PAC-3はノドンを撃墜できるか? オブイェクト記事
ミリタリー系ブログの筆頭とも言える「週間オブイエクト」に「PAC-3はノドンを撃墜できるか?」と言う記事が出ていました。
http://obiekt.seesaa.net/article/107398010.html
JSF氏の記事では、「ミサイル入門教室」
の記事を引きながら、「PAC-3はノドンに対し「交戦可能」である」としています。
「ミサイル入門教室」
http://homepage3.nifty.com/kubota01/
http://homepage3.nifty.com/kubota01/BallisticMissile03.htm
今回は、先日の実射実験にも触れながら、ノドンの撃墜可能性について書きます。
ただし、書いてみた結果、めちゃくちゃ長くなってしまったため、4回に分けてUPします。
なお、このブログでは、数式などは使用せず、なるべく多くの方に理解してもらえるように書いておりますが、今回は内容上、かなり専門的にならざるを得ないことをご承知下さい。
まず最初に、一つ重要なことがあります。それは、PAC-3の飛翔プロファイル(飛翔経路)については、公表されているデータがないと言うことです。
ですが、理論上ありうるプロファイルは2種類です。
一つは、「ミサイル入門教室」でも迎撃性能を上げる上で最良のプロファイルとされ、「日本海クライシス2012」の中でも言及したヘッドオン迎撃です。
ヘッドオン迎撃とは、弾道ミサイルの正面から迎撃ミサイルを当てる方法で、単純なモデルとしては、迎撃ミサイルの発射地点に直線的に落下する弾道ミサイルを、ランチャーから直線的に飛翔する際に生起するパターンになります。「ミサイル入門教室」第3章「ターミナル・フェーズにおける迎撃」の図3-12-1がこれに当たります。
ターミナル・フェイズでの弾道ミサイルのプロファイルが、「ミサイル入門教室」で言う「著しい直線性」を持つ(上記サイトの図3-5-2参照)ため、原理的には、迎撃ミサイルを中間誘導段階でヘッドオン迎撃コースに乗せてしまえば、迎撃ミサイルの終末誘導段階で全く機動させなくとも命中させられることになります。
この場合、弾道ミサイルの速度が速ければ速いほど直線性が保たれるため、長射程のミサイルほど命中させやすいという、一般に考えられていることと逆の現象が発生します。
ただし、迎撃ミサイル側も直線的に飛翔している必要があるため、迎撃ミサイルに十分な存速があることが重要です。
つまり、ヘッドオン迎撃は、比較的近距離でしか実現できないということです。
また、上記の理想的な場合と異なり、普通は弾道ミサイルの落下地点が迎撃ミサイル発射位置とはずれています。その場合、迎撃ミサイルをヘッドオン迎撃コースに乗せるためには、落下地点の下方に迎撃ミサイルを潜り込ませる必要が生じ、ミサイルの飛翔としては余分なエネルギーを使用しなければならないことから、なおのこと近距離でしか実現できないということになります。
なお、探しきれませんでしたが、湾岸戦争時にPAC-2がアル・フセインなどを迎撃した動画の中には、ヘッドオン迎撃コースで飛翔するPAC-2の映像があったと思います。
次回に続く
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