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2008年6月

2008年6月15日 (日)

ブログ始めました

小説サイトが、一応の完成となったため、ブログを始めてみました。
ブログでは、公開中のシミュレーション小説「日本海クライシス2012」と構想中の小説について書くほか、防衛関連のニュースで気になった事について書いてゆく予定です。

こちらに直接来られた方は、
http://homepage3.nifty.com/amatakuon-novel/
も覗いて見て下さい。

小説についての感想や疑問、質問もこちらのコメントして頂いて結構です。
回答は週末になってしまうと思いますが、必ず目を通すつもりです。

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「日本海クライシス2012」の生い立ち

 「日本海クライシス2012」は、私が現役自衛官だった頃、自衛隊内部での教育用として考えていた複数の小説用プロットをまとめたものです。起こりうる事象を時系列で組み立て、その中での人の動きを小説スタイルで書き出したモノです。
 そのため、第5章まで少々かったるい印象を持たれるかもしれませんが、その後に6章、7章で起こることの複線になってます。先の展開を予想しながら読んで頂ければ、多少は楽しんで頂けるかと思います。

 小説中、兵器やシステムの解説が多いですが、これについては、「軍事研究」誌などの専門誌を見ることがないような方にも 防衛問題についての理解を深めていただけるようなモノにしたかったため、こうなりました。
 先の展開を予想してもらうためにも、必要最小限な情報は小説内部に書いて置きたかったということです。
 しかし、玄人裸足のマニアさんにとっては、少々冗長だったかもしれません。(陸海空の情報を網羅的に押さえているマニアさんは少ないと思いますが)

 次回は、「日本海クライシス2012」中で提起している問題点について書きたいと思っています。

2008年6月21日 (土)

ロックオンされた事の認識方法

時々2チャンネルの軍事板で質問に答える事があります。
結構苦労して書いても、直ぐにスレッドが流れてしまうので、こちらに転記して保存することにしました。
そんなわけで、前回の予告から内容を変更して、今回はロックオンされた事の認識方法について書きます。

質問は、軍用機がロックオンを感知する方法について、どうやってミサイルを撃たれる前に感知するのか、という内容でした。

それに対する回答として、次のように答えました。
---------------------------------
おそらくレーダー誘導ミサイルについての質問かと思いますので,
レーダー誘導ミサイルについて回答します。

戦闘機や攻撃機の場合、大抵はRWRと呼ばれるレーダー波をキャッチし、警報を発する装置が付いてます。
このRWRが、敵がロックオンした状態の時に発するレーダー波を照射された時に警報を出すように設定するわけですが、

相手がセミアクティブレーダーホーミングミサイルを使用している場合、照射されるレーダー波は一般的に次のような段階を経ます。(空対空、地対空問わず)
各種の捜索モード(発見まで)→追随モード→ミサイル誘導のための追随モード(この段階が不要なものもあり)
→ミサイル誘導モード→終末期のミサイル誘導モード(この段階が不要なものもあり)
この時、ミサイル誘導モード時のレーダーを照射、追随することを通常ロックオンと呼んでおり、多くの場合、ミサイル発射前にこの状態にしてから、ミサイルを発射します。
このため、このミサイル誘導モード時のレーダー波パターンをRWRに設定しておけば、敵がミサイルを発射する前にロックオンされたことを知ることができます。
ただし、ここで「設定しておけば」と書いたとおり、事前に電子戦の成果として敵が使用するレーダーのミサイル誘導モード時のレーダーパターンが判っていなければ、RWRを積んでいてもロックオンを感知することはできません。
また一部のミサイルでは、このミサイル誘導モードが存在せず、通常の誘導モードのままミサイルを発射し、ミサイルにはデータリンクでコマンドを送信して誘導するものもあります。
この場合、データリンクのデジタルデータまで解析して警報を出すことは困難でRWRには通常の追随モードのレーダーパターンをセットするしかないわけですが、単に追随されているだけなのか、ミサイルが発射される(された)状態なのか判断できないことになります。

