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2008年8月

2008年8月 2日 (土)

空母保有による効果(空母保有論議 その4)

空母保有の効果として、作戦を主導的に展開して敵に対抗措置の実施を強いるということが言われます。しかし、これは米軍のように常に攻勢作戦の実施を前提としている軍隊なればこそです。つまり、敵の策源地を攻撃するという国家意志がなければ成り立ちません。
具体的に書けば、空母に台湾の南を迂回させ、香港周辺など中国南部の基地などを攻撃する事を、日本政府が選択できるかということです。
それが可能ならば、中国は空母艦載機よりも多数の機体を防空のために準備し、CAP及び地上待機させて防空態勢をとり続けざるを得なくなるため、敵戦力の集中を阻害できることになります。
しかし、言わずもがなですが、近い将来において日本政府が取り得る選択肢の中に、そんなオプションはありません。

そうなると、空母を保有することの効果は、適当な位置に遊弋し、作戦空域における航空優勢確保のため、艦載機を上げることになります。
この場合、近い将来に作戦空域となる可能性のある場所は、尖閣諸島周辺か日中中間線付近以外には考えにくいため、空母は先島近海か、先島北方海域に位置することになります。

すると、自ずと先島にある下地島・宮古島空港を陸上基地として利用することとコストパフォーマンスの比較をせざるを得ません。
結果は、(空母保有論議 その2)で述べた通りです。

空母は、アメリカのように「攻撃は最大の防御」を良しとする軍隊では非常に効果的です。
日本も、今後は敵の策源地攻撃を行うようになるかもしれません。しかし、尖閣などの問題では、中国が先島や沖縄を攻撃をする事態にでもならなければ、とても中国本土を攻撃するようなことはできないでしょう。専守防衛を是とするわけでもないとしても、それほど攻勢的な作戦を先制して行うことは政治的に困難です。
一方、中国としても、住民のいる先島を攻撃することは、空母を攻撃することよりもハードルが高いものとなるはずです。
やはり、中国、あるいは台湾との間で発生する離島を巡る争いの場合は、その上空で行われる小競り合いレベルで、質の優位が結果に強く反映される戦闘になる可能性が高いものと思われます。

またアメリカも、今後はパワープロジェクション能力に占める空母の比率を下げるでしょう。
アメリカは、湾岸戦闘以降、アフガンやイラクなどでの作戦において、Bシリーズ(B2、B1、B52)の爆撃機が、非常に高い戦果を上げていることから、爆撃機の大幅な増強を予定しています。B2の後継となるLRSSの配備は、大幅に前倒しされ、2018年の予定になりました。
精密誘導兵器の能力向上と、アビオニクスやステルスによる高い侵攻能力から、例え地球の裏側であっても、空母を使用する事なく攻撃が可能となっているのです。
LRSSは、どのような機体になるかは決まっておりませんが、現在のBシリーズ3機種よりも強力な打撃力となることは間違いないでしょう。

自衛隊も、攻勢作戦に使用するという目的で空母保有を検討するのならば、同じコストで爆撃機を整備した方が、より高い効果を期待できるようになって来ています。

2008年8月 4日 (月)

自衛官は民間では使えない?

私が現役自衛官だった時、定年などで退職した自衛官が再就職先で苦労するという話を良く耳にしました。雇用者側とすれば「使えない」となる訳ですが、果たして本当にそうでしょうか。
今回は、社会に出てからの十数年を自衛隊で過ごし、現在は民間で働いているという私の経験から、自衛官(特に幹部自衛官)が民間に移ることについて書いてみます。

わたし自身、自衛隊に十数年もいた訳ですので、文化の違いに戸惑うことはあります。しかし、自衛官として過ごした経験が、マイナスになっていると感じることは全くありません。(現在の就業先は、いわゆる防衛産業ではなく、自衛隊とはなんの関係も無い民間企業です。)
それどころか、多くの先輩にご指導してもらったお陰で、働けているように思います。そのことは、一重には、私の自衛隊勤務の半分以上が各級司令部における幕僚勤務だったこともあるとは思います。
レポートやプレゼンの作成の作成は、口調を変えただけで、他には自衛官時代と変えてはいません。むしろ、現役自衛官だった頃の方が厳しい指摘を受けたくらいです。(民間は指摘される事なく評価だけされるため、こちらの方が厳しいか?)
ビジネスの世界で使用される経営戦略分析手法などは、その元をたどると、軍事発だったというものが結構あるのです。
有名な例を上げると、オペレーションズ・リサーチやランチェスターの法則などがその典型です。
自衛官の軍事知識は、自衛隊の外に出たら使いものにならないものではないのです。

