宇宙の軍事利用 日韓偶然の一致?
8月28日の読売新聞の記事に「宇宙の防衛利用解禁、技術研究の計画室新設へ…防衛省」という記事が出ていました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080828-OYT1T00100.htm
内容は、前日27日、防衛目的の宇宙利用解禁を盛り込んだ宇宙基本法が施行されたことを受け、技術研究本部内に「宇宙技術計画室(仮称)」を新設し、防衛のために宇宙で利用可能な技術を検討することを報じたモノです。
日本政府は、従来、宇宙利用を非軍事に限定してきました。そのため、防衛省が実質的に管理している情報収集衛星も、偵察衛星ではなく、あくまで情報収集衛星でした。宇宙基本法の施行により、国連宇宙条約に定める「非侵略」と、憲法の平和主義の理念に基づく利用であれば、防衛省も宇宙空間を利用できることになりました。
自衛隊は、FPS-5レーダーやイージス艦でミサイル発射を監視できる態勢を整備しつつありますが、ミサイルの発射を発射直後から捉えるためには早期警戒衛星の配備が望ましいし、能力不足が噂される情報収集衛星よりも高性能な偵察衛星も必要です。軍事専用の秘匿機能を備えた衛星通信も重要です。
これらの衛星や、場合によっては衛星迎撃ミサイルを保有することを含め、必要な技術を開発しておくことは重要です。
そのため、記事内容については、「当然」というより「やっとか」というのが感想です。それは、この記事のわずか7日前、朝鮮日報が掲載した韓国空軍が航空宇宙軍の創設を目指し、宇宙特別兵科を新設するとの記事よりも遅れたものだからでもあります。
http://www.chosunonline.com/article/20080820000042
上記朝鮮日報記事によれば、韓国空軍は今年から宇宙専門の要員を、宇宙での戦力の運用や作戦の遂行と直接的に関連がある八つの兵科(操縦、航空統制、防空砲兵、情報通信など)から選抜し、宇宙で独自の作戦を遂行する能力を備えた「航空宇宙軍」創設を目指すそうです。
現在の自衛隊では、まだ宇宙関係の技能を兵科(自衛隊では職種、特技という)に指定するという所までは行っていません。もちろん、それをすれば直ぐに能力が高まるというわけではありませんが、少なくとも取り組む姿勢、意気込みが高いことは確かでしょう。
衛星の利用やMDへの取り組みがまだまだと言える韓国が、より高いレベルを見据えているのですから、自衛隊ももっと積極的に考えても良さそうです。来年中に取りまとめる次期中期防衛力整備計画に向け、具体的な宇宙利用策を策定するそうなので、今後は、この辺もウォッチしてゆくつもりです。
最後に邪推をちょっとだけ。
朝鮮日報の記事は、日本の宇宙基本法施行に併せ、対抗心からブチ上げただけの可能性もあるような気はします。
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