相手がアクティブレーダーホーミングミサイルを使用している場合は、もう少し複雑です。
照射されるレーダー波は次のような段階を経ます。
(機上、地上レーダーによる)
各種の捜索モード(発見まで)→追随モード→ミサイル誘導のための追随モード(おそらくこの段階が不要なものが多い)
(ミサイルシーカーによる)
→追随モード→終末期のミサイル誘導モード(この段階が不要なものもあり)
ミサイルの発射は、機上または地上レーダーが追随モードかミサイル誘導のための追随モードになってからですが、通常この段階では、ミサイルシーカーによる追随は、まだ行われておりません。
ミサイルの発射以後、しばらくはミサイルに対してデータリンクで誘導を行います。
大抵の場合、セミアクティブミサイルのような、機上または地上レーダーによるミサイル誘導モードがないため、
RWRには、機上または地上レーダーによる追随モードとミサイルシーカーによる追随モードをセットすることになります。
警報は、強度の異なる2段階の警報を出すことになるわけですが、機上または地上レーダーによる追随モード時の警報は、単に追随されているだけなのか、ミサイルが発射される(された)状態なのか判断できません。
ミサイルシーカーによる追随モード時の警報は、ミサイルがかなりの距離まで接近している状態のため、
この段階からの回避は、困難な場合が多くなります。
また、発射前にミサイルシーカーによる追随を行ってから発射する場合もありますが、当然ながらこの場合は距離が近く、回避は困難です。

RWRを搭載していても、データリンクで誘導するセミアクティブ方式のミサイルや、アクティブ方式のミサイルの脅威を知ることはなかなか難しいと言えます。

また、ジャミング波に向かって誘導するオンボードのパッシブ誘導機能を備えたミサイルの場合、
自分からジャミング波を出しているとミサイルが命中するその時まで、ミサイル発射を感知できません。

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他の記事も掘り返してみます。

対領侵措置任務中の反撃

対領侵措置任務中に、領空侵犯機が自衛隊機にミサイル発射してきた場合、 許可がなければ反撃できないのか?
という質問が出てましたので、次の通り回答してます。

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反撃の許可を与えることの出来る人はいません。
たとえ最高司令官である総理大臣でも、領侵機に対する攻撃許可は出せません。
しかし、なにも出来ないわけではないと思われます。
思われますと書いたのは、今だ裁判で争われたことがなく、判例がないためにはっきりとした見解が固まっていないということです。

領空侵犯に対する措置は、自衛隊法84条で次の通りに定められています。
(領空侵犯に対する措置)
第八十四条  防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法 (昭和二十七年法律第二百三十一号)その他の法令の規定に違反 してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。

この84条では、領侵機に対する攻撃については書かれていないため、航空機に限らず自衛官一般に定められている権限、自衛隊法95条の武器等の防護のための武器の使用しか適用できる権限がありません。

(武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条  自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料を職務上 警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる
。ただし、刑法第三十六条 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

というわけで、反撃するためには刑法36条(正当防衛)または37条(緊急避難)に該当する場合のみということになります。

(正当防衛)
第三十六条  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(緊急避難)
第三十七条  自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2  前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

問題は、どのようなシチュエーションなら正当防衛もしくは緊急避難に該当するか、ということになります。
国会答弁等で回答されたことがあるかも知れませんが、そこまで承知していません。
また、国会答弁があったとしても、所詮は政府見解なので、司法判断で覆る可能性もあります。

冒頭で書いたとおり、判例がないので、以下は個人的な法解釈として読んでください。
最初に正当防衛についてです。
航空機は、基本的には前方象限しか攻撃できないため、物理的に反撃できるケースはヘッドオンで対峙した場合のみです。
判例のありそうなケースとしては、2人の人がナイフをもって睨みあっている状況から、相手がナイフを突いてきたため、突き返したという場合です。
ある程度法律を承知している人なら理解して頂けると思いますが、このケースは100%正当防衛とはなりません。
睨み合っている時点で、急迫不正な侵害とはならないからです。
簡単な言い方をすれば、逃げるというオプションを選択可能な限り、逃げなければならないということです。
また、当然ですがレーダー照射されたからといって攻撃を受けたと主張することは無理があります。
次に緊急避難の場合です。
セミアクティブホーミングミサイルで僚機が攻撃された場合に、ミサイル誘導を行っている領侵機を攻撃する場合などが、緊急避難に該当すると思われます。
ただし、僚機が撃墜される前でなければなりません。緊急避難が、あくまで「現在の危難」をさける場合しか認められないためです。