アメリカのビジネス界では、軍出身という人は珍しくありません。軍自体が階級のピラミッド構造を維持するため、途中退職をし易いシステムをとっているということも一因ですが、必要な知識は異なるものの、経営戦略も思考のプロセスについては、軍事戦略とそれほど違いはなく、ウエストポイントなどの士官学校で教えていることを応用すれば、ビジネスにも対応してゆけるからなのでしょう。
なにせ、「戦略」という言葉自体、もともと軍事の専門用語です。戦略と戦術、目的と目標、選択と集中、どれも自衛隊の教育で教わり、その後の幕僚活動の基礎とし、今はビジネスに役立てている思考の方法です。
ビジネス書にも、わざわざ軍事関係が元ネタであることを宣伝しているものまであります。孫子やクラウゼヴィッツもその範疇に入るかもしれません。

日本の社会全体で、終身雇用はもはや崩れたと言ってもいい状況です。ですが、自衛隊の人事は、未だに、終身雇用を前提に計画されています。自衛官は民間において決して使い物にならないものではありません。民間企業の意識が変わる必要はあるでしょうが、こと幹部においては、途中退職をし易い環境を作れば、現状で歪になっているピラミッドも正常に近づけられます。

2008年8月 6日 (水)

離島での不発弾処理

日本最南端の新聞社:八重山毎日新聞オンライン8月6日版に「不発弾処理、全額国庫負担を要請 県と市長会・町村会が初」という記事が出ていました。
八重山毎日新聞は、その名の通り、石垣島を中心とした石垣以西の八重山諸島の話題を扱った地方紙です。

離島を含めた沖縄県の不発弾処理の実態について、少なからず知っている者としては、「このくらい国庫負担しろよ!」というのが感想です。
沖縄県内で不発弾処理能力のある自衛隊部隊は、那覇の第1混成団第101不発弾処理処理隊だけです。(空自那覇基地でも、搭載弾薬類の不発弾処理はできますが、土中から発見される古い不発弾の処理能力はありません。)沖縄県や南西諸島の離島で発見された不発弾の処理を一手に引き受けているため、彼らはかなり多忙です。
石垣島に限らず、離島では不発弾が発見されたからといって、直ぐに彼らが来れるわけではありません。1週間以上待たなければならないこともざらです。そして記事にあるとおり、処分についてはさらに大変です。それまでの宮古島などでの一時保管については、「これって違法では?」と思えることを、致し方なく実施しているのが実情です。
単に、地方財政が苦しいからというだけでなく、不発弾が出ることで、市民生活に支障がでることが非常につらいところだと思います。そして、そのための手間は自治体が負っています。
不発弾は、沖縄の方々に責任のあることではないのですから、せめて費用だけでも国庫負担すべきでしょう。

