撤収専門部隊
少々前の話になりますが、10月6日付産経新聞が、「空自、イラクへ撤収専門部隊を派遣へ」という記事を掲載しました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081006-00000503-san-pol
ミリタリー系ブログも数あれど、こういう地味な記事はどこでも取り上げません。
と、言うわけで、あえて取り上げてみます。
産経の記事は、12月に輸送任務を終え、帰国するクウェートへの派遣部隊(イラク領内での輸送任務を実施するので「イラク派遣部隊」と表記されていることが多いが、根拠地としている基地はクウェートにあります)の撤収に際して、大量の荷物を送り返すための通関・検疫業務や現地に建設した施設をクウェートに譲渡する業務を実施するため、空自が後方支援業務に特化した要員を部隊として派遣する、というものです。
新聞記事では具体的な職種には触れていませんが、多くは補給と会計でしょう。
どちらも、華々しい活躍の場はほとんどありませんが、重要であることは言うまでもなく、こういうケースでは往々にして激務だったりします。
後方業務は、ルーチン的な仕事が多く、規則どおりに仕事を流せば良いと思われがちです。確かに、既に確立された業務はそういった性格が強くなりますが、始めての仕事や、今回のような規則で細部を決められていないケースでは大変な苦労を強いられるようです。
その理由を簡単に言うと、発生する様々な問題について規定した下位規則がないため、逐一上位規則と照らし合わせて問題がないかどうか検討しなければならないからです。
と言っても、彼らの苦労はなかなか理解できないと思いますので、補給職種について一つネタを紹介します。
防衛省のサイト内にある資料ですが、「航空自衛隊物品管理補給規則」と言うのがあります。ちょっと見ていただければ分かりますが、まるで魔法の呪文のようです。
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/g_fd/1968/gy19681225_00035_000.pdf
(PDFで71ページあります。重いです)
さらに、実際の業務はこんな程度で済むはずはなく、彼らは「航空自衛隊物品管理補給手続」(通常は「JAFR-125」と呼ばれています。)という分厚い辞書のような物を見ながら仕事をしています。正直、マネは出来ないなと思ったことを覚えています。
自衛隊の扱う物品は、全て国民の血税で賄われています。防衛調達に関しては、いろいろとニュースになってますが、末端は結構しっかりやっていると思います。(某社○庁などとは違います)
撤収業務部隊は、12月上旬に派遣され、輸送部隊が年内に撤収した後も、引き続き数ヶ月は現地で撤収業務を行う予定とのことです。
ご苦労様です。
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