他にも様々なケースがありうるかと思いますが、基本的に正当防衛か緊急避難に該当する場合しか反撃はできません。
そしてその判断は、命令や許可ではなく、個人判断ということになります。

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この回答に対して意見をくれる人も居たのですが・・・
法学板に行けと怒られてしまいました。

自衛隊の行動任務についての法的根拠

これも先週の法律関係です。

自衛隊の行動が法的根拠が与えられていないのではないか?

そして自衛隊の行動について訴訟を起こす人がいるのではないか?

という質問がありました。


次の通り回答してます。

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自衛隊の行動に関する法的根拠は、 自衛隊法として存在しています。
ただし、なんらかの「出動」が発令されている必要があります。

平成15年までは、根拠としての自衛隊法は存在していたものの、 実際の行動時に当然問題となる土地の収用などについて、規定がされていなかったため、 「有事法制がない」という表現がされていました。
(平成15年の武力攻撃事態対処の自衛隊法の改正は、実際に実行するには煩雑過ぎ、法律としては不十分との論議があります)
法律を読みたい方はココ
http://www.mod.go.jp/j/yujihousei/index.htm

防衛出動が発令されていれば、「敵」に対する戦闘行為とそれによる「殺人」は、普通の法的解釈としては、正当行為として、違法性が阻却されます。
つまり罪には問われないということです。
(手術を行う医師が傷害罪に問われないことと同じ理屈です)
ただし、個々の状況については、正当行為の範囲を逸脱していないかという点において、誰かが自衛隊を告発することは可能ですし、逸脱していれば、罪に問われる可能性はあります。
具体的には、敵か否かの確認を怠り、あやまって一般の国民を殺害した場合などは、過失致死などの罪に問われる可能性があります。
実際に有罪となるか否かは、その時の司法判断次第でしょう。

政府の意思決定が遅れており、「敵」として認定はさてれない場合、つまり防衛出動が出されていない場合はどう判断されるか、ということになると思いますが、
この場合、「自衛隊法」も「行政法」の一種であり、行政組織の行動に法的根拠を与えるものであるため、出動が出されていない状況で、「行動」すれば、それは違法行為になります。

余談ですが、「政府の意思決定が間に合わない可能性がある」と考えられているケースに、弾道ミサイルによる攻撃が考えられています。
そのため、「弾道ミサイル等に対する破壊措置」として自衛隊法82条2項の3において、あらかじめ、弾道ミサイル等に対する破壊措置を命じておくことが出来ると規定されています。
もっとも、実際には、他にも間に合わない可能性のあるケースは、いくらでもあるでしょう。

ヘリの大型化

ヘリについては、それほど詳しいわけではないのですが

どこまで大きくできるのかという質問があったので、答えておきました。


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具体的な数字は分かりませんが、ローターを大きくすることで、先端が音速に近づくと構造的に無理が生じてきます。
特に水平方向の移動中は、空気との相対速度が片側だけ高くなるため、速度を出さないほどローター径を大きくできます。
ローターの回転速度を落とせば、先端が音速に近づくことは防げますが、内側が失速します。

小さいローターを大量に付ければ大型化は可能でしょうが、運動性の確保が難しくなります。

素材の性能を上がれば、より大型化が可能と言えますが、すでにかなり限界に近いのではないでしょうか。

2008年6月22日 (日)

「日本海クライシス2012」中で提起している問題点

 ちょっと遅れてしまいましたが、今回は「日本海クライシス2012」中で提起している問題点についてまとめてみました。
 多少ネタバレになりますので、まだお読みでない方はご注意下さい。