以下は、八重山毎日新聞オンラインからの転載です。

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不発弾処理について県と県市長会、県町村会は5日までに、「戦後処理の一環として国の全面的責任において実施されるべきだ」として処理費用の全額を国庫負担とするよう国に要請した。3団体で不発弾処理に関して要請するのは初めて。仲井真弘多知事、石垣市の黒島健副市長らが1日、総務省、防衛省、内閣府を訪れ、黒島副市長は一時保管庫と爆破場所がないなど離島の特殊事情を訴え改善を求めた。
市総務課によると、石垣市内では1973年9月9日の処理以降、これまで162回(計1144発)の不発弾処理を行った。年平均4.6回で、近年の処理費用は1回当たり30―50万円。このうち2分の1を国が特別交付税として措置しているというが、動員される職員の時間外手当などは算定されておらず、交付税のため措置額がみえにくい実態がある。
県や市町村は「不発弾の探査・発掘や処理壕構築、住民避難、回収不発弾の保管など多くの取り組みを地元自治体が担っている」として▽特別交付税制度に代わる独自の制度を創設し、全額国庫負担とすること▽不発弾処理事業全般を直轄事業化し、国の責任で不発弾処理を促進すること―を求めている。
石垣市では、長年爆破場となっていた御神崎爆破処理場が05年から崩落の危険のため使用できず、07年4月のロンドン条約発効により陸上で発見された不発弾の海中投棄もできなくなった。さらに簡易な一時保管庫は安全上の問題があるほか自衛隊の移動や日程、海上輸送など離島の特殊性も抱えており、市は「相当な負担」と指摘している。
 要請では大臣に会う予定だったが、内閣改造と重なり実現しなかった。対応した局長クラスからは明確な回答を得られなかったが、黒島副市長は5日、「石垣市には爆破場も一時保管庫もない。今回は生の声を訴えることができた。今後、目に見える形で対応してほしい」と話した。

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2008年8月10日 (日)

教育集団から戦闘機が消える?

あまりにも紆余曲折の情報が流れたおかげで、やっとという感じですが、FXの2009年度概算要求への見送りが流れたそうです。
この問題に興味を持っていた人にとっても、ほとんど織り込み情報なため、特に新規性は感じませんが、この流れで行くと、もしかすると航空教育集団から戦闘機が消えるかもしれません。

FX選定が遅延したことで発生する、特に質的な面での戦力低下は、現在の主力戦闘機F-15の近代化改修でまかなうとされています。
それ自体にはそれほど問題ありませんが、F-4型機の老朽化問題は放置されたままです。このままの状況が続けば、早晩F-4を運用する飛行隊が機能停止します。
それを防ぐためには、F-4飛行隊をF-15に機種転換させるしかないでしょう。そしてそのためのF-15を保有しているのは、現在新田原基地に所在している航空教育集団隷下の飛行教育航空隊です。
飛行教育航空隊は、F-15操縦、戦技を教えるための舞台ですが、飛行隊数が変わらないとすれば、ここのF-15を戦闘部隊にまわすしか手がありません。そうすると飛行教育航空隊はF-4のみの装備になるわけですが、部隊の位置づけを変えた部隊に改変されるのかも知れません。

防衛省が米国議会の変化を待つつもりなのかどうかは分かりませんが、早く方針を決めないと、さまざまな 部隊に軋轢を生みそうです。

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次期戦闘機、予算要求見送りへ=現有機の改修で対応-防衛省
8月9日6時49分配信 時事通信

 防衛省は9日、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の導入費用について、今月末が期限の2009年度予算の概算要求へ盛り込むことを見送る方針を固めた。最有力の最新鋭ステルス戦闘機F22の禁輸措置を米国が解除しないことから、早期に機種を選定できず、予算要求は困難と判断。代替措置として現在の主力戦闘機F15の近代化改修費用の増額を要求する。 

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2008年8月14日 (木)

無人機のみの戦闘航空団出現

F-104が最後の有人戦闘機と言われた時から久しいですが、遂に無人航空機(UAV)による戦闘航空団が出来るそうです。
UAVに関して、自衛隊は諸外国からすると遅れた状態ですので、当然自衛隊の話ではなく、米空軍です。
現在F-16とMQ-9リーパーを運用している第174戦闘航空団(174th Fighter Wing)が、MQ-9のみの航空団に改変されます。

174th Fighter Wingのホームページを見ると、現在F-16戦闘機を使用して参加しているイラクの自由作戦からの帰還後、UAVのみによる航空団に改編される予定のようです。
http://www.174fw.ang.af.mil/

MQ-9リーパーは、偵察機であるRQ-9プレデターBの攻撃機版でジェネラル・アトミックスが製造しています。
フル武装状態でも14時間の滞空性能があり、GBU-12レーザー誘導爆弾やAGM-114ヘルファイア対地ミサイルが搭載出来る他、対空ミサイルのAIM-92スティンガーとGBU-38JDAMの搭載も可能になる予定です。

