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2008年8月 4日 (月)

自衛官は民間では使えない?

私が現役自衛官だった時、定年などで退職した自衛官が再就職先で苦労するという話を良く耳にしました。雇用者側とすれば「使えない」となる訳ですが、果たして本当にそうでしょうか。
今回は、社会に出てからの十数年を自衛隊で過ごし、現在は民間で働いているという私の経験から、自衛官(特に幹部自衛官)が民間に移ることについて書いてみます。

わたし自身、自衛隊に十数年もいた訳ですので、文化の違いに戸惑うことはあります。しかし、自衛官として過ごした経験が、マイナスになっていると感じることは全くありません。(現在の就業先は、いわゆる防衛産業ではなく、自衛隊とはなんの関係も無い民間企業です。)
それどころか、多くの先輩にご指導してもらったお陰で、働けているように思います。そのことは、一重には、私の自衛隊勤務の半分以上が各級司令部における幕僚勤務だったこともあるとは思います。
レポートやプレゼンの作成の作成は、口調を変えただけで、他には自衛官時代と変えてはいません。むしろ、現役自衛官だった頃の方が厳しい指摘を受けたくらいです。(民間は指摘される事なく評価だけされるため、こちらの方が厳しいか?)
ビジネスの世界で使用される経営戦略分析手法などは、その元をたどると、軍事発だったというものが結構あるのです。
有名な例を上げると、オペレーションズ・リサーチやランチェスターの法則などがその典型です。
自衛官の軍事知識は、自衛隊の外に出たら使いものにならないものではないのです。

アメリカのビジネス界では、軍出身という人は珍しくありません。軍自体が階級のピラミッド構造を維持するため、途中退職をし易いシステムをとっているということも一因ですが、必要な知識は異なるものの、経営戦略も思考のプロセスについては、軍事戦略とそれほど違いはなく、ウエストポイントなどの士官学校で教えていることを応用すれば、ビジネスにも対応してゆけるからなのでしょう。
なにせ、「戦略」という言葉自体、もともと軍事の専門用語です。戦略と戦術、目的と目標、選択と集中、どれも自衛隊の教育で教わり、その後の幕僚活動の基礎とし、今はビジネスに役立てている思考の方法です。
ビジネス書にも、わざわざ軍事関係が元ネタであることを宣伝しているものまであります。孫子やクラウゼヴィッツもその範疇に入るかもしれません。

日本の社会全体で、終身雇用はもはや崩れたと言ってもいい状況です。ですが、自衛隊の人事は、未だに、終身雇用を前提に計画されています。自衛官は民間において決して使い物にならないものではありません。民間企業の意識が変わる必要はあるでしょうが、こと幹部においては、途中退職をし易い環境を作れば、現状で歪になっているピラミッドも正常に近づけられます。

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コメント

拝啓、色々、面白い記事があり、楽しんで読ませていただいております。
さて、今回のブログ内容ですが、当たらずとも遠からず。といった感じです。
私は、地方自治体に勤めており、事務全般の仕事をしておいた事があり、そこでで聞いた話ですが。「嘱託職員の面接にて、自衛隊を退職した自衛官が面接に来たが、自衛隊流の立ち居振る舞いの面接だったので、市民に触れ合う事がある仕事なので、そぐわないと感じ、残念ながら不採用にした」と聞いております。
また、福祉団体に再就職した元自衛官が障碍者大会にでるお世話や、アスリート向けの補助金の窓口を担当していたのですが、選手に対して、平気にパワハラを繰り返し行っており、私もパワハラを受けた事があります。
もちろん、広島の駐屯地の連隊長の経歴があり、官公庁の防災関係の課に入庁して仕事をしている方もおります。面白い語り口で市民向けの講演等々をおこなっております。
私の知人の自衛官(複数人)も、過去に先輩・上司からイジメやパワハラを受けた事があります。
「人格・人間面」で問題ない自衛官が第2の就職先として民間や官公庁へ行くという事なら、嬉しい限りですが、そうでなければ、必ずイジメやパワハラが起こり、雇用者側からは「使えない」の烙印を押されるのではないでしょうか?

とある地方の下っ端公務員 様

再就職にあたり、立ち居振る舞いや言動を、自衛隊の常識から世間の常識に合わせる必要はあるでしょうね。
一応、退職前にそうしたレクチャーもあったはずですが、身についたモノはなかなか・・・というところなのでしょう。
本人の自覚次第とは思いますが。

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