1 MDによるアメリカの安全保障
 MDは、日本を弾道ミサイルの脅威から防護するものですが、同時にアメリカを防護するものでもあります。しかも、アメリカの防護を考えた場合、日本の協力は非常に重要です。
 個人的に、日米安全保障条約が偏務条約であることには反対で、MDによってアメリカの安全保障に寄与することに、むしろ賛成です。ですが、多くの日本人はそのことを認識していません。MDについての論議は、技術的な可能性とコストばかりが論じられますが、日米両国の安全保障のあり方を含め、もっと本質的な議論が必要です。
 「日本海クライシス2012」では、日米両国の安全保障のあり方にフォーカスが行くよう、日本列島がアメリカにとっての不沈イージス艦であることを描きました。


2 北朝鮮による米本土攻撃
 映画「1941」や9.11同時多発テロに対するアメリカの反応を見てもわかりますが、ヨーロッパからもアジアからも離れた位置にあるアメリカは、本土が攻撃を受けることに対して、かなりセンシティブです。
 北朝鮮が、アメリカ本土を攻撃する能力を持った時、積極策に出るのか、消極策にでるのかは不透明ですが、「日本海クライシス2012」で描いたように、両極端な反応を見せる可能性が十分にあります。その時はいずれやって来ます。その時、日本はどうすべきなのか、論議のネタの一つとして、シミュレーションしました。


3 空自基地の脆弱性
 基地の外柵の直ぐ近くまで民家が密集している基地が多いなど、空自基地はゲリコマによる攻撃を想定した場合、不利な環境にある基地が多数あります。また、反撃するための物理的手段、法的権限、付随的被害に対する世論など、全基地共通の問題点も多くあります。
 特に、「日本海クライシス2012」で描いたように、基地外から航空作戦能力を無力化することも、一時的であれば不可能ではないと思われます。実態を知り、法的権限など自衛隊の行動についての理解してもらいたいとの思いで描きました。


4 北朝鮮の航空作戦能力に対する評価
 ほとんどの保有航空機が旧式機であること、パイロットの訓練が不十分であることから、北朝鮮の航空作戦能力については、非常に見下した評価がほとんどです。
 しかしながら、物的にも人的にも質的優位が圧倒的であっても、戦い方次第では致命的な結果にもなりえます。「寡兵敵せず」という言葉がありますが、ある戦術が成り立つためには一定量の戦力が必要です。上記3で指摘した弱点をつかれた場合、防空網が突破される危険性があります。


5 MD実施部隊の運用上の障害
 イージスを運用する海上任務部隊、そしてパトリオットを運用する高射群、そのどちらも、保有する兵器を効果的に運用するためには様々な障害があります。この問題点は、多く専門家が認識しているものの、一般にはほとんど認識されていません。
 弾道ミサイル迎撃を行う兵器の迎撃確率及びそのコストばかりが論議されますが、MD実施の場合には、イージスやパトリオットに対して相当の支援が必要となること、及び海上交通や航空交通を制限する必要性があることを描きました。


 他にも、細かなテーマをいくつも盛り込んでいます。
 作者としては、「日本海クライシス2012」が少しでも防衛理解に貢献できれば幸いです。

2008年6月25日 (水)

基地と空母

質問というわけではなかったのですが、次期F-X板で民間空港を基地化することについて話が出ていたので答えてみました。その話題の中で空母があれば民間空港を基地化する必要はないという意見もあったので、そのことにも触れています。


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基地と空母について
現在でも、自衛隊機がトラブルなどで民間空港に降りてしまうことがありますが、
使用されている燃料の種類の違いもありますし、自衛隊機は自前でエンジンを回す事さえできないため、
多数の支援機材、人員を送り込んで、機体を基地に戻します。
民間空港を有事に戦闘を前提に基地化するとなれば、整備補給だけでなく、
その他の後方機能、指揮通信機能まで移動させなければならないため、それはそれは大変です。
状況によっては、ポイントディフェンスのためにSAMまでも移動させなければなりません。
また逆に、民間空港側もそれだけの人員装備を受け入れ可能な余裕がなければなりません。

となると、民間空港を基地化するならば、その民間空港の位置が戦術面で効果が高く、
受け入れ余力もあるところでなければならないことになります。そんな空港は、そうそうありません。
そうした価値の高い民間空港として、メディアにも名前が挙がっているのは、
下地島くらいでしょう。