10084323145
Copyright (c) USAF

写真を見れば一目瞭然ですが、対空ミサイルを搭載したとしても、とても戦闘機として使えるようなUAVではありません。
絶対的な航空優勢が得られた空域で使用され、監視空域の上空に長時間滞空し、捜索を行いつつ、標的が現れた場合に攻撃する任務を負います。イラクやアフガンでのテロリストや武装集団に対する攻撃用ということです。スティンガーも、ほぼ対ヘリ用と考えて良いでしょう。

使用される条件や目的が限られるため、自衛隊が追随すべきものではありませんが、トレンドの一つとして認識しておくべきでしょう。
ただし、米軍でさえ、米海軍が開発中のUAV、X-47UCASの開発計画が、パイロットの反対を受けて頓挫しそうな状況です。自衛隊であればなおのこと強烈な反対が起きることは確実で、偵察目的以外はUAV導入などどうなるものやら・・・

2008年8月15日 (金)

副官のお仕事 その1

現在の自衛隊でも、高級幹部には副官が付きます。
小説やドラマの中では、脇役として良く登場する副官ですが、今回はその副官とその補佐にあたる副官付(曹・士)の職務などについて書いてみたいと思います。
ちょっと長くなるので、数回に分けて書く予定です。

副官とは、一言で言えば高級幹部の秘書です。
スケジュール調整や、来客の接遇などが主な仕事になります。
その仕事の詳細に入る前に、副官の位置付けなどについて書いておきましょう。

高級幹部といっても、単純に階級によって副官が付く付かないが決まっているわけではありません。基本的に指揮官職でなければ副官は付きません。つまり将官が補職されていても、幕僚には付かないという事です。ただし、統合幕僚長、陸海空の各幕僚長は別です。
通常、ナンタラ司令という名称の役職に付いていると考えれば、だいたい合ってます。副司令など、副指揮官には付きません。また、各駐屯地、基地のトップは、部外との接触も多いため、副官が付くと思っていただいて大丈夫です。階級的には、将あるいは将補です。
副官の方は、1尉か2尉、まれに3尉ということもあります。ただし統合幕僚長、陸海空の幕僚長については、2佐と3佐の二人の副官が付きます。
副官の人選は、総務(部・課)と人事(部・課)が行い、付かれる形になる将官本人の承認を得て決まります。以前は、優秀なものが選抜され、将来の勉強をさせると言われていましたが、最近では、もしや懲罰人事か?(一般に副官は激務なため)と思われるような場合もあります。職種(空自では特技という)を指揮官に合わせるというような場合もあります。
また、副官の補佐役として、副官付と言われる曹・士隊員もいます。一応副官の部下という位置付けで、副官と副官付のいる部署は副官室と呼ばれます。実際に一部屋確保されている場合が多く、大抵はお茶出しなどを行うため、小ぶりな給湯室のような一角を備えています。
副官は通常男性自衛官です。しかし、高級幹部になる女性自衛官も出てきていますので、おそらく将来は付かれる形となる将官の性別に合わせることになるでしょう。副官付は、1名ないしは2名ですが、一人は女性自衛官です。誰しも、来客時の接遇(要はお茶出し)は、女性の方が嬉しいということです。
また、副官室のメンバーではありませんが、専属のドライバーも付きます。

次回は、任務について書くつもりです。

2008年8月17日 (日)

陸自の宮古島駐屯

陸上自衛隊の宮古島駐屯は、ほぼ規定路線のようですが、今までのところ防衛省からの発表はありません。

来年度予算の概算要求が今月8月末なので、費用(部隊改編、用地取得、施設整備など)が来年度予算に盛り込まれるとすると、そろそろアナウンスがあるはずです。
そこで今回は、現在ある情報を元に、陸自の宮古島駐屯について、勝手な予測を書いてみます。

現中期防(H17~H21)には、混成団の旅団への改編が明記されており、来年が最終年度にあたるため、第1混成団の旅団への改編は、間違いなく来年でしょう。
2006年10月4日付の琉球新報の記事では、宮古島に2百人規模の部隊を配備させると書かれています。この記事では、空自の宮古島分屯基地とは別の基地(陸自だから駐屯地のはず)を建設するとなっています。200人もの部隊が出来れば、非常に狭い空自の宮古島分屯基地の中に入りきらないことは当然なので、やはり新たな駐屯地が出来ると見るべきでしょう。(200人という規模からすれば分屯地か?)

