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2016年9月 1日 (木)

北朝鮮の潜水艦発射弾頭ミサイルに対する備えはできているか?

北朝鮮のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)は、あとわずか1~3年の間に戦力化されるという分析があります。

北SLBM「1~3年で戦力化」…韓国国防省」(読売160829)

韓国国防省の柳済昇国防政策室長は29日、国会国防委員会で、北朝鮮が24日に発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)について、「飛行試験は成功した」と評価し、1~3年程度で戦力化できるとの分析を明らかにした。

 分析によると、今回のSLBMの最高高度は500キロ・メートル以上に達した。通常高度の300~400キロ・メートルで発射すれば、今回約500キロ・メートルだった飛行距離は更に伸びたとみられ、「技術面で相当な進展があった」と評価した。

 同省は、北朝鮮が信頼度を検証するため追加発射を行い、潜水艦の能力向上も加速させるとみている。また、実戦配備されれば韓国のミサイル防衛能力では「不十分」だとし、「韓国だけでなく、米本土まで脅威にさらされる可能性がある」と指摘。


北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に関しては、1年半ほど前にも、これが脅威か否かを記事にしています。
北朝鮮の弾道ミサイル潜水艦は、日本の脅威となるか?

この記事を書いた当時は、北朝鮮にはSLBM運用することはできても、浮上しての発射に留め、水中発射は無理ではないかと思っていました。
ですが、北朝鮮は水中発射の技術も獲得しつつあるようです。

では、北朝鮮のSLBM脅威が増したことに関して、何が起き、日本が何をしなければならないのかを考えてみます。

北朝鮮が、SLBMを運用し始めた場合、目標は、アメリカもしくは日本となる可能性が高いと考えられます。
弾頭は、核や化学である可能性が高く、日米は、この攻撃を絶対に阻止しなければなりません。

しかし、前掲過去記事で書いたとおり、SLBMの発射点が分かっていない場合は、弾道ミサイル防衛が有効に機能しない可能性があります。
つまり、弾道ミサイル防衛だけで、SLBM対処を行うことは、極めて危険であり、別の方法を講じる事が必須となります。

それはは、冷戦期において、アメリカの攻撃型原潜が、ソ連の戦略ミサイル原子力潜水艦(SSBN)に対して行っていた活動と同じ活動です。
具体的には、戦時、平時を問わず、北朝鮮の弾道ミサイル搭載潜水艦が出航したら、港の外に身を潜めている潜水艦で、これを追尾し続けるのです。
そして、戦時において、もしSLBMを発射しようとする場合には、発射前に撃沈することになります。

では、急激にSLBM開発を進める北朝鮮に対して、日米、特に海上自衛隊が対処できるのか?
これが問題です。

幸いな事に、北朝鮮はSLBMは開発していても、潜水艦を開発・運用する能力に関しては、非常に遅れています。
つまり、潜水艦の質に関しては、海自は十分なアドバンテージを持っています。海自の潜水艦が世界で高い評価を受けていることは、オーストラリアが潜水艦導入で日本製を検討したことからも、軍事に詳しくない人でも知ることになったとおりです。
ですが、常続的な監視を行うためには、相応の量も必要です。

あと、数年で運用が開始されるであろう北朝鮮のSLBMに対して、防衛省は、手を打っています。
先日、発表されたばかりの29年度の防衛省概算要求では、この北朝鮮のSLBM対処に必要な施策が、集中的に盛り込まれています。
特に、冒頭の2ページは、そのための装備が集中しています。

○固定翼哨戒機(P-3C)の能力向上(5億円)
固定翼哨戒機(P-3C)の探知識別能力を向上させるため、レーダーの性能向上に必要な改修を実施
活動中の潜水艦を追尾

○固定翼哨戒機(P-3C)の機齢延伸(3機:18億円)
固定翼哨戒機の体制を維持するため、P-3Cに機齢延伸措置を実施
活動中の潜水艦を追尾

○哨戒ヘリコプターの機齢延伸(4機:47億円)
哨戒ヘリコプターの体制を維持するため、SH-60K(2機)及びSH-60J(2機)に機齢延伸措置を実施
活動中の潜水艦を追尾

○画像情報収集機(OP-3C)の機齢延伸(1機:7億円)
画像情報収集機の体制を維持するため、OP-3Cに機齢延伸
措置を実施
入港中、あるいは事故で浮上した潜水艦の情報収集

○滞空型無人機(グローバルホーク)の取得(173億円)
・広域における常続監視能力の強化のため、滞空型無人機(グローバルホーク)1機分の機体組立て経費等を計上
・導入に向けた準備態勢の強化
※その他関連経費(整備用器材等)として、別途22億円を計上
平成27、28年度予算において、機体構成品(3機分)及び遠隔操作のための地上装置等を取得
入港中の潜水艦の情報収集

○潜水艦の建造(1隻:760億円)
潜水艦を16隻体制から22隻体制へ増勢し、我が国周辺の海域における情報収集・警戒監視を有効に実施するため、探知能力等が向上した新型潜水艦(3,000トン)を建造
活動中の潜水艦を追尾

○潜水艦の艦齢延伸(艦齢延伸工事3隻及び部品調達6隻分:38億円)
潜水艦を16隻体制から22隻体制へ増勢するため、「おやしお」型潜水艦に艦齢延伸措置を実施
活動中の潜水艦を追尾

○音響測定艦の建造(1隻:234億円)
海洋における音響情報の収集能力を向上させるため、音響測定艦(「ひびき」型3番艦(2,900トン))を建造
活動中の潜水艦の音響情報を収集し、潜水艦や哨戒機等での追尾に役立てる他、追尾を行う事も可能

太字は、筆者が追記した説明

資料の冒頭は、防衛省として重視していることが書かれています。
その冒頭2ページに記載されている12件中、8件が潜水艦関連です。
しかも、グローバルホークとOP-3C以外6件は、対潜水艦専用とも言えるものです。

もちろん、これらは中国の潜水艦に対処するためでもあります。
ですが、北朝鮮のSLBM対処を強く意識していることは間違いないでしょう。

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