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2008年10月 8日 (水)

PAC-3はノドンを撃墜できるか? オブイェクト記事 その3

前回の続きです


次に、弾道ミサイルをヘッドオンで迎撃できる範囲はどの程度でしょうか。
SAMに限らず、一般にミサイルのロケットモーター燃焼時間は十数秒です。パトリオットPAC-2(GEMなどを含む)の燃焼時間も12秒程度だと言われていました。PAC-2とPAC-3のミサイルサイズを比較すると、径は異なるものの、全長はほぼ同じ、ロケットモーター部の長さは、PAC-3が若干長くなっています。
ミサイルのロケットモーター断面は、初期加速を高く(特にSAM)するため、後端部のみ円あるいは星型などでくりぬいてありありますが、それより前は推進剤が目いっぱい詰まっている状態です。早い話、後ろから徐々に燃えて行くと言う事です。


そこで、PAC-3のロケットモーター燃焼時間を15秒と仮定します。そして、PAC-3の飛翔速度がマック5超と言われているため、平均速度をマック5と仮定すると、ロケットモーターの燃焼中に、PAC-3ミサイルは25.5kmを飛翔することになります。
計算を単純化するため、PAC-3の飛翔経路を直線とし、上昇角度を45°とすると、飛翔距離の水平成分(射程)、垂直成分(射高)とも18kmとなります。
これは、よく言われるPAC-3の射程15~20km、射高15~20kmと合致します。


ということは、通常射程、射高と言われているものは、ロケットモーターが作動中、または燃焼終了直後で、ヘッドオン迎撃ができる範囲ということです。
なお、計算上では、近距離での射高を更に高くできそうですが、空気密度の減少から、20km以上では操舵が困難になるのでしょう。
逆に、低高度では射程を延ばせそうですが、濃密な大気での空気抵抗でエネルギーロスが大きいものと思われます。


この範囲(射程20km、射高20km)ではヘッドオン迎撃が可能ということですから、この範囲内でのPAC-3での迎撃確率は、パトリオットシステムというよりシーカーの捕捉範囲など、PAC-3ミサイルの性能だけで決まって来るものと思われます。(連続発射による迎撃試行回数による差は当然に生じる)
ということは、この範囲では他のボトルネックが無い限り、特定の目標に対する迎撃確率は、大きく異なることはないということになります。よって、ノドンに対処可能な範囲がこれより小さいと言うことはないと思われます。
分かり難い表現になってしまいましたが、PAC-3によるノドンの迎撃確率をグラフにした場合に、20kmまではほぼ一定の数値を示すだろうということです。


よって、JSF氏が言及していたwikiの記事、ノドンに対する射程が20kmという点については正しいだろうと思われます。(PAC-3は、多少なりともノドンを迎撃できるという前提の元)


そして、これよりも遠方、つまりヘッドオンではなく弾道軌道でPAC-3が誘導される範囲では、ミサイルが持つ速度エネルギーが急速に減少するため、対処可能な弾道ミサイルの速度も急速に減少してくることになります。
先日のPAC-3実射試験における、PAC-3の飛翔時間として防衛省が発表している約30秒という時間について、JSF氏は間違いだろうと述べています。しかし迎撃時には、目標となったPAC-2ミサイルは約2分30秒も飛翔しているわけですから、その時点の目標速度はマック5を相当に下回っていたと思われます。
であれば、迎撃するPAC-3の速度もそれなりに低下していても迎撃は可能だったと思われます。
別の言い方をすれば、先日の実射試験では、PAC-3は模擬ミサイルとなったPAC-2を20kmをかなり上回る射程で迎撃していた可能性があるということです。


また論点がちょっとずれてしまいましたが、迎撃対象がSRBMなら、PAC-3はより広範囲の射程を持ち、wikiの記述も誤りではない可能性もあるということです。
(ただし目標がたとえSRBMであっても、ヘッドオンで迎撃できる範囲は、やはり20km程度しかありませんので、それ以上での迎撃確率は?)


次回に続く

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