どのような部隊が配備されるのかという点については、現在のところ具体的な情報はないようです。推論の手助けになる情報としては、防衛計画の大綱くらいです。大綱では、島嶼部に対する侵略への対応として、「島嶼部に対する侵略に対しては、部隊を機動的に輸送・展開し、迅速に対応するものとし、実効的な対処能力を備えた体制を保持する。」と記述されています。
大綱に沿った部隊が配備されるとすると、ヘリを運用する飛行隊の可能性があります。また、それ以外だとすると当然、普通科部隊ということになります。
200人と聞くと、多いような気もしますが、この部隊だけで先島、八重山全域(尖閣諸島を含む)を担当することは出来るはずはないので、やはり、第1混成団から改編される旅団、あるいは西方普通科連隊を受け入れるための部隊となるのでしょう。
とすると、一部が普通科、一部が航空科という可能性もあります。

場所については、新規に用地取得されるとすると、先島の地勢について、そこまで深く承知しているわけではないので、推論することも難しいのですが、一部でも航空科部隊が配備されるとすると、現在は利用されていない宮古空港の旧ターミナル地区の可能性が高いのではないかと思います。エプロンも広いので、ヘリの運用には十分すぎる地積です。

ざくっと書いて見ましたが、果たしてどの程度的中しているでしょうか。あと10日もしない内に答えが出てくると思います。

2008年8月19日 (火)

空母の行動監視(空母保有論議 その5)

空母の行動監視(空母保有論議 その5)
日本が空母を保有すべきと考えている方は、艦載機の防空能力に加えて護衛艦隊の防空能力を非常に高く評価しているように思えます。
そこで、艦隊の防空能力について書きたいと思いますが、その前に関連した話として、空母の隠密性?と行動監視について書いておきます。

どういう思考なのか理解できかねますが、艦隊の位置把握が困難だと考えている人がいるようです。
しかし、巨大で大量の赤外線を放出する空母の位置は、偵察衛星で簡単に確認できます。もちろん、監視したい海域をカバーできる軌道を持つ衛星を一定数持つことが条件ですが、今や敵対国の衛星を撃墜するほどの衛星技術を持つに至った中国が、衛星によって東シナ海や西太平洋を監視できないと考える方が無理があります。
実際に中国は、「遥感」と名づけられた多目的情報収集衛星や「海洋」と名づけられた海洋観測衛星を運用しています。
中国は、その技術力の割に、専用の偵察衛星は保有していませんが、逆にあらゆるものが国家のために使用される国です。これらの衛星も、軍事目的に使用されていると思われます。
また中国は、数日から十数日の運用の後、大気圏に再突入させて回収する返回式衛星(FSW:Fenhui Shi Weixing)と呼ばれる独特の衛星を得意としています。現在まで30回以上も打ち上げられた返回式衛星の多くは、軍事目的の偵察衛星であったようです。中国は、緊要な時期が来れば、返回式衛星を打ち上げ、目的とする海域を監視することが出来るということです。

衛星での監視は、断続的なものになりますが、艦艇の移動速度(最大でも35ノット(時速65km)程度)からすれば、艦隊が艦載機の戦闘行動半径外にいる間は十分と言えます。

艦隊が艦載機の作戦可能範囲に入るころには、中国は、防空目的も含め、AWACSなど長距離の洋上監視能力をもつ機体によりリアルタイムの監視を始めるでしょう。
中国は、戦力化には苦労しているようですが、IL-76をベースにしたKJ-2000AWACS、Y-8をベースにしたKJ-200AEW(2006年に1機が墜落しニュースになった)の他、KJ-200とは別のY-8ベースのAEWも保有しているようです。また、SAR(合成開口レーダ)を装備したTu-154も保有しており、洋上監視については相当な能力を有しています。
衛星による概略位置情報があれば、空母の捕捉は簡単でしょう。

