H21概算要求-F-15近代化改修とGCI
概算要求関係の前回の記事で書きましたが、F-15近代化改修の項目は、次の7つです。
・FDL搭載改修(Link16)
・レーダー換装
・AAM-4搭載改修
・AAM-5搭載改修(HMD)
・セントラルコンピュータの能力向上
・ジェネレータの能力向上
・空調システムの強化
この内、防衛省が公開している概算要求資料において、改修効果を説明している項目は、次の3つです。
① FDL(Flight Data Link)搭載改修
② レーダー換装+AAM-4搭載改修
③ AAM-5搭載改修(HMD)
この中でも、最も戦闘の様相を劇的に変えるものは、①のデータリンクです。
従来、特に視程外においてパイロットがSA(状況認識)を得るための手段は、自機の機上レーダーと地上及び機上(AWACS)の管制官からのボイスでした。(一部の機体にはLink16とは別のデータリンクがあるが、情報量が少なく、SA向上に資する効果は大きくない)
自機の機上レーダーも、探知追尾能力は地上レーダーとは比較にならないものでしたし、インターフェイスがBスコープだったりで、とても全体状況を把握できるような情報は提供していませんでした。
近代化改修でLink16による情報入手が可能になれば、PPIスコープ同様の鳥瞰的情報が把握できる上、従来では管制官のボイスからしか得ることのできなかった背後の目標についても情報を得ることができます。
レーダー表示については、次のアドレスを参照のこと。
http://homepage1.nifty.com/avionics/data/radar-scope.html
このデータリンク搭載により、パイロットは管制官による支援がなくとも、相手の側方などの敵レーダーの覆域外から、自機のレーダーを使用することなく接敵することが可能になります。
今回の近代化改修は、たとえ防衛省の要求が満額回答を得たとしても、F-2などを含む戦闘機全体としては、まだまだ一部です。
そのため、依然として(要撃)管制官は必要ですが、その重要度は確実に下がってきています。
逆に、2機あるいは4機のエレメントリーダー、フライトリーダーの重要性はさらに高いものになって行くでしょう。
また、Linkをささえる通信電子の重要性は上がって来ます。
Linkが普及すると、航空自衛隊内における各職種の重みも変わってくるでしょう。
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