副官のお仕事 その4
前回の続きです。
視察先部隊に着くと、指揮官が辞退しない限り、栄誉礼が行われます。
栄誉礼と言うと普通は首相や国務大臣が受けるものと思われるでしょうが、自衛隊の礼式に関する訓令において、部隊等の長である将または将補も、指揮下部隊等を就任後初めて又は離任に際して公式に視察する場合などには栄誉礼を行うこと、と定められています。
この時、指揮官は部隊正面の受礼台に立ちます。副官は、台には上がらないものの、台の横で部隊に対して正対して立ちます。ただし捧げ銃(つつ)の敬礼の際には、指揮官の方を向きます。その時は部隊に対しては横を向くということです。
引き続き訓示が行われる場合などは、副官は台の横で部隊に対して正対したままです。明確な決まりは無いと思いますが、訓示を受ける部隊が「休め」の号令を受けている場合も、正面に立っている副官は姿勢を崩せません。気をつけの姿勢のままということです。まさか貧血で倒れる訳にも行きませんから、この辺りも結構大変かも知れません。
ある意味、副官自体が指揮官の権威を表す飾りのようなものです。
栄誉礼や訓示以外は、副官は基本的に司令官に付いているだけです。
視察スケジュールとしては、状況説明と呼ばれるブリーフィング後、装備や訓練風景などを視察する事になります。この時、自衛官であっても普通は目にすることが出来ないような変わった装備や訓練を目にすることが出来ます。副官の仕事の中で、数少ない役得の一つでしょう。
予定が2日以上に及ぶ視察の場合、宿泊をすることになりますが、高級幹部の場合は大抵基地の外部で宿泊することになります。(基地司令以上の階級の者が基地内に居続けると、なにかと迷惑するため)
宿泊費用は旅費として支給されるのですが、これは階級によって異なります。それなりの宿に泊まるなら良いのですが、緊急対応の必要もあり、副官は司令官と同じ宿に泊まらざるを得ません。そのため、宿泊代が旅費を上回ってしまうケースもあります。
司令官の視察に同行する場合、分刻みのスケジュールで行動する他、何かと目立つ位置に居続けなければならないため、何かと気疲れするものです。
ですが、貴重な体験もできるケースも多く、副官にとっては良くも悪くも非日常な日となります。
副官については、番外編としてもう1回、副官の服装について書くつもりです。
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