目標を捕捉すれば、次は攻撃に移ることになりますが、続きは次回に書きたいと思います。

2008年8月22日 (金)

防衛省に情報公開請求

ある話題について書きたいと思っているのですが、実情は知っていても、どこまで書いて大丈夫なものか不安です。。
そんなわけで、防衛省に情報公開請求をしてみることにしました。
秘に該当するなど、請求をしたところで開示されない情報もあるのですが、開示される内容は書いても構わない内容なはずなので、私の目的にはピッタリです。

現役時は、請求が来ると「めんどくせ~」という感じだったので、現役の方々には申し訳ないのですが、記憶を全部書いたら自衛隊法59条(守秘義務)違反で検挙されること間違いなしなので、請求方法を防衛省のサイトを調べてみました。

市ヶ谷まで行って直接請求することもできるようですが、郵送でも請求できるようです。
また、市ヶ谷だけでなく、市ヶ谷の他、全国12箇所にある情報公開室に請求することもできるようです。
場所は、札幌、帯広、仙台、さいたま市、横浜市、大阪市、名古屋市、広島市、福岡市、熊本市、長崎市、嘉手納町です。
沖縄の情報公開室が、那覇ではなく嘉手納町というのが。ちょっと?です。

平日に市ヶ谷に寄ることは難しそうなので、郵送で請求してみます。
開示請求を行うだけでも、開示請求手数料が必要です。郵便局で300円分の収入印紙を購入し、開示請求書に貼り付けて納付します。

請求内容は、具体的に書かないと、結構大変なことになります。
例えば「××について書かれているもの」というような請求だと、同じキーワードが入った全ての文書を請求したことになってしまいます。
出す側も大変ですが、受け取る方としても、とても見切れないような文書が出てくることになってしまいます。コピーをもらうにしても費用もかかります。
グーグルで検索ワードにヒットする全てのサイトを見るようなものです。

そういう場合は、担当者から連絡が来て、文書を絞り込むことになります。
やりとりが面倒なので、目的の話題を担当する部署の保管文書リストを請求することにしました。
普通は、文書名だけで内容を予想することは結構難しいものがありますが、そこは経験です。文書の発簡者や発簡期日も照らし合わせて見れば、内容は大体想像できます。

さて、この後どうなるでしょう?
経過は、また報告します。

2008年8月23日 (土)

ワシントン来日

ついにワシントンが来日します。
と言ってもデンゼル・ワシントンではありません。(余談ですが、私が最も好きな映画は「グローリー」です)
ジョージ・ワシントン、それも原子力空母の方です。
http://www.aviationnews.jp/2008/08/post_a3ab.html

横須賀を母港としている最後の通常動力型空母キティ・ホークが退役するため、新たに空母ジョージ・ワシントンが配備される予定となっていました。
今年の5月に火災を発生させたため、修理作業が行われていましたが、それも終了し、ついにサンディエゴを離れ、横須賀に向かったとのことです。

イザ到着した時には、マスコミはマイナスイメージの報道をするんでしょうね。実際には、大した反対もあるわけではないのに・・・

軍事的には、母港が存在することにそれほど意味はありませんが、政治的にはやはり大きな存在感があります。現物は、10万トンもの排水量があるため、それ以上にインパクトがあります。
「日本海クライシス2012」の中でも、重要な意味を持たせていました。(何せジョージ・ワシントンが日本近海にいたままでは、危機が危機にならないので、プロットを考える上で苦労させられた)

しかし、自衛官現役時代に「キティちゃん」と呼んでいたキティ・ホークが居なくなるのは、なんか寂しいです。

2008年8月24日 (日)

大変だろうなあ

YOMIURI ONLINEに総火演の記事が出ていました。

しかし、なんとタイトルは「陸自「総合火力演習」、原油高で燃料費1500万アップ」です。毎年やっている演習なので、TK-Xでも出てこない限り新味はないのでしょうが、それにしてもな~というタイトルです。

