新刊『有事 台湾海峡』が8月8日に祥伝社から発売となります。
今回、装画は私の本では初となる裏表紙まで含めたグラフィックになります。
イラストは安田忠幸氏、デザインはかとうみつひこ氏。
『悪魔のウイルス 陸自山岳連隊 半島へ』の時と同じコンビによる迫力あるデザインになっています。
帯なし
帯あり
タイトルとこの表紙で分かる通り、描いたのは台湾有事です。
ただし、台湾”海峡”としたのは、描いたものが金門・馬祖の危機だからです。
分からない人もいると思うので解説しておくと、金門島・馬祖諸島は台湾領ですが、大陸至近にある小さな島です。
今年になってから、中国はこの中の金門島に対して、ちょっかいをかけ始めています。
危うく、書籍刊行前に危機が勃発してしまうのではとひやひやしましたが、今のところは大丈夫なようです。場所が場所だけに、台湾関係で危機が発生する可能性の高い場所として知られた島なのです。
小さな島をめぐる危機だとしても、その危機は拡大してゆく可能性があります。
特に周辺海空域、つまり台湾海峡の危機が発生する、という話を描きました。
ところで、私の商業作家としてのデビューは『黎明の笛』(2014年3月刊)で、今年でちょうど10周年となります。
だから・・・という訳ではないのですが、『黎明の笛』の登場人物が、今回再登場します。当然10年経過しているので、同じポジションではありません。
この10年間、私は一貫して自衛隊に焦点を当てた小説を書いてきましたが、中国との衝突を描いたモノは書いていませんでした。
それは、自衛隊を主軸としてリアルな小説を書くためには、中国軍が強大過ぎるからです。
対中国で小説を書くなら、どうしても米軍が出てくる話にせざるを得ない。しかし、そうなると自衛隊は脇役になってしまう・・・
だから、書かなかったのですが、国際環境の変化もあり、米軍は出てくるものの、自衛隊が決して脇役とは言えないポジションを占めることになりました。
これには、安保法制により集団的自衛権の行使が可能になったこと、ロシアがウクライナで消耗し、北の脅威が減少したことなど様々な要素が関わっています。
今なら、対中国で自衛隊を前面に押し出す小説を書くことができるようになった、ということです。
ただ、中国はもちろんのこと、台湾やアメリカの動向が大きく影響し、単なる軍事力の衝突ではなく、極めて政治的な危機になることは誰しも予想できることでしょう。
と言うことで、誰を視点としてこの危機を切り取る(小説として見せる)のかについては、ずいぶんと悩みました。
結果として、自衛官だけでなく政府中枢も見せるために、複数の視点からの描写を行った群像劇的話になっています。
また、政治、軍事的に、ちょっと難しい話になっています。
『航空自衛隊 副官 怜於奈』シリーズの3巻で描いた演習シーンよりも、更に難しい話になっているため、自衛隊のことをあまり知らない人には、ちょっと取り付きにくいかもしれません・・・
逆に、安全保障に興味がある人やミリタリーマニアには燃える作品になっていると思います。
ということで、是非手に取ってもらえればと思います。
金門・馬祖をめぐる台湾海峡の危機ですが、陸自の活躍も描いています。逆に、空自に焦点を当てたため、海自は動いているものの、海自の描写は少なくなっています・・・
発売は8月8日で、電子版は同日リリースに向けて鋭意作業中とのことですが、若干遅れるかもしれないそうです。
ハッキリすれば、別途告知します。
出版界全般の状況として、紙や印刷のコストが上昇しています。そうしたこともあり、今回定価が2000円を超えてしまいました。
それだけ、手を伸ばすことが難しくなったと思います。その分、印刷される部数も減っており、紙の本を希望される方は、できるだけ予約して頂くのが良いと思います。地方の書店には行き渡らないかもしれません。
宜しくお願い致します。
m(_ _)m
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