですが、私が「日本海クライシス2012」を執筆した後、準拠している事実関係の中で最も状況が変わった点です。小説中では、技本の開発には触れていませんでした。
(もっともまだまだ試作段階なので、2012年に配備されている可能性は低いでしょう。特に空自では)

小説中に、このACIESもどきを登場させましたが、昨年展示されていた物は、ネットワーク機能が盛り込まれている他は、既存品の活用など、ほとんど小説中に登場させたものと良く似ておりで、我ながら少々驚きました。
ただし、銃搭載ビデオカメラについては、小説の方が進んでいたようです。

小説では、非冷却型サーマルイメージャー(熱画像装置)の画像を、眼前に装着したモニターで確認することで、遮蔽物の陰から銃だけを出して射撃が可能な、ランドウォーリアー同様の物を描いていました。

一方、ACIESでは同様の機能があるカメラは可視光カメラでした。ただし、HMDで確認できないものであれば、熱画像装置も準備されていました。


小説でここまでのモノを描いた理由は、実際に既に2年以上前から、COTS品でそれだけの事を可能な製品があったからです。開発担当でもない私がそれを承知していたわけですから、技本の突っ込みは少々甘いと言わざるを得ないと思います。
もちろん、現在でも入手可能です。
http://www.rikei.co.jp/product/ja/404.html


今年発表されるACIESフェーズ2は、どんなものになっているでしょうか。
軍事研究誌だけでなく、銃器関係の雑誌もチェックせねば。

2008年11月 6日 (木)

入間航空祭レポート その2

飛行展示と地上展示を書いてしまったので、他になにがある?と思っている方もいるでしょう。
ミス航空祭や中部航空音楽隊の演奏、トークショーなどもありましたが、そちらは見ていません。

で、私のお目当ては、警備犬の訓練展示です。
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と、ここで疑問が・・・
パンフでは「警備犬訓練展示」となっています。
ですが、航空自衛隊では「歩哨犬」と呼んでいたはずです。(海自は以前から「警備犬」、陸は制度廃止)
現場では聞けなかったのですが、最近の警備重視の流れの中で変更があったのかもしれません。

訓練展示の内容は、もっとも基本となる「服従訓練」から、警察犬のような臭気判別、警察とはちょっと異なる結構高度なものまで一通りを展示してしていました。

アナウンス、展示する隊員とも、時折ギャグを交えて来場者を引き付けながら、次々と展示して行きます。

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目的の臭気が入ったバックを判定する訓練
爆発物のにおいを覚えさせれば爆発物探知などに応用できます。
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発見すると、座って隊員に教えます。

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指示した重要物件を守る「物品看守」
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訓練と分かっていても怖そうです。

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鋭敏な嗅覚、聴覚を使った「不審者捜索」
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不審者を発見すると、目前で吠え掛かり(噛み付きはしない)不審者の逃走を阻む「禁足咆哮」を行う。

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隊員が不審者を詰問する間は、待機

10108015902
ボディチェックの間も待機
(この不審者役の隊員は、見事に不審でした)

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不審者が逃走すれば、隊員の指示により、「襲撃」する。
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噛み付いて、引き倒します。

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2頭による同時襲撃
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大型犬2頭による同時襲撃は、かなりきつそうでした。

訓練終了後は、御褒美の遊びタイム
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フリスビーキャッチなども、犬にとっては遊びです。
遊んであげることを御褒美として、訓練します。

最後に
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「襲撃」訓練にも登場していた真っ黒なシェパード
結構珍しいです。

訓練を見た感想は、個別の科目の練度としては今ひとつかな、という感じですが、かなり多様な訓練をしているように見えました。

「警備犬」については、小説「日本海クライシス2012」にも登場(小説中では数少ない戦死者の一人?)させましたし、私は結構有用だと思っています。
「警備犬」については、機会があれば、別の時にまた書いてみたいと思います。

2008年11月 4日 (火)