ですが、実際に自衛隊はホトホト困っているというのが実情でしょう。
自衛隊も役所の一端なので、年間に使える予算はキッチリ決められています。年間の予算をキッチリと使い切らないと次年度以降の予算が削られるため、計画はミリミリに立てられます。
為替レートが変動しただけでも相当に経費が変動するため、ミリミリと作った予算の修正を強いられるわけですが、1年前と比べれば円高になっている上、これだけ燃料費が上がると、計画の修正は極めて厳しいものになります。
予算の内訳では、人件費など削ることが不可能なものも多いため、勢いしわ寄せは訓練演習費などに行くことになります。

報じられるところでは、訓練効率よりも経済効率優先になっているようで、航空機の飛行速度を経済巡航速度にするなど、経費の削減につながるモノならなんでもヤルという状況のようです。

民間も苦しいのですが、現役の方々は苦労してるんだろうな~。

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陸自「総合火力演習」、原油高で燃料費1500万アップ
 陸上自衛隊で最大規模の実弾射撃訓練「富士総合火力演習」が24日、陸自東富士演習場(静岡県御殿場市など)で行われた。
 今回で50回目。時折強い雨が降る中、約2万人の見学者が訓練を見守った。
 演習には隊員約2400人と、戦車・装甲車など車両約475台、火砲約40門、ヘリコプター約20機などが参加。約1時間30分の演習で、約44トン(約3億6000万円)の弾薬が使用された。戦車やヘリなどの燃料費は約5800万円で、原油高騰の影響で昨年比1500万円増だった。
(2008年8月24日19時03分 読売新聞)

2008年8月27日 (水)

離島での不発弾処理 続報

先日8月6日の記事で、離島での不発弾処理費用を国庫負担すべきだと書きましたが、ちゃんと考えられていたようです。

昨日、8月25日付の琉球新報に、「不発弾処理に補助金 政府、9割で調整」という記事が掲載されていました。


沖縄県については、不発弾の探査と発掘は、従来から政府が9割を補助していました。しかし、発見された不発弾の安全化処理のための費用は、5割しか補助金が出ません。
沖縄県は、1県だけで不発弾の処理件数が全国の60%近くに及びます。また、近年では深海への海中投棄による処理が出来なくなったため、処分費用もかさんでいました。


太平洋戦争では、国内で唯一地上戦が行われた沖縄です。
最低でもこの程度しないと、国や防衛に対して理解を得ることは難しいでしょう。

2008年8月28日 (木)

陸自の宮古島駐屯と1混団改編 続報

ちょうど10日ほど前の記事に、陸自の宮古島駐屯について、あと10日もしない内にわかるだろうと書きました。
そんなわけで、全国紙だけでなく琉球新報、沖縄タイムス、宮古島毎日新聞などもチェックしてきましたが、概算要求関連のニュースはあるものの、「宮古島」の文字はどこにも現れません。さては見送りになったのでしょうか。

確認のため、防衛省のHPをのぞいて見ましたが、まだ21年度の概算要求資料は公開されていません。

各社の報道の中、1混団関係は、沖縄タイムスの昨日26日夕刊が詳しく報じています。
名称は第15旅団となり、定員は3百人増の約2100人、唯一の離島タイプの旅団だとされている。化学防護隊も編成されるようだ。
離島タイプとして機動力の高い部隊となる予定のようだが、現有の航空機の数は維持するとしている点が少々疑問。
沖縄は、ただでさえ急患空輸の災害派遣が多く、普段から忙しい業務をしているのに、それに加えて訓練が増えることになるだろうから大変だろう。

もうしばらく、ニュースと防衛省HPをチェックしてみます。

以下沖縄タイムスの引用です。
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陸自第1混成団を増強/防衛省
300人増 2100人体制に/唯一の離島対応型
 【東京】防衛省は二十六日、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)を二〇〇九年度中に「第一五旅団」に格上げし、定員を約三百人増強、約二千百人体制とする方針を固めた。関係予算を〇九年度予算概算要求に盛り込む。事態対処能力を向上させるため、混成団の混成群を廃止して普通科連隊を新編する。そのほか、敵情を視察する偵察隊や化学防護隊もそれぞれ新編するなど、大幅に組織を改編する。
 第一混成団の旅団化は、〇四年に閣議で決定された中期防衛力整備計画(〇五―〇九年度)に基づく措置。

