「日本海クライシス2012」と守秘義務
自衛隊法第59条1項に、「隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。」と定められてます。
OBである私も、当然この法令に従わなければなりません。
そのため、「日本海クライシス2012」を書くにあたって、正しい情報は何かということにも増して、どこまで書いて良いかをチェックしました。
最終的には、サイト内の「小説のスタンスなど」にまとめたとおりですが、基本的に「公開されている情報に何とかかれているか」という観点でチェックをしてます。
その過程で、正直言ってびっくりさせられました。
非常に多くの情報が出回っており、特にインターネットで非常に広範な情報収集ができたからです。
その出元は、昨今話題の自衛官による情報漏えいではなく、米軍やその開発元である企業からのものが多いようでした。在職中も、何とはなしに感じていましたが、あらためてチェックすると、自衛隊の中では明らかに秘に該当する情報が、何気にサイトに載っていたりします。
「なんだかな~」というのが正直な感想です。
自衛隊は、閉鎖的だという批判を受ける反面、情報漏えいがニュースになったりと、二律背反な要求を受けます。自衛隊は、ほんとうに秘匿するべき情報と、公開すべき情報をもう一度見直すべきでしょう。
どの情報がそうだとは言えませんが、いろいろとビックリさせられたサイトは、その他のリンクにも載せている「Weapons School」さんです。
防衛関係の企業に身を置いているわけでも全くなく、趣味で調べられているようなのですが、非常に正確で驚かされました。
そして、助けられました。つまり、「Weapons School」さん他、多くのサイトに相当な情報が載っていたため、小説の展開を、妙にボカせたり歪曲させたりする必要がなく、理論的に展開することができた、というわけです。
ただし、良く言われるように、ネットは玉石混交です。2ちゃんなどでは、トンデモな情報が飛び交ってます。しかも、正しい情報を書いたかたがボロクソに批判されているようなケースまであります。
私は、防衛問題に対する正常な理解は、正しい情報から得られると思っていますが、その反面、「防衛研究」誌を普通の人に読めと言った所で、無駄だということも分かっています。
だから、その間を埋めるべく小説を書こうと思ったわけですが、この観点からすると「日本海クライシス2012」は失敗でした。
いろいろと詰め込み過ぎてしまい、普段から「防衛研究」誌を読んでいるような人でなければ、話の展開についてゆくことが難しいような代物になってしまいました。
やっとサイトとして完成したところなので、次回作についてはまだ決定しておりませんが、主張したいテーマは絞る、ということだけは決めています。
F-Xの選定問題あたりを書きたいとは思っているのですが、シミュレーション小説とすることは難しく、汚職などとからめたサスペンスでしか書けそうにありません。
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