入間航空祭レポート その1

今年は、百里基地の航空祭がないため、関東唯一となる空自の航空祭、入間航空祭に行ってきたので、今回はそのレポートです。
このブログでは珍しい画像満載でお送りします。
(もっともあまり普通ではないかも)

日時は、晴れの特異日である11月3日、朝9時からでした。
余談ですが、西武線の駅で配っていたパンフには「2008/11/3 0900I」と書いてありました。最後の「I」は、日本の標準時を表す記号で、「Z」と書いてある場合は、グリニッジ標準時です。
普通の方にはわからないことなのに、パンフの担当者がいつもの調子で書いてしまったのかもしれません。

来場者数は聞いてませんが、例年通りのイモ洗いでした。
写真はまだまだ人の少ない9時直後のものです。
10107433084

飛行展示は、FS11-FC&U-125、T-4、U-4&C-1(落下傘降下)、CH-47J、U-125A&UH-60J(救難展示)、ブルーインパルスとあまり新味のないモノでした。
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入間ならでは、U-4とC-1の編隊飛行

ただし記憶違いでなければ、以前は陸自支援による落下傘降下はやってませんでしたので、統合の成果が現れていると言えるかもしれません。
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救難展示は、残念ながら実際には見ていません。想定は、アナウンスを聞いていた限りでは、航空救難ではなく、災害派遣だったようです。この辺も以前とは違う点でしょう。
ブルインは、曇り空だったので垂直は無理か?と思っていましたが、シーリングが高かったためか、上向き開花など垂直系もアリでした。

地上展示は、航空機がC-1、U-4、T-4、U-125、YS-11FC、CH-47J、F-15J、F-2A、F-4EJ改、E-2C、U-125A、UH-60J、V-107、T-7に加え、海自のP3-C、米海兵隊のC-12でした。
機体としては、これと言って、というところでしたが、記念塗装機が多数見られました。
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航空機以外では、救難装備やJ/TPS-102(移動警戒隊レーダー)、と、うれしい誤算パトリオットPAC-3がありました。

PAC-3は、ランチャー(LS)以外は、外観上の差異がないので、LSばかり撮りまくりです。
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右がPAC-3、左がPAC-2です。
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PAC-3

差異のある部位は、ランチャーの後端で、接続用ケーブルの数が大幅に増えています。
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こちらはPAC-2

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こちらがPAC-3
変更の理由は、1個キャニスターに4発搭載となったためかとも思いましたが、16本とすると数が合いません。
コネクター形状も異なるケーブルが使われているので、目的の異なるケーブルが装着されたのかも知れません。PAC-3ランチャーにPAC-2弾を搭載できるような情報もありますが、正直疑問です。

その2へ続く

2008年11月 2日 (日)

田母神空将の歴史感と職務姿勢

前回の記事は、ニュースを見て慌てて書いたので、触れ忘れた分がありました。そこで前回に引き続き、田母神空将の論文と更迭問題について書きます。


今回の件は、特に歴史認識が問題となっています。ですが、正直に言いまして、私は戦争や戦闘には興味はあっても過去の歴史には興味がないため、田母神空将の論文に関して、どの程度正しくどの程度誤りがあるのかは分かりません。
そのため、歴史認識はとまれ、これまでの田母神空将の職務姿勢について書きたいと思います。


いろいろ騒がれている中で、田母神空将が太平洋戦争に関して反米的な内容を書いていることをもって、彼が日米同盟を怪しくしていると言うような論調が一部にあります。
あの論文を読んで喜ぶアメリカ人はいないと思いますが、田母神空将が日米同盟に多大な貢献をしてきたことは、日本以上に米軍関係者が理解しています。


現在、日米共同の下、MDが強力に推進されています。
それは、まもなく実施される航空総隊司令部の横田基地移転に象徴されていますが、実際に最も重要な点は、米軍へのBADGE、JADGEデータの提供です。
これは、小説中にも描いたように、状況によっては集団的自衛権の行使ともなるものです。
現在まだ政府解釈の変更は行われておりませんが、既にフライング実施されていると言えます。