空母は、短時間に多数機を上げたり、下ろしたりできませんから、防空戦闘では使えません。
上海あたりに殴りこむつもりなら話は違いますが、コストを含めて非現実的だと思います。

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この後、F-15はエンジン始動が可能との書き込みがされてました。

そうでしたね。飛行運用についてはF-4が念頭に来てしまいます・・・・

SM-3とPAC-3の迎撃確率

SM-3とPAC-3の迎撃確率について、どの程度なのかという質問が出てました。


それに対して、SM-3の実射試験の結果が9割程度との回答がされていました。

それ自体は事実ですが、話はもう少し複雑なので、追加回答しています。


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目標となる弾道ミサイルのスペック(主に射程)で全く違ってきます。
また、弾道の種類、最小エネルギー弾道、ロフト、ディプレストでも異なってきます。

さらに、迎撃を行うSM-3やPAC-3の側としても、複数回の迎撃試行ができれば、
迎撃確率は、その分だけ高くなります。
 
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詳しくは、「日本海クライシス2012」 第3章をご覧下さい。

2008年6月27日 (金)

F-X選定の視点(環境を考慮した選定)

「次期F-Xについて考えるスレ 18機目」に名無し三等兵さんから次のような書き込みがありました。

>582
>仮想敵国と同等の性能の機体を、数をそろえて五分に持ち込むってのが安全
>確実な戦争抑止戦略だと思うんだよな。
>少数精鋭で数頼みの敵を圧倒なんてのは先の大戦で否定されたと思うんだが
>なぁ。
>個々の戦力が高い=1機の損失が大幅な戦力ダウンだろ。
>現代戦じゃ戦闘機やパイロットの補充はまず無理だからな。
>空自の中の人はまだ零戦の栄光が忘れられないのかね

正論だと思うのですが、戦闘の結果は、環境に大きく作用されます。
当然、自衛隊では環境を踏まえて、様々なパターンを考慮したシミュレーションを行います。
そして、その結果を持って防衛力整備を行うわけですが、次期F-Xスレなどでは空自をスペック厨と評しながら、ほとんどスペック中心で語られます。

そこで、空自の考えを推測して、次の通り書いておきました。

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基本は582のとおりだと思いますが、
F-22を欲しがる空自の頭の中には、那覇から上がって尖閣で戦うことがあるんでしょう。
F-22以外だと、距離的ハンデから尖閣で戦うためには先島を使わないと十分な戦力を集中できないと思えます。
その場合に、先島が攻撃されると、数的劣勢で基地が被害を受け、その後の戦闘がおぼつかなくなることを恐れているのではないでしょうか。
F-22なら、安全な那覇から上がって、数的劣勢でも被撃墜を受けることなく、何ソーティでも行動できます。

個人的には、政治的に中国が先島を攻撃できるとは思いません。
数を確保するためにも、F-22でなくとも良いと思います。
あんまりショボイのでは困りますが・・・・

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もちろん、尖閣のことだけを考えて機種選定をしているハズはありませんが、同様の考え方で、対北朝鮮なども考えているハズです。
尖閣に関して言えば、多分外してないでしょう。

2008年6月28日 (土)

AAMで接近するSAMを迎撃できる?

