H21概算要求-防衛省の意気込み
本年度予算に引き続き、F-15の近代化改修費用が概算要求に盛り込まれている。
改修の内容は従来と同様ですが、21年度概算要求が従来と異なっている点は、防衛省の意気込みです。
平成20年度の概算要求では、周辺諸国による航空機戦力の急激な近代化と取得に要する費用の節減を図るため、2個飛行隊分32機の改修費を計上しました。
この32機という機数は、現中期防で計画されている近代化改修26機を単年で上回る意欲的な数でしたが、実際の予算では20機分の改修だけしか認められていません。
その反省もあってか、21年度概算要求資料では、F-15の近代化改修だけに2ページも費やされています。(20年度の概算要求及び予算資料では僅か半ページだった)
追加された内容には、本年度予算で改修機数が減らされた理由の一つでもある中期防を上回ることについての説明が入っている他、経費節減効果が期待できることをグラフ付で示しています。
なんとしてでも予算化しようという防衛省の意気込みの顕れでしょう。
また、20年度概算要求資料では、改修項目は記載されていたものの、その軍事的な効果については全く記載されていませんでした。
21年度の概算要求資料では、この効果の説明だけでほぼ1ページを費やしています。
これは、防衛省の意気込みというだけでなく、改修の意義が関係者に十分に理解されなかったのではないでしょうか。
実際、この近代化改修によって、同じF-15と言えど、全く別の機体と言って良いほどの差異が生じます。0.5世代位の性能差があると言っても良いと思います。
一応改修項目にも触れておくと、
・FDL搭載改修(Link16)
・レーダー換装
・AAM-4搭載改修
・AAM-5搭載改修(HMD)
・セントラルコンピュータの能力向上
・ジェネレータの能力向上
・空調システムの強化
の7項目となっています。
改修項目それぞれの効果は、相互に効果を高め合っているため、どれが一番とは言いにくいものの、一応上記の記述順序が私の考えた各項目の貢献度です。
各改修項目の意義についても、触れようと思いますが、長くなりそうなので次回にします。
さて、防衛省の意気込みは、21年度予算にどの程度反映されるでしょうか?
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