 第一混成団は「離島タイプの即応近代化旅団」に変容。島しょ侵攻への対応が重視される中、「離島タイプ」と位置付けられる国内唯一の旅団となる。

 機動性の向上を図るため、軽装甲機動車、高機動車を新たに導入。そのほか、航空運用能力を向上させるため、現有の航空機の数は維持しながら、待機体制を強化する方針だ。

 旅団化をめぐって〇八年度は、陸上自衛隊那覇基地内に旅団の中枢機能を果たす司令部庁舎のほか、隊舎を建設中。

 県内では一方で、航空自衛隊が那覇基地の旧型主力戦闘機F4部隊を茨城県百里基地のF15部隊と入れ替える計画もある。〇八年度は施設整備と整備機材の取得が進められており、年度末にも那覇基地へのF15移駐が始まる見通しだ。

 第一混成団の旅団化や那覇基地のF15配備は、軍備力を急速に増強させている中国などをにらんだ「西方シフト」の象徴的な動きといえる。
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2008年8月30日 (土)

宇宙の軍事利用 日韓偶然の一致?

8月28日の読売新聞の記事に「宇宙の防衛利用解禁、技術研究の計画室新設へ…防衛省」という記事が出ていました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080828-OYT1T00100.htm


内容は、前日27日、防衛目的の宇宙利用解禁を盛り込んだ宇宙基本法が施行されたことを受け、技術研究本部内に「宇宙技術計画室(仮称)」を新設し、防衛のために宇宙で利用可能な技術を検討することを報じたモノです。

日本政府は、従来、宇宙利用を非軍事に限定してきました。そのため、防衛省が実質的に管理している情報収集衛星も、偵察衛星ではなく、あくまで情報収集衛星でした。宇宙基本法の施行により、国連宇宙条約に定める「非侵略」と、憲法の平和主義の理念に基づく利用であれば、防衛省も宇宙空間を利用できることになりました。
自衛隊は、FPS-5レーダーやイージス艦でミサイル発射を監視できる態勢を整備しつつありますが、ミサイルの発射を発射直後から捉えるためには早期警戒衛星の配備が望ましいし、能力不足が噂される情報収集衛星よりも高性能な偵察衛星も必要です。軍事専用の秘匿機能を備えた衛星通信も重要です。
これらの衛星や、場合によっては衛星迎撃ミサイルを保有することを含め、必要な技術を開発しておくことは重要です。


そのため、記事内容については、「当然」というより「やっとか」というのが感想です。それは、この記事のわずか7日前、朝鮮日報が掲載した韓国空軍が航空宇宙軍の創設を目指し、宇宙特別兵科を新設するとの記事よりも遅れたものだからでもあります。
http://www.chosunonline.com/article/20080820000042


上記朝鮮日報記事によれば、韓国空軍は今年から宇宙専門の要員を、宇宙での戦力の運用や作戦の遂行と直接的に関連がある八つの兵科(操縦、航空統制、防空砲兵、情報通信など)から選抜し、宇宙で独自の作戦を遂行する能力を備えた「航空宇宙軍」創設を目指すそうです。


現在の自衛隊では、まだ宇宙関係の技能を兵科(自衛隊では職種、特技という)に指定するという所までは行っていません。もちろん、それをすれば直ぐに能力が高まるというわけではありませんが、少なくとも取り組む姿勢、意気込みが高いことは確かでしょう。
衛星の利用やMDへの取り組みがまだまだと言える韓国が、より高いレベルを見据えているのですから、自衛隊ももっと積極的に考えても良さそうです。来年中に取りまとめる次期中期防衛力整備計画に向け、具体的な宇宙利用策を策定するそうなので、今後は、この辺もウォッチしてゆくつもりです。


最後に邪推をちょっとだけ。
朝鮮日報の記事は、日本の宇宙基本法施行に併せ、対抗心からブチ上げただけの可能性もあるような気はします。

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