ルックダウン・シュートダウンが可能な軍用機が、 搭載ミサイルで自機を狙うSAMを撃ち落す事が可能なのか?
という質問が出てました。

リアクションタイムの必要性などから、可能性としては有るかもしれないとの回答もあったのですが、ほぼ0なので、次のように回答しました。

---------------------------------

(可能性があるとしても)限りなく0に近い可能性でしかありません。

・ミサイルのRCSは、航空機と比べると極端に小さいため、地上(海上)設置レーダーと比べて出力の小さい機上レーダーでは捕捉できる可能性が低い
・SAMの到達までに、AAMのリアクションタイムを消化して、ミサイルシュートできる可能性が低い。 SAMの加速は数十Gで、あっという間にマック3~5程度まで加速する。(長射程のSAMを遠距離で発射された場合は、ミサイルシュートできる可能性があるが、その状況なら逃げた方が確実)
・ミサイルシュートできたとしても、AAMのシーカーがSAMを捕捉できるとは限らない。 AAMが赤外線誘導の場合も、大抵のSAMのロケットモーターの燃焼時間が短く、遠距離で発射された場合は、SAMが途中から慣性と位置エネルギーを速度エネルギーに変換して飛翔する(長射程SAMのトラジェクトリーは放物軌道に近い)ため、赤外線放射が小さく(空気との摩擦熱のみ)ロックオンできる可能性は低い。
・仮にAAMのシーカーがSAMを捕捉できたとしても、直撃できる可能性は極めて低い。 直撃しない場合、近接作動信管が無いAAMは無論、有る場合もRCSの問題から作動しない可能性がある。さらに、近接作動信管が作動する近距離を通過した場合も、SAMとAAMの相対速度が容易にマック5を越える高速のため、両者がすれ違った後にAAMの弾頭が起爆する。

特に、最後の信管作動の問題から、可能性はほぼ0と言えます。
ちなみに、途中で書いたとおり、長射程SAMのトラジェクトリーは、上空に打ち上げてから、空気密度の低い上空を通過して打ち下ろす形になるため、AAM側からすればルックダウン、シュートダウンではなくなります。
また逆に、弾道ミサイル対処能力のあるSAMの場合は、ASMを迎撃できる可能性があります。

AAMでのSAM迎撃はほぼ不可能ですが、ラプターやライトニングⅡでは、搭載レーダーによってSAMシーカーを狂わす(OR電子的に破壊する)ことによってSAMを無力化できる可能性があるようです。

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航空機について詳しい方は結構いますが、ミサイルのことまで詳しい方は少ないですね。

2008年6月29日 (日)

対空機関砲の有効性

「自衛隊が、1980年代になってもM42などの対空機関砲を装備していたことに対して、当時のソ連と戦闘になった場合に、果たして「対空兵器」として役に立ったのか?」という質問が出ていました。
これに対して、名なしさんによる
>たとえ低性能なAAAでもそれが存在すれば無視する事は出来ません、M42の>40mmなら一発当たれば落とされます、
>制圧しなければ自由な行動は出来ません、存在するだけで攻撃時間・攻撃方>法が制約されます。
>いなければ部隊全体がそれこそ一方的に惨殺されます。
という、的を得た回答がされていたのですが、質問者から、「無いよりマシ」というもので、ミサイルでアウトレンジされてしまい、交戦する機会さえないのでは、との疑問が再度提示されていたため、次のように回答しておきました。

---------------------------------

無いよりマシなんて、とんでもありません。
他の方の回答に書かれているとおり、存在するだけでも非常に価値があります。

40mmクラスの砲なら、5km以上先でも十分な集弾性があります。
高速に移動する航空機を狙うためには、適当な見こし角をとらなければ命中しないため、有効射程と言われる範囲は狭くなりますが、実際にはもっと広い範囲に脅威を与えることができます。
極端な例を書くと、ホバリングしているヘリと5kmの距離で打ち合った場合、撃ちっ放し能力のあるミサイルでなければ、破壊されるのはヘリの方になります。
(もっとも、回避を優先すれば、射弾を見てから回避することも可能)

出典を忘れてしまって申し訳有りませんが、2次大戦以後、事故を除いた戦闘で撃墜された航空機の50%以上がAAAによるものだったはずです。
AAAについでSAM、航空機の順でした。
これは、相手が十分な防空能力を保持している間は、攻撃が行われること自体が稀だからです。
逆に言えば、仰られるとおり、スタンドオフ攻撃で防空戦力をつぶしてから、本格的な攻撃が行われるということになります。
しかしSAMと異なり、AAAは航空機と比べると、配備も維持も極端に安価です。
高価なPGM兵器で、M42など低性能なAAAをちまちま攻撃することは、より重要な目標を攻撃する機会の損失にもなるため、最も高度なPGMによるスタンドオフ攻撃の能力を保持する現在の米軍でも必ずしも行いません。
そのつもりも無いことは、2020年を超えてもA-10を運用する予定になっていることでもわかります。

