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2008年9月13日 (土)

沖縄の対自衛隊感情

1混団の旅団化改編など、沖縄の問題にたびたび触れてきました。
尖閣の領有権問題や中国の軍拡問題など、防衛問題のホットな地域だからということはもちろんですが、現役自衛官時代に2年以上も住んだ場所だからでもあります。
思い入れもありますし、ある程度は事情を承知しています。


一昨日(9月11日)、那覇空港でF-4型機がフラットタイア(パンク)し、滑走路閉鎖となる事象が発生しました。
そこで今回は、このフラットタイアを報じる新聞記事を比較しながら、沖縄の対自衛隊感情について書いてみます。


沖縄は太平洋戦争で唯一地上戦が行われた場所として、旧軍に対する嫌悪感から自衛隊感情も悪いと良く言われます。
諸先輩方の話を聞いた所では、たしかに昔はそうだったようです。ですが、私が勤務した数年前でも、他の地域と比べて特に自衛隊感情が悪いと感じることはほとんどありませんでした。
むしろ、那覇などでは自衛官が多いこともあり、自衛隊慣れしているようにも思います。(制服でコンビニに入っても、特に気に留める人もいない。)


さて、昨日の那覇空港でのフラットタイアですが、まずは事故の概要を押さえておきましょう。
発生日時は11日午後0時50分頃、空自那覇基地所属のF-4型機が訓練飛行を終えて那覇空港に着陸した際、左主脚のタイヤがパンクし、誘導路上で停止しました。滑走路上に散乱したタイヤ破片等の回収のため、滑走路が約1時間閉鎖されたとのことです。


この事故をネットで報じていた新聞は、沖縄の主要地方紙2紙(沖縄タイムス、琉球新報)、それと石垣島を中心とした八重山諸島の話題を中心に掲載する八重山毎日新聞オンラインでした。宮古島の宮古毎日新聞と八重山日報には掲載されていませんでした。

事故は単なるパンクで、記事にするほどのことはないと思われる方もいるでしょうが、本土と距離のある沖縄では、県外とのアクセス手段はほぼ空路に限られると言って良い状況です。おまけに沖縄本島の空港は那覇空港のみです。
事故の影響は、東京在住者にとって東海道新幹線が止まる以上の影響があります。記事となることはもっともことでしょう。
それは、滑走路閉鎖になるような事故を起こした機体が、たとえ民間機であっても同様にニュースになることから見てもわかることです。


掲載紙の論調を見てみると、沖縄タイムスと琉球新報は、事故概要と影響を淡々と報じており、特に反自衛隊的な感じは受けません。沖縄タイムスの方は、県が原因究明と再発防止策の徹底を申し入れた事も報じている一方で、ランウェイ閉鎖の影響で嘉手納に着陸した別の自衛隊機を気遣うような文面もあり、特段自衛隊を問題視しているようには思えません。


沖縄本島の主要2紙、特に沖縄タイムスの方は、左に偏向しているとの言葉も聞きますが、この事故報道に関する限り、淡々と報じている印象です。


その一方で、八重山毎日新聞には「乗客からは「自衛隊機が民間飛行場を利用するからこんなことになる」と怒りの声が上がった。」という文面が見られ、反自衛隊的な論調になっています。
八重山毎日新聞は、石垣島を中心に発行されている新聞で、すぐ近くにある宮古島の宮古毎日新聞と八重山日報が事故自体を報じていないことと対照的です。


フラットタイアに対する報道を見る限り、全体としては特に自衛隊感情が悪いとは思えませんでした。

その一方で、先島、八重山の局地地方紙?の違いにはちょっと興味がそそられます。
以前から空自の分屯基地がある宮古島の2紙は、事故自体を報じておらず好意的に見えます。
それに対して、自衛隊の駐屯地などがない石垣の新聞は、批判的な記事を掲載しています。

やはり、民心の安定のためにも、先島・八重山に自衛隊が駐屯した方が良さそうです。


ちなみに、自衛隊に好意的と思われる八重山日報と、批判的と思われる八重山毎日新聞は、ともに日本最南端の新聞社と自称して張り合っています。

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