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2008年6月21日 (土)

対領侵措置任務中の反撃

対領侵措置任務中に、領空侵犯機が自衛隊機にミサイル発射してきた場合、 許可がなければ反撃できないのか?
という質問が出てましたので、次の通り回答してます。

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反撃の許可を与えることの出来る人はいません。
たとえ最高司令官である総理大臣でも、領侵機に対する攻撃許可は出せません。
しかし、なにも出来ないわけではないと思われます。
思われますと書いたのは、今だ裁判で争われたことがなく、判例がないためにはっきりとした見解が固まっていないということです。

領空侵犯に対する措置は、自衛隊法84条で次の通りに定められています。
(領空侵犯に対する措置)
第八十四条  防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法 (昭和二十七年法律第二百三十一号)その他の法令の規定に違反 してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。

この84条では、領侵機に対する攻撃については書かれていないため、航空機に限らず自衛官一般に定められている権限、自衛隊法95条の武器等の防護のための武器の使用しか適用できる権限がありません。

(武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条  自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上 警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる
。ただし、刑法第三十六条 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

というわけで、反撃するためには刑法36条(正当防衛)または37条(緊急避難)に該当する場合のみということになります。

(正当防衛)
第三十六条  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(緊急避難)
第三十七条  自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2  前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

問題は、どのようなシチュエーションなら正当防衛もしくは緊急避難に該当するか、ということになります。
国会答弁等で回答されたことがあるかも知れませんが、そこまで承知していません。
また、国会答弁があったとしても、所詮は政府見解なので、司法判断で覆る可能性もあります。

冒頭で書いたとおり、判例がないので、以下は個人的な法解釈として読んでください。
最初に正当防衛についてです。
航空機は、基本的には前方象限しか攻撃できないため、物理的に反撃できるケースはヘッドオンで対峙した場合のみです。
判例のありそうなケースとしては、2人の人がナイフをもって睨みあっている状況から、相手がナイフを突いてきたため、突き返したという場合です。
ある程度法律を承知している人なら理解して頂けると思いますが、このケースは100%正当防衛とはなりません。
睨み合っている時点で、急迫不正な侵害とはならないからです。
簡単な言い方をすれば、逃げるというオプションを選択可能な限り、逃げなければならないということです。
また、当然ですがレーダー照射されたからといって攻撃を受けたと主張することは無理があります。
次に緊急避難の場合です。
セミアクティブホーミングミサイルで僚機が攻撃された場合に、ミサイル誘導を行っている領侵機を攻撃する場合などが、緊急避難に該当すると思われます。
ただし、僚機が撃墜される前でなければなりません。緊急避難が、あくまで「現在の危難」をさける場合しか認められないためです。

他にも様々なケースがありうるかと思いますが、基本的に正当防衛か緊急避難に該当する場合しか反撃はできません。
そしてその判断は、命令や許可ではなく、個人判断ということになります。

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この回答に対して意見をくれる人も居たのですが・・・
法学板に行けと怒られてしまいました。

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