湾岸戦争でも、PGMスタンドオフ攻撃は一部に留まっていますので、1980年代のソ連軍相手では、それなりに成果をあげられたでしょう。

ECMなどによるソフトキルが難しいこともあり、攻撃機パイロットにとって最も恐怖心を与える兵器がAAAだそうです。

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光学FCSがあればECMにも強く、個人的には非常に好きな兵器なんですが、残念ながら、やっぱり現代戦には通用しないのでは、という疑問があるみたいですね。
余談ですが、アニメの押井守監督も、AAA(トリプルエーと読む)好きだそうです。
いわゆる反戦の傾向が強い宮崎駿監督も、それらしい描写をしています。
絵的に映えるだけじゃないんですが、ミサイル万能主義の影響でしょうか?

2008年6月30日 (月)

北京五輪、テロ対処にSAM配備

ミサイル総合スレに北京五輪に備え、地対空ミサイルが配置されたとのニュースが出てました。
配置されたミサイルが、短射程だということに疑問が提示されていたので、短射程SAM擁護で次の通り書いておきました。

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テロ対処では無闇に迎撃するわけには行きませんから、 目標を目視で確認しつつ、確実に目標を迎撃できるSHORADは使い易い兵器でしょう。
北京郊外にはS-300あたりが置いてあるのかも知れません。
ラジコン機などへの対処を含めて、対空機関砲も配置されるような気がします。

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コストだけではなく、SHORADには、SHORADなりの利点があります。

「日本海クライシス2012」と守秘義務

自衛官には守秘義務と言うものがあります。
自衛隊法第59条1項に、「隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。」と定められてます。
OBである私も、当然この法令に従わなければなりません。

そのため、「日本海クライシス2012」を書くにあたって、正しい情報は何かということにも増して、どこまで書いて良いかをチェックしました。
最終的には、サイト内の「小説のスタンスなど」にまとめたとおりですが、基本的に「公開されている情報に何とかかれているか」という観点でチェックをしてます。

その過程で、正直言ってびっくりさせられました。
非常に多くの情報が出回っており、特にインターネットで非常に広範な情報収集ができたからです。
その出元は、昨今話題の自衛官による情報漏えいではなく、米軍やその開発元である企業からのものが多いようでした。在職中も、何とはなしに感じていましたが、あらためてチェックすると、自衛隊の中では明らかに秘に該当する情報が、何気にサイトに載っていたりします。
「なんだかな~」というのが正直な感想です。
自衛隊は、閉鎖的だという批判を受ける反面、情報漏えいがニュースになったりと、二律背反な要求を受けます。自衛隊は、ほんとうに秘匿するべき情報と、公開すべき情報をもう一度見直すべきでしょう。

どの情報がそうだとは言えませんが、いろいろとビックリさせられたサイトは、その他のリンクにも載せている「Weapons School」さんです。
防衛関係の企業に身を置いているわけでも全くなく、趣味で調べられているようなのですが、非常に正確で驚かされました。
そして、助けられました。つまり、「Weapons School」さん他、多くのサイトに相当な情報が載っていたため、小説の展開を、妙にボカせたり歪曲させたりする必要がなく、理論的に展開することができた、というわけです。

ただし、良く言われるように、ネットは玉石混交です。2ちゃんなどでは、トンデモな情報が飛び交ってます。しかも、正しい情報を書いたかたがボロクソに批判されているようなケースまであります。

私は、防衛問題に対する正常な理解は、正しい情報から得られると思っていますが、その反面、「防衛研究」誌を普通の人に読めと言った所で、無駄だということも分かっています。
だから、その間を埋めるべく小説を書こうと思ったわけですが、この観点からすると「日本海クライシス2012」は失敗でした。
いろいろと詰め込み過ぎてしまい、普段から「防衛研究」誌を読んでいるような人でなければ、話の展開についてゆくことが難しいような代物になってしまいました。

やっとサイトとして完成したところなので、次回作についてはまだ決定しておりませんが、主張したいテーマは絞る、ということだけは決めています。
F-Xの選定問題あたりを書きたいとは思っているのですが、シミュレーション小説とすることは難しく、汚職などとからめたサスペンスでしか書けそうにありません。

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