そして、これを先頭にたって推し進めたのが、田母神空将でした。
彼は、2007年3月に空幕長に就任する前、2004年8月から2年半の間、航空総隊司令官でした。
この間に、総隊から米軍へのデータ提供が開始されると共にCOC/AOCCの横田移転と共同使用の流れが固まりました。
その後、幕僚長となってからも、田母神空将は、この件を積極的に進める立場でした。

そのため、その功績が認められ、今年8月15日に、米大統領からの「リージョン・オブ・メリット・ディグリー・オブ・コマンダー(司令官級勲功章)」を贈呈されています。
http://www.asagumo-news.com/news/200808/080828/08082808.html


今回の論文が、シビリアンコントロール上の問題と見る向きもありますが、田母神空将は、政府の歴史認識に異なる思想をもちつつも、官僚として求められていたことについては、求められる以上の仕事をして来ています。

2008年11月 1日 (土)

田母神空幕長は確信犯

空自トップ、田母神(たもがみ)空幕長が「日本が侵略国家だったとはぬれぎぬだ」などと主張する論文を発表し、防衛大臣が更迭する考えを表明したとされるニュースが、報じられています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000123-jij-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000616-san-pol
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000049-yom-pol


発表された論文
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf


当然ネットでも話題になってますが、中には不用意な発言をする馬鹿な人と見る向きもあります。
田母神空将は、歴史認識について、現在の主流の考えを改めなければならないと考えていらっしゃることは確かですが、決して上記のような愚かな人ではありません。
今回の論文発表は、更迭されることを含め、意図的な確信犯であると思います。


まず第一に、論文の内容が問題となることが予想できなかったかどうかです。
現在の麻生内閣は、1995年の村山談話を踏襲していますが、論文の内容は、村山談話に明らかに反しています。空幕長としての発表が問題にならないと考えていたはずはありません。
また田母神空将は、軽率な人でもありません。
彼は高射出身です。パイロットが主流の航空自衛隊にあって、軽率な言動をする他特技の者はすぐに潰されます。その中で、空幕長まで登りつめた訳です。


次に、更迭されることによる影響について、触れます。
ここ3代の空幕長は、防大13期、14期、15期と続きながら、それぞれ約2年、約2年、そして1年半強と続いており、空自の高級幹部の高齢化が進行していました。
田母神空将が更迭されることで、人事の若返りを考えている可能性が高いのではないでしょうか。
次の空幕長は、一気に防大19期の岩崎空将となるような噂もあります。


続いて、少々深読みになりますが、浜田防衛大臣との関係についても触れておきます。
今回の論文における歴史認識は、むしろ更迭を決めた浜田防衛大臣が語りそうな内容です。
浜田防衛大臣は、過去に防衛政務次官、防衛庁副長官なども歴任しているため、両者は、自衛隊の高級幹部会同などにおいて、面識があったと思われます。
両者の間には、更迭されることを含めて、示し合わせがあったのではないでしょうか。
一部報道では報じられていますが、自衛隊員が部外に論文などを発表する場合には、許可が必要です。決裁者は正確に記憶していませんが、各幕僚長だったように思います。田母神空将がこの規則の存在を忘れていたハズはなく、空幕長としての立場では、防衛大臣に伺いを立てる必要があることを認識していなかったとは到底思えないのです。
今回の論文発表は無許可だったと報じられていますが、浜田防衛大臣は承知しながら聞いていなかったことにしたように思えてならないのです。
(なお、部外への発表についての内規は、退職前に小説の発表を考えていたため、一通り読みましたが、とても許可を得る事は無理だろうと思ったことを記憶しています。)


田母神空将としては、もう十分に自衛隊で働いたとお考えなのでしょう。
そして、最後の仕事として、歴史認識や自衛隊の法制面での問題に一石を投じようと考えたのではないでしょうか。
おそらく、第2の栗栖になろうと思ったに違いありません。
(栗栖統合幕僚会議議長は、「超法規発言」で首になっておられます)

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